20041214経済史講義メモ

 

注意:来週(1221)の補講はありません。

来週はドイツ出張中(ベルリンのドイツ連邦文書館へ:連邦文書館の利用確認書・座席確保に和訳を付す)です。

出張の成果は来年1月にお話しましょう。

 

1.定期試験は、試験期間中に行います。

2.定期試験においては、一切の資料・ノート類の参照は不可です。

3.成績は、ミニテスト4(出席点)と定期試験2回の総合でつけます。

4.後期試験は、後期に講義したことから出題します。ミニテストに関連して学生の皆さんが提起した問題などもよく見ておいてください。

5.私の研究室HP(学部サーバーの中にあります)の「経済史講義ページ」に、2004年の講義で配布した講義メモなどを掲載しています。今年度のものを冒頭に置き、これまでの全体の講義ノート類(宇宙史・地球史・生物史・猿から人間への長期的スタンス、人類の経済生活の長期的発達史、封建制から資本主義へ、資本主義の画期的発達段階としての産業革命、帝国主義と二つの世界大戦などを解説)も見ることができるようにしてあります。大きな流れは、そこでおさえてください。

6.研究室HPを置いている学部サーバーはよくダウンします。試験直前にダウンしたこともあります。全体の流れを見ていない人、また本年度の講義資料などで受け取っていない部分がある人は、前もって、必要箇所を見るなりコピーするなりして、検討しておいてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上にコピーしたヘルガ・シュナイダー著『黙って行かせて』のノンフィクション作家(最相葉月氏)による書評が20041212日の朝日新聞にでました。

読んだ人はいますか?

 

 

下に、760字で書いた私の書評原稿をコピーしておきましょう。

 

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衝撃的な物語が翻訳された。すでに欧米八ヵ国で翻訳され、重いテーマながら、ベストセラーになっている自伝的小説である。著者の母はアウシュヴィッツ収容所の看守だった。弟が一歳七ヶ月、自分が四歳のとき、母はアウシュヴィッツに行ってしまった。三年半を模範的看守として勤め上げ、ユダヤ人大量殺害の実行組織の一員として現場を体験した。

父の再婚、母のソ連への抑留などで関係は途絶え、1971年に再会した。それからさらに4分の1世紀。98年にもう一度、死の直前、老人ホームで対面した。この二度の対面で確かめたこと、特に最後の母親との対面で著者が問いただしたこと、それが本書の中心的内容である。

母親は確信的ナチであり、頑固な信念を持った親衛隊員だった。戦中だけでなく戦後ずっと、死にいたるまで。もちろんそれは著者が葛藤と重圧を押しのけて母親を問い詰めるなかではっきりしてくる。「あたしはユダヤ人の女たちを憎んだの。ほとんど生理的な嫌悪感を彼女らに対して抱いたのよ。あのいやな人種、あたしはやつらを心底憎んだのさ」。

なぜ?「ユダヤ人にすべて責任があるのさ。たとえば、ドイツが第一次世界大戦で負けたこともだよ。彼らは絶えずゴタゴタとドイツの邪魔をしたんだ。その上、新しい紛争を招こうと国際的陰謀をたくらんでた」と。母の言葉は百パーセントの確信に満ちていた。丸暗記した教科書を暗唱しているみたいだった。彼女の教科書はヒトラーの『わが闘争』であり、「またとない働き者」で「天才」だと賛美するゲッベルスの演説だった。

母のナチス親衛隊員としての徹底性に対し、戦後民主主義とナチス批判の態度で娘は徹底している。二人の対決から、ホロコーストとは何か、その推進者はどのような人々でどのような考え方だったか、なぜ第二次世界大戦の中で起きたのか、深く追究するきっかけを手に入れるだろう。

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最相葉月氏と私がこれまで紹介してきたこと、そして私の上の書評とどこが違うでしょうか?

一冊の本でも、評者のスタンス、評者の経歴や問題関心によって、随分と印象が違いますね。