何を研究してきたか?

ホロコ―スト研究者といっても、私がこれまでに一次史料に当たって実証的にやってきたことは、極めて限定的な問題領域

①主として、ナチス・ドイツのソ連占領・征服戦争、「東方大帝国」建設」構想ついて
 (拙著『ドイツ第三帝国のソ連占領政策と民衆 1941-1942』同文舘、1994)

②そのソ連征服戦争(独ソ戦)の過程でのユダヤ人殺戮について、ヒムラー幕僚部文書、ライヒ(国家・帝国)保安本部文書をもとに
 (拙著『独ソ戦とホロコースト』日本経済評論社、2001)、

さらに、
③「ヒトラーのユダヤ人絶滅政策の大々的決定の時期」について拙著(41年12月説)への批判(41年8月説)を踏まえて、
一次史料発掘調査を踏まえ、
 (拙著『ホロコ―ストの力学――独ソ戦・世界大戦・総力戦の弁証法――』青木書店、2003)で、41年12月説を実証。

そうした見地を
④2008年以降ー2021年までに刊行された最新の全16巻の包括的史料集をもとに、
 ユダヤ人迫害の段階的進展、迫害から殺戮への急進化の諸段階を再確認
 (拙著『アウシュヴィッツへの道――ホロコ―ストはなぜ、いつから、どこで、どのように――』春風社、2022)




研究の出発点:
 一連の本テーマ関連論文の最初のものは、だれでもが手に取り批判的に検討できる一次史料ヒトラー『わが闘争』
全体的思想構造を検討した下記論文、
 
  拙稿「第三帝国における『国家と経済』-ヒトラーの思想構造にそくして-」遠藤輝明編『国家と経済』東京大学出版会、1982


原爆開発との関連で問題提起・・・「ホロコ―ストの力学と原爆開発」・・・挫折要因を1942年の全体状況の中で見る。
  横井勝彦・小野塚知二編『軍拡と武器移転の世界史』日本経済評論社、2012年3月刊,第8章。

総力戦体制との関連で:
  1941年から42年にかけて、総力戦体制の再構築に関する一次史料(四ヵ年計画庁文書)の紹介

冷戦体制解体過程と植民地解放過程(概説):
  H.ケルブレ著永岑監訳『冷戦体制と福祉国家』日本経済評論社
    この全体過程のなかから、イスラエルによるパレスチナ支配=殖民・入植者植民地主義は、視野の外に置かれていた。


上掲拙著(2022)刊行以降の最新関連論文(Pdfファイルリンク)

第三帝国の全面的敗退過程とアウシュヴィッツ 1942‐1945」『横浜市立大学論叢』社会科学系列、73‐1(Pdf)Pdf.
 
第三帝国敗退最終局面とハンガリー・ユダヤ人の悲劇――1944‐1945大量殺戮の歴史的文脈」『横浜市立大学論叢』社会科学系列、73‐2・3合併号。PdfPdf

独ソ戦・世界大戦とドイツ・西欧ユダヤ人の東方追放――「ユダヤ人問題最終解決」累進的急進化の力学――」『横浜市立大学論叢』人文科学系列、74‐1投稿(2022年8月31日)(納品刊行2023-05-18)。




同、最新拙稿書評(Pdfファイルリンク)

2023年6月9日山下尚一『ショアあるいは破滅のリズム、エポック1,2,――現代思想の視角』勉誠社、2023年3月刊、『週刊読書人』3492号掲載、Pdf 書評書評

2024年2月2日、野村真理『ウィーン ユダヤ人の消えた街』岩波書店、2023年、『週刊読書人』3525号掲載、:PdfPdf

2024年5月5日、バスティアン・ハイン『ナチス親衛隊(SS)――「政治的エリート」たちの歴史と犯罪――』『しんぶん赤旗』2024年5月5日掲載
拙稿Pdf書評(2024-05-05)




上の4冊の単著の下になった諸論文は、以下を参照されたい(上掲の4冊の単著は重複)。

研究業績リスト

 2011年1月まで

 2011年4月〜2012年末まで