研究業績 | 2003年11月現在 | ||||||
最新刊 | 『ホロコーストの力学 -独ソ戦・世界大戦・総力戦の弁証法-』 | ||||||
青木書店 | 2003/8/刊 | ||||||
10月30日刊行 | ウォルター・ラカー編『ホロコースト大事典』 | ||||||
ホロコースト大事典 | (共訳:柏書房、2003年10月) | ||||||
T 著書 | |||||||
1 | 国家と経済-フランス・ディリジスムの研究 | 共 | 1982年(3月) | 東京大学出版会(昭和56年度文部省刊行助成) | 遠藤輝明編、共著者:広田明,権上康男,大森弘喜,広田功,原輝史,秋元英一、 担当の章「第三帝国における国家と経済−ヒトラ−の思想構造にそくして−」 概要: 国家指導=ディリジスムの第三帝国における特質は何か? ヒトラーの『わが闘争』を丹念に読み解けば、構造的立体的組み立てが明らかになる。彼の個々の言説の背後を貫く民族主義の熱情、ドイツ民族至上主義、民族帝国主義の体系、そこからくる政治運動の論理が明らかになる。第1次世界大戦の敗北の総括と克服としての思想体系、武力を持って世界強国ドイツの建設をめざす捲土重来の思想体系である。 | ||
2 | 西洋経済史 | 共 | 1982年4月 | 青林書院新社 | 松田智雄編の西洋経済史教科書改訂版,遠藤輝明,関口尚志,椎名重明,弓削達,他。 「管理経済とその諸類型」の項目中,「ナチ体制的経済統制」について叙述,政治指導の方向性が経済統制のあり方を決定する。 | ||
3 | 政治と思想-村瀬興雄先生―古稀記念西洋史研究論叢ー | 共 | 1983年9月 | 立正大学文学部西洋史研究室 | 共著者: 木崎良平,三宅立,垂水節子,栗原優,網川政則,三宅正樹,黒川康,延広知児,石塚正英,青木信家,相良匡俊pp.85-119 担当章 「第三帝国における国家と経済−化学工業独占体イ・ゲ・ファルベン社とオーストリア併合] 概要: ヴェルサイユ体制下の世界的競争のために結集したドイツ化学工業が、ナチス権力とともに、まずはオーストリア併合で、現地企業を傘下に収め、南東ヨーロッパへの拠点を構築する | ||
4 | 転換期における資本・労働・国家-両大戦間の比較史的研究- | 共 | 1988年2月 | 東京大学出版会(昭和62年度文部省刊行助成) | pp.123-151広田功,奥田央,大沢真理,他 担当の章 「第三帝国チェコスロヴァキア共和国解体とイ・ゲ・ファルベン」 概要: ズデーテン問題を契機にチェコを解体した第三帝国の膨張とともに、巨大化学企業イ・ゲ・ファルベンもチェコの企業を獲得して、バルカン支配への拠点を築く。 | ||
5 | 1939 ドイツ第三帝国と第二次世界大戦 | 共 | 1989年9月 | 同文館 | pp.19-3pp.151-198共著者:井上茂子、木畑和子、芝健介、矢野久 担当 第1章第2節「政治と経済、国家と経済」 第3章「第三帝国のフランス占領とドイツ経済界」 概要: 政治と経済、国家政策と経済界の利害の密接な相互関係を見ていく見地から、第三帝国のフランス占領でドイツ経済界がどのような行動を取ったかを実証。 | ||
6 | 地域と国家 | 共 | 1992年2月 | 日本経済評論社(科研費出版助成) | 遠藤輝明編著 廣田明、廣田功、大森弘喜、秋元英一 pp.273-319 担当章:第五章地域・民族・国家-両大戦間のズデーデン問題-ハプスブルク帝国で支配的地位にあったドイツ系住民のすむズデーテン地域のナショナリズムの転変を権力状況・経済状況の変化と関連させつつ解明。 | ||
7 | 自国史を越えた歴史教育 | 共 | 1992年11月 | 三省堂 | pp.192ー207西川正雄、伊集院立、黒田多美子、坂野智一、佐藤健生担当章:ドイツ=ポーランドの対話(二)、 概要: 「勧告」と西ドイツの教科書制度 連邦共和国の各州文部省に問い合わせて得られた資料をもとに、歴史教科書の改善のあり方を指摘。今日の日本の歴史教科書問題を考える素材を提供する。 | ||
