4月30日 「全国国公私立大学の事件情報」(本日付)に組合ニュースが紹介されている。
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4月28日 教員組合ウィークリーを受け取った。声明の内容は、これまでの教員組合の正当な主張を現段階の諸問題の観点から要約したものであり、全面的に賛成できるものである。本学に置ける唯一の自立的自治的組織として、また、教育の現場を担い、研究その他の貢献に尽力しているものの組織として、言うべきことをきちんとまとめている。
現学長が、教員組合の正当な主張に耳を傾け、憲法原則(大学自治の原則)、学校教育法の順守を推進するように、現段階の本学にふさわしい改革のイニシアティヴをとることを期待したい。少なくとも教員組合に結集し、組合ニュースで学長との会見を知った組合員のおおくはそのことを期待しているであろう。
教員組合が、内部からの自主的改革の主体的推進力になることは、今回の学長との話し合いからしても、明らかである。教員組合(執行部)が、学長に対して、声明にどのような対応をとるのか、ひとつひとつの具体的な問題に関して、継続的な学長折衝を求めていくことも、現状の問題を解決していくひとつの方法であろう。
-------横浜市立大学教員組合週報------
組合ウィークリー
2008.4.28
もくじ
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学長と会見し、「大学の問題点に関する教員組合声明」を手渡しました
●学長と会見し、「大学の問題点に関する教員組合声明」を手渡しました
4月23日(水)午前10時からおよそ1時間30分、榊原執行委員長と高橋書記長が、4月から新しく就任した布施勉新学長と学長室で会見しました。
学長からは、地方自治体の監査制度の改革により、外郭団体も含め、監査の際に会計だけでなく業務の意義も問われるようになったこと、また、地方分権の推進に伴って公立大学に自治体のシンクタンク的役割が求められるようになることなどの話がありました。本学に関しては、次期中期計画作成のための検討をはじめること、経営からの教学の分離が一定程度必要であること、テニュア制の検討の必要性について話がありました。
ところで、「経営からの教学の分離」については、国立大学法人法においても教学と経営がそれぞれ教育研究評議会と経営協議会によって担われており、伝統ある有力私立大学では教学と経営の分離が確立していることからすればあまりにも当然のことです。しかし、法人化後の本学では、これまで一般教員の意見や思いが「経営」に蹂躙されてきました。昇任人事については、まさに「経営判断」という文言で希望が拒絶されました。
もっとも、本学の場合、市職員は行政は知っていても経営の知識や経験はないので、「教学と経営の分離」ではなく、「教学と行政の分離」と言うべきでしょう。独立行政法人化は本来、組織特有の目的を効率的に実現するために、行政から組織上切り離すものです。したがって、大学の「経営」者には、教育や研究についての専門的知識と、それをふまえた経営マインドが必要なはずです。国立大学や有力私学の経営陣はふつうそれにふさわしい識見を有していますが、そのような経営陣に対しても、教育研究面では教学が独立しているのです。大学の教育・研究も経営も知らない「行政」が本学の組織運営の実権を握って、教学側の主張に聞く耳を持たないのであれば、法人化の趣旨に逆行するものです。
なお、教員組合からは、主に任期制の問題、TOEFL(PE)の弊害を強く指摘し、下記のような「大学の問題点に関する教員組合声明」を手渡しました。
2008年4月23日
大学の問題点に関する教員組合声明
横浜市立大学教員組合
横浜市立大学は、2005年4月の法人化の際に、教育組織、管理運営組織とも大幅に変革されました。法人化の際の変革に対して、旧各学部教授会や教員組合から様々の反対声明が出されましたが、教員の反対を押し切って「改革」が強行されました。
法人化から3年を経て、強引な「改革」による様々な弊害が明らかになっています。教員組合の主な目的は労働条件の維持向上ですが、大学教員の組合である以上、学生の教育に大きな問題が生じ、時がたつにつれて深刻化していることに、大きな憂慮を抱かざるを得ません。
カリキュラムや非常勤講師を含む教員人事に関する権限が教授会から剥奪されたため、大学教育の改善のために、教員ができることがらがきわめて乏しくなりました。そればかりでなく、教員同士で大学のカリキュラム等の改善策を話し合って決める場も、公的には失われました。
教員の中から代表者を選んで組織する教員組合が、今や教員の意見を集約してアピールできる希少な組織になってしまいました。
そこでこのたび、教員組合は、現在の学内における問題のうち、多くの教員が共通して憂慮していることがらをまとめました。問題は様々ですが、学生教育と教員人事に関するもので特に深刻なものを以下に列挙します。
当局に対して、これらの問題の改善を強く要望するとともに、問題の解決のために、一般の国立大学や伝統ある有力私立大学と同様の権限を教授会に復活させることを要求します。
1)TOEFL、PE
この問題は、学生の精神状態に悪影響を及ぼしている。留年、仮進級した学生の中に、徐々に大学に来なくなるケースが少なからず見られる。
留年した場合、奨学金の支給を止められるので、自宅外学生の場合は、勉学を続けていくことが経済的に困難となる。
PEに合格した学生の場合でも、英語の勉強に時間的・精神的に追われて、充実した生活を送れなかったという者も少なくない。
学生中心と言いながら、学生に不安を与え、学生の大学生活に過度の負担を強いている。
TOEFLなどPEの合格者が8割にしか至らなかった。3年生段階で2割の学生が留年となることは異常であり、早急に改善を必要とする。
2)カリキュラム
新学部のカリキュラムでは、専任教員の減少、非常勤講師の削減、演習の増加等々の事情により、学生が履修できる講義科目が減少している。
「副専攻」制度を標榜しているが、副専攻の演習をとることができないのでは「副専攻」とはいえない。
同一コースで20単位以上修得しなければ副専攻コースの科目の単位が卒業単位にならないために、学生が学びたい授業をとれるようになっていない。
法人化以前はカリキュラムの編成を教員間の話し合いによって決めていたが、法人化以降、カリキュラムの決定に教員の意見が反映されなくなったため、学生の要望に応じて科目を新設・変更することがほとんどできなくなっている。
