新・横浜総合大学構想

 

●地方分権(地域主権)の主役・主体=市民・県民のための10-12学部の総合大学を!!

●新・横浜総合大学(Yokohama University)は、MM21に本部棟(名称:横浜アカデミア)を!! 駅名(横浜高速交通新線)にも大学名を!

MM21に新しい専門大学院・法学部・研究所・市民科学センターなどを!!

 

 

 

中田市長は、横浜国立大学卒業生の会で講演し、「民の力」など地域からの活性化に関する彼の主張を述べたほか、市大問題にも言及し、「横浜国立大学との合併を含めてご検討いただいている」と話したそうである。

 

そうしてみると、年来、戦後新制大学発足時から、浮かんでは消えてきた横浜国立大学との合併構想=神奈川県・横浜市に10学部から12学部を擁する国立・公立の協力・連帯の一大総合大学を創設するという構想は、いままさに21世紀の初頭、地方分権の時代、地方分権を主体的に推進すべき時代において、横浜国立大学が国立大学法人として「独立」する好機をとらえ、世界的な科学技術大変革の時代において、学生、卒業生、市民、現役・OBOG教職員など広範な層に再度現実的に検討すべき構想として浮上し、そのような全般的空気とあい呼応するかのように、中田市長の構想のなかにも含まれていると言うことのようである。

そのような市長の発展的な考えが本当だとすれば、それについては賛成である。その場合に、二つの大学の歴史をきちんと踏まえ、二つの大学の持っている学部を活かし長期的な壮大な夢を掲げつつ、この難局を新たな発展のチャンスとして乗り切ることが、わが大学人には求められている。

二つの大学が合同するとすれば、新たな飛躍的次元の大学を作り出していく必要がある。

その二つの大学を総合した中央本部は、まさに横浜の都心・夢のある場所=「みなとみらい」地区になければならないだろう。その立地としては、MM21こそふさわしいであろう。

 

横浜国大が来年創設するロースクール、わが市大が創設する法学部など都心型〈社会人向けも含め〉の学部・大学院・専門大学院をMM21地区に共同して創設する、その21世紀型の「横浜総合大学」本部棟をMM21の遊休地〈塩付け地=金だけ使って有効利用されていない場所[1]〉に、国と市、県が資金を出し合って打ち立てるということ、この本部棟が21世紀を象徴する国際的学術発展のシンボルとなるように構想する、建物もそのような風格のある何百年も持つような記念碑的なものとする、というのはどうであろうか。

国〈国民〉と県〈県民〉と市〈市民〉が協力・連帯すれば出来ないことはないのではないか?

その先進的主体的推進力となるのが市民だ!

市民に問いかけることのない構想は、官僚や「あり方懇」の視野狭窄・教養欠如の少数の人間の頭がひねり出した生命力のないものになってしまうであろう。

 

 商学部・大学院経済学研究科

  永岑三千輝

 E-mail : nagamine@yokohama-cu.ac.jp

  研究室HP: http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/

 

 

 



[1] 1998年度末現在でいうと、全国の土地開発公社が保有する土地のうち44(金額ベース)5年以上の保有する土地である。こうした塩漬け土地の対流は用地取得を依頼した自治体が用地買取のための債務(債務負担行為)の決済を先送りしている実態も表わしている。この意味で塩漬け土地問題を、「行政の不良資産」の問題としてだけなく、「行政の不良債務」の問題として捉える必要がある。」醍醐聰編著『自治体財政の会計学』新世社、2000年、p.iv-v .

 

「自治体財政を揺るがす第3セクターの破綻は、逆立ちした公益性論の再考を促している。…全国の自治体が乱立させた第3セクターの経営の行き詰まりは、設立自治体に多額の未処理債務を負わせる結果になっている。しかし、もともと、これらの第3セクターが手がけた大型リゾート開発や民活事業は公益性の乏しいものが大半で、事業選択に関わった行政の責任が各地で問われているのは当然のことといえる。」同上、p.v.

 

「横浜市の土地開発公社が保有する土地総額に占める塩漬け土地の割合は37.4(1998年年度)であるが、これは政令指定都市のなかでは川崎市の66.7%、札幌市の45.9%、名古屋市の44.6%に次ぐ第4位である。しかし、塩漬け土地の総額は1,479億円で大阪府の1940億円に次ぐ規模となっている。ほかに1,000億円を越える後者は名古屋市しかない。もともと所有していると地歩郵送岳の膨大な規模との対比で言えば塩漬け土地の規模はそれほどではないが、全国自治体のなかでは突出した金額である。1999年度決算において、横浜市土地開発公社の年間支払利息は実に555846万円に達している。その大半は保有土地の簿価に算入されているが、同年度の事業収益比でいうと22.5%、事業総利益との比では実に31倍となっている。

 横浜土地開発公社の問題は一つの事例に象徴されている。それは、たった1件で、公社の全保有地149件の保有地総額の35%を占めている高島1丁目の土地のことである。この土地は、みなとみらい21の1画にある土地で19943月から19992月にかけて取得され、面積20ha、帳簿価格1,348億円、内包支払利息は166億円である。同市の公社の支払金利はプライムレート基準で、さらにスワップを用いる等しているため、一部の公社のように格別に高い金利(山梨県の7.52%、山口県の7.04%等)を支払っているわけではないが、このままこの広大な土地が事業化されず、塩漬けになれば、毎年公社から膨大な金利が自動的に支払われることになるのは紛れもない事実で、その支払分の税金が市民に付加価値ももたらすことなく金融機関に流れ込むことになる。

 公社保有地全面積の17%を占めるこの土地を、他の土地同様、従来通り事業化の目途が立つまで公社が保有することになれば、慢性的な市の財政逼迫要因となる危険性が高い。・・・」同上、p.175176.