2002111日(2) 先ほど、大学の現状を憂えるある教員の方が、「大学のあり方懇談会」第2回議事録が出ていることを教えてくださった。その方が問題としたのは、つぎのある委員の「発言」である。すなわち、

 

「学部の自治の根幹は教員人事にあり、現行法の範囲内で米国の大学にあるような学長のもとに一定の組織を置き、各学部で決められない制度を作り、横浜市が教育公務員特例法の範囲においてもドラスティックに変えていく必要がある」と.

 

こんな「発言」は、「本当にあった発言か」と尋ねられた。

一傍聴者として出席していたが、記憶するかぎり、このような明確な形での「発言」はなかった。たしかに、ある委員が「教授会の自治で縛られているので、学長のところにある程度権限を集中すべきだとかつての委員会答申で答申したが、その点はどうなっているか」といった意味の質問をした。そのような意味の「発言」は記憶に残っている。だが、このような「各学部が決められない制度」を作ったらいいといった提言まで具体的に立ち入ったことは記憶にない。また、「教育公務員特例法の範囲においてもドラスチックに変えていく必要がある」などという具体的な法律名にまで言及したことも記憶にない。「ドラスチックに変えていく必要がある」などと言った発言もまったく記憶にない。

 

その委員の発言者がこの議事録を認めているのかどうか、本当に懇談会の発言なのか、後で書き加えたことかどうか、懇談会のテープを起こして、確認する必要があろう。その確認の上で、場合によっては議事録の恣意的改変の責任を問う事態も起こりうるだろう。

この間、実際に行われている商学部等の恣意的な人事凍結の実態が示すように、すでに上記のことをある意味で強権的にやっている。その意味で教授会の自治を破壊している、すでに現行学則を破壊しようとする事態が進行しつつある(教授会が審議事項として決定し、評議会は全体的な審議事項としては、人事に関する規準のみを決めることになっているが、こうした現行学則の運用における侵害である)とはいえるのではないか。そのような現在進行形の事態を推進しているのはだれか?

 

議事録作成の責任者はだれか? 二つは相互に密接に関係していると思われる。詳しくは、上掲の緊急アピール事務局「学長見解」批判−(2002725)を参照されたい。

本学の大学人が、この危険な事態にどのように対処するのか、学問や研究の内在的論理からこのようなことが許されるのか、商学部の問題、個別の問題として放置していていいのか、この議事録のあり方がすでに警鐘を鳴らしていると思われる

 

ご意見を寄せられた先生は、「いずれにせよ,私の理解では大学の自治(=学部教授会の自治)を担保している現行の教育公務員特例法を,国会で議論すらされていない「教特法廃止」前から恣意的に解釈して「各学部(教授会)で決められない制度を作り、横浜市が教育公務員特例法の範囲においてもドラスティックに変えていく必要がある」という発言は,だれが行ったにせよ,放置できない発言ではないでしょうか?」と。大学人全体がこの指摘をきちんと受けとめ、しっかりしなければならないだろう。

 

「以前,国公立大学法人化の動きに対して私が,「何よりも,法人化を契機に非公務員型の身分にすることで,学問の自由・大学の自治(=教授会による自治)を担保している成文法である「教育公務員特例法」を廃止することが,今回の法人化の「隠された真のねらい」・「これだけは譲れない最重要のねらい」で,最も危険性を孕んだ点だろうと思います.」と指摘しましたが,その「隠された本音がはしなくも露呈」したような気がします.」と。すくなくとも、議事録作成責任者は、そのような意図(委員の発言の解釈)を公然と示したわけである。

 きわめて重要なご指摘のように思われる。関心ある方々の注意を喚起したい。