各コースのカリキュラムは、ゼミなどで学生と日々接触して、学生の意見やニーズを日常的に把握している教員の意見に基づいて編成されなければならない。共通教養会議も含めて、カリキュラムは、授業担当者が参加するコース会議で決めるべきである。
3)人事
任期制教員は雇い止めになる不安が大きく、安心して教育研究ができない。
任期制に同意しないと昇任させないという方針をとっているため、優秀な教員の他大学への流失が続出している。
いつまでも任期雇用をくり返すシステムのため、教員が定着しにくく、優秀な教員が他大学に転出していく。
新採用教員を任期制で募集するため、すでに任期のないポストに就いている他大学・研究所等の優秀な教員が応募するケースが極めて乏しくなっている。
定年退職教員、転出教員の後任の補充が少ない。
文科省に届出た科目すら担当者がいないまま何年も放置されているケースが少なくない。
大学教員の教育研究業績は、当該学問分野に関する専門的な学識を持つ人間でなければ評価できないにもかかわらず、本学における採用、昇任人事の決定には、そのような力量をもたない者が関与している。
4)教員評価制度
大学教員に対する評価制度は、一部の大学で試行・導入が始まっているが、本学の場合は、任期の更新とかかわるため、他大学の制度を安易にまねたものを導入することは許されない。
教員の職能成長のための評価制度と、給与・処遇のための評価制度とは別物である。
法人化以前から大学に勤務していた教員に対して、法人化の際、「普通にやっていれば再任される」といって任期制に同意を求めたのであるから、本学人事当局は「普通にやっていれば再任される」人事システムを構築しなければならない。
他大学の場合、一次評価者である学部長は学部教授会が選出し、2次評価者も教授会から選ばれた代表者によって選出される。しかし、本学の場合、学部長、研究科長、コース長とも、教員の意向を反映することなく任命される。したがって、本学において教員評価制度を実施した場合、本来の目的からかけ離れ、長のパワー・ハラスメントの装置として機能する危険性、自由闊達の雰囲気を抑圧する恐れが大きい。
5)大学運営
学部長、コース長に、同じ人物を上から選任し続けることは問題である。
学部長、コース長は、教員の選挙によって選出すべきである。学長の選考も教員全体の意見をふまえて行うべきである。
あらゆる組織には、チェック・アンド・バランスのシステムが必要であるが、本学ではそれが存在あるいは機能しているとは言えない。
教員人事、カリキュラムなど教育研究に関するものは、教員間で協議し、情報を共有して、教員主体で決めるべきである。
法人化後、大学における意思決定が少数の関係者だけで行われるようになるとともに、教職員が関連の情報にふれる機会が乏しくなった。意思決定手続きの公開性・透明性を徹底し、だれがどのような権限と責任にもとづいていかなる決定を行ったかが教職員に明確にわかるようにせよ。
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4月25日 TOEFL問題、中期計画見直し問題は、中期計画を策定した組織の責任者が問題提起すべきだと思うが、どうなっているのか?学長が責任者であることは言うまでもないが。
中期計画見直しに、教育研究の現場の担い手(教員)の参加を求めるためには、教授会の再建、教員の権限と責任の明確化が必要だろう。「改革」過程の諸問題が明確になった現段階で、しかるべき制度改革は避けられないのではないか?
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4月24日(2) 「全国国公私立大学の事件情報」の紹介があったので、念のため、「太田正孝のホームページ」にアクセスしてみると、この間に、「横浜市大(いちひろ)」 なる匿名の投稿が掲載されていた。「匿名」にせざるを得ないということからすれば、准教授の人、あるいは任期制に同意をせざるを得なかった弱い立場の人か?
私の問題意識とほとんど重なるが、私の知らない情報も入手しているようである。この情報(うわさ?)が正しいとすると、
@ 大学院改革は吹き飛んでしまう可能性があるようである。
A 「文部科学省から目をつけられています」とすると、ますます大学院改革は先延ばしとなるのではないか?
教授会に関していえば、かつて、商学部、国際文化学部、理学部は、教授会に助手、講師、助教授も参加して、議論に加わることができた。教授会参加に関する学校教育法の規定[1]の適用において、最も広いものであった。
下記の文章は、医学部問題のひとつの根源を、「教授会」(教授だけが参加・審議権を持つ)の問題性に見ている。
学校教育法においては、教授会とは教授の会であって、その意味では、医学部教授会は、学校教育法の一番狭い意味での適用である。これは違法ではない。(匿名氏が主張するように、医学部教授会の適切な民主化は必要なことだろう。)
国際総合科学部の場合は、教授会(代議員会)は、学校教育法第93条に言う「重要審議」[2]を明確に定めず、その重要事項に関する審議を行っておらず、学校教育法に基づく教授会となっていない点で、違法ではないか。教育研究審議会で決まったことなどの報告だけの代議員会、まったく形式化された事務的報告事項ばかりの4月1回のみの教授会!
この実態を法に照らして検討すべきなのが「コンプライアンス推進委員会」ではないか?
すくなくとも、現状は、学校教育法順守(コンプライアンス)を推進するものではないだろう。
現状のままでは、国際総合科学部の方が、教授会運営・教授会規定の面での違法性の点で問題を引き起こす可能性が高い。前学長、前理事長、前副理事長はそのことに気づいた(もう無視できない状況になった)のではないか? だから、医学部問題の発生を絶好の機会とばかりに、早々と退陣したのではないか? 少なくともそう見ている人々がいる。
他の大学はどうなっているか?
全国の医学部のうち、助手や講師、准教授もメンバーとして認められ教授会に参加している医学部はあるのか?
昨年11月からの事件・医学部問題が、ほかでは発生していないのはなぜか? 他の大学でも同じ問題はあるのであって、表面化していないだけ、との見方もあるが。
下記の意見では、「任期制」が、言論の不活発の理由である。その面は厳然として存在する。
しかし、身分継承教員のうち任期制に同意していない教授こそは、もっと意見を表明していいはずだが・・・・
「決起」は、どのように行うのか?
