2002723

「入試過誤調査委員会報告書」批判

 

その読後感

1.入試過誤調査委員会報告書という正式=公式=公開対象文書で、科目間不公平の修正方式が複雑だからだと、問題発生の主要原因として繰り返し、槍玉に上げられている。無理解に基づくが、しかし、修正のし方それ自体にどこまで妥当性があるかは議論の余地はあり、また、大学内部の人間でさえ十分には理解していないとすれば、どうすればいいか。

このさい、商学部受験生が本学で実施する2次試験では全員同じ科目を受験するようにするしかないのではないか。

 

2.国立大学の5教科7科目への移行という全国的動向を受けて(その背後にある教育の危機の克服のため)、DNC試験(大学入試センター試験)の科目数を増やすことが、商学部入試委員会でも、現在検討されはじめたが、それを早急に実施する必要がある。

3.外国語、国語、社会(2)、数学と理科をあわせて2科目(自然科学科目は、たとえば数学だけ数T・数Uというえらびかたも、生物・化学という選び方も可能、あるいは数1と物理という選択も可能、いずれか受験生の希望科目2科目)、合計でDNC6科目とする。DNCにより基礎的学力を確認する。

4.それを前提にして、本学の2次試験科目数を大胆に減らすことを考えたほうがいいかもしれない。

  たとえば、本学独自の2次試験は、全員に英語だけとする、など。

本学後期試験では、すでに2次試験を全員英語と小論文にしている。前期もこの方式とすれば、無理がないだろう。

 

5.なぜこのように言うかというと、報告書のもう一つの特徴は、商学部の積年の負担の多さに関する配慮が一切ないということである。同じ大学内部にあって、商学部の教員がことあるごとに問題にしていることが、今回のような問題発生においてすら、意識にも上らないという恐ろしさ。無理解。血も涙もない同情心の欠如した本学の同僚諸氏。それとも、この文章はまたまた事務局が商学部いじめの精神、商学部に責任だけを押し付ける基本精神で書いたか?それを入試過誤調査委員会はきちんと訂正することすらできなかったのか? 教員数に対する受験生の多さ入学定員の多さ、入学者数の多さなど、一つ一つの作業に商学部教員は他の学部より負担が大きいのだが、そのことにはいっさい触れられてない背景要因という柱を立てながら、最も重要な原因が無視されているのである。

           参考資料:随助教授作成の資料(詳細は随研究室HP統計分析):

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学部名  学生数  教員数  授業料収入                   専門資料費百万円

商学部  1,632    51        81,0777,600         12,514

国文化  815      50        4  4892,000        8,600

理学部  525      83        26,082              29,414

 

合 計   2,976    184      147,8476,800       50,528

 

このような無理解・無慈悲・冷酷さに直面しては、商学部としては、出題、採点、その他の負担の多さを抜本的に軽減し、今回のような「大学の信用を失墜する」問題を回避するには、2次試験の試験科目を減らすしかない。それが、学部全員の人間的活力をきちんとカウントした政策であろう。商学部の教員が人間らしい研究・教育・生活条件を確保しながら、生産的な仕事をするにはそれしかない。

 

6.商学部入試委員会の責任が非常に大きく指摘されている。わかりきった委員会の業務などに関して、まるで子どもに教えるような書き方である。昨年のWTCテロ事件後の外国出張に関する「学長命令」と同じように、一体大学教員を何と考えているのかと疑うような書き方である。

上記のような負担問題など重要問題を本来考えるべき入試管理委員会の責任にはいっさい触れていないかのごとく感じられる。入試管理委員会は、学長、事務局長、総務部長など事務系列の人が入って、議論に参加している。商学部の教員の負担などについて、彼らはいっさい理解していないのである。

 その象徴は、「採点時間を短くするように」との指摘である。一体商学部教員は、採点時間を勝手に長くしているとでも言うのか?受験生の数が多いことはどのようにカウントに入っているのか?

商学部教員が他の学部の教員より負担の多いことをいっさい考えない表現である。

 大学教員は、入試業務だけをやっていればいいのか?

 一方では研究、一方では教育、大変な仕事がある。その研究や教育に関して、社会の目は当然のことであるが厳しくなっている。日本の学界の第一線についていくためだけでも生半可な努力ではだめである。精神的負担はきわめて重いものがある。年度末試験採点と同じ時期に入試がある。別の箇所でも書いたが、入試担当をしていた長谷川教授は入試終了時期に亡くなった。入試管理委員会の諸氏、入試過誤調査委員会の諸氏は、いったいこの大変さをそのようにカウントしているのか?

 入試管理委員会の管理職諸氏が、大学教員の大変なことを理解していないことは、最近別の件でも露呈した。本年度特別入試の日程の設定にあたって、高校が今年度から週休2日制に移行したにもかかわらず、相変わらず日曜日に設定したのである。かつては、「特別入試は土曜日にするべきではないですか」という意見が出され、かなりの賛同があったが、そのとき問答無用で抑えこむのに使われたのが、「高校生は土曜日も学校がありますから」というものだった。その原因がなくなっても変えようとしないのである。おそらく、入試管理委員会の管理職諸氏は日曜日にやろうが土曜日にやろうが、自分の負担には関係ないのであろう。しかし、われわれ教員は月曜日も講義のあるものが多い。現在のように振替休日が月曜日に集中するようになると、過労で大変でも月曜日に休むことは困難である。このような大学人の疲労の実態などなにも気にかけていないのである。

 このような無理解・無慈悲・冷酷な基本的精神に長年接していると、「長いものにはまかれろ」の精神になる。自分の生命を守るためには、どこかで生き抜きをし、手をぬくことになる。私がなお今日こんなに怒ることができる一因も、この大学の経験が6年少ししかないからだろう。

 

7.他学部や事務局の無理解・無慈悲・冷酷に対して、商学部教員が身を守るため(研究や教育の質、そのための時間の確保、そのための活動力の確保のため)には、採点時間が少なくてもすむように、科目数を減らすと同時に、2次試験受験者を減らすしかない。

 2次試験受験者の数を気にしていたこれまでの姿勢を改め、この際、普通の国公立並に、DNC科目を増やし、数学と理科をいれて、総受験者数を絞り込む必要があるのではないか。総受験者はせいぜい実質で2倍程度でいいのではないか。