2004年6月後半の日誌
2004年6月30日 本日誌を読んでくださるある方から、先日の科目等貼り付けへの｢承認｣については、大学改革推進本部側の説明を簡単にそのまま信じてはいけないのではないか、といった意見が寄せられた。すなわち、説明会の「冒頭、文部科学省への3学部改組・一学部への統合、4研究科の一研究科への統合は届出で行うこと、今回の担当科目確認はあくまでも学部・大学院改組にともなう文部科学省へのカリキュラム提出に伴うものであり、雇用条件(任期制等)の承諾とは関係ないことが、改革推進本部事務局長によって確認された」という部分について、安易に信じてはいけないというご意見である。学内でも、「まだ何が起きるかわからない」ときわめてペシミスティックな発言を繰り返す人もいる。
しかし、評議会でも(間接情報)、また私が参加した国際文化学部の説明会(30人ほどは参加していたのではないか)でも、｢関係ない｣といっておきながら、当面必要な文部科学省への届出さえ済んでしまえば、当局の意のままに任期制への承諾を迫るなど高圧的なことが押し付けられてくるだろうとの予測は、当たるだろうか。
教員組合が何回も交渉・話し合いの申し入れをしているが、いまだになんらの返答がない状況からして[1]、この方々の危惧は当てはまるのかもしれない。
しかし、大学の研究教育を担う教員の信頼を得ない改革の進め方・経営のやり方とは、いったいいかなるものだろうか？
先日も政経史学会で、任期制に関して話題となり、全国的な任期制の状況下ならいざ知らず、市大や都立大だけが任期制を導入すれば、脱出可能派の脱出と新規応募におけるしかるべき人々の敬遠とで、結局は意図したこととは逆に、本学や都立大の教員の質が低下するのははっきりしているのではないか、といったことが話し合われた。この判断は合理的だと思われるが、はじめに抽象的に(十分な制度設計や各方面への影響の検討なしに)｢任期制導入｣を打ち出した人々にとっては、耳にはいらないことだろう。
いずれ近いうちに、新規人事応募者数(さらにその学歴・経歴)などから、新制度に対する外部の若手研究者の反応について、ある程度の予測が可能となろう。少なくとも都立大学の場合は、応募は低調だったことが新聞報道など公開されているかぎりのデータでもはっきりしているといえよう。
都立大学の状況を見てもわかるように、当局側の攻勢の前に教員側が次々と押し切られるという雰囲気にある。だが、｢4大学教員の皆様へ｣を見て、なんとかこの際は就任承諾書を出しておこうという人々に対して、｢4大学教員の皆様へ｣で約束された｢大学院重視｣などが果たしていかなるものか、しかるべき伝統を踏まえ実績を踏まえて、長年献身してきた人々を納得させる大学院構成になるかどうか、が重要であろう。COEの一人の人が主張するように、約束は反故にされる、とみるべきか、やはり大学院の重要性をそれなりにきちんと踏まえたものになるのか。
「押し切られた」という意識、不当なことに押さえ込まれたという意識は、個々の教員が内面で蓄積するものであり、そのような納得のいかない制度改革や処遇では、余儀なく承諾書を出したとしても、新しい大学でみずからの十分な力量を発揮できないのは、目に見えている。改革は決して創造的な生き生きとしたものにはならないだろう。とすれば、改革は、表面上・形式制度上はどうあれ、失敗だということになる。
もうすこし、事態の変化を追跡してみる必要がある。 貴重な観察や情報を寄せられた方に感謝しつつ。
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2004年6月29日 教員組合から、最新の｢組合ウィークリー｣6・28を頂戴した。リンクを張ることにしよう。ポイントは、テニュア等の場合の審査のあり方、テニュアポストの数と割合、公正さの規準、透明性、それらの社会説明責任の問題だろう。言葉の表面だけでの｢公正さ｣は無力であり、それを実質的に裏付ける制度等の欠如が問題となろう。ウィークリーの26日シンポジウムの概要によれば、、東京都と横浜市だけではなく、大阪府、大阪市でも、地方公共団体の｢設置者権限｣を行政当局が振り回す傾向は、多かれ少なかれみられるようだ。しかし、大阪府は学長=理事長で、その意味では国立大学法人型である。学長の選ばれ方などによってはどうなるかわからないが、どこの大学も設置者サイドと｢大学の自立｣、「大学の自治」と「学問の自由」との関係が、緊張関係にあるようだ。詳しい報告を期待したい。
昨日日誌とも関連するが、大学の自治、学問の自由は、憲法的保障の重要性を持つ。その憲法自身が｢改正｣されようとしている。現在の憲法成立時からの改正運動が、最近一挙に高まっていることは誰もが感じていることであろう。その憲法改正が、じつは、教育基本法改正の方向性と軌をいつにし、国家と個人の関係を根本的に変えてしまうことを意味すると言う。総合理学研究科・佐藤真彦教授HP「先行する憲法の根本改正としての教育基本法改正：西原博史さん（早稲田大学教授）04-6-28」から、はじめて、｢法学館憲法研究所｣なるものの存在とその主張の一端を知った。リンクを張っておこう。
教員人事採用における｢踏み絵｣条項（｢組合ウィークリー｣6月14日号）で問題とされている点、｢大学の与える｣とされる内容がいかようにでも解釈可能な「目標」に大学人を縛り付ける（大学内部の民主主義システムが掘り崩されたあとの、理事長・学長の｢リーダーシップ｣のもとでの｢目標｣設定に全大学人を縛り付ける）とすれば、自由な研究教育は可能だろうか。大学までも画一化された官僚的組織になってしまうのか？
時代は、ソ連東欧の崩壊以降ますます、自由と民主主義が世界的原理となりつつあるというのに。大学人諸個人の自由で民主主義的な精神こそがますます求められているのに。
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2004年6月28日(2) 下記の日本経済調査協議会の調査報告2004－2「これからの大学を考える－21世紀知識社会・グローバル化の中で―」（基本認識と提言Pdf）(2004年6月)を読んでみた。「今後、情報化・グローバル化社会に対応して、わが国の大学教育を国際的な質保証に耐えられるようなシステムに改善し、国際競争力のある人材を養成していくことは大きな課題である」と(P.2)。そのことは妥当だとしても、「教育を行う大学教員の中にも、・・・十年一日のような陳腐な講義を繰り返すものがいる」と、「十年一日のような」問題点の指摘がある。確かに、一部にはそのような教員も居るかもしれないが、どうしてそれが温存されてきたか。大学の中に競争的環境と大学人相互の批判・反批判の自由な雰囲気が形成されなかったのはなぜか。これはよく考えてみる必要がある。「基本認識と提言」では、その原因の一つとして、「多くの学生も大学教育を就職までの一時的休息の場と認識し、大学教育から多くを学ぼうとすることなく、漫然と過ごすという傾向が見られる」とし、大学教員のなかの上記のような問題教員は、｢そのような傾向に安住し｣ているとみている。一方では知識選抜偏重の受験勉強の弊害が、他方では、大学卒業後のきびしい社会の荒波が、大学にも影響しているというわけで、それがひとつの要因であることは否定できないであろう。
経済界が直接責任を持つべきは、大学卒業後の企業社会の現実についてであろう。その企業社会は、どのような現状なのか？
「Ⅱ 提言」において、「これからの大学は、社会の要請に応じて、創造性と豊かな教養を兼ね備え、自分の頭で考えられるような質の高いさまざまな専門職人材を養成する必要がある」という。法科大学院やビジネススクールへの要請の部分でも、「専門的職業には国を越えたモラル、誇りがあり、優れた専門職人材には、当該専門分野の高いレベルの知識・技術に加えて、幅広い教養やそれに支えられた倫理観が必要である」とごく当然のことが求められている。
それでは問う。日本の企業社会は、入社させた若者に、大学時代の教養をさらにはぐくみ、さらに倫理観を磨くような環境をつくっているのだろうか？新聞紙上をつぎつぎとにぎわす企業社会の不祥事(最近では例えばリコール隠し、製品の欠陥の隠蔽工作など)は、ほんの一部のことなのだろうか？ じつはそれは氷山の一角ではないか？ 企業において、社会的責任はどこまできちんと会社内の倫理を導くものとして確立しているのか。企業のその時々の営利的動機の突出や歪みは、社会的責任ある行動基準によって、しかるべき倫理観できちんと裁かれ、適切に処理されているのであろうか？
若者を初め、多くの人が、ひとたび企業の門をくぐれば、経営陣の「リーダーシップ」の名目のもと、自由な発言や倫理的発言を押さえ込まれる雰囲気・実態を知っているのではないか。本日誌でも４月か5月初めの新聞記事に言及したことがあると記憶するが、それによれば、経済界の団体のある新人研修会終了後、新卒就職者に質問した時、会社の命令第一で場合によっては法律を逸脱する場合もあるという回答が、「はじめて4割を越えた」とか出ていたように思う。熾烈な日本国内での企業間競争、熾烈な世界の企業との競争の諸圧力の下で、倫理観や道徳観が蝕まれる危険性は、日常茶飯事となる。その厳しい競争条件下でなおかつ、フェアな競争条件を維持するため法的規律を守ることが求められている。それが現代であろう。したがって、日本の企業風土と企業の論理が、競争の圧力のもとにおいてはそれ自体としてはかならずしも倫理観や教養を育成するものではないこと、いやむしろそれを抑圧するものであることを、多くの人が経験し、感じ取っているのではないか？ 正直者が馬鹿を見る雰囲気がじつは企業社会内部では支配的なのではないか？
大学に学長のリーダーシップを求めるとしても、そのリーダーシップが、本物の理念や大学人としての教育研究資質にもとづくものではない時、すなわち、人事権(教授会から奪っただけの人事権)や予算権を梃にするものであっては、これまで大学にかろうじて保障されていた発言の自由、学問の自由すらもまったくなくなってしまうことになりはしないか？ 常に発達深化する科学的認識、真理認識、それを可能にする制度構築のあるべき姿を基準にして、自由にものが言える雰囲気が、今進行中の大学｢改革｣で奪われてしまうのではないか？
「今後ますますその傾向が強まるであろうグローバル化社会の中で、世界の主要国に伍してわが国を発展させるためには、国家・社会をリードしていくような、高い能力と倫理観・使命感を持つ人材が必要である」という認識には同感する。さらにまた、「これからの社会では、ときには、限られた資源の中で、異なる価値観を有する人びとに向かって厳しい政策決断、経営判断をおこなうことも求められよう。そのようなとき、個別の利害ましてや自身の利害にとらわれることなく、社会全体の利益に沿って的確な判断を行うことができるような指導者そしてそれを支える有能な人材そうが必要になってくる」と。
抽象的には異論はない。問題は、｢社会全体の利益｣が何かである。
この理解をめぐって、社会は立場が往々にして異なる。
市民生活の場で、学問の場で、そして国政や地方自治体の場で、多様な参加者・対立的グループが競争し論争していること自体、｢社会全体の利益｣が本当は何であるのか、初めから答えがあるわけではないことを示している。議論を通じ、選挙を通じて、一つ一つの立場・主張が検証され、｢社会全体の利益｣が発見されていく必要があるということである。広く万機公論において国民・社会の認識をつき合わせ、戦い合わせて初めてある程度の｢社会全体の利益｣が確認されていくということであろう。つまり、｢社会全体の利益｣を本物(できるだけ本当に社会全体のもの)としていくためには、またその質を上げていくためには、民主主義が進化させられ、深められ、充実させられなければならない。リーダーシップの有能性は、そうした民主主義の成熟の中で鍛えられなければならない。その理性のたたかいの場を勝ち抜いていくのが、真の意味でのリーダーたちであろう。
ところが、現実の大学改革で進んでいることは何か？ 定款＝諦観とのささやきが広がっているように、法人経営者や学長を大学の外部が選ぶということが無力感、なげやり感を増幅している。それは、大学を根底から本当に強靭なものにしていくのか？逆ではないか。大学人の内面からの自発的協力を調達できない制度(大学)など、ひ弱なものではないか？それは大学間競争に敗れることを意味しないか？
｢社会全体の利益に沿って的確な判断を行うことのできるような指導者｣は、民主主義的環境・雰囲気の中で鍛えられて初めて、理性の武器を通じる指導力をみがき、そのような鍛えられ方をした人物においてはじめて、本物の民主主義的指導力を発揮でるのではないか。
そのような「資質を備えた人材は、公的なものへのより大きな使命感を持ち、報われないことを覚悟で人一倍大きな責任を担うことを厭わない人間である」という。これが｢新しいエリート｣と呼ばれるにふさわしい人材である、という。
だが、そのような｢資質｣は、どのようにしてはぐくまれるのか？
その一つの場こそは大学ではないか。大学こそは民主主義的討論の模範でなければならず、その錬成場でなければならないのではないか。大学の自由で科学的な雰囲気、競争的論争的環境、うちうちではない学界レベルの論争、普遍的な科学的理性的な自由な討論・論争を通じる切磋琢磨の雰囲気でこそ、それが磨かれるのではないか？
ところがその長(法人と大学のそれ)は、外部で選ばれて投下されてくる、大学人に発言権、選出権がないとすれば、どうなるか。大学内部の人々が関わることができないシステムで長が選ばれてくる、政策が決定されてくることになれば、どうなるか。それは民主主義をはぐくむものか？
上意下達的なシステムの中では、そのような｢新しいエリート｣は、育成されないのではないか？
わが大学に即して言えば、たとえば新しい大学のカリキュラム編成などを、大学人に自由に議論させなかった。一部、編制過程に携わったものが自分とその周りのものの利害を優先して編制した、それを可能にしたのが今度の改革の現実だとささやかれている。
耳に入ってくる情報では、カリキュラム編成(担当科目貼り付け)の現場は、実利・ポストをめぐる権力闘争の場と言う側面があったようだ。一例を挙げれば、ある基幹的科目を長期にわたって担当してきた教員(数の上ではマイノリティに属する実力教授)の担当科目が、今回のカリキュラムでは当初の案からは削られていた、とか、あるコース・系では主流派ではない人の科目が「忘れ去られ」たりもしていたという。基幹的科目に関しては、受講者も多いのだから、競争講座とするなど、マイノリティ(社会的学界的規準からは、往々にして優れている人々)が自由に研究蓄積を学生に披露できる場を確保することが必要だろう[2]。
経済界のシンクタンクといわれる今回の調査報告でも、「教養教育の混乱を超えて」「創造性、倫理観を培う教養」を謳い、｢教養教育の内容充実と方法の工夫｣を強調している。「教養は人間の本質にかかわるもので、文化、創造性、時代の価値観を生み出すバックグランドであり、また、健全な市民社会の形成者として必要な資質を養うものである」と。そして、｢前述のような専門職人材やエリート人材を養成するためには、学生に歴史や芸術さらには自然科学の基礎を学ばせることによって、倫理観を育て、また大いに視野を広げることが必要である｣と。
すくなくともここには、我々が関係する歴史の重要性が、「倫理観育成」、「視野の拡大」と関連させて述べられている。同感である。しかし、歴史から学ぶこと、学んだことを、言葉の上で繰り返すことは簡単がだが、実践することは容易ではない。至難の業である。倫理観を磨き、広い視野を持とうとするものたちが精神的に連帯を強めなければならないだろう。一人一人はきわめて弱く脆い。
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2004年6月28日(1) 都立大学Q＆Aを読むと、人文学部教授会の質問に対する回答が決定的な点(雇用条件や教授会人事権など)で、｢きわめて不十分｣と評価せざるを得ないものである。しかしながら、これで、ポーカス博士の予測では、就任承諾書を提出せざるを得なくなった人が多数派を占めるだろうという。人文学部教授会で全会一致で回答と求めたことに対し、十分とは到底言えない回答内容だから、内心の不満、いかり、不安、諦観などはいかばかりか。T-8新しい大学の建設に喜んで参加すると言う気持ちは、どこから生まれてくるのか。いやはや。
｢全国国公私立大学の事件情報｣によれば、財界系のシンクタンクは、「教授会主導の意思決定システムを抜本的に改め、大学は学長のリーダーシップのものでの改革を進めるべきだ」と主張している。この間の大学改革が、憲法が保障する学問の自由な発展の発展のための大学の自治のわずかの部分さえも取り去ろうとするものであったとすれば、財界系シンクタンクの見るところでは、それでもまだまだ不十分だというわけであろう。
｢学長のリーダーシップ｣は、例えば都立大学ではっきりしているように、行政が理事長（都知事の友人の財界人）・学長(都知事の信頼する研究者)を任命し、予算人事権を掌握するもとでは、大学教員の研究教育の自由な展開を押さえ込んでしまうものになるのではないか。この間の研究費傾斜配分などをめぐる動きは、心胆寒からしめるものである。まさに、「北風政策」というところだろう。
「リーダーシップ」が説得力ある理念を提示し、体現する一方で、それがどこまで本物か、その検証のため、広範な大学人の同意を調達する民主主義的システム(ボトムアップシステム)をもたないかぎり、行政的命令主義に陥ってしまう。21世紀、より自由でより民主主義的な社会が求められる段階に、それを否定するかのようなシステムが権力的に打ち立てられようとしている、と感じざるを得ない。この間の東京都の改革の進め方は、新聞報道等によれば、中田市長さえも、横浜市(市立大学)は東京都(都立大学)とは違う、と言わしめるほどのものであった(どの新聞だったか、今確認できていない)。横浜市の大学改革推進本部等の議会答弁などでも、最高経営責任者の選び方一つでも、東京と横浜は違う、といわれていた（その孫福氏の急逝により、今後いったいどうなるか、学内には不安感が漂っている）。
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日本経済調査協議会、提言「これからの大学を考える－21世紀知識社会・グローバル化の中で－」
■日本経済調査協議会「これからの大学を考える－21世紀知識社会・グローバル化の中で－」（2004年6月14日）
■「基本認識と提言」（日経調
諸井委員会提言）（ＰＤＦ）
下記，日経新聞6/27日付の記事にもあるように，財界系のシンクタンク日本経済調査協議会は「これからの大学を考える－21世紀知識社会・グローバル化の中で－」という提言（諸井委員会提言）を発表した。その内容は，現在の大学教育の問題点として「教員の中に、十年一日のような陳腐な講義を繰り返す者がいる」と指摘し，「教授会主導の意思決定システムを抜本的に改め、大学は学長のリーダーシップのもとで改革を進めるべきだ」と主張するものである。
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2004年6月25日 都立大学の人文学部教授会は、学部長と大学管理本部の交渉、その結果の「南雲メモ」、それに対応する4大学向けの文書による制度説明(任期制等の取り扱い)を受けて、執行部としては就任承諾書取りまとめに動き出したようだ。何が問題になっているか、何が未決定のままここまで強引に突き進められてきたかを明らかにする4大学教員向け管理本部文書(昨日付け)が、歴史的ドキュメントして公開されたわけで、その意味は重いであろう。雇用・労働条件などは今後の交渉事項(本学の教員組合が主張してきたように、それが法制度上当然のことだろう)と認められているようであるし、教授会人事権をめぐる学則制定に関しても、今後の課題だということが明確になっている。そのは、大学の自治や学問の自由と言う点から、大きいであろう。
定款がどうなるかが決定的だが、それを踏まえて、今後どこまできちんと大学の自治や学問の自由を保障する制度設計が新学則制定で実現・保障されるのか、これが、現段階にいたっては、重要だろう。二つの決定的に重要な点について、「十分な回答が得られなかった」が、その点は、管理本部側の文書で、今後の検討課題となっており、重い折衝事項となろう。ともあれ、交渉事項として、あるいは検討事項として二つの点が明確に確認されたこと、それではもちろん「不十分」だが、さしあたり｢就任承諾書｣は提出しよう、その最低限の条件が｢南雲メモ｣と大学管理本部の「４大学教員の皆様へ」で何とか獲得できた、と言うことになったと思われる。文字通りぎりぎりの苦渋のにじみ出る決定のようである[3]。
学会でお会いした人文学部のある教員の方からは最近、御労作の論文抜き刷りをいただいた(まだお礼を申し上げていないが、本日誌を時々見てくださっているとのことだったので、もし本日誌を見られたら、この場を借りてとりいそぎの御礼を申し上げたい)。
