ヨーロッパ民衆の意識・・・・「戦争はいやだ」「戦争を繰り返してはならない」
ジョン・ピムロット/アラン・ブロック序『地図で読む世界の歴史 第二次世界大戦』河出書房新社、2000年、p.16
1920年発足の国際連盟・・・「新しい世界秩序」にもとづく軍縮と国際協力
一方に第一次大戦が「すべての戦争を終わらせるための戦争」との楽観論者の主張
他方に、人類究極の最終戦争へと転げ落ちていく坂道の一里塚、との悲観論(日本の石原莞爾は、その『最終戦争論』において、もう一度世界規模の戦争が起きることを想定)
戦勝国の民衆の意識
「イギリスやフランスといった国は、大戦の勝利したものの、その被害があまりにも大きすぎたとの思いから戦争はもうこりごりだとの声が国内に高まり、各国の民主化と軍縮を急ごうとする姿勢を強めた。その結果、第一次世界大戦が終結した1918年に300万人を要していたイギリス軍は戦前の水準にまで規模を縮小し、植民地を警備・監督するのに「適切な」軍隊となった。・・・・戦後の平和がつづいても、あの戦争を繰り返してはならないという気運は少しも弱まらなかった。
戦争の記憶は人びとの脳裏に鮮烈に残り、戦争にともなう苦しみや損失の無益さが盛んに強調された。塹壕の中から互いににらみ合う戦争のむなしい現実は、新たに普及した映画フィルムというメディアによって次の世代にも伝えられた。第一次世界大戦を経験した人びとは、戦争に栄光などほとんどないことを知っていた。
のちの1939年に、イギリスとフランスが第2次世界大戦の嵐に否応なく引きずり込まれていったとき、両国の社会に第一次大戦のときのような愛国主義の高揚はなく、むしろあきらめの境地からくる冷めた決意のようなものが感じられた。」
敗戦国の民衆の意識
一方に左翼を中心に広範な反戦意識・・・極端に行けば、反帝国主義の勢力による革命、ソ連の用はレーテ(ソヴィエト)共和国の建設の主張・潮流
他方に、右翼を中心にヴェルサイユ体制打破の意識、「敗北の克服」を求める勢力、帝国主義勢力・・・・民衆の中にもこれが広がりを持つ。
その一つの中心がヒトラー率いるナチ党。
ヨーロッパにおける新しい戦争への恐怖・・・戦略爆撃機と毒ガス兵器
日中戦争やスペイン内戦
上海事変やドイツによるゲルニカ爆撃
「今後の戦争が市民をも巻き込んだ総力戦になるとの認識が広まっていった。高性能の爆薬や毒ガスを用いた爆撃にたいする不安がたかまり、たとえばイギリスでは子供たちを大都市から疎開させ、国民すべてに防毒マスクを配るといった計画が立案されている。」同上、p.17
甚大な被害に対する「懸念から、1939年の第二次大戦勃発時、イギリスやフランスに積極的な主戦論は少なかった。」同上、p.17