ヨーロッパ―戦後の労働における変化
ケルブレ著永岑監訳『ヨーロッパ社会史―1945年から現在までー』第3章
ヨーロッパの傾向
世界の傾向の先取り
日本の傾向も。
女性労働
全体の傾向
地域別傾向の違い
東ヨーロッパ(社会主義圏、ソ連圏)
50年代、60年代に急速に増加。女性の圧倒的多数が家庭外就労。
給料や昇進可能性では男性の後塵を拝す。
職業経歴・・・20歳以前から就労。比較的単純な労働(専門的職業教育をあまり受けない)。子どもたちの世話が保障されており、子育て中も就労継続。
養老年金が低かったので、かなりの高年齢まで就労。
北ヨーロッパ(特にスカンディナヴィアとイギリス)
高い女性就労率…90年代には男性労働と同じくらい高い割合。
完全雇用政策
職業訓練の期間が長く、少女や青年女性の就労はむしろ減少。
現代福祉国家の構築(充実)で、労働期間も早期化。
南ヨーロッパ(イタリア、スペイン、ポルトガルなど)
60年代以降、増加。しかし、増えたのは、結婚前の時期の間だけ。
20歳と50歳の間の年齢では、女性労働は非常に遅々としか増えない。
女性の3分の2を超えることはなかった。
トルコでは半分以下で、ほとんどすべてのヨーロッパ諸国よりも大幅に低かった。
かなり裕福な西ヨーロッパ諸国(フランス、ドイツ連邦共和国、ベルギーなど)
専門教育・職業訓練の拡張により、増加は遅々としていた。
結婚後は、南ヨーロッパと違って女性労働が上昇。
北よりもゆっくりしていたが、福祉国家の構築(充実)により、引退が早期化。
女性就労率・福祉国家の充実・結婚=家族の多様化と前回の離婚率の傾向との関連
ヨーロッパにおける家族の多様化
第一の結婚モデル・・・・父母段階直前の時期、
伝統的婚約(期間)の減少
・・・それに代わってテスト期間・同棲生活の時期・相互理解の強化進化の時期
「婚姻証明書なしの結婚」
「1970年代、80年代の離婚率の増大は、部分的には固有の不簿記の前のこのテスト期間の拡張と関係」
第二の結婚モデル・・・子供がいて、両親それぞれが仕事を持つ家族・・タイプとしては新しくない
50年代から60年代前半に、家庭外で職業を持つ母親が多数派に。
このタイプはもはや困窮や例外ではなく、ノーマルな生活設計に。
ヨーロッパ社会はこのタイプに、家族の教育と諸価値、家族政策、
幼稚園、託児所、学校、食堂、住宅賃貸契約などを合わせていった。
学生寮なども(75-77年私の経験・・・夫婦用学生寮Studentenwohnheim fuer Ehepaar)
第三の結婚モデル・・・「婚姻証明書なしの結婚」
・・・子持ち家族で夫婦共同生活・・・しかし、形式上は未婚のまま、パートナー関係。
この歴史的発展に関する統計は存在しない。
しかし、このタイプは、ヨーロッパの北部で、とりわけスウェーデンで、
1970年代と80年代に明らかに前進。
婚外出生が西ヨーロッパと中央ヨーロッパの平均で6%(1970年)から13%(1990年)に増加。
この上昇は、この結婚モデルの増加の一標識。
ヨーロッパの社会は、このタイプにも、とりわけ、
氏名権、賃借権、家族法や相続法において次第に順応。
第四の結婚モデル・・・「継続家族」・・・連れ合いの別々の結婚から生まれた子供たちが共同生活。
同時に、しばしばその家計の外の片親との密接な関係も継続。
離婚率上昇の傾向の中で、このタイプは重要性を増した。
昔(19世紀)のこのタイプ・・・親の一方、たいていは母親が早く死亡してしまったため。
20世紀後半における新しさ・・・血を分けた父母の自発的な決定によったこと。
子供たちがしばしば家計外の血縁の片親との密接な関係を引き続き持ったこと
第五の新しいモデル・・・一人親家族。大多数は母子家庭。
1970年代以降、数が増えた。・・・離婚率の上昇との関係。
「深刻な」タイプ。
第六のもの・・・・生涯結婚しない、あるいは少なくとも家族を持とうとしない人々の割合の増加。
1970年代から80年代以降。
自発的なもの
しばしば出世の強迫観念に基づく。
古い結婚モデル・・・・生涯にわたる結婚・・・・ただし、支配的なモデルとしての位置は喪失。
このタイプにおける変化・・・妻の地位の強化。
たいていのヨーロッパの国で家族法が改革され、妻は子供たちの教育で、
また大衆消費社会の中でますます重要になった契約に際して、夫と同じ決定権を獲得。
この終身結婚モデル・・・親の時期、職業活動時期の後の、結婚第三期の長期化。
もう一つの古典的結婚モデル・・・夫婦共同経営タイプ。小経営(農家・手工業・小売商)
70年代以降、著しく重要性を失った。
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