この方も、不本意な｢・・・センター｣配属が予定されているようである。したがって、率直に転出先を求めていることを添え書きに書いておられた。
一方で最大限、大学の自治や学問の自由を守るために努力し、また雇用条件等を守るために努力すると同時に、他方では、専門研究を活かして研究教育に没頭できるよりよい大学、安定した名誉ある仕事場を求めて模索するのは必然であろう。来年度4月以降、｢センター｣に配属されていったいどのようになるかわからない状態が続くのだから。また、センター配属は覆しようがないようだから。
大学教員ポストのその時々の需要供給関係からして、優れた方がその実力に見合ったポストを見つけられるとは限らないが、できるだけご本人の実力にふさわしい快適な仕事場がみつかるようお祈りしたい。優秀な人材を確保しようとする大学間競争が彼に有利に働くことを期待したい。
--------都立大の危機 --- やさしいFAQ(6月25日版)---------
◎ 2004年6月24日：都立大人文学部教授会では，6月17日都立大人文学部教授会が要求した書面による回答が「南雲メモ」という形で紹介される。南雲学部長と管理本部の2回に渡る長時間の議論のすえ，人文学部への回答は学部長がまとめて，管理本部がその内容を追認する形となった。管理本部は，「３つの要望には，全学に係わる問題が含まれている」とし，その回答を6月24日， 「４大学教員の皆様へ」として，配布。人文学部教授会では，会議の途中で配布され検討され，大筋において「南雲メモ」と一致することを確認。３点の要求項目の内，教員の身分・雇用に関する問題と教授会の人事権に対しては，十分な回答が得られなかったという意見が大勢を占めた。人文学部執行部は，就任承諾書を取りまとめる方向で動き始めた。就任承諾書を出すか出さないかの結論は，個人と専攻単位で考え2～3日の内に結論がでる模様。
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2004年6月24日 教員説明会では、｢年俸制｣に関する質問も多かった。年俸制と成果主義は、スポーツ選手のような場合、ある対応関係があって理解しやすい。大学教員も、文科系の場合とくに、｢一国一城の主｣的な研究室を持ち、その自営業的自立的な性格は、普通のサラリーマンと比べると、顕著であろう。しかし、大学も含めた現代社会のほとんどの経営体においては、研究室単位、コース単位、学科単位などで、協業にもとづく分業の有機的編制が行われており、ひとりひとりの仕事を他の人から切り離して｢成果｣を判定することは、実際には非常に難しい[4]。とりわけ、自然科学における共同研究システムは、日本の科学技術発展の重要な武器だろう。自然科学系の共著論文の多さ(共著者数の多さ＝ほとんどの研究が共同研究)は、文科系のわれわれ(ほとんど単独・単著論文しか書かない)から見ると驚くほどである。
人件費抑制の大枠で成果主義を導入すれば、パイの奪い合いになり、負担の押し付け合いになり、技術・熟練・知識の継承発展はおこなわれず(仲間が競争相手となり、同僚・先輩後輩に成果を奪われないようにするシステムだから、一人一人がバラバラになる)、全体としての生産力・競争力は低下する。すなわち、その経営体の競争力は総力において低下する。著名な労働経済学の研究者・小池和男氏による成果主義批判の文章「成果主義は日本の競争力を失わせる」が、総合理学研究科・佐藤真彦教授HPに掲載されている。大変参考になった。本学で、導入が検討されている｢年俸制｣(その背後にある成果主義)の制度設計を慎重に再検討する場合の、一つの参考資料であろう。
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2004年6月23日(2) 昨日の｢教員説明会｣で議論(疑念)が集中したのは、任期制とも絡むが、教員の教育・研究評価が、誰によって、どのように、どのような規準でやられるのかといった根本問題だった。まさに、評価問題は、一歩誤れば、不当な非学問的支配の温床となる。とりわけ、独立行政法人において、定款が示すように、最高経営責任者を市長(行政当局)が任命し、その最高経営責任者が学長を任命し、学長が学部長やコース長を任命するといった関係からは、行政的な統制(それに従順な人々、ないし馴致されてしまう人々)が大学人の評価(教育・研究評価)を覆い尽くしてしてしまう危険性がある[5]。それでは、大学が｢現代の奴隷｣の生息場所と化してしまう。恐るべきことである。学問の自由どころではない。業績の質をめぐって、非学問的非科学的な血みどろの争いや激しい論争がおきるだろう。ばかばかしい揉め事がいやな人は、機会さえあれば、逃げ出すだろう。だからこそ、当然にも多くの疑念・批判が出された。
大学評価学会も関係して、京都で研究フォーラムが開催される。その開催趣旨も、評価問題の重要性を、したがって研究する必要性を指摘している。｢全国国公私立大学の事件情報｣から引用しておこう。
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高等教育研究フォーラム、「いま評価問題を考える」（７月１０日）
高等教育研究フォーラム
「いま評価問題を考える」
日時：2004年7月10日（土） １３：３０～１６：３０（受付１３：００～）
会場：コープイン京都（京都市中京区柳馬場蛸薬師上る）
パネリスト：坂本 明雄氏（高知工科大学教授）
橋本 勝氏（岡山大学教授・大学評価学会運営委員）
コーディネーター：重本 直利氏(龍谷大学教授・大学評価学会運営委員)
主催：高等教育研究会・京都私大連協・京滋私大教連
今年度より大学に対する「第三者評価」が実行段階に移る中で、各大学は組織的な評価を受けるとともに、「個人評価」についても具体的な対応を検討していくことになります。今回のフォーラムでは、先行的に教員評価・職員評価を実施している大学関係者よりご報告いただく中で、「評価制度」の内容や組織運営上の効果、現状の問題や今後の課題についてお話をしていただきます。
今回は「教員評価」制度を先行的に導入し、実際に運用されている高知工科大学より講師をお招きしてご報告いただきます。また、大学評価学会からも講師をお招きして、評価の視点や評価の活用方法、教育・研究活動の充実や発展に評価された内容をどう生かしていくのかといった問題についてご報告いただきます。
＜パネリスト紹介＞
坂本明雄氏 1948年生まれ 大阪大学工学部電子工学科卒業。93年徳島大学工学部電気・電子工学科教授を経て、97年より高知工科大学工学部・情報システム工学科教授。2000年高知工科大学・学生部長、03年より 同工学部長／教育本部長。専門：グラフ理論・近似アルゴリズム
橋本 勝氏 1955年生まれ 京都大学経済学部卒業。92年より岡山大学教育学部・経済学担当講師を経て、96年より同助教授。03年4月より岡山大学教育開発センター教授（カリキュラム研究開発部門長）、同年10月から岡山大学評価センタースタッフを兼務。現在は、（全学）FD専門委員会副委員長、学生・教員FD検討会教員代表。学外委員として、国大協第8常置（評価）委員会専門委員、大学評価・学位授与機構 大学評価準備委員会WG委員（いずれも2004年3月まで）。大学評価学会運営委員、情報文化学会理事など。
Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年06月23日 00:38
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2004年6月23日(1) 故孫福氏に対する追悼の辞を一楽教授から頂戴した。以下にコピーし、一楽教授ＨＰの同文（孫福氏のご逝去を悼む 2004/6/22up）へのリンクも張っておこう。この間、強引に秘密主義的に、また教授会・評議会を無視して行われてきた「改革」のあり方（北風政策）に反対してきたものとして、一楽氏の孫福氏に対する期待と希望、そしてこのたびの急逝に伴う残念さ、哀悼の気持ちがよくわかる。
昨日、「教員説明会」(国際文化学部教員を主たる対象とするもので、私も含め来年4月から国際教養系に属することになる商学部の何人かはここに参加した)があり、改革推進本部事務局の何人かの責任者、および｢教育・研究評価検討プロジェクト｣座長などの説明を聞いた。その言葉の端々に、故孫福氏の改革の進め方がにじみ出るところがあり、一楽教授の感想と似通う雰囲気のものであった。
冒頭、文部科学省への3学部改組・一学部への統合、4研究科の一研究科への統合は届出で行うこと、今回の担当科目確認はあくまでも学部・大学院改組にともなう文部科学省へのカリキュラム提出に伴うものであり、雇用条件(任期制等)の承諾とは関係ないことが、改革推進本部事務局長によって確認された。
昨日の説明会で議論が集中したのはやはり、｢任期制｣、｢年俸制｣の問題であった。担当事務局責任者によれば、今回提案の｢任期制｣は、大学教員任期法にもとづく限定的なものではなく、労働基準法改正を受けたものだという。その理解の点では、教員組合の抗議声明と同じである。
だが、「大学像」の時点では、一部限定的なポストに関する大学教員任期法しかなかった。｢あり方懇｣答申などでも単に｢任期制の導入｣という言葉だった。ところが昨年10月段階、そして10月末の「大学像」では態度が急進化（｢北風政策｣の急進化）して、｢全員任期制｣を打ち出すにいたった。これに対しては、商学部、国際文化の両教授会を初めとする各方面から、大学の研究教育システムを根底から危うくするものとして、激しい批判がでた。
｢大学教員任期法｣を｢全教員｣に適用することは法律的に無理だとわかると、立法の精神および法律の趣旨に沿って特定の限定的な任期制ポストを大学改革のあり方や方向性と重ね合わせて検討すると言う本筋の道を行くのではなく、｢大学像｣の個別の文言に縛られて、あくまでも｢全員任期制｣を「しゃにむに」導入する手法として、「大学像」当時は存在しなかった労働基準法改正(今年1月)を持ち込んできた、と解釈できるであろう。利用できると思えば何でも利用しよう、後からできた法律であろうが、そんなことはかまわない、と受け取れる。教員身分の不利益措置(他大学との競争条件の悪化)に関連することなのだから、本来は、不遡及原則が適用されるべきだと思うが、そうではないようである。
使用者側の不当な雇用政策を抑止するための労働基準を制定する法律が、別の目的のために適用されようとしていると考えられる。組合の抗議声明でも、私の直感的(直観的)理解でも、これは不当な適用であり、専任教員全員に対して適用すると言うやり方は、違法ではないかと思う。労働法専門家等の検討をぜひお願いしたい。また、教員組合(執行部)(顧問弁護士など)の更なる法律的なきちんとした検討をお願いしたい。そして、必要ならしかるべき法的措置をとっていただきたい。法律に違反する、法律違反のぎりぎりのことを見逃していては、大学はもはや大学ではなくなるだろう。
百歩譲って。新規採用人事に当たっては、来年度発足の新法人のまったく新しい採用人事と言う側面があり、その点で、現大学の教員とは法的状態・立場が基本的に違う。したがって、提案どおりの任期制が仮に適用されても、その不利な条件(不確定部分を多く含む雇用条件)を承知の上で応募する、ということが、新規採用人事の場合には可能である。
(不利な条件、不確定な条件の提示だから、昨日の説明会である人が意見表明したように、「この人は」と思う人、テニュア制と同じ安定した地位にいる優秀な人などに声をかけることはできない、と。結局、現在定職（常勤職）がない人、当面なんとか就職さえできればいいという人しか応募しない・応募できないであろう、と。したがって、65歳定年の教育公務員＝実質上の定年までのテニュア教員というこれまでの制度よりも明らかに不利な任期制を明示している以上、そうでない場合に比べれば、必然的に応募者の質は落ちるであろう、と)
だが、現教員は、教育公務員として教育公務員特例法で身分を保障されてきたような独自の公務員であり、定年65歳を前提に応募し、厳しい競争条件をクリアして採用されたのであり、各教員個人はその65歳定年・身分保障を前提にすべての生活設計を行い(例えば住宅購入等、あるいは身分不安定な職場への移行の拒否など)、研究計画を立て実行してきた[6]。だが、それを突然、地方独立行政法人化法にもとづいて新しい法人に移行させようという場合に、「はじめに全員任期制ありき」とばかり、全員を不利な雇用条件に貶めていい、そんなことを労働基準法の改正が許すことにしたなどとは、到底考えられない。当然にも、移行型(身分継承型)であり、諸個人に対する全体としての旧身分保障・雇用条件保障=身分継承が前提となると考えられる。この点は、繰り返し教員組合が各種の文書で主張してきたとおりであろう。
先日、｢大学評価学会｣の月例研究会があり参加した。そこで国立大学の人に確認したが、法的な意味での移行型(身分継承型)として、新たな法人への移行は個々人の特別の意思表明なしに当然・必然(本人が明確に移行を拒否する意志を表明しないかぎり)であり、したがってことさらなる個別の就任承諾書などは提出しなかった、と。
本学の場合も、まさに、法律に従えば、そして国立大学の国立大学法人化への移行を前例とし規範とすれば、これが当然であろう。孫福氏亡き後の事務局(改革推進本部関係者)が、こうした普通の感覚をもつことを、国立大学法人の移行のスムースさから学ぶ姿勢を(年俸制に関しても、｢初めに年俸制ありき｣、しかもこれまたいつのまにか｢全教員に対して｣といった極端で硬直的な－その点だけでオンリーワン的な―態度をあらためることを、換言すれば、｢年俸制｣を導入するにしてもその制度を慎重に練り上げ明確化した上で新規に採用する少数の特定ポストだけに限定すると言ったことは考えられよう)、一楽氏とともに期待したい。
その期待を抱かせるだけの雰囲気が、昨日の事務局責任者の言動には見られた[7]。期待通りとなるか、裏切られるか、その検証は今後のことである。
任期制の先進国アメリカですら、『文部科学省白書』、『諸外国の高等教育』をどう読むか、ｐ.４、7-9行によれば、任期なしのテニュア取得・教授が90％以上、任期なしのテニュア取得・准教授が80％以上もいるという。
つまり、教育公務員特例法下で65歳定年を保障していたとほぼ同じような雇用保障=身分保障がアメリカで大学教員の諸個人に対して実際に与えられているのである。この現実は、重い意味を持つのではないか。したがって、私は、今回の｢中間案｣には、なぜ教授のテニュア制度しか設定しないのかを冒頭に質問した。アメリカでは、准教授の80％以上がテニュアを取得しているが、この点をどう考えるか、と問題提起した。もちろんその意味は、准教授クラスでも、公募で募集した優秀な教員を他に取られないために、また准教授でもテニュア取得が80％以上は可能であると言った条件を提示することが優秀な人材を集める上で有利だから、きちんと検討し、提示すべきではないか、ということである。
もし、本気で優秀な人を集めるつもりならば、そのことを通じて本当に大学をいまよりも良くしていくつもりならば、他の諸大学より有利な条件を出さなければならない。大都市・横浜と言う立地条件は、日本全国でも有利な条件であろう。全員任期制などということを言い出せた背景には、まさにこの立地条件を背景にして(そこに安住して)、いい人材が集まると過剰に自信を持っていることの現われであろう。｢あり方懇｣答申関係者の傲慢さがここに露呈し、それが現在まで尾を引いている。
この間の本学からの流出の諸事例は、任期制などという身分不安定な条件を適用するぞというだけでいやになり、安心して仕事に没頭できる地方の諸国立大学や地方の私学に移ることを選ぶ人が何人も出てくるということである。もし、この横浜の立地条件だけに頼らずに、これまで以上によりよい人材を集めようとするならば、公募＝公平な科学的学問的審査＝審査結果の透明性＝選ばれた人の上げる実績の数々＝大学内部における教員相互の刺激・相互啓発の高まり＝大学の知名度の上昇＝学生院生の質の向上＝教員・職員・学生・院生の応募者の増加・質の向上といった螺旋的発展的な好循環のダイナミズムを引き起こす必要があり、そのためには、実力と実績さえあれば准教授でもテニュアが取れる、実力と実績はこれこれこのとおりだ、わが大学は優秀な人材ばかり集めているので准教授のテニュア取得率は80％以上だ、いや90％以上、ということでなければならないだろう。
多くの私学はまさに68歳、70歳と言う定年制で、実質的なテニュア制度である。私学は、学部増設・大学院増設などで大学を良くしていくために、国公立大学の優秀な教員を引き付けようとし、定年は国公立より5年から10年は長い。
大学教員は、多くの場合、大学院進学→博士課程終了(最低で5年間)、就職のための論文執筆などで、自立できるまでに普通の大学卒社会人よりも７年から10年以上長くかかる。｢教員の教育・研究評価プロジェクト｣(中間案)でも、「30歳助手採用」がモデルとして設定されているように、なんとか定職を得るのが30歳、したがって普通の大卒社会人より7－8年遅いことは認めている。
一人前に安定的に稼げるようになるのが多くの場合30歳過ぎてから、安定した職場で初めて長期的なスタンスの仕事を本格的にできる、という大学教員にとって、生活設計を立てていく上で何歳で定年になるか、いつまで安心して働けるかは、職場を選ぶインセンティブの大きなものの一つである。
魅力的な条件が人をひきつける[8]。その条件に引き寄せられてたくさんの人が競争する。それがすでに居る教員をも刺激し、さらに競争的環境が人々を鞭撻する。できるだけ優秀な人材が、われもわれもと集まるような競争的な(他大学比較で)魅力的な条件を提示すべきなのである[9]。北風政策は人を遠ざける。横浜の立地条件のよさにふんぞり返って、｢任期制でも人は集まるだろう｣などと居直って(自分が｢任期制｣に関係のない人々がそのようなことを言っている、高齢で、あるいは自分は公務員としての身分保障の元で相変わらず安全地帯に居て。教員に競争的条件を求めるならば、その同じ条件に自分も居なければならない)いては[10]、大学間競争に負けるのではないか[11]。「任期をつけても、定年退職前に教員が去っていってもお留めしませんのでご安心を」などと平然と言っているようでは、大学間競争の実態を知らないことになる。大学を少しでもよくしようという徹底した思考がないのである。アメリカにおける准教授テニュア取得率80％以上はそのことを意味するだろう。そうではないか？
大学の教育研究(学問・科学の教育研究における諸個人の精神の自由、言論の自由、自由で創造的な科学研究)における身分保障の大切さ(教員にとっての魅力)、が、あらためて文部科学省のアメリカに関する調査でも検証・補強されたのである。昨日書いたことの繰り返しだが、一言追加しておきたい。
-----------------以下の強調・注記は引用者の私が加えたもの(オリジナルは、一楽氏ＨＰを参照されたい---------------------
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To: yabuki
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Wednesday, June 23, 2004 8:19 AM Subject: 『カメリア通信』第25号 ************************************************************ 横浜市立大学の未来を考える 『カメリア通信』第25号 2004年6月22日(不定期刊メールマガジン) ************************************************************ 孫福氏のご逝去を悼む
理学部 一楽重雄
