ホロコースト(ナチ・ドイツによる第二次世界大戦中の約600万人の殺害・大虐殺)
「なぜ」に関して
研究史を踏まえたわたしの見地
1.ユダヤ人だけの犠牲をほかのたくさんの被害と切り離してみてはならない。
第二次世界大戦においては、ソ連の2000万人とも2700万人ともされる死者
ヒトラー・ナチス支配下のドイツでも、沢山の犠牲者
(戦死者、空襲被害者、戦争末期の疎開・難民化・被追放民1千数百万)。
2.第二次世界大戦、その死者だけを見ていてもいけない。
世界史上最初の総力戦・長期戦、第一次世界大戦との関係も、見る必要がある。
たとえば、,第一次世界大戦で、ドイツは、約200万人もの青年男子を失った。
3.ヒトラーの反ユダヤ主義だけに目を奪われてはならない。
ヒトラーの思想構造全体を見る必要がある。
また、ヒトラーの発想が、どれほど、民衆の間に広くいきわたっていたか、その大衆的基盤が問題となる。
4.ナチス・ドイツの犠牲者は、ユダヤ人だけではない。
ヒトラー、ナチスの人種主義や民族主義(民族共同体理念)に反する被害者群
シンティ・ロマ(ジプシー)
心身障碍者など「安楽死」作戦で殺害されたドイツ人も。(最近の研究:拙稿書評)
「ユダヤ人・ユダヤ民族・ユダヤ人種」に、ヒトラーは、いかなる特殊性を見たのか?
人種主義・人種差別(人種の優等劣等意識・差別)・レイシズム
・・・・19世紀後半から、植民地主義・帝国主義のなかで、世界の主要「先進」諸国に蔓延。
ヒトラー・ナチスにおける特殊性・・・「ユダヤ人・ユダヤ民族・ユダヤ人種」を、人種階層の最底辺い位置付ける。
植民地主義(植民地獲得)の正当化の「根拠」
帝国主義(領土拡大・覇権競争)の正当化の「根拠」
なぜ、ヒトラー・ナチスは、ユダヤ人を最底辺に?
世界戦争と関係。その敗戦と関係。
5.「ナチズムの中核思想=人種的反ユダヤ主義」という見方に批判的。
ヒトラー(ナチズムの中核)の思想=ドイツ民族至上主義に基づく・世界強国=大ドイツ建設を目指す思想。
・・・ナチ党綱領は、この見地を明確に示すものではない。
ヒトラーは、ナチ党綱領よりも、みずから思想・政策・戦略を上位に置いた。