公務員身分継承の教授層こそが、「決起」すべきなのだが・・・
TOEFLを初めとする問題がますます深刻化してきた現状こそは、「決起」のための条件が熟してきたことを意味すると思われる。
ここでこのように公然と書き、心ある人々に、訴えかけているつもりなのだが。
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4月24日(1) 市大問題・市大将来構想が、学外からも関心を持たれている。
しかし、「匿名」でしか発言できない大学状況は、どのようにすれば変えることができるか?
「匿名の発言」を「頼もしく」感じるほど、現在の大学の状況は、閉塞的、ということではないか?
本来的意味での、学校教育法による教授会、その根拠法としての憲法が保障する大学の自治が実質的に保障されていれば、教授会における自由な発言は沢山だされる。
本来、憲法原則、大学自治に基づく自由な言論が保障されている(「物言えば唇寒し」といったさまざまの不利益措置が公然非公然に行使されることがない)のであれば、教員の自由な発言がもっと公になってもいいのではないか? それとも、圧倒的多数の教員は、現在の大学の状況に満足しているということを示すのか? 少なくとも教員組合の主張してきたところだけでも、大学は沢山の問題を抱えているのではないか?
かつては、将来構想委員会のような教員組織があった。しかし、教授会さえも一年に一回(わずかに一時間)しか開催されず、しかも、単なる事務的報告だけの教授会となっており、学校教育法が規定する重要審議事項を一切審議しないものとなっている。学校教育法違反状態ではないかと考えられるが、大学当局・管理職関係者はそれが都合がいいのだろうが、放置したままとなっている。教授会に代わる代議員会も、審議事項はなく、報告だけであって、議論は報告に関するものだけのようである。
普通の教員は、代議員会の報告事項を見る機会はあるが、どのような議論を戦わされているのか分からない。普通の教員は、基礎のコース会議でも、審議権を与えられているわけではない。基本的には、大学当局の決定を承る権限しかないことになっている。
一般教員の学校教育法に基づく重要審議事項への関与を徹底的に排除するシステムとなっている。これは違法ではないか?
学校教育法にいう意味での教授会は、わが大学には存在していない、ということではないか?
トップダウンの単なる行政機構・管理機構しかない、ということではないか?
「政府」はあるが、「議会」は存在しない、ということではないか?
コンプライアンス推進委員会という「司法」的機関は、まだ、昨年、医学部問題を契機に作り出されただけで、その機能はまったく狭いものにとどまっているのが現状であろう。
コンプライアンス推進委員会に訴えようにも、「どうぞ訴えてください」といった前向きの広報活動はない。「推進」の実はあるか?
大学HPのどこにも、コンプライアンス推進委員会への訴えを求めるページは見当たらない。
教員組合は、さまざまの点で当局のやり方が法律に違反しているのではないかと主張を続けているが、その主張をコンプライアンス推進委員会が取り上げ検討したということを聞かない。
コンプライアンス推進委員会も、法人当局・大学当局が任命した委員によって構成されており、大学を構成する教員の関知しないところで選ばれ、行動している。誰が、いつどのような権限に基づいて、この委員会は編成され、委員がどのような客観的基準で選ばれ、任命されたのか?
市民は、教員組合のHPを見ているのであろうか? 市大の現状がある意味では非常に明瞭に映し出されていると考えるのだが。
教員組合HPアドレス: http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm
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新しい市民の会をつくりましょう
以前に匿名市大教員の力のこもった投稿があり、頼もしく感じている。内部にいる人間が声を出さなくては、市民に届かない。市大教員、教員OB、学生、市民からなる新しい市大を考える会をつくったらどうか。そろそろ中長期的な観点から提言をする時期だろう。外部のものには市大教員は何をしているのかわからないことが多い。市大教員のいっそうの努力を促したい。
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4月23日(2) 組合週報。教員評価制度の健全な構築(すなわち大学自治の原則にふさわしい教員の業績評価のあり方の構築)のためには、教員組合への結集と、そこでの建設的な議論、それをバックにした当局交渉が必要だろう。現在の大学において、当局から独立・自立している組織は、教員組合しかないからである。
もちろん、教授会の再建、学校教育法に基づく重要審議事項の再確認(コース教授会、学部全体教授会の権限・責任等の明確化など)とその教授会(教授会への各教員の参加資格および権利・責任と権限の明確化に基づく、コース教授会、学部全体教授会の審議事項に即して)の定期的開催が、眼前に山積する諸課題の大学自治原則にもとづく解決のためには、必要であろう。昨年度、昇任問題での当局交渉で明確になったのは、まさにこうした点であった。
国際文化創造コースでは、他のもう一つのコースと同じように、「上から」任命のコース長が決まらないで年度を越し、その危機を乗り越えるために、コース会議で複数のコース長候補を選ぶこととし(管理職選出における一定の自治・自律の回復)、その中から当局が選択できるようなシステムを、コース会議メンバーの議論の中から、造り出した。これが、現場・下からの自治・自律の機能と「上から」の管理システムの構築との二つの必要性を、現在の状況で満たすぎりぎりの妥協的・調整的制度ということになろう。
また、それは、学部長レベルや学長などの選考においても参照すべき制度であろう。
中期計画の見直し(PEのあり方、教養ゼミのあり方、各コースのあり方などの再検討の諸問題)において、教育研究の現場を担う教員たちの権利・権限・責任を明確化し、学校教育法に関しても、コンプライアンス推進という大学方針を、言葉の上だけでなく実際にも、実現していく必要があろう。
誰がそれを主体的に推進していくか?
学校教育法順守の問題を、コンプライアンス推進委員会は取り上げるべきだろうが、その議題に設定させるためには、訴えが必要なら、かなりの数の有志はいるのではないか?
コンプライアンス推進委員会は、何か社会問題化してから(社会問題として大きくクローズアップしてから)、後手後手でやるか? それとも?