６月１９日 孫福氏が１７日に急逝されたとのことである。過労が原因といわれている[12]。まことに痛ましい。４月１日の臨時評議会での挨拶以来３ヶ月足らずの短い間ではあったが、氏の人柄、見識に触れ、立場は異なるけれども立派な方という印象を持っていた。亡くなる前日の評議会では、こころなしか声にはりがなかったように感じ、体調を崩されているという学長の言葉に「気の毒に、少し休まれたらよいのに」と思った。しかし、まさか、こんなことになるとは思ってもみなかった。 教職課程のことで説明と要望をするために同僚と一緒にゆっくりお話しをしたことが、まざまざと思い出される。会談の冒頭、私は「これまでの市のやり方は、教員に対して敵意をむき出しにした、いわば北風政策であった、これからはどうか太陽政策にしてください」とお願いしたところ、氏は微笑しながら「太陽政策かどうかは知らないけれど、私は私の信念を持って、それを皆さんときちんとお話ししてやっていくつもりです」と述べられた。「きちんと話し合っていただければ、それでいいんです」と私は承けた。また、評議会での私の発言について「一楽さんが評議会で言っていた教授会で学部の廃止を決議するというのは一理ある、最後はきれいにしたいし、一楽案を採用するかも知れない」と言われた。初対面の私へのお世辞であろうとは思ったけれど、私の発言をむしろ立場が反対である意外な人にわかってもらえたと孫福氏の言葉には驚くとともに大変勇気づけられた。 総合理学研究科での説明会での質疑でも「研究費ゼロ」について個人的考えと断りながらこれを明確に否定された。私は、ここで「個人的考え」と断ったところに氏の誠実さと立場の微妙さを感じた。「研究費ゼロとは言っていない」などとその場逃れの無意味なことを言うのとは違い、よくはっきり言ってくれたと思い、大変安心するものがあった。 拙速な改革に反対し続けてきた私は「ろくでないやつが理事長になるのだろう」と先入観を持っていたのだが、徐々にそれは溶け去り、来年度以降はそれほど不愉快な思いをせずにすむ、むしろ、よい大学に向けての本当の大学改革に気持ちよく協力することさえできるかもしれないと考え始めた矢先の訃報であった。 孫福氏は、市の何がなんでも来年度に“改革断行”という姿勢の犠牲になられたと思えてならない。「大学改革は一刻の猶予もない」とはなぜなのだろう。大学院の入試の問題で明白であったように、実際にはもう来年には無理というべきところを、しゃにむに進めている市の姿勢を私は疑問なしとしない。６年前から大学では検討してきたのだから拙速でないという、およそ詐欺的な市会答弁のもとに、本来間に合わないことをともかく間に合わせるということで突っ走っている。私は、この機会に、一度立ち止まって大学改革を見直すことが必要なのではないかと思う。 大学人としての誇りと誠意を持ち、難しい立場と正面から向き合っていた氏のご逝去を衷心より悼む。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 編集発行人: 矢吹晋(商学部非常勤講師) 連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp -------------------------------------------------------------------------------------------- ------------- 2004年6月22日 教員組合が、大学改革推進本部に対し、来年4月以降の法人化後の教員の雇用条件等に関する交渉を始めるよう求め、現在まで回答がないために再度の要求を出した。その文書が届いたので、リンクを張っておこう。 ｢交渉要求の申し入れに対する回答の再要求｣(教員組合：04-06-22) ---------------- 2004年6月21日(3) 新首都圏ネットワークによれば、日本科学者会議が、国立大学法人化後の現状を振り返って、｢大学政策の抜本的な転換｣を求める意見を公開した。そこでは都立大学と本学の問題性にも改めて言及がなされている。以下、コピーしておこう。このついでに日本科学者会議のＨＰを覗いてみた。この週末、教員組合の学習会(シンポジウム)で報告する予定の横井氏(大阪市大)の論考が目に入った。日本科学者会議・大学問題フォーラムの5月10日号掲載の、『文部科学省白書』、『諸外国の高等教育』をどう読むか、という論文である。 この論文のなかで、わが大学で今もっとも関心を呼んでいる任期制との関連で、その対極にあるテニュア(終身在職権)ポストの箇所が目に入った。ｐ.４の7行目以降であり、アメリカに関する説明で、教授の90％以上、準教授の80％以上が、テニュアを取得していると言う[13]。 任期制問題との関連で言えば、教授職で10％以内、準教授職で20％以内が、テニュアを持っていない教員（終身在職権を獲得していない教員・・・場合によっては一部の「任期制」教員に相当か）ということなのだろう。まさに、わが国の｢大学教員任期制法｣も、こうした一部の限定的例外的なポストに、大学活性化のための｢任期制｣ポストを導入すること可能にしたものだろう(商学部見解参照：「大学改革案に関わる商学部教授会の意見」（11月6日） [PDF]。文部科学省の白書でさえも認めているアメリカのテニュア付与(取得)割合については、きちんと把握しておく必要があろう。｢全員任期制｣などということの非現実性(大学破壊的性格)が、こうした単純なデータからも、改めて明らかになっていると思われる。そのような｢全員任期制提案｣を含む｢大学像｣を教員採用などにおいて「踏み絵」にしていいのか、というのが教員組合の批判であり、教員組合の主張は、大学の自治・学問の自由の大原則からしても、正当であると考える。 --------------- 新首都圏ネットワーク ------------- 2004年6月21日(2) 教員組合から、中間案「説明」会の意味(位置づけ)に関して、見解が送られてきた。教員間に広がる不安に答えたものであろう。以下にファイルにリンクををはり、同時にコピーしておこう。 ------------------------------------ 大学改革推進本部による「教員説明会」についての組合の見解 横浜市大学改革推進本部は、新学部・新研究科・新学科における授業科目の確認を行うためとして、文部科学省への手続きや確認方法の内容および「教育・研究評価検討プロジェクト部会（中間案）」［以下「中間案」と表記］を説明する「教員説明会」を、今月２１日から２５日にかけて開催することを決定し、教員の参加を呼びかけている。 この「説明会」のありかたには重大な問題があるので、ここで二点にしぼってその問題点を指摘する。 第一に、「中間案」の説明を行うということについて。 さきに当組合委員長名文書（６月１５日付け）において述べたように、「中間案」が示すような任期制・年俸制を中心とする新たな雇用制度は、当組合との正規の協議を経ずしては無効である。したがって、当組合との交渉を何ら行わないまま、このような「中間案」をあたかも既定の方針であるかのごく、教員に説明することは、不当であると同時に無意味である。 言うまでもないことだが、このような「説明会」は、人事・雇用制度の面については、なんら手続きを進めたことにはならないことも一応、ここで申し添えておく。 第二に、授業科目の確認とあわせて「中間案」の説明を行うことの不透明性。 上に述べたように、「中間案」について、なんら手続きとしての意味を持たない「説明」を行うことの意味は何であろうか？ きわめて不可解である。このようなやりかたでは、あたかも新課程の担当授業科目を確認することが、「中間案」の雇用条件を受け入れることを意味しているかのごとき錯覚を呼び起こすおそれがある。 繰り返しになるが、教員がこのような「説明会」に参加して自らの科目を確認しても、また、「中間案」の「説明」を聞いたとしても、なんら「中間案」の示す雇用条件を受け入れたことを意味するものではない。 当組合は、このように不透明な、多くの疑念や不安を呼び起こすようなしかたで改革の準備を進める大学改革推進本部にあらためて抗議するとともに、組合内外の教員各位には事態を誤認せず、自らの権利を明確に意識されるよう呼びかけるものである。 ２００４年６月２１日 横浜市立大学教員組合 ----------------- 2004年6月21日(1) 『カメリア通信』第24号を頂戴した。「事務局による大幅な歪曲、『アンケート調査票』から発覚―市民アンケート情報開示請求顛末記(その3)」(総合理学研究科・佐藤真彦氏)が掲載されている。大学改革を実り多いものにし、これ以上強引に拙速にやらないためには(現在焦眉の問題となっているのは、｢任期制｣公募問題であり、その現教員への波及問題だが)、また現時点で可能なかぎりの柔軟な対応を行うためには、佐藤教授が指摘されているような諸問題を改めて見直してみる必要があると感じる。『カメリア通信』を以下にコピーしておこう。(統計部分が以下のコピーではうまく出ないので、その部分は、リンクしたe-mailファイルを直接参照されたい。 --------------- ************************************************************ 横浜市立大学の未来を考える 『カメリア通信』第24号 2004年6月21日(不定期刊メールマガジン) Camellia News No. 24, by the Committee for Concerned YCU Scholars ************************************************************ 事務局による大幅な歪曲，『アンケート調査票』から発覚――市民アンケート情報開示請求顛末記（その３） 2004年6月21日 総合理学研究科 佐藤真彦 一楽重雄教授（理学部）が，先月の下旬に入手した『アンケート調査票』により，従来から疑われていたとおり，多くの《誘導的な設問》の存在が明らかになった．さらに，この『アンケート調査票』と昨年１０月末に市大事務局が作成した『大学改革市民アンケート調査概要』（03-10-29），および，去る３月末の開示請求により一楽教授が入手した『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表）の集計結果を比較検討することで，事務局がアンケート結果を大幅に歪曲して報告書を作成していた事実が発覚した． その結果，《リベラルアーツ教育と地域貢献》を新たな横浜市立大学の《第一の目標と責務》とするという，事務局の主張の一角が崩壊した． ・・・・・・・・・・ はじめに 事務局（総務課大学改革担当）によるアンケート調査は，中田市長の『改学宣言』（03-5-7） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/giman030514.htm を受けて，主として昨年の７月末～9月上旬にかけて行われた．この調査は，横浜市大“改革”を正当化する目的で，1500万円の市費を投じて実施された『御用シンポジウム』（03-7-20） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page149.html ほかの欺瞞的な“儀式”の一環という性格を持っていた．したがって，厳しい批判の的であった《独立行政法人化》や《３学部統合》等の本質的な問題の是非を問う設問は，アンケート中にはまったく存在せず，もっぱら，《リベラルアーツ教育や地域貢献へのニーズ》という事務局の望む結論への誘導とともに，市大“改革”，および，これを推進する事務局（プロジェクトＲ）の宣伝活動を，アンケート調査の主な目的としていた． 市大事務局作成の『大学改革市民アンケート調査概要』（以下，『アンケート調査概要』）（03-10-29） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031029gaiyou.pdf
によれば，アンケート調査の結果から， 【Ⅰ】《横浜市立大学の期待》として，《改革の期待について，学生，受験者は学部やカリキュラムの充実を望んでおり，市民は地域への貢献，企業は人材の育成を望んでいる》 【Ⅱ】《リベラルアーツ教育》として，《１．市大生，高校生（予備校生），高校（予備校）教員ともに高く評価しており，ニーズが高い》，《２．大学入学後の文系・理系の選択，専攻分野やコースの選択についても，ニーズが高い》，《３．リベラルアーツの教育目標は，企業の求める人材のニーズに合致している》という結論を導いている． これらの結論のほとんど（もしくは，すべて）が，①事務局の望みどおりの結論を導くための《誘導的な設問》，および，②これを補強するべく自由記述形式で回答させた部分から，事務局に都合のよい箇所を“つまみ食い”したと思われる《具体的意見の例》に基づいたものである． なお，自由記述回答のうち都合のよい箇所に限っては，事務局がすでに公表していたにもかかわらず，去る３月末の一楽教授による開示請求に対して，すべての自由記述回答を非開示（全面黒塗り）とした．現在，一楽教授は全面黒塗り部分も開示するよう異議申し立てを行っているが，同様の異議申し立てが多数に上るため，開示するかどうかの判定を行うのは，なんと，“２年くらい先になるだろう”といわれたという． （『カメリア通信』第20号：大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記（その2）（04-5-17） http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-20.pdf 参照） したがって，今回は，“つまみ食い”の《具体的意見の例》が，実際に，アンケート全体をどの程度代表しているかについては正確な検討ができなかったが，状況証拠から，事務局による“つまみ食い”（恣意的な選別）が常態化していたと思わざるを得なかった．以下は，現時点で入手できた資料，すなわち，①『アンケート調査票』（今回，一楽教授が入手） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040615chousahyou.pdf
，②アンケート結果のうち，全面黒塗りされなかった集計部分（『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表），一楽教授による開示請求で入手），③『アンケート調査概要』（03-10-29） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031029gaiyou.pdf
（『横浜市立大学の新たな大学像』（03-10-29）の「付属資料」として事務局が公表済み）の３つの資料から，とくに，上記の結論を事務局がどのような根拠に基づいて導いたのかに焦点を絞って，批判的に検討した． 『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表）は，総ページ数192ページに上る膨大なものなので，ここでは，その一部として，市民 http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040621shimin.pdf
，および，横浜市大生http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040621shidai.pdf
を対象としたアンケート結果の報告書のみを掲載しておく． なお，事務局が膨大な労力を注いで作成したと思われるアンケート調査資料の信憑性に関しては，疑えばキリがないが，今回の検討の前提として，少なくとも「集計結果の数値」については正しいものと仮定した． 検討の結果，『アンケート調査概要』（03-10-29）の結論の大半，すなわち，上記の4項目の結論のうちの３項目，【Ⅰ】，【Ⅱ-１】および【Ⅱ-３】が，いずれも，アンケート結果を大幅に歪曲したり，あるいは，薄弱な根拠に基づくものであったことが判明した． 残りの結論，すなわち，【Ⅱ-２】《大学入学後の文系・理系の選択，専攻分野やコースの選択についても，ニーズが高い》という結論は，《大学入学後に文系か理系を選択できたり，専攻分野やコースを選択できたらどう思うか》（市大生対象），あるいは，《大学入学後にある程度履修した後，学部・学科やコースを選択することができたらどう思うか》（高校生・予備校生および高校・予備校関係者対象）という設問に対するアンケート結果であり，当然予想された結論である．これに関しては，同様の制度が，他大学（たとえば，東京大学）において長年にわたってすでに実施されており，この制度は事務局（および，プロジェクトＲ）の構想とも一致するものであるが，結論の内容やその根拠となったアンケート結果の取り扱い方に関しては，とくに問題がないように見える． しかしながら，一楽教授はこの結論【Ⅱ-２】も，事務局が自分の都合に合うように誘導したものであると見ている．すなわち，東京大学における例からも分かるように，《実際には，定員の関係などでまったく自由に選択できるわけではなく，成績が悪ければ希望のところにいけなくなるという，この制度の実態を説明することなしに，ただ，選択できたらどうですかというのはまったく不適切な質問だと思います．この質問も，事務局の思いどおりの結果に誘導するための欠陥設問です．》と，厳しい見方をしている． この見方にしたがえば，『アンケート調査概要』（03-10-29）中のすべての結論が，事務局の手により大幅に歪曲された，不公正なものであったことになる． （１）本当に，企業・産業界関係者は《リベラルアーツ教育》を望んでいるか？ （すなわち，『アンケート調査概要』（03-10-29）の結論【Ⅱ-３】《リベラルアーツの教育目標は，企業の求める人材のニーズに合致している》を素直に受け入れてよいか？） 事務局は，この結論【Ⅱ-３】を導くために，（Ａ）《採用に際して重視する資質・能力》に関する設問２-(5)に対するアンケート結果を用いたと述べているが，（Ｂ）《企業・産業関係者における横浜市大の改革・改善策の重視度》に関する設問５-(2)も，《リベラルアーツ教育》に密接に関係しているので，ここでは両者に対するアンケート結果を一緒に検討する． （Ａ）採用に際して重視する資質・能力 設問２-(5)：貴社では，採用に際して，次のような学生の資質や能力などをどの程度重視していますか．各項目ごとに４段階の重視度から該当するレベルの番号を１つ選び〇で囲んでください． ①非常に重視する ②わりと重視する ③まあまあ重視する ④どちらでもよい 1）リーダーシップ 2）積極性 3）コミュニケーション能力 4）外国語力 5）問題解決能力 6）論理構成力 7）幅広い教養 8）国際的視野 9）創造力 10）探究心 11）高度な専門知識 12）その他（具体的に） この設問２-(5)に対するアンケートの集計結果（注：カッコ内の数字は，回答企業170社のうち，《非常に重視する》と回答した企業の割合）： 割合の低い順に，《外国語力》（4.7%），《幅広い教養》（5.3%），《国際的視野》（7.1%）．逆に，割合の高い順に，《積極性》（53.5%），《コミュニケーション能力》（34.1%），《創造力》（33.5%），《探究心》（30.6%），《問題解決能力》（30.0%） なお，“重視する”ことを前提に重視度を問う設問の立て方は，どの項目を選んでも，結局，“重視する”という結論に誘導できる点で問題がある．そこで，むしろ“重視しない”意味あいを含むと思われる，“どちらでもよい”と回答した割合の高い順に列挙すると，《外国語力》（34.7%），《国際的視野》（20.0%），《高度な専門知識》（17．0%），《幅広い教養》（11.2%）となり，これは，上記の“非常に重視する”と回答した割合の低い順の傾向とよく似ていた． 下記の表Ⅱ-２は，設問２-(5)の集計結果の全体である．（『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表）より） （Ｂ）企業・産業関係者における横浜市大の改革・改善策の重視度 設問５-(2)：今後，市立大学が横浜市の公立大学として，大学の持つ人的・物的資源を生かして社会的使命を果たしていくためには，次のような改革・改善策をどの程度重視すべきと考えますか．各項目ごとに４段階の重視度から該当するレベルの番号を１つ選び〇で囲んでください．①非常に重視する ②わりと重視する ③まあまあ重視する ④どちらでもよい 1）高度な専門教育の充実 2）幅広い教養教育（リベラルアーツ）の充実 3）大学院教育の拡充（高度な実務専門家養成の修士課程の充実） 4）人格教育への取り組み 5）社会人教育の拡充（学位取得も含む） 6）学長のリーダーシップ 7）経営体質の強化（市費に依存しない財務体質の改善） 8）産学連携の強化（工学系も含む研究体制の整備） 9）研究者のプロフィール・業績の積極的公開 10）コンピュータ・通信環境の整備 この設問５-(2)に対するアンケート集計結果（注：カッコ内の数字は，回答企業170社のうち，《非常に重視する》と回答した企業の割合）： 割合の低い順に，《学長のリーダーシップ》（15.9%），《研究者のプロフィール・業績の積極的公開》（16.5%），《幅広い教養教育（リベラルアーツ）の充実》（17.6%），《コンピュータ・通信環境の充実》（17.6%）．逆に，割合の高い順に，《高度な専門教育の充実》（38.2%），《人格教育への取り組み》（30.0%），《大学院教育の拡充（高度な実務専門家養成の修士課程の充実）》（24.1%），《産学連携の強化（工学系を含む研究体制の整備）》(24.1%)． また，“どちらでもよい”と回答した割合の高い順では，《学長のリーダーシップ》（16.5%），《研究者のプロフィール・業績の積極的公開》（10.0%），《大学院教育の拡充（高度な実務専門家養成の修士課程の充実）》（10.0%）となった． 下記の表Ⅴ-２は，設問５-(2)に対する集計結果の全体である．