8 | ドイツ第三帝国のソ連占領政策と民衆 1941-1942 | 単 | 1994年9月 | 同文館 | V+398p. 概要: 我が国ドイツ史(西洋史)研究において未解明の戦時期の諸問題のうち、東方大帝国・世界強国をめざすドイツ第三帝国のソ連占領政策の問題を解明。 ユダヤ人大量虐殺の問題を世界大戦の経過、ドイツ第三帝国の最初の軍事的危機、「冬の危機」、それにつぐ軍事的劣勢化と治安秩序維持の危機と関連させて把握すべきことを実証的に解明。 | ||
9 | 20世紀資本主義の生成ー自由と組織化 | 共 | 1996年1月 | 東京大学出版会(1995年度文部省科学研究費出版助成) | pp.313−342 権上康男・廣田明・大森弘喜他 担当:第10章 ナチ体制下の戦後構想とドイツ資本主義の組織化 概要: ヒムラーや親衛隊エリート・オーレンドルフの戦後構想、「経済の奇跡」の担い手エアハルトの戦後構想、反ナチ抵抗派クライザウ・グループの戦後構想などを紹介し、戦後平和の枠組みが戦時期にさまざまの政治潮流によって、どのように形成されていたかを解明。 | ||
10 | 卒業論文を書くーテーマ設定と資料の扱い | 共 | 1997年5月 | 山川出版社 | 歴史科学者協議会編 担当:「ヒトラーナチスと第三帝国の権力」・・・学部の卒業論文でも、公刊された史料集、ニュルンベルク裁判記録などに挑戦し、その史料への沈潜から、何らか独自なものを見つけ出す必要性を強調。 | ||
11 | 戦後再建期のヨーロッパ経済−復興から統合へ− | 共 | 1998年2月 | 日本経済評論社(平成9年度文部省出版助成) | 廣田功、森建資編 pp.55-95 担当:第二章ドイツ戦後再建の人間的社会的基礎 概要: スターリングラード敗北以降、1ッ戦数百万人以上のドイツ人東方難民・疎開民・被追放民を抱えるにいたる戦後ドイツ、その敗戦直後のドイツ社会で生じた「革命的」根本的な社会的変化をブローシャトなどの研究によって指摘。戦後再建の主体的担い手の人間的基礎を考える。 | ||
12 | 独ソ戦とホロコースト | 単 | 2001年1月 | 日本経済評論社(平成12年度 文部科学省出版助成) なお、本書は、日本図書館協会の第2323回(選定日2001年2月4日)選定図書に選ばれた。学生・院生の諸君には本書の購入が厳しいかもしれないが、地元の公共図書館などに入っている可能性があるので、読みたい場合には図書館を調べてみて欲しい。 | vii+481+47p. ホロコーストの理解において独ソ戦の展開が持つ決定的重要性を実証し、その長期化、敗退過程と世界大戦による劣勢の状況で経済的治安秩序的な諸条件と占領地の民衆および本国の民衆を統合する必要から、治安当局の攻撃の的がマイノリティとしてのユダヤ人に絞られ、危機の深刻化の段階・状況・場に応じて、ユダヤ人抹殺が進むことを帝国(ライヒ)保安本部作成「事件通報ソ連」、ゲシュタポの「国家警察重要事件通報」、ヒムラー個人参謀部文書(ドイツ連邦文書館NS19)などを主として利用しつつ解明。 | ||
13 | ホロコーストの力学 -独ソ戦・世界大戦・総力戦の弁証法- | 単 | 「マルコポーロ」事件の95年以降の既発表論文(『戦争責任研究』、『現代史研究』、『横浜市大論叢』などに掲載)をもとに、ドイツの文書館での史料発掘・検証を踏まえて、大幅に添削を施し、書下ろしの第7章を加え、2002年8月にドイツ短期出張中にコブレンツ文書館で書き上げた。 | 青木書店,2003年8月24日刊行(8月22日発売):http://211.1.114.120/ | 極悪非道な前代未聞の刑事犯に対しても、法廷が証拠資料を冷静入念に調査して、犯罪事実と刑の重さを確定するように、また、医学研究、たとえば癌研究やエイズ研究、その他の不治の病の研究が冷徹果敢に対象に肉薄するように、「二重らせん」発見者J.ワトソンが、遺伝研究、遺伝的なデータが誤用される危険性があるからといって遺伝子研究を中止すべきでないと主張するように、世界史的悲劇ホロコーストを対象とする場合にも、その歴史現象をそれが発生した状況と場において、すなわち、20世紀前半の巨大な諸国家・諸民族・諸政治潮流がぶつかり合う世界戦争の激烈な諸利害・諸要求のせめぎあいと闘いのダイナミックな発展的展開のなかにおいて(一言で言えば弁証法的展開において)、冷静・冷徹に理性的に把握すべきことを方法的要請として主張。 予防歴史学・建設と創造の歴史学としての方法的見地で、歴史・社会・人間における危険な諸要因を解析し、立体的に総合する必要性を、ヒトラー絶滅命令の発布時期を巡る論争を通じて提起。転換の決定的画期=41年12月説の見地。その後の展開は,総力戦の死闘・敗退局面のなかで先鋭化し徹底していく。弱さの表現としての残虐さ!! | ||