---------------横浜市立大学教員組合週報---------------
組合ウィークリー
2008.4.23
もくじ
● 「教員組合への加入のお勧め」を作成しました
● 「教員組合への加入のお勧め」を作成しました
「教員組合への加入のお勧め」を作成しました。新年度、新たに本学に赴任された教員、まだ組合に入っていない教員の方々に、このニュースを送信したり、プリントアウトを渡すなど、加入を呼びかけてください。
法人化後の組合の成果についても列挙しましたので、組合員の皆さんもご一読ください。
2008年4月10日
横浜市立大学教員組合未加入の皆様へ
教員組合執行委員長
榊原 徹
教員組合への加入のお勧め
公立大学法人化により、教員の身分はかつての教育公務員特例法で守られた時代と比べますと激変し、不安定なものとなりました。昨年実施された教員評価システムをたたき台に平成21年度からこの評価結果を給与に反映させる姿勢が当局から示されています。教員の自己啓発を目的に作られたこのシステムがそのまま教員評価に転用できるのか、そのうえ第一次評価者の間で評価が大きく異なるなどという批判の声も聞こえています。さらには、透明性をどのように担保するのか、また苦情申し立てについての制度が全く示されていないなど問題が山積しており、これらを解決してから教員評価を導入すべきです。
教員の立場をしっかりと守り、自由で生き生きした教育・研究などを行うためには、教員が連帯し、情報交換を行い、団結した力で意見を表明していく必要があります。一人一人の教員が個別分断化された状態では、教員の正当な権利、教育研究の自由を守ることはできませんし、大学の教育使命も十分に果たせません。
法人化に伴って教員組合は決定的に重要となった現在、できるだけ多くの教員の力を結集する必要があります。そこで未加入の皆様に、ぜひ教員組合に参加していただくよう、お勧めいたします。日ごろ感じている問題を組合として解決していくよう、ともに手を携えようではありませんか。
組合の位置付け・実績・役割について、箇条書きで次にお示しいたします。
位置付け
1. 教員組合は、過半数代表の組合です。当局に対して教職員の立場・要求を取りまとめ直接提示する代表組織です。
2. 企業と同じ、労使協議の直接交渉団体です。この点、法人化前とは異なる重要な点です。
実績
1. 任期制同意の強要に対し、組合に委任状を預けることで、強要を排除
2. 任期制同意の強制に対し、法的に任期制同意の強制ができないことを教員に知らせる
3. 法人化に際し任期雇用同意者と非同意者との間の差別的扱いを阻止
4. 大学院手当の支給対象者限定を阻止
5. 平成18年度の年俸額を増額
6. 新しい給与制度への転換の際の格付けにおいて、教員の給与水準確保を実現
7. 新給与制度において、基本給の増額を実現するなど、当局案を改善
8. 新しい給与制度への転換に際し、数年間における退職金水準の維持
9. 旧講師について、准教授有資格者について准教授の旧給与表に付けした上で昇格させ、その時点での給与により新給与制度に格付けすることを実現
10. 旧助手を助教と新助手制度に改める際に、従来からの助教と新助手に対する任期強要の阻止
11.任期更新に際して、再任されない場合の条件を限定
12. 再任しない場合の判断基準について組合との協議事項とすることを実現
13. 教員評価制度の給与等処遇への反映について組合との協議事項とすることを実現
14. 看護学部教員の短大への配置換の阻止を支援
15. 昇進適格とされた任期制不同意教員の昇任実現
16.「教員評価制度の処遇への反映は、教員の納得を得てから」との約束を取り付ける
17. 特殊勤務手当の廃止の際に、入試手当については業務の特性を配慮して従来と同等水準の支給維持を実現 など
今後の課題と役割
1. 新給与制度の職務業績給の運用における協議
2. 賃金全般に対する協議
3. 教員評価結果の処遇(職務業績給、任期更新、その他労働条件)への反映の仕方に関する協議
4. 任期同意者・不同意者の労働条件の確保・改善要求
5. 教員評価方法の適正化・監視
6. 教員の身分保障の確立、不当労働行為の防止
7. 教員の労働環境の保全
8. 教員の種々の問題に対する窓口
9. 教員への各種情報の提供(組合ニュースなどによる) など
キャンペーン・・・・加入いただいた後、次回総会(7月あるいは8月)まで組合費無料とします(「週報」2007年4月27日付をご参照ください)。
木原生物研究所(舞岡)、生体超分子専攻(鶴見)からは当分の間、執行委員を選出する必要はありません(勿論希望があればその限りではありません)。
連絡先:教員組合事務室
事務室業務時間 月〜火 10時〜13時
水〜金 10時〜16時 (祝日閉室 夏季休業・冬季休業あり)
住所 〒236-0027 横浜市金沢区瀬戸22-2(横浜市立大学内)
Tel:
045-787-2320
Fax:
045-787-2320
E-mail:
BWA03267@nifty.com
なお、週報などのほか、組合規約やこれまでの組合の決議・主張など、重要文書はすべて下記のホームページで公開しています。
教員組合HPアドレス: http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm
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4月23日(1) 「全国国公私立大学の事件情報」本日付より、下記の重要ニュースをコピー。自衛隊イラク派遣の違憲判決が出たあと、イエメン沖で、不審船(海賊)によるタンカー襲撃事件がおきた。これは、「石油安全保障」を理由とする自衛隊派遣の論理を正当化する事件として、誇大に利用される可能性がある。多国籍軍が「5隻の不審船」の攻撃を見ていたとすると、速やかな犯人逮捕が可能なはずだが・・・・
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名古屋高裁自衛隊イラク派遣差止訴訟判決に関する会長声明