（『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表）より） これらのアンケート集計結果（Ａ）表Ⅱ-２，および，（Ｂ）表Ⅴ-２は，むしろ，横浜市大改革における《幅広い教養教育（リベラルアーツ）の拡充》，あるいは，採用に際しての《幅広い教養》や《国際的視野》に対する企業の重視度が低いことを示しており，《プラクティカルなリベラルアーツ教育（実践的な教養教育）を行う国際教養大学》を《大学の目標》として掲げる事務局にとっては，非常に不都合なものであったと思われる． そこで，事務局は，（Ａ）表Ⅱ-２の“非常に重視する”割合の低い順，あるいは，“どちらでもよい”割合の高い順，および，（Ｂ）表Ⅴ-２の全ての結果を無視する一方，（Ａ）表Ⅱ-２の“非常に重視する”割合の高い順の結果（すなわち，《積極性》（53.5%），《コミュニケーション能力》（34.1%），《創造力》（33.5%），《探究心》（30.6%），《問題解決能力》（30.0%））のみを根拠として，《リベラルアーツ教育の目標は，企業の求める人材のニーズに合致している》という，アンケート結果を大幅に歪曲した結論を導いた． さらに事務局はこれに加えて，“つまみ食い”した《具体的意見の例》を挙げることにより，この結論をつぎのように補強した． 《一般論として大学出ても実技がない，理論がないで，ほとんど一年は使い物にならない学生が非常に多い．》 （『アンケート調査概要』（03-10-29）） （２）《改革の期待について，学生，受験者は学部やカリキュラムの充実を望んでおり，市民は地域への貢献，企業は人材の育成を望んでいる．》というのは本当か？ （すなわち，『アンケート調査概要』（03-10-29）の結論【Ⅰ】を素直に受け入れてよいか？） この結論【Ⅰ】の内容そのものは，一見，常識的で妥当なものに見えるが，実際には，結論【Ⅰ】のいずれもが，《誘導的な設問》により導かれたもの，集計結果を大幅に歪曲したもの，あるいは，薄弱な根拠に基づくものであった．また，その背後に，事務局のある意図が隠されていた． すなわち，前半の《改革の期待について，学生，受験者は学部やカリキュラムの充実を望んでおり・・・》という結論を導くために，事務局は，市大生，あるいは，高校生・予備校生に対する自由記述形式の設問《・・・あなたは，この大学を改革するとしたら，どんなことを改革すべきだと考えますか》（市大生対象），あるいは，《横浜市立大学に対する印象や期待することなどありましたら，自由にお書きください》（高校生・予備校生対象）を用いたと述べている．しかしながら，市大生のアンケート結果は全面黒塗りの非開示となっており，意見の集約もない．また，高校生・予備校生のアンケート結果も，個別の意見を全面黒塗りして非開示とされたので，上記の《改革の期待について，学生，受験者は学部やカリキュラムの充実を望んでおり・・・》という結論の根拠は伏せられたままである． しかし，高校生・予備校生の意見を集約した部分からの引用として，《高校生・予備校生アンケートで，期待として記述されたものを整理してみると，「大学改革」に関するもの（７件），「学部・学科と募集定員」に関するもの（２１件），「入学制度と卒業制度」に関するもの（９件）などが多く，期待としての記述は５５件を数えた．》とあり，さらに，《具体的意見の例》として，《推薦でとる人数を増やして欲しい．看護学部も４年制を作ってください．国立とも私立とも違う何かを期待します．》という，事務局にとって都合のよい意見が“つまみ食い”されていた（『アンケート調査概要』（03-10-29））．結局，事務局はこのようなアンケート結果を根拠に，《改革の期待について，学生，受験者は学部やカリキュラムの充実を望んでおり・・・》と結論した． ところが，引用の元になった『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表）の該当箇所には，上記の引用に続いて，《（集約した意見の）内容は期待というよりも要望のようなものが多く，『学部・学科を増やしてほしい』（12人），『特定の学部を設けてほしい』（6人）などが主な意見である．》とあり，これらの要望は《３学部の統合・縮小》を推進する事務局にとって，はなはだ不都合であったため，『アンケート調査概要』（03-10-29）において取り上げられることはなく，『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表）中の未公表データとして隠蔽された． 後半のはじめの《市民は地域への貢献・・・を望んでいる》という結論も，典型的な《誘導的設問》により導かれたものであり，しかも，事務局の真の意図は，一般市民に伏せられたままであった． 市民を対象とした当該の設問を以下に示す． 今後，市立大学が横浜市の公立大学として，大学の持つ人的・物的資源を生かして「地域への貢献」の視点から次のような項目を行うことについて，どれくらい重要と考えますか．各項目ごとに，あてはまる番号（①～⑥）を１つ選び○で囲んでください． ①とても重要である ②わりと重要である ③どちらでもよい ④あまり重要でない ⑤ぜんぜん重要でない ⑥わからない 1）横浜市の市民・納税者に，十分な貢献を行う．（例えば，市民の生涯学習，高校以下の学校教育との連携など） 2）横浜市の活動に，十分な貢献を行う．（例えば，市政への提言，審議会委員，市の行政課題の解決など） 3）横浜市の産業経済に，十分な貢献を行う．（例えば，共同研究，委託研究等産学連携など） 4）横浜市の文化芸術に，十分な貢献を行う． とりたてて反対する理由の見当たらない設問を並べ，しかも，（もともと地域貢献を前提にしているので）どれを選んでも結局，《市民が地域貢献を望んでいる》という事務局の望む結論へと露骨に誘導できるようになっているアンケート結果から，事務局がまとめた結論は，《市民アンケートでは，市民が考える，市立大学の各種の地域貢献の重要度をみると，「横浜市の市民・納税者に，十分な貢献を行う」が最も重要度が高く，「とても重要である」が50.8%で過半となっており，これに「わりと重要である」を加えた重要度比率は81.7%と高水準にある．》というものである．（『アンケート調査概要』（03-10-29）） さらにこの結論を，《具体的意見の例》により，以下のように補強している． ・市民として市立大学に対する期待は大きい．特に医学治療分野における市民への貢献お よび生涯教育に対する市民への働きかけに大いに期待したい． ・社会人が働きながら勉強する制度を沢山作って学生を増す方が良いと思います．その方 が社会に貢献することも市政に意見や興味もでてくる． （『アンケート調査概要』（03-10-29）） なお，事務局により誘導された《市民が地域貢献を望んでいる》という結論の内容自体は，妥当なものであり，かつ，無害に見えるが，『新たな大学像』（03-10-29）の中で，《・・・そのため，新しい大学像を創造するにあたり，地域への貢献は，市立大学が果たすべき基本的責務であり，全教職員の職務の目的として位置づけ，横浜市，横浜市民，市内産業界等への寄与を明確にできるよう，大学の教育・研究・診療などの活動，組織構成や運営形態などを再構築し，大学全体がこの目標に沿った取り組みを進めるものとする．》という記述の根拠として使用された． さらに，これが，同じく『新たな大学像』（03-10-29）中で，《大学あるいは組織の目標に沿って，「大学から求められた役割をきちんと果たしているか」の視点が重要》であるとする（どうにでも解釈可能な，つまり，行政による恣意的解釈が可能な）《評価の視点》に基づいた人事制度・教員評価制度の根拠として使用されるに至って，事務局の真の意図が明らかになるとともに，その弊害の深刻さも顕わになった． すなわち，《地域貢献（とリベラルアーツ教育）》を新たな横浜市大の《第一の目標と責務》に掲げ，これへの貢献度の行政による恣意的な評価と連動した《任期制と年俸制》などの教員管理制度の問題性である． これに関しては，（１）「横浜市大問題を考える大学人の会」主催の≪任期制・年俸制シンポジウム≫『報告集』（04-03-28） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040328houkoku.htm ，および，つい先日公表された，（２）『横浜市大教員組合、今回の公募人事 募集要綱における「踏み絵」問題を指摘！』（04-6-16） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040616katayama-fumie.htm ，あるいは，（３）横浜市立大教員組合，「大学改革推進本部による教員公募と任期制・年俸制及び教員評価制度にかんする中間案について」（04-6-19） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040619katayama-chuukan.htm
を参照されたい． 後半の最後の《企業は人材の育成を望んでいる》という結論も，実際には，アンケート結果を使い分けることにより恣意的に導いたものである．すなわち，ここで，事務局が対応させた設問は，上記の企業・産業関係者に対する設問（（Ｂ）設問５-(2)）であるが，すでに述べたように，そのアンケート結果（表Ⅴ-２）は，むしろ，《リベラルアーツ教育》と矛盾したものであったため，《リベラルアーツ教育の目標は，企業の求める人材のニーズに合致している》という結論【Ⅱ-３】を導く際には無視されたものである．ところが，ここでは，この結論と矛盾していたにもかかわらず，同じアンケート結果を用い，しかも，“つまみ食い”した《具体的な意見の例》により矛盾点を克服・補強することで，上記の結論【Ⅱ-３】と同様の《企業は人材の育成を望んでいる》という結論【Ⅰ】（の一部）を導いた． 以下に，事務局が“つまみ食い”した《具体的な意見の例》を示す． ・今の学生をみてもがっかりする事が多い．人格を磨く事，社会に対応できる人が一番大切．・市大の貢献は大と認めます．時代は自助努力を求めており産業社会研究開発と特色を発揮し世の為役立つ事が求められその成果を期待されている．日本企業が世界で活躍しているが数としては100程度である．陽のあたらない中小企業を活性させ各社特徴ある技術・研究開発等を貴校がとりあげて更なる改良開発を推進するならば（利益の分配も含めて）産学の２人３脚で地方と国の発展は確かなものとなる．そこに集中してほしい．（『アンケート調査概要』（03-10-29）） （３）《リベラルアーツ教育》を《市大生，高校生（予備校生），高校（予備校）教員ともに高く評価しており，ニーズが高い》というのは本当か？ （すなわち，『アンケート調査概要』（03-10-29）の結論【Ⅱ-１】を素直に受け入れてよいか？） この点に関しては，独自に入手した市大生に対するアンケート資料をもとに，教員組合が昨年8月の段階ですでに，設問が《誘導的で欠陥がある》と指摘し，その欠陥を認めた中上 直総務部長が《このアンケートの結果を、市大のリベラルアーツカレッジ化の根拠としては使わないと明言した》にもかかわらず，『新たな大学像』（03-10-29）の「付属資料」である『アンケート調査概要』（03-10-29），および，『アンケート調査報告書』（03-10-29，未公表）中で使用したという経緯がある． なお，この延長線上に，《（リベラルアーツ教育を目標とする横浜市大では）専門としての数学は必要がないという理由により数理科学科を廃止》するという，横浜市の大学改革推進本部による乱暴な決定がある． （（１）『コース・カリキュラム案等報告書』の記者発表にいたる関連文書の一覧（04-3-29） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040329ichiran.htm ，および，（２）《違法・脱法行為をすすめる》横浜市の大学改革推進本部：04/6/7
またもトップダウンで記者発表――『「公立大学法人 横浜市立大学」の教員，“任期制・年俸制”を前提に公募』（04-6-9） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040609kisha.htm 参照） 今回，同様の《誘導的な設問》を市大生ばかりか，高校生・予備校生および高校・予備校関係者（教員）に対しても行っていたことが判明したわけである． これらの《誘導的な設問》により，《リベラルアーツ教育への賛同者》が，《市大生（61.7%），高校生・予備校生（53.9%），高校・予備校関係者（68.5%）》という高い割合を示す，事務局の望みどおりのアンケート結果が導かれた．（『アンケート調査概要』（03-10-29）） なお，これらのアンケート結果は，「市大生自身」（2003年6月5日，調査） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030605y-shimin-gakusei.htm や「教員組合」（2003年6月30日および7月1日，調査） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030807gakusei.htm がそれぞれ独自に行ったアンケート結果とは大きく異なっていた．実際，「市大生自身」によるアンケート結果では，《リベラルアーツ教育への賛同者》はわずかに2.9％であった（内訳： ①賛成 13人 2.9％ ②反対 373人 84.3％ ③どちらともいえない 56人 12.6％）．また，「教員組合」が，瀬戸キャンパスの学生71名を対象に行った自由記述形式のアンケート結果でも，《リベラルアーツ教育への賛同者》は皆無に等しかった． 以下に，《誘導的な設問》，および，教員組合による指摘を挙げておく． 《誘導的な設問》アメリカの大学の中には，学部4年間はどの分野にも共通する幅広い教養教育（リベラルアーツ）を総合的に学び，さらに専門分野を学びたい人は各分野の大学院やロースクールなどの専門大学院に進学するシステムがあります．日本でもこのようなリベラルアーツを専門にする大学があればよいとあなたは思いますか．
①とてもよいと思う ②わりとよいと思う ③どちらともいえない ④あまりよいと思わない ⑤ぜんぜんよいと思わない （以上は，市大生用および高校・予備校関係者用） （高校生・予備校生用には，《・・・・日本でもこのようなリベラルアーツを専門にする大学があったら，そのような大学にあなたは進学したいと思いますか． ①ぜひ進学したい ②わりと進学したい ③どちらともいえない ④あまり進学したくない ⑤ぜんぜん進学したくない》） 《教員組合：中上 直総務部長 “欠陥アンケート”を確認し，「これを根拠として使用しない」と明言（03-8-20）》 http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030820nakagami.htm 《この質問はきわめて誘導的で欠陥のあるものです。このような質問に対して、よいと思わないと回答する人がどれだけいるでしょう。横浜市立大学がリベラルアーツカレッジになるとよいと思いますかという質問ならまだしも、このような質問はアンケート項目としては全く意味をなしません。・・・学長はこのアンケートの欠陥を認めませんでしたが、さすがに、中上総務部長は、このアンケートの欠陥に気づき、このアンケートの結果を、市大のリベラルアーツカレッジ化の根拠としては使わないと明言しました。・・・》 にもかかわらず，すでに述べたように事務局はこの約束を反古にして，歪曲したアンケート結果を根拠（の１つ）として，『新たな大学像』（03-10-29）を作成したあげく，その延長線上で，数理科学科を消滅させるという暴挙を行った． おわりに せっかく，一楽教授の尽力により入手した『アンケート調査票』を，このまま埋もれさせておくべきではないと思い直して，資料の検討を進めて行くうちに，事務局の行ったアンケート調査への疑問がつぎつぎに生じて，長い文章になってしまった．それにしても，学問の世界では，このように大幅な調査結果の歪曲が発覚した場合，学者としての信用を一挙に失ってしまうが，官僚の世界では，たとえこのような事実が発覚しても，何でもないということなのだろうか． なお，下記の関連資料も，併せて参照されたい． （１）大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記（その１）：横浜市は「情報公開」ではなく「情報操作」を行っている（04-5-13） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040513tenmatsu1.htm （２）横浜市立大学の未来を考える『カメリア通信』第20号：大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記（その2）（04-5-17） http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-20.pdf http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040517came-20.pdf （３）大学改革市民アンケート情報開示請求顛末記（補遺）（04-5-17） http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040517tenmatsu(hoi).htm ----------------------------------------------------------------------------------------- 編集発行人: 矢吹晋(商学部非常勤講師) 連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp -------------------------------------------------------------------------------------------- ------------------ 2004年6月18日(3) 教員組合委員長名の声明が送られてきた。委員長、執行部の大変な努力に感謝したい。この文書を読むかぎり、わたしの｢中間案｣に関する評価(定年までの終身身分保障＝テニュア制度の導入の提起を積極的に評価した)はまったくの誤解であるようだ。中間案は、全員に対して任期制を導入すると言う目的だけが先行したものであり、労働基準法改正の趣旨も無視したものだという。民間私企業さえ、こんなひどいことは提案しない内容だという。私の先日の見方は大甘であり、「38歳テニュア可能」などの目くらまし的な表面的文言に目を取られているようである。今回の案は、現職教員と公募新任教員の全員に対する不利益措置として、本当の内容はおそるべきものだということになる。とすれば、そんな中間案は、本当に合法的なのだろうか？ 教育公務員特例法で保護されてきた65歳定年制の公立大学の教員を一挙に有期雇用に貶め(学問の自由、大学の自治の基礎条件として、これまで与えられてきた生活と身分の保障を剥奪すると言う意味で)、生活と身分を不安定化しまうようなことを可能にするのが、労働基準法改正なのだろうか。そんな案は、労基法改正の趣旨に合致しないものであり、法の逸脱、不当な法律適用ではないのか。労働法専門の弁護士などの検討を求めたい。 6月23日以降に予定されている中間案説明会では、こうした組合の見解・見方がどこまで完全に案を正確に理解しているのか、教員組合が問題視する諸項目にどう答えようとするのか、それが一番ポイントになるような気がする。以下にコピーし、あわせてリンクも張っておこう。 ------------------ 大学改革推進本部による 教員公募と任期制・年俸制及び教員評価制度にかんする 中間案について 横浜市大学改革推進本部は、６月７日、公立大学法人横浜市立大学専任教員の公募を公表するとともに、同本部におかれた「教育・研究評価検討プロジェクト」が検討中の中間案「新たな教員人事制度の構築に向けた取り組み」を発表した。教員組合は先に、今回の当局発表内容にもかかわる６項目の要求について推進本部にたいし交渉を申し入れてきたが、今にいたるも推進本部当局はこれに応えていない。組合要求の説明に触れてあるように、独立行政法人発足にともなう補充教員任用が、任期制・年俸制の新たな制度を前提としてすすめられるならば、労働条件の重大な変更として、組合との協議が先行しなければならないにもかかわらず、そうした手続きが踏まれていない。独立行政法人への移行にともなう雇用・労働条件の変更にかんしては、労働法規に則った適正な手続きが必要とされ、使用者が一方的に制度変更をなしうるものではない。適正な手続きを欠いた制度変更にたいしては組合として必要な対抗措置をとらざるをえないことになる。