14 | ヨーロッパ統合の社会史 | 共 | 2004年1月刊行予定 | 日本経済評論社 | 廣田功氏との共編著、他の執筆者はケルブレ、雨宮昭彦、B.コーリア、小野塚知二、メルレル、新原道信の各氏。 | ||
U.学術論文 | |||||||
1 | ナチスの農村進出-シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州について-(1)(2) | 単 | 昭和49年 | 『経済学季報(立正大学)』、(以下同) | pp.27-41,pp.1-38 概要:ナチスがワイマール末期に於て飛躍的に得票をのばした州であるシュレスヴィヒ・ホルシュタインに焦点を当て,農村民の経済的苦境とナチスの早期的浸透の関連を地帯構造的に探る。 | ||
2 | ニュルンベルク裁判文書と若干のアルヒーフ史料について | 共 | 昭和53年 | 現代史研究会『現代史研究』29 | pp.43−70 共同執筆者:木畑和子 概要:ドイツ現代史研究におけるニュルンベルク裁判文書の意義を解明。 | ||
3 | 「西ドイツ=ポーランド教科書勧告」と西ドイツの歴史教育 (上)(中)(下) | 共 | 昭和60年2月-4月 | 教育科学研究会 『教育』No.449-451 | 共同執筆者:西川正雄,伊集院立 他。 担当部分:(中)No.450, | ||
4 | イ・ゲ・ファルベン社とナチ体制―私的独占体と国家との諸関係― | 単 | 昭和60年3月 | 『経済学季報』第34巻第3・4合併号 | pp.27-102 概要:大戦後の弁護論の論点を批判的に解明することを通じてナチ体制の軍需生産に於いてイ・ゲ・ファルベン社が果たした役割をニュルンベルク裁判関係の一次史料をもとに解明。 | ||
5 | 第三帝国のポーランド占領政策とイ・ゲ・ファルベン | 単 | 昭和61年6月 | 『経済学季報』第35巻第1号 | pp.95-132 概要:第三帝国はポーランドに対し電撃戦によって攻撃し,回廊部分を併合し,残りを総督府の支配下においたが,イ・ゲ・ファルベンはこの過程でポーランドの3企業を掌中にし,化学生産を掌握した。その過程を一次史料にもとづいて解明。 | ||
6 | 第三帝国支配下のズデーテンラントにおける経済的社会的状態 | 単 | 昭和62年3月 | 『経済学季報』第36巻第4号 | pp.123-137 概要:ブラウマンドルの開拓者的業績の批判的紹介。ズデーテンラント住民の経済的状態と政治的潮流の関係を解明。 | ||
7 | ドイツ第三帝国とイ・ゲ・ファルベン―企業史に関する最近の研究の批判的検討― | 単 | 昭和63年3月 | 『経済学季報』第37巻第4号 | pp.75−120 イ・ゲ・ファルベン者に関するピーター・ヘイズの研究『工業とイデオロギー―ナチキにおけるイ・ゲ・ファルベン―』が持つ問題点を検討。東ドイツのイ・ゲ・ファルベン批判の見地、ニュルンベルク裁判の見地の問題性を踏まえつつ、企業史の批判的研究に求められる要件を考えた。 | ||
8 | 電撃戦から総力戦への転換期における四ヶ年計画 ―ドイツ戦争経済の一局面 (一)(二) | 単 | 昭和63年10月・12月 | 『経済学季報』第38巻第2号、第3号 | pp.51-93、pp.87-151、概要:1942年春、四ヶ年計画庁は総力戦への転換に伴ってそれまでの活動を総括する極秘文書を作成した。これを詳細に紹介して、ドイツ戦争経済が抱えていた問題を解明。 | ||
9 | ズデーデン問題の発生と展開―民族問題と地域・国家、権力政治との関連で― | 単 | 平成元年12月 | 『経済学季報』第39巻第3号 | pp.1-60、概要:十九世紀末チェコ人・ナショナリズム運動の展開から第一次大戦によるチェコスロヴァキア共和国成立の過程で、ドイツ人が支配民族の地位からマイノリティに転落。それを抱え込んだ新生共和国の問題性を一次史料で解明。 | ||