昨日、名古屋高等裁判所は、いわゆる自衛隊イラク派遣差止訴訟判決において、航空自衛隊がアメリカからの要請によりクウェートからイラクのバグダッドへ武装した多国籍軍の兵員輸送を行っていることについて、バグダッドはイラク特措法にいう「戦闘地域」に該当し、この兵員輸送は他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない行動であると判断した。そして、憲法9条についての政府解釈を前提とし、イラク特措法を合憲とした場合であっても、この兵員輸送は、武力行使を禁じたイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同法同条3項に違反し、かつ憲法9条1項に違反するとの判断を示した。
そのうえで判決は、原告個人が訴えの根拠とした憲法前文の平和的生存権は、全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であり、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではなく、憲法上の法的な権利として、その侵害に対しては裁判所に対して救済を求めることができる場合がある具体的な権利であると判断した。
当連合会は、自衛隊をイラクへ派遣することを目的とするイラク特措法について、これが国際紛争を解決するための武力行使および他国領土における武力行使を禁じた憲法に違反するおそれが極めて大きいものであることにより反対であることを明らかにしてきた。そのうえで、自衛隊の派遣先がイラク特措法が禁じる「戦闘地域」であることも指摘し、繰り返しイラクからの撤退を求めてきた。
当連合会は、このたびの名古屋高等裁判所の判決について、当連合会のかねてからの主張の正しさを裏付けるものであるとともに、憲法前文の平和的生存権について具体的権利性を認めた画期的な判決として高く評価するものである。ここにあらためて政府に対し、判決の趣旨を十分に考慮して自衛隊のイラクへの派遣を直ちに中止し、全面撤退を行うことを強く求めるものである。
2008(平成20)年4月18日
日本弁護士連合会
会長 宮ア 誠
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4月16日(2)卒業生から、下記のようなメールをいただいた。
「任期制」を身分承継教員に何が何でも押し付けるやり方(不同意者へのさまざまの差別・・・たとえば、8ヶ月とか一年間、昇任を同意者よりも遅らせるやり方)は、強靭な精神力の教員は別として、教員の中に面従腹背の態度を必然化させ、一時的な「単なる就職先」としか考えない教員を作り出し、彼らの脱出志向を強めるものとなろう。教員が市当局・法人当局や大学当局から「愛されず」、しかるべき尊敬をもって遇されず[3]、大切にされないようでは、むしろ逆に、任期制のような鞭でたたき続けるようでは、それが必然ではないか?本学の改革過程における強引なやり方、教員のやる気を喪失させるやり方に抗議して本学を去った今谷氏の、都留文科大学学長就任に関する報道は、そのことを示している。
しかるべき教育研究業績を上げた教員を引きとどめるために、鞭とは逆の、実質的な誠意ある態度が示されないならば、優秀な教員はいなくなる。
大学を市民が誇れるようにしていくためには、個々の教員の教育研究実績を適正に評価するシステムを構築すべきであろう。欺瞞的な評価システムを押し付けるようでは、かえって、逆の事態を引き起こすことになろう。「清廉潔白で高潔な人格」は、鍛えられ創造されるのではなく、逆に、排除され、抑圧されることになろう。法人化以前の10年、数十年、そして法人化後の数年を、よく吟味する必要がある。
個々の教員を最初に評価するのは、採用時点である。任期制を条件に公募しているのであるが、さて、その採用において、適正な評価が行われているか?適正な人事システムとなっているか?これがますます問題となる。かつてならば、教授会において応募時点、絞込み時点、最終決定の段階で、応募者の業績を見ることができた。しかし、今はそのシステムは破壊されている。細分化されたコースの中で、「ごく少数の人間」だけが「上から」の指名で人事を行い、決定される。したがって、普通のほとんどの教員はまったく知らない人が、次々と採用され、投げ込まれているといった感じである。どのような手続きであの人事は決まったの、と不思議がられる事例も。
これでは、大学の教員相互の共同体的な感情、連帯感は、形成されることがない。「見知らぬ人」が次々と増えている、という感覚がある。「へー、そんな人が採用されているの」と。そうした空気に抗する動きはある。「ごく少数の人間」が、教員の多くの支持を得て教育研究の実績の面でも信頼されている場合には、その信頼感にもとづく連帯の雰囲気が形成される。
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雑文を失礼します.
先生がいつか書かれていた,昨年度いっぱいで横浜市立大学を辞め,・・・教授となった・・教員は,おそらく・・・氏であると思われますが,彼は・・・としてすぐれた仕事をしている反面,教育者としては授業中に不適切な言葉を言ったり,人格の点では欠点が多い人だと思います.**大学出身であるという自負が強くあるのでしょうか,彼は市大生をあまり愛さず,市大を単なる就職先としか考えていなかった節があります.
大学教員にも医師と同じように清廉潔白で高潔な人格が求められてもいいのではないでしょうか.
私は大学時代を省みてとくにそう考えるようになりました.大学時代は一生を決定する人生でもっとも大切な時期です.大学教員として採用するには,人格も考慮してほしいと切に願っています.
また,ある・・の先生もいつまで市大に残っているかわかりませんと聞きました.こうして横浜市立大学はその歴史的使命を終えるような予感がしています.名誉教授・・・氏は市大はもう別の大学になったのだと思っていますと言っていました.浅島誠先生も「横浜市立大学は私にとっても大切な大学であり,心配し危惧しています」と仰っていましたが,おそらくもう関心はないでしょう.
残念なことですが,私のなかでは横浜市立大学の歴史は終わっています.改革後の市大を横浜市立大学として認めることはできません.