中間案に盛られた任期制、年俸制、教員評価制度にかんする記述は、教員の処遇に直接かかわる重大な変更を主張しているにもかかわらず、雇用条件の提示として本来あきらかにされるべき具体的な事項に触れておらず、不正確なイメージによってあたかも説明がすんだかのような印象を与えている。改革推進本部は、曖昧で不安を残す制度設計を一方的にすすめるのではなく、適正な交渉手続きに則った組合との協議に誠実に応じるべきである。こうした観点から、組合要求にたいする回答を再度要求するとともに、今回の教員公募及び中間案に示された任期制の「説明」（任用制度と任期制のあらまし）について、必要最小限の見解を表明しておきたい。中間案は他に、「教員評価制度のあらまし」「年俸制のあらまし」を公表しているが、これらは労働条件の明示に値する明確で具体的な規定となっていない。任期制についても同様であり、労働条件の変更にあたる事項については今後詳細な協議要求を組合として提示する予定である。 １ 理念も魅力もない任期付き教員公募 推進本部が公表した専任教員公募案件９件（国際総合科学部理工学府１、同経営科学府４、看護学府４）は、いずれも、「任期３年もしくは５年程度」の「任期付き雇用」に付す「準教授」とし、年俸制による処遇を謳っている。「準教授」の再任は２回までだが、各任期ごとに昇任審査を受けることが可能とする但し書きをつけ、教員人事制度のあらましを知りたければ中間案を参照するよう求めている。さらに、「上記の待遇は、現段階での市の方針であり、各人との雇用契約は、公立大学法人が定める規定に基づいて締結されることになる」と付記している。 これらの条件がついた任期付き教員の公募は、「優れた人材を確保する」という当局の謳い文句に合致するどころか、むしろ、優れた人材を遠ざけるものにほかならない。任期を定めない雇用条件の公募と比較して、「どちらが研究者にとって魅力的であるか」を虚心に考えるならば、優劣は一目瞭然であろう。公募は、応募資格要件の（３）として、「新たな横浜市立大学の目標を理解し、その前提に立ち、大学における教育に熱意と使命感を持ち、かつ専門分野において教育と研究に意欲的に取り組める」ことを求めているが、それほどに大学への忠誠を要求しながら、他方で不安をかき立てるだけの雇用形態を提示する推進本部の態度はあまりに矛盾している。大学経営の観点からみてさえ、公募に示された任期制には、任期制でなければならないことを説得的に示す理念が一切ない。 「３年ないし５年程度」という曖昧な任期は、教員任期法にもとづく任期提示ができないために、労働基準法第１４条にもとづいて可能な任期提示を行っているからである。（もっとも、労基法１４条にもとづくかぎり、５年をこえる期間は設定できない。したがって５年「程度」とするのは正確でない。）この提示は中間案に示された任期制にもとづいているので、推進本部が示す任期制の本質がこの提示にはすでに現れている。すなわち、現教員もふくめ大学の全教員にたいして任期制を適用しうる（といっても、もちろん、現教員の同意が前提である）法律上の根拠を求めるとすれば労基法１４条しかなく、だから１４条にもとづく任期提示にならざるをえない、ということである。全員任期制なるものの実現を至上命令とし、これを可能とする制度根拠を後付けで探すという逆立ちした発想と手法とが、大学における教育・研究のあるべきすがたを検討する精神からはかけ離れた歪んだ制度設計を進行させている。中間案に示された任期制構想については次ぎに触れるが、今回の補充教員人事が、発足を予定されている公立大学法人制度にもとづく教員評価、選考、労働条件提示を先取りしてすすめられていること、「公立大学法人が定める規定」の策定手続きを踏まぬまま公募作業を先行させることに強く抗議するものである。 ２ 「全員任期制ありき」から出発した任期制の制度設計は大学を活性化させない 中間案に示された任期制構想について、さしあたって緊急に以下の問題点を指摘するとともに、推進本部、大学当局の再考を強く促したい。 中間案による任期設定は労基法１４条にもとづいており、３年ないし５年という任期の設定には制度根拠を労基法に求めるという以上の理由がない。これが「全員任期制」をともかく実現するという前提に由来することはすでに述べたとおりであり、この結果、中間案の制度設計は、テニュア導入など若干の弥縫策を施したとしてもとうてい克服しえない歪みと難点を抱えている。 労基法１４条は大学にかぎらず有期雇用の上限を定める規定であり、大学教員の雇用形態を大学組織のあり方にてらして設計するうえで、その十分な制度的基礎を提供するものではない。大学教員に任期を付す制度根拠として教員任期法が設けられているのは、その内容の是非はともかく、大学にそくして任期制（有期雇用）を導入する条件の吟味が必要だと考えられたからである。労基法１４条における上限規定が大学教員に適用可能であるとはいえ、その任期設定を全教員に適用するという制度構想はまったくの暴論である。労基法１４条にもとづく「全員任期制」とは、要するに、全教員を有期雇用に転換させること以外の何ものでもない。私企業にあってさえ、社員全員を有期雇用に切り換えるというような提案を使用者がまともに行えるものではない。 「全員に任期を付与する」ことのみを至上命令にした制度設計のこの歪みは、教員組合が繰り返し主張してきたように、大学のあるべき改革、活性化にたいしてもきわめて有害な影響を及ぼす。 何よりもまず、一律に有期雇用制度の下におかれた教員がより安定した雇用条件下での教育・研究を求めて移動を試みるのは必至であり、「優れた人材」を招聘しかつ流出をとどめる制度的保障がこの任期制構想には存在していない。中間案は、「多様な知識や経験を有する教員等の交流の活性化を図」るとしているが、流出する優れた人材の補充に追われるような事態を「交流の活性化」と言いくるめることはできない。 とりわけ重大な問題は、労基法の有期契約規定にもとづく３年上限の任期設定が、「大学の教育研究を進展させる」という目標にもそぐわない、長期的視野と評価とを欠落させる提案となっていることである。大学に課せられる中期計画が、その年数自体の当否はまた別のこととして、６年とされていることとの整合性からみても、３年任期の設定がいかにご都合主義的なものであるかはあきらかである。 さらに加えて、中間案が「準教授」の再任回数を「原則として２回」と制限していることもきわめて重大である。昨年１０月、大多数の教員の反対を押し切って「全教員任期制」を打ち出した大学当局文書「横浜市立大学の新たな大学像について」（以下、「大学像」）では、任期制にかんし、「原則として再任を可とするシステム」としていた。大学における教育・研究の将来をになうべき位置にある講師・助教授にたいして、なぜ再任２回という制限を設けるのか、中間案にはその理念的根拠、納得のゆく理由はまったく説明されおらず、「再任は原則として２回とする」と図示されているだけである。杜撰という以前のあまりに無責任な態度である。３年任期の場合、最長９年という限度が「準教授」について設定されたことになり、助手任期が原則３年と設定されていることとならんで、実質上の解雇を容易に行える有期雇用としての任期制の性格が如実に表れている。 中間案では「テニュア教授」への昇任が早い時期から可能にみせるいくつかのモデルを図示して、常用雇用の有期雇用化という印象をやわらげようとしているが、その図示は、昇任の条件、昇任審査と公募の関係、再任の条件等々について何ら明確な規定を行っていない「不当表示」と言うべきものである。「実力・実績に応じ」た昇任[14]、「公正で客観的な昇任審査」、「特別な業績を挙げた場合」など、すべて「公正で客観的な」基準をともなわない空語にすぎない。テニュア審査にいたってはそのような空語すら存在しない。全教員を対象とする任期制導入の考え方を述べた記述は、「ただし、任期中、教育研究等の目標・計画に沿って、着実に努力した成果が、教員評価委員会で適正に評価され、それを受け、再任されることができるよう、学外委員が加わる教員人事委員会で審査します」といった、文意自体が不明瞭なものとなっている。だれが何をどのような具体的・明示的基準で評価するのか、「公正さ」「適正さ」「客観性」にかんする説明責任をだれがどのように果たしすのか等々が明確に提示されていない説明は、そもそも検討の対象にさえなりえない。テニュアを設けます、再任審査を公正に行いますといった表明によって、任期制を導入するに足る合理的で十分な理由が存在するなどと判断できるはずがなく、まして、労働条件の重大な不利益変更を補ってあまりある制度構想であると評価できるはずもない。 中間案は、このように、労基法の有期契約規定に形式的に適合させることだけを念頭においた任期設定を行っている結果、「大学像」で当局が自ら示した任期制構想とも、労基法有期契約規定の特別法と位置づけられる教員任期法とも異なる、端的に有期雇用規定を根拠にすえた任期制構想に「変身」している。「大学像」は「現時点では、任期（期間）は、一律ではなく、……決定する」としており、評議会における「大学像」審議では、学長や事務当局者はこの点に敷衍し、上限を一律に縛るのではなく多様な期間設定を行うことが特色だと表明していた。中間案の任期設定はそのような説明をあっさり裏切るものとなっている。 また、大学教員に任期制を適用するさいの根拠として制定された教員任期法の場合、任期制を適用できる条件を限定するとともに、労基法の有期契約規定よりも柔軟な任期設定を可能としている。教員任期法の規定自体問題なしとしないが、まだしも大学という機関を想定している教員任期法を全員任期制には使えないという理由から斥け、労基法に適合していればよいというだけの任期設定を行うのは、およそ改革を標榜する者にあるまじき頽廃である。教員任期法にもとづく、たとえばプロジェクト分野の任期の方が、中間案の３年、５年といった設定よりも長期でありうる、といった奇妙な状態が出現しうるのも、このように、全員任期制を導入するという至上命令につじつまが合うことだけを目的とする任期制設計をすすめているからである。これが横浜市大のあるべきすがたを真摯に追求する改革姿勢だとはとうてい言い難い。 そもそも有期雇用を常用雇用の代替として用いることの問題性については、有期雇用の範囲を広げてきた労基法改定論議の過程でも繰り返し警告されてきた。任期制の導入がそうした警告には当たらないと言うのであれば、少なくとも任期制が大学における教育・研究の進展に寄与する制度たることを説得的に説明できなければならない。教員の雇用・労働条件にかかわる重大な制度変更にかんして、教員組合との交渉・協議をすすめるに足る詳細で具体的な制度像を示すべきである。 ２００４年６月１５日 横浜市立大学教員組合執行委員長 中西新太郎 ------------- 2004年6月18日(2) 2時5分過ぎ、別件で学部長秘書室にでむき、ボックスを見たら驚くべき訃報が入っていた。大学改革推進本部・最高経営責任者・孫福弘氏が昨日、｢急性心不全・急性心筋梗塞｣で亡くなられたという。すでに5月頃から、疲労が溜まっているようだ、とは耳にしていたが、過労の累積が今回の急逝の基礎にあるだろう。私学経営に携わった長い経験があり、大学の難しい内部事情をよく知っている人として、公立大学をめぐる情勢の厳しさの中にあっても、過去2年間よりは合理的な道筋をあゆんでくれるものと、多くの人が期待していた。その実力を発揮できないままに、4月から5月のあいだに直面した難問で過労に陥り、さらに6月にはいって文部科学省申請に関わる仕事、「任期制」公募問題など難問が続出し、「改革」過程の犠牲者のひとりとして倒れたということになるであろう。ご冥福をお祈りしたい。 公立大学法人に向けて、教員の多くは任期制や年俸制で身分不安定に陥るのではないかと疑心暗鬼になり、眠れない夜を過ごす人も多いと思われる。事実、この間去っていった人の中には、｢任期制｣導入で暗い日々を送ることになると恐怖し、「駄目もと」精神で公募に応募した人もいる。そして本人の予期に反して採用され、本学を去っていった。｢大学像｣、定款決定、｢踏み絵｣問題、その他、｢改革｣をめぐる大きな転換点の節目ごとに幾度も不眠状態に陥った私自身の経験からしても、今回の「改革」は、大学人の関係者に多かれ少なかれ大変なストレスを各方面で与えているであろう。先日も、都立大学のＣＯＥグループの一人の人が倒れたと言ううわさを耳にしたばかりである。家族を抱えて再就職先が決まっていない状態で、行政当局の一方的なやり方（ＣＯＥ取得者としての大学院の重要性にもかかわらず、無視された現実）に抗議して意思確認書を提出せず、移行を拒否したのであって、その結果、新たな大学から経済学コースが廃止されてしまった。自ら求めた揉め事ではなく、急激な展開によって余儀なくされた精神的な疲労困憊は想像に余りある。あらたな職場を求めるための活動で過労に陥ったのではなかろうかと推測する。都立大学の就任承諾書をめぐる厳しい事情からして、7月2日までにまた何人か倒れるかもしれない。 今後どなたが最高経営責任者になるのかわからないが、教員組合との話し合いなども公正・透明で友好な労使関係を準備していくという見地で、一つ一つ合理的に処理し、細部の制度設計を積み上げていって欲しいものである。国立大学法人の先行事例があるのであり、まったく無の状態から移行を行うのではない。国立大学法人のシステム(就業規則、過半数代表、その他のあり方)から取り入れるべきことをきちんと取り入れ、要らざる紛争の種をまかないように、準備を進めていって欲しい。 ---------- 2004年6月18日(1) 都立大学では120名余が就任承諾書を提出しなかったという。「開かれた大学改革を求める会」 ：第８号のニュース(6月18日付)によれば、①雇用労働条件がまったく不明確、②大学院体制がまったく不明確、③教授会の人事権など大学自治保障システムが不明確だと言うことを理由として、人文学部教授会は全会一致で就任承諾書を提出しないことを決議したという。筋が通っていると考える。下記の｢就任承諾書｣をめぐるＱ＆Ａを見れば、これらの問題がはっきりする。これで行政当局が強引に推し進めてきたことの主要な問題点があらためてはっきりしたわけで、はたして7月2日までにどのようになるのか、ますます緊迫してくるように感じられる。このまま突き進めば、ポーカス博士の言うように、来年4月からの開校は不可能となり、昨年8月以来の高圧的な行政当局の強引さが全国的に否定しようもなく明確になろう。 本学の場合はどうか？ 昨日、教員組合主催で、雇用労働条件に関する法律的諸問題の学習会が開催された。20名ほどの出席があっただろうか。いずれ教員組合ウィークリーなどで参加者数なども報告があろう。 来年4月からは、教員は雇用労働条件に関して、労働法・労働基準法の世界に入るわけで、働く人間(現代世界は知的労働・頭脳労働・精神的労働が支配的だが大学においてはまさにもっともその程度が質量ともに高い)が、最も重要な精神的知的自由を最大限に確保しつつ（すなわち｢現代の奴隷化｣のもっとも対極に位置しつつ）、教育研究にまい進して教育研究の成果を挙げるべきであるとするならば、安心して自由に精神と頭脳を活動させ、競争条件の厳しい大学、学界でしっかりした足場を構築しつつ、教育研究にまい進できる生活と身分保障に関わる問題、自分たちの雇用労働条件とそれを法律的国家的に保障する諸法規・諸制度を、その骨子だけでもマスターしておくことは必要不可欠だろう。資料があまりにも膨大で(90ページほど？)、コピーが足りず、私は受け取ることができなかったが、講演者の論点紹介とその後の議論で、かなりのことが理解できたように感じた。 来週23日から、新しい国際総合科学部・国際総合科学研究科の担当科目等貼り付け表の最終案とその説明会が、大学改革推進本部によってなされるとの知らせがあった。これは、現在の教授会ごとに行うようである。教授会には｢説明｣だけで、これまでどおり、何か異論や議論があっても行政側が認めるものだけを適宜ピックアップして耳に入れ、その他のことは無視するということになろうと危惧される。ただ、カリキュラムに関しては、この間、張り付け票も配られ、関係教員がそれなりに意見を述べ与えられた限度内で自分の意志を表明する機会があったので、大々的な変更等はないのではないかと予想される。 問題は、行政当局の委員会である部会報告、すなわち「教育・研究評価検討プロジェクト部会(中間案)」に関する｢説明｣の部分だろう。 任期制の内容や年俸制など、教員評価に直結してくる問題だけに、具体的内容が問題となり、この間、問題となっている論点の一つ一つが重要である。それを詰めていく必要があろう。ところが、ここで「説明」したことをもって、各教授会の「了解が取れた」として[15]、行政当局が突き進む可能性がある。｢大学像｣の検討過程と決定過程、その後の経過を見れば、その危険性はある。それが昨日の学習会発言で表明された危惧である。 教員組合ウィークリー（教員組合ウイークリー：6月14日号）（補足説明）で教員組合が抗議しているように、これまで教員組合に対しては正式に文書をもっての回答などをしていない（現状のこのような対応は、瀬戸キャンパスの教員組織率9割だが、教員のしかるべき代表として認めていないということを意味するであろう[16]）、無視する態度をとっている(無視されていると抗議しているのが教員組合ウイークリーの見地：補足説明の見地であろう)、ということからも、危惧がでてくるのは当然であろう。 ｢たんなる説明会だ｣｢任期制などは教員組合事項だ｣などとと軽く考えていると、きちんと制度設計されていない任期制(すでに書いたようにテニュア制度とリンクする設計になっており、大学教員任期制法の｢任期制｣とは重要な点で違っていると思われるが)などに関してさえ、各教授会に説明した｢あの時黙っていたではないか、認めたんでしょう｣と、行政当局の一方的な制度設計が押し進められることになってしまうのではないか、と昨日の教員組合の学習会では危険性が指摘された。 ｢大学像｣の作成をプロジェクトＲ(幹事会)に評議会は託したではないか、だから｢大学像｣は正当だ、とは最近も評議会でなされた発言だと耳にしている。当時の各教授会等の異論・反対決議などはまったく無視する態度が、ここには現われている。だから、多くの人が危惧するのは当然であろう。 -------------------- 2004年6月18日第0版 ◎ 2004年6月17日：人文学部教授会では，大学管理本部が要求項目に関しての文書による明確な回答を示すまでは就任承諾書を提出しないことを全会一致で決議。
