組合員の諸先生
組合の倉持です。
先に「あり方懇」の報告をしましたが、地方財政を専門とされる鞠先生より以下のよ
うなご意見のメールをいただきました。鞠先生の了承をいただき、みなさんに配信し
ます。
また毛利先生からは隋先生がホームページ
(http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~zuiz/Q-1.HTM)
で大学の財政状況を分析しておられるということを教えていただき、早速拝見しました。
その結果、大学関係費の割合や公債費残高の相当部分が病院関係だということがわか
りました。
「あり方懇」委員は大学の財政状況を厳しく指摘する一方で、病院や医学部は地域に
密着して貢献しているとして評価していましたが、実は赤字の根源が病院にあるとい
うことはご存知なのでしょうか?
それを不問に付して、大学の他の部局が責められるのはどうも納得がいきません。
以下、鞠先生のご意見
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倉持 先生
日本の財政状況が厳しくなっている中、あり方懇の気持ちもわかるような気がいたします。しかし、ここで私の意見を述べさせていただきますと、財政収支が90億円の赤字だから、それを市民に納得してもらうのは難しいということは、本末転倒のような気がいたします。
誰もが同意すると思いますが、大学は教育と研究の専門家がそれをよくするための機関ですよね。市立ですので、もちろん市や市民とのかかわりをどのようにしていくかを考えるべきです。それが、今まで上手くできなかったのは、学長が大学運営の権限(実質的な予算と人事権)やその責任体制を持ってない状況が続いてきたからではないかと思います。学長が大学運営の権限を持たないと、自主性を発揮しにくいのは明らかでしょう。このことから考えますと、今後何よりも求められるのは、学長が教育と研究の専門家グループ(例えば、大学運営委員会(仮称))の諮問を受け、大学を運営できる体制です。となりますと、大学運営の責任問題もはっきりすることができますし、効率的な運営も徐々に実現できると思います。
一方、大学での事務はあくまでも、教育と研究をよくするために支えるグループでなければ、大学の運営や改革が難しくなることは同意できることだと思います。大学の改革を進めるには、教育と研究の専門性とともに、事務の専門性も求められます。今までそのような体制ができなかったことにも、大学の改革が難しくなる原因の一つであったと思います。
大学の存立が問われる多くの私立大学が生じつつある今日、横浜市立大学には、現在も優秀な学生が大勢応募しております。それは、それだけ横浜市立大学が他の私立大学に比べ、魅力があることを語っています。彼らの社会活動も旺盛だと思います。大学の収支を単年度の収支で計算することは、まさにこのような黄金の卵を無視して、現在の餌代が多くかかって赤字だからその餌代を削って、(横浜市立大学という)鶏を餓死させる発想になりかねないことではないかと思います。
国立大学の独立法人化の推進が決まっている中、(市立大学の形態を変えるとかも含め、)これから市立大学の改革を行い、非効率性を少なくする努力は必要でしょう。
横浜市立大学に非効率性が生じる大きな原因も、学校運営の責任の立場にあるべき職(学長(や大学運営委員会))に、実質的な予算と人事権という運営の権限と、その権限に相当する責任が問われる体制になっていなかったことにあるでしょう。それが前提にならないと、これからも非効率性が生じるのは避けられないと考えられます。
最後に、(ある程度の)非効率性が生じるから、市立大学をなくしたほうが良いという命題は成り立たないことを明確にしておきたいと思います。権限と責任体制が整っていないところに非効率は内在するからです。
鞠 重鎬
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倉持 和雄 (KURAMOCHI, Kazuo)
Professor
of International Economics and Korean Studies
Department
of International Relations
Faculty
of Humanities and International Studies
Yokohama
City University
+81-45-787-2230