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4月16日(1) 明日、ここでも紹介し、関心のある方に参加をしていただきたい二つの「イヴェント」がある。
@ ハルトムート・ケルブレ教授(ベルリン・フンボルト大学)の特別講義「国際学術セミナー」16:10-17:40、「いちょうの館」
ハルトムート・ケルブレ教授(ベルリン・フンボルト大学)・特別講義(英語):2008年4月17日
これに先立ち、教室セミナー「ケルブレ著『ヨーロッパ社会史 1945年から現代まで』をめぐって―翻訳における問題―」(ドイツ語):2:30-4:00、文科系研究棟・大学院演習室A(若手研究者と大学院生・学部学生ほか)
A
映画『日本の青空』金沢公会堂で開催される一般市民向けの上映会・鑑賞会。
日本国憲法の草案作成に当たってひとつの大きな役割を演じた「憲法研究会」と鈴木安蔵に関する映画。
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4月15日 「全国国公私立大学の事件情報」(本日付によれば、立命館大学における過剰入学者問題が、社会の関心を集めている。1.48倍の学生をとり、文部科学省の私学助成金支給基準1.4倍を超えていることと関係するという。単年度だけの基準ではなく、総定員数とも関係してくる。本学も、私学ではないが、医学部に学生一人当たり数百万円、文科系でも33万円何がしかの国からの総務省経由の補助金がある(公立でも県立と市立では額が違うようだ・・全大教資料)。すでに繰り返し指摘してきたことだが、硬直的な進級基準の強引な継続と総在籍者数とのギャップはいずれ問題化してくるのではないか、と思われる。大学教育の「質」の保障が問題になっている折から、社会的大問題にならなければと危惧する。そのほかにも、進級制度の場合、果たして、2年間の留年者(1-2年間の総在籍年数4年)が「進級基準」をクリアできなかった場合、法律的にどのようになるかも問題となると懸念する声が強く出ている。
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4月10日(2) 千葉大の評価制度と処遇とに関する労使合意への方向性は、本学の問題を考える場合にも参考になる。「全国国公私立大学の事件情報」本日付より。
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再審査制に関する団交結果と状況報告
再審査制は、ユニオンとしては基本的に反対の立場を表明してきた。それは何度もくりかえし主張しているように、再審査制度は、当然のことながら審査結果に基づいて雇用を含む処遇上の措置を行うことを内包する、あるいはそうした措置に連動するものであるからである。・・・・
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4月10日(1) 新聞報道によれば、コンプライアンス委員会の態度には問題があるようだ。「全国国公私立大学の事件情報」本日付より。ここでは、仲人料と『縁故派遣』の二つが問題になっている。「仲人料」に関しては、その額にもよるのかもしれないが、はたして、法令順守と関係あるのだろうか。学位審査における「謝礼」とは次元が異なるのではないか?調査委員会の法的整理と合理的説明を期待しよう。
横浜市立大医学部の嶋田紘・前学部長(64)の学位取得をめぐる金銭授受問題を調査した同大コンプライアンス推進委員会が、前学部長による結婚式の仲人料授受や病院への医師の"縁故派遣"の疑惑を指摘した内部通報について、事実を裏付ける証言を得ているのに調査を打ち切り、「事実と確認できなかった」と結論づけていたことが八日、分かった。推進委員会のこうした姿勢に、学内からも「事実の隠ぺいだ」との批判が出ている。・・・・
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4月9日 団体交渉に関する組合ニュースを受け取った。当局が、教員組合との団体交渉等における約束を踏みにじる提案をしてきたことがよくわかる。誠実な交渉の態度ではない。まさに不利益で脅かす強権的やり方である。きちんと団体交渉記録などに立ち返って、組合との誠実な交渉を踏まえて、制度のあり方を模索していくべきだろう。
大学の生き生きとした発展を実現するようなすぐれた評価制度を構築していくためには、何を評価の素材にするか、どのように評価の素材とするか、誰が評価するか(ピアレビューの内容の明確化)など、検討していくべき事項は多い。すでに全教員が属する研究院の取りまとめ作業の結果、各教員の個人研究・学界活動、外部資金取得、その他、社会貢献等に関しては、研究院業績目録が、一昨年度(これは2000年からの総括で、2007年3月刊行)と昨年度(2008年3月刊行)に関して、存在している。したがって、これを業績評価において使用しないことは許されない。これら二つの目録は、研究のあり方に関連して、連続的なもの・累積として評価されなければならないだろう。教員組合が主張している、研究成果の累積という観点である。逆に言えば、単年度・短期の視野では特段の記述がなくても、直ちに業績ゼロとは評価できないということでもある。
また、教育に関しては、授業改善アンケートの形で、教員に対するしかるべき「外部評価」の素材が作られている。これも、ひとつの素材にする必要がある。これら二つの客観的素材の提出者は、教員評価の重要素材を提出しているのである。
SDシートが多くの問題をはらんでいることは事実であり、その処遇との関連が重大な問題を引き起こすことも、明らかになってきている。したがって、まさに、そうした評価のための素材作り(多様な素材のなかから、評価対象とする素材の合意に基づく確定)の段階というのが現段階であろう。評価素材がきちんと合意に達していないこと、見切り発車であることは、当局が当初のSDシート記載事項とちがうものを後出して11月以降に出してきたことからしても明らかである。まずは、「よしこれで今年は行こう」という評価素材の検証確認が必要だろう。
当局が繰り返し認めてきたところであるが、「処遇に反映させるのならば、教員組合との交渉事項」であり、これまで、処遇に反映させること(事項・項目・素材その他)に関しては何の合意書もない。
どこまでが合意できるのか、その合意事項の到達点を整理し明確化し、その合意事項に基づいて、当面、20年度の評価素材を確定し、しかるべき処遇のあり方を位置づけていくべきであろう。団体交渉における合意事項を欠如した処遇差別は、法的にも、信頼関係の構築という点からも、許されないであろう。
今回の記録を見て、「後だし」条件を提示してきたことが示すのは、当局のなりふりかまわぬ態度でしかない。
「提出すること」という条件が、何を意味するのか。その内容を明確にする必要がある。学長が示す構想などがある場合とない場合、あるいはそれが不明確な場合、書ける事項とかけない事項などがありうる。そもそも学長の「計画」の妥当性が問題となる。
そうした点で、教員組合のアンケート結果が示すように、昨年度のSDシートは考慮すべき多様な論点・問題点を持っている。それを改善しないならば、20年度もまったく同じ問題を抱えることになる。そうした問題は、各教員の思想信条にもかかわってくる。SDシートという非常に問題のある不明瞭なことに、強引に納得させるようなやり方は、思想信条への圧迫でしかないだろう。
個々の教員が正当な理由と考える不記載理由書・不提出理由書の提出を、評価制度への参加のひとつの証とみなすべきは、そのような問題点があるからである。少なくとも、昨年度、SDシート提出をめぐる当局のやり方とかかわってきたものとしては、「SDシートは根本的に問題だ」との信念を持っている人が何人もいた。その理由を確認することは、評価制度を優れたものとする上では必要な態度であり、作業ではないか。
組合ニュースによれば、当局側は、「任期制同意を管理職任命の条件とする」とし、「部局長として本学の組織運営の中心になって意思決定をするので、大学の基本的な考え方と食い違っていると齟齬が生じるため」という理由を挙げている。
「大学の基本的な考え方」とはなにか?
評価制度にさまざまな問題があるとき、有無をいわせず差別的処遇で脅かしをかけるのが「基本的な考え方」なのか?
「任期制」に同意していれば、「大学の基本的な考え方」と一致しているといえるのか?
その「任期制」だって、当初の大学教員任期法にいう任期制から、労働基準法14条に言う任期制に、当局は態度を変更した経緯があるではないか?