「開かれた大学改革を求める会」 では，第８号のニュースを6月18日に配布予定。 ----------------------- T. 就任承諾書をめぐって T-1 就任承諾書の提出をめぐって2004年6月4日に緊急４大学教員集会があったようですが，就任承諾書を出さないとどうなるんですか？ 次へ ポーカス博士 6月17日締め切りの就任承諾書というのは，文部科学省に提出する書類で，「教員の氏名等を記載した書類（様式３号）」の提出とペアになっている。この様式３号というのは，教員の名前と担当科目のリストになっていて，とりまとめ担当者が記入するが，個人が提出する就任承諾書はその様式３号の内容と一致した担当科目名が記されることになる。学部所属の教員が出す就任承諾書の記載例はこんなだ。 T-2 それじゃあ，「就任承諾書」を提出したら，めでたく（？）「首大」の教員になれるんですか？ 次へ ポーカス博士 それが大変なのじゃ。もちろん，今，都立の４大学でどのような立場，職場にいるかという状況によって異なるのだが。 教員の昇任方針について（案） ----------------------- 2004年6月17日(2) 6月26日の「公立大学問題シンポジウム」の案内を頂戴した。未定だった都立大学、大阪府立大学からも報告者が決まり、本学の教員組合委員長・中西教授を初めとする報告者全員が決まったようである。リンクを張っておこう。 --------------- 2004年6月17日(1) 都立大学の状況は、まさに本日締め切りとされる｢就任承諾書｣問題をめぐって、緊迫している。いったいどうなることか？ これに関連する｢意見広告の会｣の情報を、以下にコピーし、自分のものとしておこう。都立大学教職員組合の｢最低限の要求｣は、関係法律(地独法、大学教員任期法、労働基準法等)にもとづく法的で合理的な要求であり、都の行政当局、そして本市・本学の行政当局も、きちんとかみ締めるべきであろう。わが大学の今回の｢任期制｣（案）においては、テニュア制度(身分保障制度)を導入することとしており、「大学教員任期法」にいう意味での特例的・限定的な｢任期制｣ではなく、教員の身分保障(終身在職権＝テニュア)を独立行政法人化にあたって、あらためて制度化する側面を持つ。その終身的身分保障(テニュア取得)にいたる各段階で審査を「適正化」しようという「主観的意図」が示されているかに見える。 これまでの制度(大学教員という教育公務員としての65歳定年までの身分保障)と今回提案の公立大学法人における｢任期制｣との最も重要な違いは、若手新規採用・昇任人事における｢任期制｣の導入であるが、もし公表された提案のとおりならば、「大学教員任期法」の直接的適用ではない(そのあたりを明確に整理すべきであり、再任可、そのための再任条件整備、｢努力と実績｣の合理的で社会的説明能力のある正当な評価、再任審査の公平性・透明性・社会的説明責任など必要、また再任回数も現在の案のように少ないものではなく、多くすべきであり、文科系の仕事などを考えれば、長期的にじっくりとした研究を行うための保障が必要であろう、「教授になんかならなくていい、助教授のままで教育研究に専念したい」と言う人が何人かいてもおかしくはないのではないか)。 そうした点を制度設計で明文化し(最終的には就業規則等)、教員組合が合意できるようにすることが大切であろう。年俸制に関しては内容がまったく不明である。いずれにしろ、教員組合との合意に基づく就業規則をまってはじめて本学独自の｢任期制｣が発足するとすべきであり、その点を明確にしておく必要がある。そのような限定(制限条件)つきの公募、ということで始めて今回の教員組合を無視した雇用条件不明確なままでの一方的公募の違法性が抑制できるのではないか。現在のままでは、教員組合のいうとおり、違法なものとして法的措置をとるべきものとなるのではないか。 現在の本学の教員は、地方独立行政法人法にもとづく今回の独立行政法人化にあたっては、これまでの公務員としての身分保障と同じものが継承されるべきであることは地独法の規定からも当然である。したがって、現在の教員は横浜市立大学の教員として、65歳定年までの身分保障を持つ教育公務員として採用された(そのためのしかるべき審査を受けて採用され任用された)のであり、すべて65歳定年までのテニュア(身分保障・終身在職権)が付いているものとみなすべきであろう。今回の法人化というような個々人の努力や実績にはかかわりのない全体的な身分移行にさいしては、まさにそうした全員に対する共通の身分保障＝身分継承が絶対不可欠である。それが法の趣旨である。国立大学法人法による国立大学の独立行政法人化に際して、スムースに身分移行が行われたのは、このあたりの法的理解が、国立大学教員に不安を引き起こさなかったからであろう。 現在の専任の若手研究者(助手、講師、助教授)は、昇任問題を抱えているが、その昇任条件、昇任時期とは別に、身分的(身分保障の上では)には法人化に伴って不利益処分を加えられてはならず（そんなことをすれば学問の自由を公然と奪うことになるであろう）、65歳定年までの任期が保障されなければならない(教育公務員として与えられていた身分保障の継承)。 これまでも医学部や理学部においては定年まで助手と言う人もいたし、商学部でも自ら申し出て辞職するまで講師という人がいた。厳然として、昇任において業績等の審査を行ってきた証拠がここにある(学問・科学文化の評価のむつかしさ、とくに文科系における困難さ[17]、いろいろの評価・判断基準から個々の昇任判定において判断が分かれること・多様性があることはむしろ当然のことだろうが)。教育研究業績などが不十分であれば昇任はさせなくても(助手ないし講師に採用した時の能力[18]以下になっているという証明が客観的になされない以上当然であろうが)身分は保障するというのがすくなくともこれまでの制度であった。現在の専任教員(教育公務員として市立大学に採用された教員)には、当然にも、それが適用されるべきであろう。65歳定年の公務員として雇用された以上、その身分保障(65歳までの任期)は現在の全教員に保障すべきである。今後予想される｢就任承諾書｣の前提として、その点だけは最低条件として明確にしておく必要があるのではなかろうか。｢就任承諾書｣をだしたとたんに、「これは任制制ポストです、3年です、あなたは5年です」などというだまし討ちは、ゆるされないのではなかろうか？(京都大学再生医科学研究所の井上教授事件の場合は、これであろう) 若手研究者の昇任問題に関しては、いろいろと制度設計の可能性があるにしても(そして今回の案が示すような38歳教授＝テニュアの可能性[19]なども含めて改善点も見られるが)、この身分保障(身分継承)の基本的前提なくしては、労使合意に達することができないのではなかろうか。 ---------------「意見広告の会」ニュース163---------------------- ＊ニュースの配布申し込み、投稿は、 -------------------- 2004年6月16日(2) 教員組合から、昨日付けのウィークリー文書（教員組合ウイークリー：6月14日号）の補足説明が送られてきた。労働法関係諸規定をあげており、きわめて重要である。以下にコピーしておこう。労働法体系について、非常によく調査して、理路整然としていると考える。 ----------------------- 後任採用に際して適法な手続を踏むことの要求 （補足説明） 1.はじめに この要求は、先に提出した「交渉要求の申し入れ」（5月28日付け、横浜市立大学改革推進本部最高経営責任者孫福弘氏および同推進本部事務局宛）における要求、すなわち、法人化に伴う労働条件などの変更については適法な手続に従いすみやかに教員組合と交渉に入るようにとの要求を補足説明し、最高経営責任者を含む大学改革推進本部事務局の公務員としての、そして法治国家の善良なる市民としての遵法を促すものである。 法人化によって、適用される法律は労働基準法などの民間の使用者・労働者を律するものとなる。さらに、大学改革諸案で謳われている教員の任期制を導入する場合、労働基準法と大学の教員等の任期に関する法律の適用をうける。これらの法律は、以下に詳述するように、文部科学省への申請の手続上進められていると聞き及ぶ後任採用における諸手続に、そして法人に承継される現教員の労働条件などを規定する就業規則制定などの手続に、不可分一体のものとして適用される。 ゆえに、後任採用の手続は、就業規則制定の手続を含む関連諸法規の適法な手続を踏まずには進めることはできない。その適法手続の一つとして教員組合との交渉をすみやかに始めることを再度要求するものである。 2.後任採用手続きにおける諸法規の適用 この節では、後任採用手続きの時間的流れにそって、どのような法規の適用がなされているかを明らかにする。任期制を導入する場合にさらに必要となる諸手続についても触れる。 2-1.後任の募集 2-1-1.労働条件明示の必要性 後任の募集を行う際には、募集要項に、業務内容、契約期間、労働時間、賃金などを誤解のないように明示しなければならない（職業安定法第5条第3項、第42条、同施行規則第4条の二）。 2-1-2.医学部教授公募要項の問題点 5月21日付けで大学ホームページに公開された医学部教授の公募要項は、労働時間、賃金などには一切触れていない。また、採用（予定）時期、つまり、契約開始（予定）時期も示されていない。さらに、「また、本学では平成17年4月に大学改革・独立行政法人化を予定しております。従いまして、平成17年4月以降は採用の条件、処遇などが変更になる場合がございます」と但し書きをつけているが、法人移行期という諸事情を考慮しても、重要な労働条件が全く不明という募集の仕方は、職業安定法の精神からも違法の疑いを免れない。 さらに、募集時に提示される労働条件と契約締結時に提示される労働条件が大きく異なることは、労働者側の交渉上の不利益是正を目的とする労働法の精神からも違法の疑いがある（『基本法コメンタール：労働基準法』1999、p.76）。 2-2.後任の内定 2-2-1.労働条件明示の必要性 使用者は労働条件を明示しなければならない（労働基準法第15条第1項）。その明示の時期は労働契約締結時とされている。しかし、締結時とは形式的な契約書の調印時点ではなく、内定、つまり、大学として採用すると決定する時点と法的には解釈されている（東京大学労働法研究会編『注釈労働基準法上巻』有斐閣、2003年、p.280。就業開始以前の内定取り消しが無効されている多くの判例では内定時点で労働契約の締結が成立していると法的判断をしている）。当然、採用決定の前に候補者に労働条件を明示しなければならない。つまり、後任内定の前に、その候補者に対し、使用者は労働条件を明示する義務を負うといえる。 2-2-2.明示すべき労働条件とその明示の仕方 使用者が後任内定前に候補者に明示しなければならない労働条件は、契約期間、業務内容、労働時間、賃金、退職、退職手当支給ルール、臨時に支払われる賃金、賞与、労働者負担の食費・作業用品、安全衛生、職業訓練、災害補償・傷病扶助、表彰・制裁、休職の諸事項にわたる。そして、契約期間から退職までの事項は必ず書面で明示しなければならない（労働基準法施行規則第5条）。他の事項についても、トラブル回避の観点より書面で明示すべきは言うまでもない。つまり、後任内定の前に、その候補者に対し、使用者は詳細な労働条件を書面で明示する必要があるのである。 2-3.任期制を導入する場合 大学の教員に任期制を導入しようとする場合、労働基準法とその特別法である「大学の教員等の任期に関する法律」（以下「任期法」という）が適用となる。後任を任期制契約で採用しようとする場合、特別法である任期法の規定が優先適用される。 2-3-1.任期法に基づき採用する場合に必要な手続 任期法に基づき教員を採用しようとする場合、あらかじめ、当該大学に係る教員の任期に関する規則を定めておかなければならない（任期法第5条第2項）。つまり、任期法に基づく採用募集開始前に大学の規則として任期に関して定めないで募集を開始すれば違法となる。さらに、公立大学法人で学長と理事長が分離している場合、この規則を定めるに際し、当該大学の学長の意見を聴かなければならない（任期法第5条第3項）。そして、この規則は公表されねばならない（任期法第5条第4項）。 教員の任期に関する規則においては、任期の期間のみならず、任期制を適用する組織あるいは職を明示し、さらに、再任の可否、再任に関する事項（つまり、再任の条件）を定めなければならない（大学の教員等の任期に関する法律第三条第一項等の規定に基づく任期に関する規則に記載すべき事項及び同規則の公表の方法に関する省令（平成九年八月二十二日文部省令第三十三号）第1条）。 2-3-2.労働基準法第14条の有期契約の場合に必要な手続（参考） 参考までに、労働基準法第14条の有期契約の場合に採用手続きとして必要なことを確認する。労働基準法第14条第2項に基づき、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準（厚生労働省告示第357号）に契約締結時の明示事項が定められている。それによれば、使用者は、更新の有無と更新（非更新）の判断基準を明示しなければならない。労働基準法第15条の適用を考慮すると、使用者は任期制の重要事項である更新の有無及び更新の判断基準の関して詳細な（具体的な）事項を書面で明示する義務を負うと考えられる。 このように、労働条件の明示は労働契約締結時（採用内定前）に、詳細かつ十分に行われなければならない。任期制（有期契約）の更新に関する詳細な条件もその中に当然含まれるのである。さらに、大学教員については、研究・教育への不当なあるいは恣意的な介入を防ぐため、任期に関する規則の事前制定、教員組織（学長）が関わる規則の制定・変更、規則の公開という強い要件が課されているのである。 2-4.必要となる手続のまとめと現状 後任採用の手続において、募集・内定段階で使用者は任期制の詳細を含む労働条件を詳細かつ十分に明示されなければならない。さらに、任期制を導入するためには、募集以前に学内の任期に関する規則の制定・公表が不可欠である。 しかしながら、現時点（2004年6月5日）において、大学改革推進本部及びその事務局は法人に承継される現教員に対する（導入が謳われている任期制の詳細を含む）労働条件あるいはその提案さえも一切明らかになっていない。また、病院教授以外は任期に関する学内規則は存在しない。このような状態で後任採用の適法な手続ができるのであろうか。 3.就業規則などの制定手続との関係 後任採用手続き上明示すべき労働条件は個別労働契約の問題であり、就業規則、労使協定、労働協約などの集団的労働契約に示される労働条件とは無関係であるという考え方は誤りである。以下に示すように、個別労働契約の労働条件は集団的労働契約の労働条件によって制約、規定される。 3-1.就業規則による制約、規定 公立大学法人の理事長は使用者として就業規則を作成し、行政官庁（労働基準署）へ届け出なければならない。（労働基準法第89条）そして就業規則に定めなければならない事項は、労働時間、賃金、退職、退職手当支給ルール、臨時に支払われる賃金、賞与、労働者負担の食費・作業用品、安全衛生、職業訓練、災害補償・傷病扶助、表彰・制裁の諸事項であり（同法同条）、これら事項は労働契約締結に際し明示しなければならない事項の多くと同じである。さらに、就業規則の作成にあたっては、労働者の過半数を代表する者（あるいは過半数で組織する労働組合）の意見を聴かなければならない（労働基準法第90条）。この就業規則の効力は個別労働契約を制約する。「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則に定める基準による」（労働基準法第93条）。 つまり、後任採用手続き上明示すべき労働条件は、使用者が就業規則も定めず勝手に提示できるものではなく、法人に承継される教員（過半数労働者代表）の意見を聴いたうえ作成された就業規則の内容でなければならないのである。なお、後任として採用する労働者に別個の就業規則を適用する場合にも、別個の就業規則も本則と一体のものと見なされ、作成、届け出なければならない（東京大学労働法研究会編『注釈労働基準法下巻』有斐閣、2003年、pp.1003-1004）。 3-2.労働協約による制約、規定 公立大学法人の使用者と労働組合が（労働組合法第14条の）労働協約を締結した場合、就業規則は労働協約に反することができない。（労働基準法第92条）就業規則の労働条件が労働協約のそれを下回る場合には、労働協約の規定が有効になる。 つまり、後任採用手続き上明示すべき労働条件は、すでに作成された就業規則と労働協約のうちの労働者側に有利な内容となるのである。ゆえに、労働協約がどのような内容で締結されるかわからない状態で後任採用手続き上明示すべき労働条件を提示することは手続上不可能である。 3-3.労使協定による制約、規定 公立大学法人の使用者は、労働基準法に定める規定を越えて労働時間延長あるいは休日労働をさせるためには、労働者の過半数を代表する者（あるいは過半数で組織する労働組合）と書面による協定（いわゆる36協定）を結び、行政官庁（労働基準署）に届けなければならない（労働基準法第36条）。労働基準法が定める労働時間、休日は定型的なものであり、多くの事業所ではこの協定を結ばないと業務に支障が生じる。言うまでもなく、労働時間延長や休日労働は労働契約締結時に明示すべき労働条件の一部である。 つまり、後任採用手続き上明示すべき労働条件のうち、労働時間延長や休日労働については36協定が結ばれて初めて確定するのであって、協定が結ばれない前に労働条件として提示することは手続上不可能である。 3-4.集団的労働契約に関し必要となる手続と現状 後任採用手続き上明示すべき労働条件は、就業規則の作成、届出、労働協約の締結、36協定の締結を経て初めて確定できるものである。これら集団的労働契約の締結後でなければ、後任採用の募集、内定へ進むことは手続的に不可能となる。 しかしながら、現時点（2004年6月5日）において、大学事務局、大学改革推進本部及びその事務局は法人に承継される現教員によって組織される教員組合からの呼びかけにも関わらず、就業規則、労働協約、36協定などの集団的労働契約の交渉に入らないだけでなく、誠実な回答・返事をすみやかに行うことを怠ってきている。このような状態で後任採用の適法な手続ができるのであろうか。 4.最後に 以上見てきたように、後任採用手続きを適法に進めていくためには、公立大学法人横浜市立大学の使用者の立場になる者は、すみやかに、過半数労働者代表（あるいは過半数組合）との就業規則、労働協約、36協定などの交渉に入り、明示すべき労働条件を確定する作業に入らなければならない。教員組合は再度この点を要求する。 2004年６月11日 横浜市立大学教員組合 ---------------- 2004年6月16日(1) 公立大学の法人化に伴う種々の問題（大学の自治・学問の自由、教員の勤労条件等）が発生している。制度転換にともなって法人と研究教育の主体的担い手である教員集団とのあいだでは勤労条件などの相互理解と協定（契約）が必要だが、昨日の教員組合からの情報（教員組合ウイークリー：6月14日号）でも明らかなように、一方的な態度が横浜市大学改革推進本部・法人サイドのやり方に見られる。そうした諸問題を検討するためのシンポジウムが開かれるようで（「全国国公私立大学の事件情報」6月15日付）である[20]。「大学の自治」・「学問の自由」は、拱手傍観していて守られるものでもなく、発展進化させられるものでもなかろうからである。会議の主催は、「大学問題各界懇談会、横浜市立大学教員組合」のようで、本学教員組合の主体的活動の一環であり、事務局など各界懇談会の中心は、今回の場合は日本科学者会議のようである。 --------- 公立大学問題シンポジウム 現在、東京、横浜、大阪など各地の自治体で公立大学の「改組」、「改革」が行われようとしています。しかしその内容は、横暴とも言える行政の介入や、公的教育の放棄など、極めて問題の多い状況になっております。 主催：大学問題各界懇談会、横浜市立大学教員組合 問い合わせ先・事務局：日本科学者会議 〒113-0034 東京都文京区湯島1-9-15茶州ビル9F Posted by 管理者 : 掲載日時 2004年06月15日 00:40
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Camellia News No. 25, by the Committee for Concerned YCU
Scholars
大学政策の抜本的な転換を強く求める
―国立大学法人の発足にあたって―
この４月、国立大学は、教職員を非公務員とする国立大学法人とされて再出
発した。政府による運営費交付金の削減や中期計画・目標の数値化の押付けな
どに早くも現れているように、国立大学法人は基本的な教育研究を行なう財政
基盤を絶たれた上で、国策による統制下で「競争」を強いられることとなった。
1998年の大学審議会答申に始まり、国立研究機関等の独立行政法人化、調査
検討会議への国大協の参加、財政誘導の「遠山プラン」、教特法に基づく大学
自治の法的保障を奪う「最終報告」、2003年７月の強行採決による国立大学法
人法の成立の経緯を見ると、財界の意向に沿った二つの流れ、即ち、公教育や
基礎研究への国家支出の削減という「行革」と、大学の教育・研究への国家的
管理・動員をはかろうとする「大学の構造改革」とが中心軸として貫かれてい
る。学問・研究の自由を保障する大学の自治への介入と権限剥奪、「評価」と
称しての介入・管理・財政制御等、様々な仕掛けが、国立大学法人法には導入
されているのである。
こうした大学の変質は、国立大学にとどまらず、既に公立・私立大学に及び、
競争原理とトップダウンの運営に拍車がかけられる状況が現実のものとなって
いる。特に東京都立の４大学、横浜市立大学をはじめとする公立大学では、国
立大学法人化の過程と比較しても、常軌を逸していると言わざるを得ない程に
露骨で破壊的な行政の介入が行なわれている。
本来、「知の世紀」といわれる21世紀においては、大学の創造的改革によっ
て、人類の普遍的価値である「学問の自由」と「教育への権利」の確立が求め
られているのである。それを通じて真理を探究し、知を継承・発展させて、人
類的課題の解決に寄与し、人類の利益や福祉に奉仕しようとすることは、大学
固有の社会的責任である。
日本科学者会議は、この原点に立って、人々の期待に応え、科学に携わる者
の果たすべき役割を自覚し、真の大学の発展をめざしてこれまでに数多くの見
解を発表し、提言を行なってきた。
「学問研究の自由を保障する大学自治の拡充」、「教育・研究環境の整備」、
「基礎研究の重視」や「調和のとれた多様性のある学問・研究の発展」のため
の大学改革こそがわが国に必要である。しかし、国立大学の法人化はこれに完
全に逆行する歴史的愚挙であり、国民の期待や国際的潮流に反するものである
事は既に明らかである。こうした法人化の道は早晩破綻を免れないものである。
私たちは、大学政策の抜本的な転換を強く求め、各大学で、教育研究と大学
自治、教職員・学生の権利と地位を守り抜くよう全力を挙げることをここに表
明する。
２００４年５月３０日
日本科学者会議
都立大の危機 --- やさしいFAQ
ダイレクト・ジャンプ T-1, T-2, T-3, T-4, T-5, T-6, T-7.