10 | 民族問題と地域・国家―国際的権力政治とズデーテン問題― | 単 | 平成2年3月 | 『経済学季報』第39-4号 | pp.143-166、概要:恐慌期前後のズデーデンにおけるドイツ民族主義の高揚激化とドイツにおけるナチス権力掌握との関連を、我が国では未解明の一次史料で追跡。 | ||
11 | ドイツ第三帝国のオランダ・ベルギー占領とその軍事経済的利用 | 単 | 平成3年6月 | 『経済学季報』第40-4号 | pp.29-74、概要:わが国では未開拓のベネルクス諸国にたいするドイツ第三帝国の占領政策を解明。 | ||
12 | ドイツ第三帝国の占領政策と民衆意識の変遷 -オランダ・ベルギー・ルクセンブルクを中心に- | 単 | 平成3年9月 | 『経済学季報』 第41-1号 | pp.37-110、概要: ライヒ(帝国)保安本部第V局・内国情報部が作成した「秘密民情報告(Meldungen aus dem Reich)」(一次史料)を基礎的な素材にして、民衆がドイツの占領政策にどのように反応していったかを解明。 | ||
13 | ドイツ第三帝国のソ連占領政策(一)(二)(三) | 単 | 平成4年3月10月、12月 | 『経済学季報』第41巻-3・4合併号第42-1,第42-2号 | pp.3-106, pp.33-103,
pp.1-104 概要:戦後世界を規定した強国ソ連の生成過程をドイツ第三帝国との戦い、それに勝利する過程に焦点をあて、わが国で未解明のドイツ占領政策を一次史料によって追跡、解明。 |
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14 | ドイツにおける戦後改革―その主体的要因を手がかりに- | 単 | 平成4年4月 | 『土地制度史学』第135号 | pp.35-47 1992年度土地制度史学会の秋季学術大会共通論題報告 | ||
15 | ヨーロッパの戦後改革−フランスとドイツ− | 共 | 平成4年5月 | 有斐閣『社会経済史学の課題と展望』 | pp.328-334 共著者フランス(廣田功)概要:冷戦の解体、東欧社会主義圏の消滅を踏まえて、戦後改革が持った意味を解明する必要性を研究史的に指摘。 | ||
16 | ゲシュタポ報告にみる国家敵対的事件の諸相― 1941 年夏― | 単 | 平成5年9月 | 『経済学季報』第43巻第1号 | pp.1-106概要:ライヒ(帝国)保安本部の極秘情報、「事件通報ソ連」や「国家警察重要事件通報」などの第一級の一次史料をもとに、戦時下の経済的困難と民衆の動向との関連を解明。 | ||
17 | 独ソ戦勃発初期ライヒと占領地の「平穏」と「不穏」の重層構造 | 単 | 平成5年10月 | 『経済学季報』第43-第2号,第3号 | pp.1−73、pp.1−73概要: ライヒ保安本部の秘密報告によって、独ソ戦初期の治安状況を追跡。ホロコーストの始動諸要因を解明。 | ||
18 | 『冬の危機』総力戦への転換と占領地の治安秩序(1)(2) | 単 | 平成5年11月/平成6年9月 | 『経済学季報』第43巻第第4号/第44巻第1号 | pp.1-51pp.1-70概要:1941年秋から冬にかけてソ連占領地における危機と民衆の意識構造をライヒ保安本部などの一次史料で解明 | ||
19 | スターリングラード敗北と総督府の全体状況 | 単 | 平成6年11月 | 『経済学季報』第44巻第2号 | pp.1-85総督府の統治体制の危機状況を連邦文書館Bundesarchiv N19 ヒムラー幕僚文書などで解明。ホロコーストの背後にあった占領統治構造の問題性をえぐる。 | ||
20 | 「七月二〇日」事件前夜のドイツ人民衆の動向−民衆の「麻痺」の構造の理解のために」 | 単 | 平成7年 | 『経済学季報』第44巻第3・4合併号 | pp.1-56 1944年初夏、ソ連軍はドイツ国境に迫り、西部戦線では米英軍のノルマンディー上陸によって、東西両戦線でドイツ軍の崩壊は目前となった。その段階での民衆の意識状況、新たな「匕首伝説」的状況について、秘密警察ドキュメントを中心素材にして解明。 | ||
