ヒトラーの1942年1月1日以降の演説


 ヒムラー、ハイドリヒのユダヤ人絶滅政策を叱咤し、強烈に拍車をかける演説類


それを受けて、
ヒムラー、ハイドリヒが1942年に総督府ユダヤ人の絶滅政策を
猛烈なスピードで推進する背後事情・圧力群・ベクトル群

(赤軍と死闘を繰り返す長大な前線正面と広大な後方地域、
相対的に治安平定武力の総体的僅少さ・・・抵抗鎮圧の苛烈さ・過酷さ)


ヒムラーは1942年7月末にラインハルト作戦完遂を厳命。
 「42年末までに総督府ユダヤ人の絶滅の完了せよ」と



ドイツの42年夏の攻勢、スターリングラード攻撃、
 そのための広大な
後方地域の安定が親衛隊警察機構の絶対的課題

 しかし、パルチザン等の
反撃・抵抗の激化、その他の治安困難な諸条件

(Cf.下記一次史料を利用した拙著『独ソ戦とホロコースト』日本経済評論社、2001、特に第四章)



-----以上を立証する史料群------ 

東部占領地域(ドイツ占領下のソ連地域)の情勢報告

「東部占領地域通報」
 Meldungen aus den bestzten Ostgebieten
(『事件通報・ソ連』が、1942年5月1日以降、改名された。
 最初一週間の間隔でまとめられ、2号は8日、3号は15日・・・)


 BA R58/697(Nr.1-9).1942.5.1-
              /698(Nr.10-18).1942.7.10−
                /699(Nr.19-27).1942.9-

   


治安警察・保安部長官
(Der Chef der Sicherheitspolizei und des SD)
(この時期は
ハイドリヒ)が作成責任者
(ハイドリヒは5月末、暗殺事件で致命傷を負う、6月はじめ死去)

第3号(42年5月15日)




目次
A.駐屯地・連絡網
B.敵と処刑の問題
  
ラトヴィア
   白ロシア(ベラルーシ)
   アインザッツグルッペBの領域
   アインザッツグルッペC
   アインザッツグルッペD

 



D.生活分野
   全般的な情勢と気分
   エストニア

 
   賃金と食糧状態に関するエストニア労働者階級の不満、
       労働力削減に対する農業の不穏な情勢。
・・・・
   
ラトヴィア
    
牽引用家畜と労働力の削減が、農村に不穏に作用。・・・ 
   
中央軍集団地域の学校制度の状態の暫定的概観の総括



闇取引・密輸に対する闘争措置
ラトヴィアにおける再私有化の実施とラトヴィア商業の情勢

D.ソ連の非占領地域からの通報
 レニングラードの情勢







4号(42年5月22日)

B.敵と処刑問題
  ソ連が落下傘部隊を投入。
    敵の装備
  ウクライナの抵抗運動


  クリミアのユダヤ人問題
   ソ連は、クリミアでできるだけまとまったユダヤ人居住地域を創出しようとした。そしてユダヤ人を農業民にしようとした。しかし、ユダヤ人は都会になだれ込んだ。
   41年12月までに、基本的に
ユダヤ人を「駆除」Ausmerzungすることに成功。



C.生活領域
クリミア半島の全般的な情勢と民衆の空気

     冬に比べれば、民衆の空気は改善。
   ドイツ軍の部隊増強は、ドイツの最終勝利に対する信頼を非常に促進した。


クリミア半島の諸民族の状況
  たくさんの民族集団が分散し、混合して定住。
  
民族ドイツ人はほとんどあますところなく連れ去られた。
  
大ロシア人が最大の民族集団
  タタール人は第二に大きな民族集団だが、ドイツに対して非常に好意的。
   クリミアにおけるユダヤ人の役割。




第5号(42年5月29日

B.敵と処刑問題
  コミュニストの運動
  パルチザンと落下傘部隊、テロルとサボタージュ



C.生活領域
    中央軍集団地域の全般的情勢と民衆の空気
    
パルチザンテロルの増加と食糧事情のさらなる悪化は、民衆意識の悪化を引き起こしている。




中央軍集団地域の宣伝




第6号(42年6月5日)
B.敵と処刑問題
  パルチザンと落下傘部隊、テロルとサボタージュ












第7号(42年6月12日)
A.敵と処刑問題

パルチザンと落下傘部隊、テロルとサボタージュ
  全地域で異常に活発な活動。パルチザンの軍事的な力量は重火器と空軍の投入を必要とさせた。

白ロシア(ベラルーシ)
 ミンスクで蜂起を組織しようとしたパルチザングループを捕捉。その際、鉄道の駅及びその他の重要施設が破壊され、ウクライナの警察大隊が不意を襲われた。



B.生活領域
 ウクライナの全般的情勢と民衆の空気
   必要な生活物資の供給不足が民衆の空気を悪化させている。











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