さて，就任承諾書を出さない教員はどうなるか？ 「首大」に就任しないと宣言したわけだから，その後の選択肢は， (1) 都立大教員として2010年まで勤務する，(2) 他大学へ移る， (3) 退職する，の３つになるだろう。
就任承諾書を出さない教員がいっぱい出たらどうなるか？ 当然，その教員の科目がなくなるわけだから，様式３の方も変ってしまう。いやいや，文部科学省に出した申請書と内容が変らないようにすることができなくなるから，当然修正をするように追い込まれるだろう。果たして，修正ができるのか，また，修正したぐらいで抜けた教員の分を補うのができるのかは，これからの就任承諾書の提出具合いを見ないと分からない．．．
例えば助手や助教授の場合，今年中になんと昇任審査に応募できるらしい[06/11/04 修正]。そこで，注意しなければいけないのは， 例えば助教授の人が教授になるという昇任が認められたら，その人は自動的に（強制的に）「任期制・年俸制」を選択させられる という点だ。もし逆に昇任がなかったら，いわゆる「旧制度」という名の現行維持に見せかけたいじめ制度（給与据え置き昇任なし）を選択するか，「任期制・年俸制」を選択するかのチャンスが与えられる。
確かに昇任審査を受けるかどうかは(強制ではなく）個々人の判断に委ねられている。「私は昇任審査を受けたくない」と言うオプションがあるにはあるのだが，うっかりこの昇任審査にのってしまうと大変なことになる[04/06/11追加]。つまり，ついこの間までの話では、教員が「旧制度」と「新制度」を選べると言っていたのに，その前に「昇任審査」を選択してしまうと，
「昇任」が認められた教員は強制的に新制度という名の「任期制・年俸制」を押し付けられるということなのだ[06/11/04 修正]。こんな話ではなかったはずだ。このような状態を雇用状態の不利益変更が起きたと見なせないはずがない。例えば，わしが就任承諾書を出して「旧制度」を選択したいと思っても，「昇任審査を今のうちにうけておきます！」と言って審査を受け，助教授から教授になることが決定してしまうと，「旧制度」を選ぶという選択肢がなくなってしまう[06/11/04 修正]。
つまり，わしが「任期制・年俸制なんていやだー！」と言っても 「はっはっは，ホーカス先生はあまい！ 昇任したものは，任期制・年俸制なのじゃ！」 と言われてしまう。なんかとっても卑怯な手法だ。
2004年5月20日に行われた第3回経営準備室運営会議に（案） として示されているのだが，決定されたのかどうかは未だに不明だ。この頃の経営準備室運営会議の資料は，何が決定されたのかちっとも分からない。いつものパターンだと，議題に上がっただけで自動的に決定されてしまう可能性が高いのだが，困ったものだ。
基本的な考え方
○ 平成１６年度中に既存四大学の助教授、助手の首都大学東京における教授、准教授への昇任審査を行う。
○ 首都大学東京への就任を予定している助教授、助手を対象とする。
○ 教育研究上、特に顕著な業績をあげた者を昇任させる。
○ 昇任規模は、首都大学東京の運営費交付金額、設備環境面を考慮して決定する。
○ 昇任が認められた教員は、任期制、年俸制による「新制度」を適用することとする。
○ 昇任が認められなかった教員は、「新制度」、「旧制度」のいずれかを選択できるものとする。
応募資格・方法
○ 応募資格
＜助手から准教授への昇任の場合＞
・平成１７年４月１日現在において６３歳未満の者
・助手歴３年以上
＜助教授から教授への昇任の場合＞
・平成１７年４月１日現在において６３歳未満の者
・助教授歴５年以上
○ 応募方法
応募資格者が直接新大学設立本部に応募
qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
＊＊ 目次 ＊＊
１ 真に、かつ、種々の意味で危機を迎える都立大
１－１ 都立大「改革」問題の集い 「都民の会ニュース」から
１－２ 教員の任期制・年俸制導入について 東京都が再検討 「読売新聞」
１－３ 新法人における雇用制度に関する緊急要求
東京都立大学・短期大学 教職員組合
１－４ 助手再配置問題に関する緊急要求 同
１－５ ＣＯＥ経済学グループ（の一員）の西澤学長予定者についての発言
１－６ 12AngryMen解説編『世界』論文解説編
１－７ 解説 事務局
１－８ 「意思確認書」について 弁護士見解（再掲）
１－９ 『朝日新聞』2004年6月16日付 「首都大学東京」構想
１－１ 都立大「改革」問題の集い［お知らせ］ 「都民の会ニュース」
都立の大学をめぐる最近の状況について知りたい人たちが、さまざまな立場の大学関
係者からの話を聞ける場のセッティングしました。「都民の会」のこれからの活動方向
を考える基盤を共有することを目指しています
日時：６月２０日（日）午後１時から４時
会場：東京都立大学（予定）
主催：都立の大学を考える都民の会
協賛：東京都立大学・短期大学教職員組合
テーマ：いまどうなってるの？都立の大学 ～教員・学生から話を聞く会
内容：
第一部 大学当局者から話を聞く［予定］
第二部 教員・学生から話を聞く［依頼中］
※四大学教員署名の会、開かれた大学改革を求める会、都立大学短期大学教職員組合、
学生、院生、助手からの発言を依頼中です。
※二部終了後に１時間程度、集会を受けて「都民の会」の今後の活動について議論する
懇談の場を設けたいと思います。世話人以外の方でも、こちらにも是非ご参加下さい。
１－２ 「首都大学東京」の大学院は６研究科 東京都が概要決定
「読売新聞」2004.06.15
都は十四日、来年春に開学を予定している「首都大学東京」の教育内容などを検討す
る教学準備会議（座長＝西沢潤一・学長予定者）を開き、二〇〇六年春に設置予定の新
大学院の概要を決めた。新大学院には、「都市環境科学」「システムデザイン」「人間
健康科学」「人間・社会・文化科学」「法律・政治・経営」「理工学」の六つの研究科
を設置する。それぞれの教員配置や学生数などについては、七月中に中間案を取りまと
める。また、教員の任期制・年俸制導入については、学長、総長を通じ、教員の意見を
聞いた上で検討するとした。
「新法人における雇用制度に関する緊急要求」と「助手配置問題に関する緊急要求」を
大学管理本部へ提出
東京都大学管理本部長 山口 一久殿
新大学設立本部長 山口 一久殿
経営準備室長 高橋 宏 殿
新法人における雇用制度に関する緊急要求
２００４．６．１４ 東京都立大学・短期大学 教職員組合
中央執行委員長 山下 正廣
私たちは２００４年５月７日に「都立の大学の法人化に伴う教職員の身分・労働条件
に関する要求（第１次）」を提出し、それに対する大学管理本部の名による「考え方」
を２００４年５月２０日に受け取っています。当局の「考え方」は、私たちの要求に正
面から応えるものではなく、表題にあるとおり、たんに管理本部の問題認識が述べられ
ているのに過ぎず、要求に対する回答としての具体性に欠けていると言わざるを得ませ
ん。もちろん、現時点で私たちと当局との「考え方」に隔たりのあることは組合として
も認め、今後の交渉、協議で溝を埋めてゆくつもりですが、一方で管理本部が一方的に
設定した「就任承諾書」の提出期限も迫ってきています。
そこで、６月７日にも「『就任承諾書』『意思確認書』提出にあたっての５項目要求
」を送付し、組合の基本的立場をり焦点を絞って説明したところです。
新大学、新大学員の教学設計上や、法人の構想、助手の処遇など「就任承諾書」の提
出を躊躇させる事項は多々ありますが、それらの中で、組合がもっとも中心的に関与し
なければならない新大学法人での教員の雇用に関して、先の第一次要求、５項目要求を
継続的に交渉してゆくための最低限の条件を改めて提案します。この提案に、新大学法
人の責任者が「就任承諾書」提出期限前に明確に答えるようお願いいたします。
１ 現４大学に在職している教員のすべてを本人の意志に反しない限り、新法人にお
ける正規常勤職員として差別なく継承することを確約すること。
２ その上で、教育研究審議機関（あるいはその準備機関）で慎重に審議しのちに、
「任期付き教員」のポスト、賃金、労働条件。評価基準・再任基準を明示して「任期付
き教員」の募集を行うこととすること。
この二つの要求は、地独法、大学教員任期法、労働基準法に照らしてもあまりにも当
然の要求です。
すでに昨年来繰り返して訴えてきたように、現在の教員すべての公立大学教員として
の身分は「別に辞令を発せられない限り」自動的に（本人の意志に関わりなく）法人職
員に移行継承される（地独法５９条）のです。したがって当然、退職しない限り法人の
正規常勤職員とならざるを得ないのです。
また、学部学生の教育（しかも「基礎教育」を重視した！）を行う総合大学のすべて
の分野が「任期法」に言うところの「多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織
」ではあり得ず、それは教育研究の専門家が責任をもって慎重に検討した上で限定、特
定されるべきであることも言をまたないでしょう。本人の自由意志での同意が必要なこ
ともまた法で定められていることです。
さらに、当局の計画、「任期法」と「労基法」１４条の併用によって、全教員の任期
付き雇用」を可能にしよう、という狙いの違法性は以下からも明らかでしょう。
ひとつは、今年度の労基法の改正にあたって衆参両院での付帯決議で、「労働契約期
間の上限の延長にあたっては、常用雇用の代替を加速化させないように配慮するととも
に、有期雇用の無限定な拡大につながらないように十分な配慮を行うこと」と強調され
ていることです。
また、厚生労働省や労働基準監督署から事業主への注意として、「今回の改正を契機
として、例えば、これまで期間の定めのない契約の労働者を採用することとしていた方
針を有期労働契約の労働者のみを採用する方針に変更するなど、有期労働契約を期間の
定めのない契約の代替として利用することは、今回の趣旨に反することとなりますので
、留意してください」、「労働者との間に期間の定めのない労働契約を締結している場
合には、その労働者との間の合意なく契約を有期労働契約に変更することはできません
」とされていることです。
加えて、「任期制」の導入にはまず、定款およびそれに基づいた規則の制定がなけれ
ばなりません。任期制のみならず、現行と大きく異なる雇用形態（労働契約）に変える
のであれば、当然その必要性や具体的な条件を明示的に示すこと、つまり教員が納得し
て応じる判断材料の提供がなければなりません。そのために、「大学教員任期法」や仮
に「労基法」で「任期」を定める場合には、雇用者がその規則（就業規則）を「あらか
じめ定める」ことを規定しているのです。
いずれにせよ、教員が「任期制」に応ずることは強要されるべきではなく、十分な条
件の提示があってはじめて同意、選択するものです。また、「十分な提示がなされた」
か否かは、当局が判断することではなく、教員自身とその代表である組合が判断するこ
となのです。
以上のように、２点の緊急要求は現大学に働くものとして当然の要求です。
これらに、当局が誠意を持って応えない場合は、組合は「就任承諾書」の不提出が極
めて合理性をもつと判断せざるをえず、また、例え提出がなされたとしても、それは労
働契約を確定したものではなく、今後の当局の提示する労働条件の内容によっては、「
就任」の撤回という深刻な事態になる可能性を指摘しておきます。
東京都大学管理本部長 山口 一久殿
新大学設立本部長 山口 一久殿
経営準備室長 高橋 宏 殿
１－４ 助手再配置問題に関する緊急要求
２００４．６．１４ 東京都立大学・短期大学 教職員組合
中央執行委員長 山下 正廣
５月２０日に経営準備室提案として出された「研究員」の目標数の設定・配置等に
ついて」に関して、私たち組合は、これは明らかに現助手の勤務・労働条件の重大な変
更となるまのであり、組合との誠実な交渉、協議を経て決定されるものと認識していま
す。したがって、これまでの団体交渉の中で明らかになったことをふまえて、以下のよ
うな対案を提出し、今後の交渉の継続を要求します。その前提をおかずに「意思確認書
」の提出を要求することに組合は強く反対します。
１．助手の「再配置（配置換え）」案を凍結し、法人化後に「教育研究審議機関」の
下での中期的な検討課題とすること。
［説明］これまで団交の中で明らかになったように、当局の「目標数」なるものの根拠
がもっぱら「経営的観点」と機械的な平準化論に基づいており、助手の教育研究、とく
に新大学における学生や院生の教育上の職務を考慮したものではないことを当局自身が
認めています。一方で「研究員」は個人として研究業績で評価すると言いながら他方で
助手が多いコースと少ないコースがあって、少ないところからは不満が出る、とか、６
：１とか２：１という比率は実験実習の多寡で決めたなどと言い、挙げ句の果てには学
部構成もカリキュラムも無関係に立命館などを参考にしたなどと現実の教育研究の内容
と無関係な機械的操作であることを告白しているのです。
新大学の教育課題、研究環境の確定抜きに助手（「研究員」）の職務や研究条件を決
めることはできません。少なくとも新大学および新大学院のカリキュラム等がほぼ確定
した段階で、教育と研究に責任をもつ部署で慎重に検討した上で、中期的な計画の下で
助手配置の目標を設定するべきであることはあまりにも当然です。
２．今年度中に行う「昇任審査」は新法人での労働契約で決まる「任期制」とは切り
離し、審査合格者に制度選択の自由を保障すること。
［説明］ 今年度の「昇任」は新大学におけるものである、というのが当局の唯一の根
拠で、すなわち、「昇任」は新大学への新規採用にあたるという主張をしています。前
段はまだしも後段は組合として認めることはできません。また新大学における「昇任」
のあり方は現在交渉中で決着が付いていない事柄です。しかも、すでに何度も要求して
いるように、組合は「旧制度」が昇任・昇給なしであることを容認していません。助教
授たる資格（教授たる資格）を有することと、労働契約上の「期限の定めのない雇用」
と「期限の定めのある雇用」とはなんらの必然的な関係はありません。後者は労基法に
言う「賃金、労働時間その他の労働条件を明示され」た上で労働者が選択する雇用形態
です。
３．今年度中に行う「昇任審査」はあくまでも現在までの職務、研究業績に関して行う
のであるから、当該助手の在籍している部局、大学の教授会の責任で行うこととするこ
と。
［説明］ 昇任審査の基準も体制もなんら明らかにされていない中では、公正で客観的
な評価が行われるか期待が持てません。これは、現在進められている「傾斜配分研究費
」の評価決定が審査体制の未確定のまま強引になされていることひとつをとってみても
明らかです。研究者としての前途がかかる業績審査をこんないい加減なものに委ねるこ
とは新大学での業績評価や再任・昇任審査への不信、不安を抱かせ、将来にわたって若
く、有能な研究者を遠ざけることになります。現に今働いている助手（助教授）の評価
、審査を、現在の職務遂行状況、研究業績を知る、「顔の見える」体制で行うことは研
究者を評価、審査する上で最低限必要な礼儀です。
１－５ 西澤学長予定者の二枚舌
http://malloc.ddo.jp/tblog/index.cgi?page=FrontPage
西澤学長予定者は、公立大学協会会長名で出された平成15年10月2日の「公立大学法人
化に関する公立大学協会見解」(pdf直リンク注意)において以下のように述べている。
「設置自治体が法人化を選択した場合には、教育研究の特性及びこの特性のもっとも重
要な要素である自主性に常に配慮しつつ、大学側と十分に協議しながら双方の協働作業
として進めていくという姿勢が何よりも必要です。」(5ページ)
「既存の大学が法人に移行する場合には、その大学と理事者側が充分に議論して定款を
決めることになります。換言すれば「大学の特性」への配慮規程を前提にして定款を作
成し、最初の学長の任命に際しても、大学の意向が尊重されなければなりません。」(7
ページ)
他方、3月9日のいわゆる「恫喝文書」では次のように述べている。
「改革である以上、現大学との対話、協議に基づく妥協はありえない」
もしかして、どちらの文書もろくに読まずに署名したのだろうか。
北アジアの思いやり?