内容不明確、言葉とその内容との乖離といったことが現実にあるとき、また、内容が教員組合との交渉により変化していくとき、何が「大学の基本的考え方」といえるのか?
要するに、当局のいっているのは、ただただ従順に、「上から」の命令や指示に忠実な態度だけを「大学の基本的考え方」と称しているに過ぎないのではないか?
恐るべき事ではある。
「大学の基本的考え方」を述べてみよ。その内容が、明確になれば、あるいは教育研究の生き生きとした発展であるとすれば、「任期制」とは根本的に矛盾するはずである。
コースによっては、その学問の性格からして、任期制に同意していない教員が10%程度しかいない。そのコースは、「大学の基本的考え方」に反するコースとして、取り潰すのか?学問の性格、その担い手のメンタリティを一切無視した一律の「任期制」の強制は、大学自治破壊そのものではないか?憲法違反そのものではないか?
「部局長」といっているので、コース長レベルは「任期制同意」条件をはずしたということなのであろうが・・・
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横浜市立大学教員組合週報
組合ウィークリー
2008.4.9
もくじ
● 3月26日に行われた団体交渉について
3月26日(水)午後3時から4時30分まで、第1会議室において団体交渉を行いました。肝心の20年度昇給に関しては、@「SDシートの提出を行った教員のみを対象とする」という条件、A21年度からの教員評価の給与への反映を前提として協議に入るという条件、の2条件を満たさないと昇給はないという勝手な条件を付けてきました。これに対して組合は、@は後出しの条件で、当局への信頼を失わされるものであり、Aは「前提として」では「導入ありき」ということに他ならないので、このままでは、協議に入ることもできないと述べました。組合は評価制度について今後協議することを約束しており、協議の結果合意に到達すれば21年度からの処遇への反映は認めると主張してきています。にもかかわらず、協議をする前にこのような条件を組合側に提示するのは、当局が真摯に組合側と交渉するつもりがあるのか、疑念を抱かずにはいられません。
以下、団交における組合の要求事項(黒字部分)と、それに対する当局の回答(赤色部分)を掲げます。また、緑色は組合が付した説明です。
なお、これらの要求事項について組合は今後も要求を続けていきます。
団交要求事項と当局回答
T 前回の団交において不明確な回答であった以下の事項について明確な回答を求める。
1.昇任人事等における任期制の強要に関する要求事項について
(1)
任期制への変更が不利益変更にならない法的根拠
⇒ 当局発言:昇任に際し、任期制に同意せず新しい職位に就けなくても今までの処遇は確保されている。
(2)
平成19年11月14日付学長文書、さらに学則(第63条3項)を無視した手続きによっておこなわれた2007年4月の昇任人事の正当性
⇒ 当局発言:昇任手続きが終わった後で、任期制に同意しないからと言って経営的判断により昇任させないと、不利益扱いだと言われる恐れがあるのであらかじめ意思を調査したいというのが学長の意向。
(3).平成19年11月14日付学長文書の撤回要求に関する回答
⇒ 当局発言:(2)の回答理由から撤回はしない。
(4).任期制への同意を条件とする教員管理職人事の正当性の根拠
⇒ 当局発言:理由は、部局長として本学の組織運営の中心になって意思決定をするので、大学の基本的な考え方と食い違っていると齟齬が生じるため。
2教員評価制度に関する要求事項について
平成18年度教員評価試行における問題点と改善点、平成19年度評価の具体的内容
⇒ 資料が示された。当局発言:YCUネットで公開している。
U 昇給に関する要求
松浦副理事長は「教員が納得のいく評価制度になるまでは処遇に反映させることはない」と一昨年11月の団交において明言している。教員評価システムが労使合意のものとして成立していない現状においては、長年の労使関係の蓄積の上に、また市当局と市職員組合の長年の交渉の上に成り立ってきた給与実績を、当面の職務業績給の運用において反映することを求める。
⇒当局発言:「教員が納得のいく評価制度になるまでは処遇に反映させることはない」という点については基本的な考え方は変えていない。今年度のSDシートの提出者が90数%に達していることは、評価制度が一応受け入られていると教員が認識している結果ととる。今回SDシートを提出、あるいは自己評価をしていない教員は、制度そのものに参加していないと考え、制度に参加した教員と参加していない教員を区別することは許されると考える。
1平成20年度昇給要求
20年度職務業績給について、SDシートの提出と無関係に全教員を対象に19年度の号数に対し3〜4号相当の昇給を要求する。
⇒ 当局発言:3〜4号相当の昇給は考えていない。教員組合が平成20年度の教員評価結果を21年度の処遇に反映させることを組合が約束しない限り昇給はなし、昇給の対象はSDシートを提出した教員のみを対象とする、しかも昇給は1号だけ。
2平成19年度分の昇給要求
平成19年度分の昇給がなされていない。職務業績給3〜4号相当の昇給を要求する。
⇒ 当局発言:合意済み。
V テニュア制度・任期制など教員人事制度に関する要求
1いわゆるテニュア制度の導入
横浜市立大学にふさわしい研究教育者の人材のよりよい確保とそれに相応する処遇の実現に向け、いわゆるテニュア制度を平成21年度からの導入・実施を前提に検討する。
なお、テニュア教授制度の細部・処遇に関しては、速やかに検討・協議を行うこととする。また准教授等に関してのテニュア制度についても検討・協議を行っていくものとする。
⇒ 当局発言:21年度導入を目指して現在検討中。
2任期制と昇任に関する要求
法人化以前からの身分を継承している教員に対して、昇任審査にあたって任期制同意を前提条件とすることは、不利益変更措置であり、違法行為である。この点について教員組合は従来から繰り返し指摘している(例えば昨年11月19日付意見書)。
昇任に際して任期制への同意を条件としないことを約束せよ。
3教員人事の公正・透明化のための改革
教員の採用・昇任については、選考・審査の密室性を排し、その公正性と透明性を高めるため、学部の教員が全員参加する会議で、選考・審査の経緯を報告し、同意を得るように改めること。
なお、特任教員等についても同様とする。
⇒当局発言:「拡大コース会議」(コース会議のメンバー以外の当該コース教員を含めたもの)を随時開催し、大学で決ったことなどの情報の周知徹底できるように、学長から学部長に指示をしている。