21 | ドイツ第三帝国の戦争政策の展開とホロコースト | 単 | 平成7年 | 日本の戦争責任資料センター『戦争責任研究』第8号 | pp.17-21月刊誌『マルコポーロ』に出たアウシュヴィッツ否定、ガス室否定の暴論を批判する視座を確定するために、ナチ国家機関、占領機関の秘密資料など物的証拠をもとに、戦争政策、戦局の展開とユダヤ人虐殺政策の展開を関連づけたもの。 | ||
22 | 疎開と逃避行、追放による難民化 −敗戦前後の東部地域のドイツ人民衆− | 単 | 平成7年9月 | 『経済学季報』第45巻第1号 | pp.1-64 敗戦直前と敗戦の過程におけるドイツ人民衆の動向、東部ドイツ・東欧から追放された一千数百万人の運命について、わが国ではまったく紹介されていない一次史料をもとに、解明。 | ||
23 | アウシュヴィッツの真実とホロコースト研究の現段階−「アウシヴィッツの嘘」の虚妄性 | 単 | 平成7年12月 | 現代史研究会『現代史研究』第41号 | pp.1-22 概要:ネオナチ、人種主義潮流が賞賛する似非化学的・似非科学的なロイヒター・レポート、および「ルドルフ鑑定書」を欧米の歴史科学の成果に依拠しつつ事実に基づいて批判し、同時に、ホロコースト研究の到達点をサーベイ。 | ||
24 | ホロコーストとアウシュヴィッツの真実−第三帝国の戦争政策の展開とユダヤ人大量虐殺− | 単 | 平成7年 | 『経済学季報』第45巻第2号 | pp.1-58 概要:アウシュヴィッツのガス室の構造、死体焼却、ガス室の機密性・換気扇などの能力アップなどについて、最新の研究と一次ドキュメントをもとに解明。「アウシュヴィッツの嘘」の議論の虚妄性を明らかにして批判 | ||
25 | 独ソ戦の展開・世界大戦化とホロコーストの力学 | 単 | 平成10年3月 | 横浜市立大学紀要・社会科学系列・第1号,1998年 | pp.81-123:ブラウニング、栗原優などの研究の批判的検討, ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅政策への転換を「冬の危機」「真珠湾攻撃」と対米戦線布告などによる戦争の泥沼化、文字どおりの世界大戦化と関連させて理解。 | ||
26 | ホロコーストのダイナミズム−「絶滅政策」に関する史料批判と史料発掘の意義 | 単 | 平成10年6月 | 日本ドイツ学会『ドイツ研究』第26号 | pp.20-33. カーリン・オルト、クリスチャン・ゲルラッハの最新の史料批判と資料発掘の意義を紹介し、ホロコーストのダイナミズムを独ソ戦の展開、および世界大戦化との関連で見ていくとき、絶滅政策への基本的転換が「冬の危機」、1941年12月以降と見なければならないことを強調。栗原批判の第二弾。 | ||
27 | ユダヤ人東方移送政策とウッチ・ゲットー問題 | 単 | 平成11年2月(形式上の刊行は平成9年9月) | 横浜市立大学論叢・社会科学系列・第49巻第1号 | pp.51−100. ヒムラー個人参謀部、ライヒ保安本部などのドキュメントをもとに、移送政策から絶滅政策への転換が、1941年9月中旬以前ではありえないこと、10月初旬の文書のやりとりからみて、10月下旬が転換点だったこと、それは全体としての戦局の転換、モスクワでの敗退から第三帝国の最初の深刻な「冬の危機」への転換と重なることを検証。 | ||
28 | ウッチ・ゲットー問題とヘウムノ・ガス自動車「安楽死」作戦 | 単 | 平成11年3月 | 第45巻第1号 | pp.1-32. ヒムラー個人参謀部ドキュメント(BA NS 19)により、ヒトラーのユダヤ人移送「希望」がウッチ・ゲットーの受け入れ不可能な諸事情・難問にぶつかって挫折し、他方で「冬の危機」への全体的な戦局転換でドイツ支配下のヨーロッパ全域での生贄排除要求の圧力・ベクトルの高まりを解明。 絶滅政策の力学構造を明らかにする。ソ連投入予定の移動型ガス室(「特殊自動車」)が「一時凌ぎ」策としてウッチゲットー問題解決のために投入されるプロセスを解明。 | ||
29 | ドイツ歴史学と現実政治-第三帝国戦時期をめぐる最近の論争から- | 単 | 平成11年6月 | 『歴史評論』No.591、 1999年7月号 | pp.2―14、1998年ドイツ歴史家大会で論争になった「体制正統化の学問」としての歴史学(コンツェ、シーダーなど)の問題と冷戦史観の亡霊が独ソ戦開始をめぐる問題でも横行していることを批判的に紹介。 | ||
