歴史から今を知る
今から歴史を知る。
今だから歴史の真実が見えてくる。
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悲劇の時代の個人の秘密・・・タブー化された真実
現代ドイツを代表するノーベル賞作家
ギュンター・グラスの告白
・・・
逆に、遠ざかれば遠ざかるほど、忘却の大河に流される
基本的に重要なことを再発見・再確認する必要性。
-----ところが-------
一年後期:近現代世界史のひとこま
問題意識・課題意識
高校における世界史未履修問題:
『世界史なんていらない?』
いやいや、
ますます世界との付き合いが市民レベルで広く深くなる現代・
グローバル社会・トランスナショナル社会において、
世界の歴史に関する基本的な認識は必要ではないか?
それでは、どうするか?
近現代世界史−世界のなかの日本を理解するため−を、国際文化創造コース歴史系教員で分担して教えよう、そのための教科書を全13章−15章で書こう、という企画
(市大・研究戦略プロジェクトの一事業)。
高校の先生たちの神奈川県高等学校教科研究会・社会化部会・歴史分科会編『世界史をどう教えるか』、大阪大学の試みなど、様々の蓄積がある。
そうしたものと連携しつつ、大学生のための世界史教科書をつくってみようか。
私の担当:
そのひとつの章「二つの世界大戦とソ連社会主義の実験」を担当。
2008年12月3日(水)4時間目
講義内容:単一型WebFile(PowerPointFile)
感想・疑問・意見などの紹介とコメント(12月10日)
古くはオスマントルコに支配され、20世紀には
大国ドイツやソ連にはさまれて支配占領されたルーマニアのEU加盟は、
バルト三国、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、ブルガリアなどのEUへの平和的加盟とともに、
21世紀の世界・人類の到達した地点を示す一つの象徴では?
2008年12月11日 1時半から4時まで、いちょうの館で、
ブカレスト大学ムルジェスク教授の特別講義(英語)
世界強国が領土分割をめぐって争う帝国主義の時代は終わった。
しかし、地球レベルの問題を共同で解決するシステムは、自由と民主主義の原則を踏まえながら発達しているか?
地球環境の保護・保全という人類共通の課題を、共同で解決する方向性は、着実に前進しているか?
温暖化問題に見られるように、先進国と発達途上国間で、また先進諸国の間で、地球を守る上で、大きな差があるのでは?
二酸化炭素の放出は、地球環境に対する「ごみのばら撒き」だが、それぞれ国・地域は、世界的地球的課題に真正面から取り組んでいるか?
地球環境の資源を強いものが勝手に使ってはいないか?
地球環境を守るために各人・各地域・各国・世界全体がなすべきことは?
太陽光発電など、自然エネルギーの最大限の活用の方向は?
先進的事例は?(ドイツ・フライブルク市の事例)
主要参考文献:
ソ連崩壊後、歴史の見直し作業・論点:
R.W.デイヴィス著・富田武・下斗米伸夫・永綱憲治訳『ペレストロイカと歴史像の転換』岩波書店、1990年。
同著・内田健二・中嶋毅訳『現代ロシアの歴史論争』岩波書店、1998年(原著、1997年)
溪内謙『歴史の中のソ連社会主義』岩波ブックレット、1992年。
E.ホブズボーム著河合秀和訳『極端な時代−20世紀の歴史』上、下、三省堂、1996
専門研究:
富田武『スターリニズムの統治構造−1930年代ソ連の政策決定と国民統合−』岩波書店、1996年。
レヴィン著荒田洋訳『ロシア農民とソヴェト権力 集団化の研究1928−1930』未来社、1972
O.フレヴニューク著富田武訳『スターリンの大テロル−恐怖政治のメカニズムと抵抗の諸相−』岩波書店、1998年。
中島毅『テクノクラートと革命権力』岩波書店、1999年。
E.H.カー著・塩川伸明訳『ロシア革命−レーニンからスターリンへ』岩波現代文庫、2000年。
同、井上茂訳『危機の20年』岩波現代叢書、1952年(後、岩波文庫)
同、大窪源二訳『ナショナリズムの発展』みすず書房、2006(初版、1952年)
同、『一国社会主義 1924−26−政治-』みすず書房、1974、同、『一国社会主義−経済−』みすず書房、1977
細谷千博『シベリア出兵の史的研究』岩波現代文庫、2005(有斐閣、1955)
三好徹『政・財 腐蝕の100年 大正編』講談社、2006年。
日本の中国侵略・対ソ侵略問題と国際スパイ事件
NHK国際取材班・『国際スパイゾルゲ』・・・ゾルゲ電報をソ連崩壊後現物で確認。
リヒアルト・ゾルゲ著勝部元・北村喜義・石堂清倫訳『二つの危機と政治−1930年代の日本と20年代のドイツ』御茶ノ水書房、1994年。
尾崎秀美『ゾルゲ事件 上申書 』(岩波現代文庫) 尾崎 秀実 (文庫 - 2003/2)
尾崎秀実『愛情は降る星のごとく』(新編
愛情はふる星のごとく (岩波現代文庫) 尾崎 秀実 今井 清一 (文庫 - 2003/4)
尾崎秀実時評集
日中戦争期の東アジア (東洋文庫) 尾崎秀実 米谷 匡史
(単行本 - 2004/3/11)
ソ連史を見る上で忘れてはならないのが、
ソ連の誕生・発展・勢力拡大から没落にいたる世界の権力構造
アメリカの好戦性と金融権力
歴史地図:
マーチン・ギルバート著・木村汎監訳・菅野敏子訳『ロシア歴史地図』東洋書林、1997年。
文学作品:
ジョン・リード『世界をゆるがした十日間』上、下、岩波文庫。
ショーロホフ『静かなドン』(1941年第一回スターリン賞、1965年ノーベル賞)、『開かれた処女地』岩波文庫。
ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィッチの一日』他(ノーベル賞)。
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デイヴィスの研究(歴史論争の整理、研究の到達点の確認)によれば、
1930−33・・・・「特別居住区」への追放の最初の大きな波。
その大多数は、「クラーク」。
210万人から220万人の追放。
諸民族の追放・・・・1936−37年に始まり、
3万6千人のポーランド人・・・西部地域から
17万5千人の朝鮮人・・・極東から中央アジアに
1940−41年のポーランド人、バルト人およびドイツ人の追放。
1944ー45年の大勢のカフカースの人の追放。
公式記録によれば、1940年代には
323万人から344万2千人の人々が追放された。
諸民族のほとんどについては、アルヒーフが公開される前に人口数に基づいて行われた
ロバート・コンクェストの推計がまったく正確であった。
グラーグにおける死亡
スターリン時代の処刑者数(多かった年は?)
1921年 9701人
1930年 2万0201人
1931年 1万0651人
1937年 35万3074人
1938年 32万8618人
1942年 2万3278人
↑1937−38年の大粛清の時期における
赤軍将校の運命
・・・・アルヒーフ資料により、正確なことが判明。
1937年の将校数14万2千人、1938年の将校数17万8千人。
これに対し、逮捕ないし解任された正味の数は、2万4026人。
軍を解任された将校は、およそ15%、と。
「将校総数のおよそ11%が逮捕されたのかもしれない。
非常に高い割合で上級将校が逮捕されて処刑されたため、
1940年の将校団は1936年の将校団に比べて非常に経験不足であった。
しかし、この数字は、いかに軍が粛清から回復して、
戦争中に勝利へと進んだかをより理解しやすいものにしている、と。
(デイヴィス、310ページ)
-------マーチン・ギルバート『ロシア歴史地図』より-------------