2月23日の教学準備委員会の学長予定者発言骨子で、西澤学長予定者は。
現在、一部のコースで意思の疎通ができていないことは残念である。話し合いを行い、
相互に理解することが大切だ。
と述べている。しかし、私たちは、都から(本質的な意味での)話し合い[1]の申し出な
ど受けたことはないと思う。また、西澤学長予定者と私たちのグループとの間で直接の
話合いを実現しようとする仲介の動き(別に私たちが依頼したわけではない)もあったが
、仲介者によると、(現段階で、したがって白紙委任状態で)新大学に行くと私たちが言
わない限り、話合いになど応じないという反応だったという。
[1]「意思確認書を出せ、出さないと経済学コースをなくすぞ」という一方的通告は何
度も受けた。これが最後だと、何度言われただろうか。2月末くらいから少なくとも5回
は言われたのではないか(笑)。
西澤学長予定者によれば、相互理解を深めるということは「北アジアの特徴、他人への
思いやり」に通じるのだそうだ。しかし、彼の定義による「思いやり」とは、「他人(
他研究分野)の自分(の研究分野)に対する一方的な思いやり」を意味する言葉のようだ
。
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研究成果(単なる幸運や偶然の産物も含めて)に対して，名誉や経済的利益などの報酬が
与えられることはもちろん正当ですけど，その名声を利用して畑違いの分野で力を獲得
しようとするのは，学者として最低ですね。(元半導体学者に大学や学問全般を語る能
力がないのは，岩波の「科学」の例の珍論文を見れば明らか。) - 通りすがり (2004年
04月30日 19時47分07秒)
これのことですね。同僚が雑誌を買ってきてましたが、評判を見ると読むのは時間の浪
費のようなので、私は読んでいません。(^^; - toda
１－６ 12AngryMen解説編『世界』論文解説編
ポイント解説(笑)を書いてみたいと思います。時間の許す限りですが・・・。
論文を読んだ方で、もし解説希望の箇所がおありでしたら、掲示板にでも質問を書き込
んでいただければ、なるべくお答えするようにします。
……
しかし，「外部評価」の積極的な導入を唱える当の管理本部が経済学グループに下した
評価は，これら外部からの評価と全く相反するものであった。すなわち、新大学におけ
る経済学グループの教員定数（ポスト数）を、現都立大学における定員18名から、COE
事業推進者総数16名を下回る13名とし、余剰人員とされた3名を経営学グループに繰り
入れるという配置案を提示した。
他グループとの比較も書いたほうがわかりやすかったかもしれない。
03年8月時点の在籍数
近代経済学グループ 16名
マルクス経済学グループ 6名
経営学グループ 11名
03年9月発表の新大学における定数
近代経済学グループ 13名
マルクス経済学グループ 5名
経営学グループ 20名
ちなみに、このときのコース名が"秀逸"だ。(このときは3コース案だった。)
近代経済学 = 数理経済・ファイナンスコース
マルクス経済学 = 基礎経済学コース
経営学 = 経営学コース
実によく「管理本部が経済学という学問について無知であった」ことを表している。
さらに、学問 (少なくとも経済学分野) の世界が競争社会であるという認識を持ってお
られない方にはややわかりにくいかもしれないので、「近代経済学定数13+経営学所属3
」の実質的意味を解説しておこう。(定数問題?と競争原理の項も参照していただきたい
。)
「近代経済学定数13+経営学所属3」という案は、一見定数16という案と大きな違いはな
いように見えるかもしれない。我々のグループから誰も他大学に転出しない限りにおい
ては、COE事業推進者数16は維持可能だからである。 しかし、この見方は完全な誤りで
ある。『世界』論文の脚注2で述べたように、経済学は研究者の流動性の高い分野であ
る。これは、(査読審査付き国際学術誌に発表された論文の評価を中心として)業績評価
の基準が比較的はっきりしていること、研究遂行のために特段の設備を必要としないこ
とによる。それゆえ、COE事業の推進期間である5年間の間にも、何人かの研究者が入れ
替わることが当然予想される(それは健全なことである)。
しかも、「近代経済学定数13+経営学所属3」という案自体が、東京都が大学の役割とし
て研究面をまったく考慮していないことを如実に表しているのだから、通常予想される
よりも転出のインセンティブは大きくなると考えるのが自然である。したがって、「3
」を上回る転出者が現れるのは時間の問題であり、管理本部による配置案は、実質的に
「定数13のみ」という案に等しい。[1](実際、『世界』論文脚注2に記したように、配
置案の提示後3月末までの間に、３名の研究者が他大学へ転出することとなった。)
[1]仮に採用のためのポストが存在するとしても、COE事業に対する事務的な協力体制も
十分でなく、研究面を軽視する東京都の姿勢が改まらない限りは、優秀な研究者を確保
することはきわめて困難であると言わざるを得ない。
また、COE事業の事務的な協力体制の整備が不十分な状態にとどめ置かれた。詳細は略
すが、補助金交付に伴う事務量の増大が予想されたにも関わらず、東京都の硬直的な規
制が様々な局面で障害となり、専従事務員の雇用や事業推進室の設置は大幅に遅れ、よ
うやく体制が整ったのはもはや04年度末のことであった。
専従事務員の雇用以外にも、(都立大学のではなく)東京都の官僚組織の「硬直的な規則
」の例でには，たとえば次のようなものもある。
我々はCOE予算を有効に利用するために、高い費用を払って設備を学外に借りるのでは
なく、学内遊休施設を有効活用しようと模索した。しかし却ってそのために、椅子や部
屋のしきりなどの購入には(東京都の規則のため)COE予算が使用できず、東京都に予算
上の協力を仰がねばならなかった。紆余曲折の末、それが認められたのはもはや年度末
のことであった。まったく、笑い話のような世界である。(ちなみに、予算自体が不足
していたわけではない。年度内での予算の追加執行要求では、我々の要求の2.5倍が「
ビジネススクール」に対して支出されていた。)
１－７ 解説
（１－２）「教員の任期制・年俸制導入については、学長、総長を通じ、教員の意見を
聞いた上で検討するとした。」
新聞記事に過ぎませんが、都・管理本部が「任期制・年俸制」について（見直しを）
「検討」と述べたのは初めてです。
１６０号でご紹介した「最適戦略」の以下の段階に入り込んだと考えるべきでしょう。
＊＊＊
今回もまたわずかでも有利な条件を引き出すための「条件闘争」にすぎないとみなすの
が(客観的にも、管理本部の観点から見ても)自然だ。とすれば，管理本部にとっての最
適戦略は，ちょうど3月の「意思確認書」問題のときと同じように，上記方針を転換で
きる(人文学部執行部にとっての主観的な)理由となり、「収穫はこの程度で仕方がない
か」と人文学部執行部に思わせる程度の最低限のアメ(もちろん，大半は後日反古にす
る)を差し出して終わりということになるのではないだろうか。
（１－３） 組合要求の特に１は、全く正当な要求です。
１ 現４大学に在職している教員のすべてを本人の意志に反しない限り、新法人にお
ける正規常勤職員として差別なく継承することを確約すること。
特に２月の「意思確認書」に関しては弁護団声明に認められるように、法的根拠が認
められません。ですから、「就任承諾書」は当然、都立の大学のすべての教員に届けら
れなければなりません。ＣＯＥグループのように新大学へ「非就任」の意志を明言して
いる（これは所詮、法的に確認されたものではありません）人々に対しても、届けられ
ねばならないはずのものなのです。
ところが、その「就任承諾書」が全員に届けられているか否か、この点が組合文書で
ははっきりしません。「意思確認書」の提出を拒んだ人々に「就任承諾書」が届いてい
ないとしたら、それははっきりとした差別待遇です。その辺りの所を、組合またその他
の教職員も「外部」に分かるように状況を明確化する努力が必要でしょう。
また、最近「違法」という言葉が多く現れ、確かに例えば、まだ新大学に移行したわ
けでもない本年度の（都立大などの）研究費を傾斜配分する等（上の「就任承諾書」の
件もその可能性あり）、違法行為と思われます。ならば組合等は法的に都と争う（対応
する）べきです。法的に争うというのは必ずしも法廷闘争を意味するわけではなく、例
えばプロ野球選手会が弁護士に代理交渉をしてもらうことなど、立派な法的対応です。
また「意思確認書」について弁護士見解が示されたことも立派な法的対応です。
ところが６／４の重大な教員集会にも弁護士アドバイスがなく、どうもこの間（内々
に相談等はあるのでしょうが）弁護団の活躍も、あまり外部からは認められないようで
す。
弁護士は独立自営の知識の専門家ですから当然相応の謝金が必要で、また特別なケー
ス以外はそうあるべきです（もたれ合いは良い結果を生みません）。余計なお世話かも
知れませんが、当会はいざとなれば可能な限り資金集めの努力もいたしますので、今後
専門の弁護士さんの活躍の姿を拝見したいと思います。
（１－５）「元半導体学者に大学や学問全般を語る能力がないのは，岩波の「科学」
の例の珍論文を見れば明らか。」
西澤潤一氏の『科学』の「珍論文」は、「能力がない」という程度のものではありま
せん。山田風太郎さんに『人間臨終辞典』という書物があり、その武者小路実篤の項の
初期の段階に入り込んでいるような代物です。このようなことは個人の「状況」に関す
る事柄ですから、進んで述べたい事柄ではありませんが、誰かが鈴を付けねばなりませ
ん。西澤氏の『科学』論文は、執筆者が老耄の境遇に達したことを示していると思いま
す。学長予定者として不適任と述べざるを得ないでしょう。『科学』論文の一読をお勧
め致します。
１－８ 「意思確認書」について 再掲
２００４年２月１１日 弁護士 尾林 芳匡
大学管理本部は本部長山口一久名義で都立４大学教員に宛てて２月１０日付けで「『
首都大学東京』就任承諾にあたっての意思確認書の提出について」と題する文書を発し
、２月１６日を期限として署名捺印の上で提出することを教員に求めている。しかし、
これらの文書には多くの疑義がある。
１ 移行の法的手続き
現在進められている現行都立４大学の統合は、現行の都立４大学の人員・設備により
設置される移行型地方独立法人として（地方独立行政法人法５９条２項）であり、教員
は原則として法律上当然に新しい公立大学法人に身分を承継される。移行型であること
については、管理本部も繰り返し言明している。
大学の設置認可手続上も、大学を既に設置している者が「当該大学または当該大学の
学部若しくは当該大学の学部の学科を廃止し、その職員組織、施設、設備等を基に、他
の大学を設置しようとする場合」に教員審査を省略できる（「大学の設置認可の申請手
続等に関する規則」１条）とされているところ、現在の手続は教員審査の省略を前提と
している。
このように、現在準備されているのは、現行都立４大学の移行型地方独立行政法人で
あるし、既存の教員組織を基にする以上、勤務条件について何らかの変更をもたらすこ
とは法令上予定されていないものである。
２ 就任承諾書とは異なる「意思確認書」
今回の文書は、「就任承諾書提出に先立って」行うと記載する一方で、「時間的にも
本調査は最終の意思確認」と記載している。
認可申請にあたり作成・添付される教員の「就任承諾書」は「就任承諾書 年 月
日申請書 宛 氏名 捺印 私は○○大学設置認可の上は、○○学部○○学科○○担当
の専任の教員としてむ、 年 月 日から就任することを承諾します。」と記載する文
書（「大学の設置等の認可申請に係る書類の様式及び提出部数」様式４号その３）で、
学部や学科および担当科目が明記される。
今回の「意思確認書」は、この就任承諾書ではない。そして就任承諾書提出に「先
立」って行う「最終の」確認だとしている点には、論理的な意味での矛盾があり、全体
として理解困難な文書である。
少なくとも「意思確認書」は設置認可申請のために法的に必要な文書ではないし、予
備調査でありかつ最終であるとの矛盾した記載もあり、その法的意味は不明確であると
いうほかはない。強いて解釈すれば、正式な意思表示に先立つアンケートであって、か
かるアンケートとしては最終のものである、ということであり、それ以上の法的意味は
見出しがたい。
３ 教育課程や職務内容・勤務条件との関係
管理本部が現在進めている準備手続では、教育課程の編成等の作業が現行４大学の意
思決定機関である評議会・教授会の議を経ずに進められている。このため教育課程や職
務内容・勤務条件が不明確なままとされている。
職務内容として、たとえば「エクステンションセンター」の教育・研究内容は不明確
であるし、他の新しい名称が付された学部・学科・の内容・体制もいまだ十分には明ら
かにされていない。
勤務条件についても、たとえば管理本部は「任期制」導入を提示しているが、他方で
今回の文書では「特に問題を起こさない限り再任」とも記載している。今回の文書の記
載通りだとすれば、それはもはや法的意味での「任期制」ではなく、その意味するとこ
ろや従来の提示との整合性は不明である。
また給与水準についても、管理本部は任期制を選択しない場合には現行の昇級規定の
適用を廃すると提示していたが、今回の文書には「現行の給与水準を維持する」と記載
しており、この意味も不明確である。
今回の文書自体が「勤務条件の詳細がわからなければ、就任するか否か判断できない
というご意見もあるでしょう」「これから…勤務条件等の詳細を決定していく考えです
」と記載しており、勤務条件が決定されていないことを認めているところである。
このように職務内容や教育研究体制が不明のままで、かつ勤務条件も不明のままで「
意思確認書」の提出を求めることは、それ自体不適切であるし、仮にかかる「意思確認
書」を提出する者があったとしても、それは何ら法的効果のあるものではない。
４ 手続保障の欠如
今回の文書は、その法的意味が不明であるばかりか、職務内容についても勤務条件に
ついての従来の管理本部の提示との関係でも不明確な点が多く、教員の側でも慎重な検
討を必要とする点が多い。そうであるにもかかわらず、管理本部はこれを２月１０日付
で発して２月１６日を提出期限としている。これでは、教員の側の検討と意思決定に必
要な期間がとうてい保障されているとは言えない。
５ 現在の都立４大学をめぐる事態と管理本部の社会的責任
現在の都立４大学をめぐる事態は、大学管理本部が２００３年８月１日に突然従前の
検討体制を破壊して一方的に「任期制」「年俸制」の導入を宣言したことが原因となっ
て生じている。法科大学院設置にあたっての混乱の責任も、大学管理本部にある。
管理本部は、大学の自治の理念をふまえ、速やかに教育課程の編成等の作業を現行都
立４大学の意思決定機関である評議会・教授会における討議に委ねるべきであるし、教
職員の勤務条件については従前の提示に固執することなく職員団体との誠実な交渉を行
うべきである。
以上
１－９ 『朝日新聞』2004年6月16日付
時時刻刻
公立大、存在意義探る
「首都大学東京」構想
「これまでにない新しい大学をつくる」と石原慎太郎都知事の号令で始まっ
た都立大学改革。しかし、都立4大を廃止し05年春の開学を目指す「首都大学東
京」は、設置認可申請を済ませた今も揺らいでいる。都が強行した改革案に、
教員らの反発は根強い。「地元に必要な学問」をテーマに掲げた首都大は、公
立大改革のモデルケースとも位置づけられるだけに、生き残りをかける各地の
公立大も注目する。（山本桐栄）
◇ 都と教授陣、深い溝
最後の勝負－。新大学を担当する都大学管理本部の職員は焦りをにじませた。
都は17日を締め切りとして、新大学の教員に就く最終確認となる「就任承諾
書」の提出を都立4大学の教員計約500人に求めている。リストラせずに全員を
新大学に迎える、というのが都側の基本的な考えだ。しかし、この承諾書はす
んなりと、提出されそうにはない。
124人の教員を抱える都立大人文学部の教授会は3日、「このままでは、就任
承諾書は提出できない」との方針を決定した。新大学から1年遅れで刷新する大
学院構想が明らかにならないことや、教員の任期を5年ごとに更新する任期制と
年俸制導入による教員の身分保障が明確でないことが理由だった。
都は14日、急きょ都立4大学の学長・総長を都庁に集めた。
「給与制度などについては教員側の意見も聞いて考える」。都の担当者はそう
理解を求めたが、学長側からは「そもそも任期制・年俸制には問題がある」と
いう意見も出たという。
長引く混乱の発端は昨年8月、石原知事が、都と大学関係者で作った新大学構
想を「都立大の温存だ」と白紙に戻し、いまの学部構成を一から作り直す構想
を打ち出したことだ。以降、「新しい大学だから、現大学の教員と協議してい
ては改革ができない」と突っぱねる都と、大学側の溝は深まった。
都が集めた承諾書を文科省に提出する締め切りは、7月2日に迫る。多数の教
員分が欠けるようであれば、都が目指す7月認可は絶望的。そうなると大学院の
夏の募集は無理で、高校からの推薦入試も厳しくなる。
人文学部のある助教授は「就任承諾書の提出保留は、新大学でも今の研究が
続けられるような体制づくりを求める最後の手段。ほかに就職口があるわけで
はなく苦しいが、ギリギリまでやるしかない」と話す。2004年06月15日
大学問題各界懇談会・横浜市立大学教員組合主催「公立大学問題シンポジウム」（６月２６日）横浜市立大学で開催！
そこで、公立大学の改革と自治体の関与について検討するために、下記のようにシンポジウムを開催することにいたしました。公立大学「改革」と自治体の役割についての報告とともに、「改革」が進行中の東京、横浜、大阪などの各大学から報告をいただき、議論を進めていきたいと思います。多くの方々のご参加をお願いいたします。
内容：
報告１ 公立大学「改革」と自治体の役割
細井 克彦（大阪市立大学）
報告２ 横浜市立大学「改革」と横浜市政
中西新太郎（横浜市立大学教員組合委員長）
報告３ 東京都立４大学統合・改組と東京都政（仮）
（交渉中）
報告４ 大阪府大学「改革」と大阪府政
大久保博志（大阪府大学教職員組合委員長）
討論 各地の状況、など
大学問題各界懇談会 参加団体：全日本学生自治会総連合、全日本学生寮自治会連合、全国大学院生協議会、日本育英会労働組合、日本高等学校教職員組合、東京地区大学教職員組合協議会、青年法律家協会弁護士学者合同部会、独法化阻止全国ネットワーク、日本科学者会議（順不同）
Tel：03-3812-1472 Fax：03-3813-2363
URL : http://university.main.jp/blog/archives/001220.html