30 | ドイツ軍事大国化はなぜ実現したのか | 単 | 1999年9月 | 『歴史地理教育』No.598, 1999年9月号 | pp.14−19第二次世界大戦勃発、その出発点としてのヨーロッパ戦争の勃発(1939年9月1日ドイツのポーランド奇襲攻撃)60周年を記念し、ソ連東欧の崩壊、20世紀前半までの帝国主義列強の世界争覇戦の遺産の最終的清算、冷戦解体という今日の到達点にたって、ドイツの軍事大国化の諸条件を見直した。 |
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31 | ヒトラー「絶滅命令」とホロコースト | 単 | 2000年1月 | 『土地制度史学』第166号、2000年1月 | pp.37-46. ヒトラー「絶滅命令」をめぐる最近の内外の研究を批判的に総括し、四一年「冬の危機」、世界大戦化とポーランド、西欧ユダヤ人へのホロコースト政策への移行を主張。 | ||
32 | 独ソ戦の現場とホロコーストの展開 | 単 | 2000年3月 | 『横浜市立大学論叢』第50巻 社会科学系列 第2・3合併号)平成11年3月・・形式的発行日) | pp.43-90 四一年夏のソ連におけるユダヤ人殺戮の無差別化はなにによるか。それはヒトラーの大々的なユダヤ人「絶滅命令」によるのではない。独ソ戦の現場とヒトラー、軍の最高指導部の命令類とソ連軍の猛烈な抵抗、ドイツ軍の苦境、ドイツが占領した広大な地域の治安状態などのベクトルの総合として把握しなければならないことを解明。 | ||
33 | 繰り返される歴史の歪曲−歴史修正主義 | 単 | 2000年9月 | 『別冊歴史読本』56号、特集タイトル『ヒトラー神話の復活』 | ネオナチ、極右、人種主義者、反ユダヤ主義者の歴史歪曲が今日まで繰り返されていることを指摘し、流布している諸見解を批判的に吟味する必要性を訴える。 | ||
34 | The Strategies of the Jananese Government and Trade Associations | 単 | Heidelberg, 2002(Springer Verlag) | Globalization and Regional Dynamics. East Asia and the European Union from the Japanese and the German Perspective, ed. by Wolfgang Klenner/ Hisashi Watanabe | pp.43−49. 日独シンポジウム(ボーフム会議)で日本政府と経団連等日本の経済界の対アジア経済政策、円圏構想、宮沢構想、アジア地域経済の安定化と発展のためになすべき諸課題について紹介し、若干のコメント。日本のアジア関係とEUの地域経済との相互連繋の段階的相違など。 | ||
V翻訳 | |||||||
ハルトムート・ケルブレ著 | 共 | 平成9年5月 | 日本経済評論社 | 訳者: 雨宮昭彦・金子邦子・永岑三千輝・古内博行 | |||
1 | ひとつのヨーロッパへの道 | ||||||
Hartmut Kaelble, Auf dem Weg zu einer europäischen Gesellschaft | 第2刷10年4月 | ||||||
2 | ウルリッヒ・ヘルベルト著「ホロコースト研究の歴史と現在」Ulrich Herbert, Tendenzen der Holocaust-Forschungen | 単 | 2002年1月 | 横浜市立大学論叢・社会科学系列・第53巻第1号(2001年7月16日原稿提出) | pp.127 -164. 横浜市立大学国際学術セミナー(2001年2月28日、商文棟2階の大学院演習室にて開催)での講演原稿に、帰国後加筆し、文献注を付したものを翻訳。 第三帝国研究の第一人者による研究史総括として、歴史における啓蒙の意義、歴史研究の意味と課題を考える上で貴重な示唆を豊富に含む。学生、院生の多くに研究とは何か、何をなすべきか、何に注意すべきかに留意しつつ、読んでもらいたいもの。 | ||
3 | ウォルター・ラカー編 「ホロコースト大事典」 | 共 | New 2003年10月 | 柏書房(書店HP) | 共訳者:井上茂子、木畑和子、芝健介、長田浩彰、永岑三千輝、原田一美、望田幸男、望田幸男 | ||
W書評、その他 | |||||||
1 | 書評:栗原優『第二次世界大戦の勃発』名古屋大学出版会、1994年 | 単 | 平成8年1月 | 『土地制度史学』 | 150号、pp.57-58 | ||
2 | 書評:星乃治彦『社会主義国家における民衆の歴史』法律文化社、1994 | 単 | 平成8年4月 | 『土地制度史学』 | 151号、pp.59-60 | ||
3 | 書評・芝健介『武装SS-もう一つの暴力装置』講談社、1995年 | 単 | 平成8年8月 | 『歴史学研究』 | No.687,pp。56-58 | ||
4 | 書評:歴史学研究会編『講座世界史6必死の代案』東京大学出版会、1995年 | 単 | 平成9年1月 | 『歴史学研究』 | No.693,pp.63-64 | ||
5 | 書評:豊永泰子『ドイツ農村におけるナチズムへの道』ミネルヴァ書房、1994年 | 単 | 平成9年1月 | 『社会経済史学』 | Vol.62-5 pp.139-142 | ||
6 | 書評:工藤章『イ・ゲ・ファルベンの対日戦略』東京大学出版会、1995年 | 単 | 平成9年8月 | 『経営史学』 | No.32-2, pp.84-86 | ||
7 | 先生教えて: アウシュヴィッツで虐殺された数は? | 単 | 1998年2月 | 『歴史地理教育』 | No.574 , pp.94-95 | ||
8 | ホロコースト・ガス室をめぐる論争を契機に-歴史研究におけるインターネット利用- | 単 | 1998年6月 | 『歴史評論』 | No.578,pp.45-46歴史研究におけるインターネット利用特集号 | ||
9 | 書評:大島通義『総力戦時代のドイツ再軍備』同文舘、1996 | 単 | 1998年7月 | 『社会経済史学』 | Vol.64−2,pp.122-124 | ||
10 | 書評:栗原優『ナチズムのユダヤ人絶滅政策』ミネルヴァ書房、1997年 | 単 | 1999年4月 | 『土地制度史学』 | 第163号, pp.70-72. ナチズムと第二次大戦に関する研究を踏まえたホロコースト研究に関するわが国で初めての本格的な研究として高く評価。しかし、欧米の研究史の整理のし方、絶滅命令の新説(1941年8月1日‐8月15日説)は、実証的にも歴史学的にも重大な問題をはらんでいることを批判。拙著(『ソ連占領政策』)で展開した「冬の危機」説を対置。 | ||
11 | 書評:田村栄子『若き教養市民層とナチズム』名古屋大学出版会 | 単 | 1999年7月 | 『社会経済史学』 | Vol.65,No.2,pp.110-112.若き教養市民層、ドイツ青年・学生運動の思想の社会史を解明することでナチス台頭を歴史内在的に理解する素材を豊かにした点を高く評価。野田宣雄説(ナチズムと教養市民層を対極に置く説)の批判が貴重な貢献。論争の発展を希望。 | ||
12 | ドイツにおける「普通の人びと」の戦争犯罪論争 | 単 | 2000年10月 | 『評論』No.121, 2000.10 | p.1‐3. ベルリン大学法学部教授の作家ベルンハルト・シュリンクの『朗読者』が描くルーマニア・ドイツ人の女性の悲劇(ナチと戦争の犠牲者であり、同時に、ユダヤ人迫害への荷担者、戦犯として追及される不幸)、プリーモ・レーヴィが描く強制収容所囚人のユダヤ人におけるヒエラルヒーと加害・被害の重層的連関性など、第三帝国の問題を見る視点の変化を踏まえつつ、ゴールドハーゲン的還元主義を批判し、拙著『独ソ戦とホロコースト』の見地を紹介。 | ||
13 | インタヴュー記事 「インタヴュー・永岑三千輝氏に聞く『独ソ戦とホロコースト』」 | 単 | 2001年3月 | 『図書新聞』2527号(3月24日号) | 編集長米田綱路氏のインタヴューに応じ、拙著の基本的主張点,従来の学説,諸言説への批判点を説明。ホロコーストを独ソ戦のダイナミズムの中で把握すべき事、その点からゴールドハーゲンの史観と叙述の一面性、視野の狭隘性を批判(インタヴューは2001年2月9日午後1‐2時)。 | ||
14 | 書評:アンソニー・リード/デーヴィッド・フィッシャー著根岸隆夫訳『ヒトラーとスターリン』上(死の抱擁),下(バルバロッサ作戦)、みすず書房,2001年 | 単 | 2001年9月 | 『図書新聞』2551号(9月29日号) | 不倶戴天の敵であるヒトラーとスターリンがなぜ1939年八月に独ソ不可侵条約を結んだのか、その背後にあった国際的歴史的諸条件は何か、それを平易に説明した好著。 | ||
15 | 書評:工藤章『現代ドイツ化学工業史―IGファルベンの成立・展開・解体―』ミネルヴァ書房、1999年 | 単 | 2002年1月 | 『土地制度史学』第174号 | pp.68―70.イ・ゲ・ファルベンファルベン社の成立から崩壊までの手堅い実証的研究として、高く評価。イ・ゲ・ファルベンの生命力、後継会社ヘキスト、バイヤー、BASFなどの成長力などの背景にある経営者のエートス的側面などの展開を今後に期待。 | ||
16 | インタヴュー記事「独ソ戦とホロコースト研究」 | 単 | 2003年3月 | 【特集・ナチスの時代】『歴史地理教育』No.651、 | pp.一4-21、ホロコースト研究の新しい動向について、歴史地理教育編集担当・菊地宏義氏(都立三田高校)および村松邦崇氏(横浜市立上山小学校)のインタヴューに応えたもの。質問 1.ナチスのユダヤ人殺戮の「計画性」は? 2、「ホロコーストの推進者・組織は? 3、どうして絶滅政策に移行したか? 4.日米開戦とホロコーストの関係は? 5.ヒトラーのユダヤ人「絶滅命令書」の存在の有無は? 6.ユダヤ人労働力をどうして活用しなかったのか? 7.歴史教育でホロコーストを扱う注意点は? | ||
New 書評:アラン・ブロック著『対比列伝 ヒトラーとスターリン』(全3巻)、草思社、2003年8月25日刊 | 単 | 2003年11月 | 図書新聞第2654号(2003年11月15日土曜日) | 驚嘆するのはブロックの学問的活動の息の長さと持続する頭脳の明晰さ、初版刊行時(77歳)、2003年11月現在89歳。改訂版を書く執念に敬意。翻訳者の良心的態度もすばらしい。ヒトラーとスターリンと言う指導者の個性をドイツとソ連の社会の歴史的個性と関連させてみていくのに有益。「歴史的人物を考察するには、その関心と情熱がどのような全体的事業に向けられたかを見なければなりません」(ヘーゲル『歴史哲学講義』上、岩波文庫、61ページ)という洞察を念頭に置きながら、独ソと当時の世界の全体的問題状況を見ていく必要がある。その示唆を与える。 | |||
W 最近の学会報告 | |||||||
1 | ドイツ経済再建の人間的社会的基礎 | 単 | 1998/12/5 | 横浜6大学連合学会(1998年12月5日) | 報告内容は、1998年(平成10)度、横浜6大学連合学会「学術大会報告」1999年3月31日刊行、pp.14-24に掲載。 | ||
2 | „Internationalisierung des Yens“ und die „New Miyazawa Initiative” -Strategie der japanischen Regierung und Wirtschaftsverbände- | 単 | 1999年 | 日独シンポジウムDeutsch-Japanische Wirtschafts- und Sozialtagung(ボーフム大会)(11月19日、20日、21日) | 1996年3月の第10回大会(東京大学・山上会館、および国際文化会館にて三日間)から三年目、今度はボーフムで、グローバル化とアジア通貨・金融危機に対する日独の対応を議論した。本論では、日本の経団連や宮沢構想を紹介し、「円の国際化」などの問題点を中心に、アメリカ一極支配に抗する方策、日本とアジアの連帯、経済の健全な相互発展を考える場合のいくつかの論点を提起した。 | ||
3 | シンポジウム ホロコースト研究をめぐって | 単 | 2000年7月 | 現代史研究会第384回例会(青山学院大学にて、7月15日) | これまで展開してきた栗原説批判のポイントを紹介、栗原説の問題点をアイヒマン証言の検証や最近のドイツにおける研究によって補強し、批判。 |