W 医学部学位謝礼金授受問題
世間を騒がせている医学部学位謝礼金授受問題に対して、当局がいかなる見解を有しているのか、また今後いかなる対応を行う予定か、説明を求める。
⇒ 組合側コメント:昨日(3月25日)配布のプレス用資料が配布された。要するにこれから全学的な調査「横浜市立大学学位審査に関わる対策委員会」を立ち上げるとのこと。『朝日新聞』(3月26日付朝刊)の記事においても、昨日の報告が不充分だという内容が報道されているのに対して、世間が納得するような充分な回答になっていない。
その他、本日の理事長辞任の発表について、理事長・学長が交代になって、これまでの合意をきちんと守ることについて確認した。
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4月7日 4月4日公立大学教員組合の交流集会に出席。昨年11月ないし12月あたりから、全大教加盟の公立大学の交流集会開催の企画が持ち上がり、その経緯から、昨年度の委員長として参加した。
各大学の直面する問題の多くが、本学と共通することを確認した(但し、首都大学と本学が際立って問題を抱えている)。研究費配分のあり方(科研費取得等、外部資金獲得との関連性とその妥当性、基盤研究の意義、競争的資金とは関係のない安定した最低限の資金としての大学基盤研究費の重要性)、学長・学部長の選考のあり方(現場で教育研究する教員の民主的統合の有無・程度の問題、行政主導−トップダウンの問題性、大学自治の問題性)、評価制度の問題性など。
評価制度は、本学でも先日の団体交渉のひとつのポイントだった。出席できなかったので、組合ニュースなどの情報を待つしかないが、当局は、「SDシート提出者に1号俸アップ」との提案をしてきたようである。もしこれが事実なら、これは、これまで、評価制度に関しては、「教員の納得のいくまで処遇(給与など)に反映しない」としてきた態度を変更したことを意味する。SDシートに多くの教員が昨年参加したのは、それが処遇には反映しないものとの約束の下、各教員の目標設定などにおける「自己発展」のひとつの素材となりうるかもしれないという見地からであっただろう。
教員の教育研究の客観的評価ということでいえば、SDシートではなく,業績リストや担当講義・演習、あるいは社会貢献、学会活動などの客観的データがある。あるいは外部資金取得の実績もまた、そのひとつの客観的データであろう。そうした客観的データの一部としては、最近、新年度版が刊行されたばかりの研究院作成の「研究業績目録」がある。まさに、そうした客観的データの洗い直し、整理、その提出者に対する評価といったことも検討すべきことである。SDシートだけを評価素材として押し付けることは、教員の活動の総合的把握(その総合的評価)という面からも、重大な問題をはらんでいるのである。研究院業績目録作成への参加もまた、きちんと客観的データの提示として、評価制度への積極的参加の証として、位置づけるべきなのである。
SDシートの提出だけを根拠に、「処遇に反映する」、「目標と達成度との相互関係で、A,B,C,Dなどに影響する」ということならば、「作文のうまいものが得をする」といわれる事態にもなる。また、SDシートの位置づけ如何で、SDシートへの記入の仕方も当然大幅に変わってくるはずである。一昨年と違って、昨年度、当局の強引なやり方にもかかわらず、かなり多くの教員がSDシートに参加したことの意味を当局はよく考えるべきである。
その際、年度最終段階(といっても12月だが)に年度末の自己評価を行い、また一次評価者との面接などを行ったわけで、そうした全プロセスにどのような問題があったか、これをきちんと総括して、次の段階なり次の年度に進むべきである。教員組合はSDシート提出時における問題を多面的に提起し、アンケートも行っている。さらに、最終段階でもアンケートを行っている。それらから浮かび上がる問題点も制度改善に生かすべきであろう。
そうした基礎的作業を抜きにして、いきなり処遇に反映させようとするのは、無茶である。
SDシートに参加しなかった人々の不参加の理由は何か(それは評価制度への不参加とは次元が異なる)、それも貴重なデータであり、検討素材であるはずである。教員組合は昨年度、多面的にSDシートに関する問題をすでに提起し、当局の対応のあり方に問題がある場合、その都度、問題提起し、批判し、回答を求めてきたところである。それは組合員のさまざまのSDシートに対する疑問・不安その他をくみ上げたものに他ならない。その意味では、個々人の、特に若手の教員が言いたくてもいえない論点を提起し、検討を求めているものといえよう。
評価制度を本当に有効なものとするためのそうした貴重な検討素材にどう対処するのか明確にしないまま、不参加を拙速に処遇と直接かかわらしめ、不参加者を処罰するかのように号俸アップから排除するというのは、許されない。貴重な検討素材を「処遇差別」で押さえ込み、無視し排除することを意味するからである。少数意見の中にある貴重な改善素材を無視ないし抑圧していいはずがない。傾聴すべき論点をそこから吸収すべきものである。
不参加者には、一次評価者を通じて、なぜ参加しなかったかの聞き取りを行っているはずである。その不参加理由を確認すべきである。そうすれば、評価制度そのものに反対するというのではなく、一方的な、あるいは無意味な、無理な制度だから、といったさまざまの合理的な理由が浮かび上がってくるはずである。まさに、その合理的な不参加理由をきちんとクリアしていくことこそが、評価制度の堅実な構築のために必要なことである。
その根本を忘れ、処遇における差別を提案し強行することは、団体交渉の確認事項にも違反し、大学をよくするという観点からも問題である。
19年度SDシートへの不参加理由の提出(聞き取り調査で不明の場合)を求め、不参加理由の提出もまた、評価制度改善のひとつの貴重な素材の提供として、その意味で評価制度への参加として、対応するべきであろう。
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4月2日(2) 次のような情報・分析も寄せられた。人事問題は、大学自治の根幹をなす。管理職任命のあり方・手続きなどが、行政主義的に断行されることに危惧の念がでるのは当然。きちんとした問題の解明なしの「処分」(他方では「形式的調査」)が行われるとすれば、それはそれでまた重大な禍根を残す。法人化後、管理職任命は経営サイド(行政サイド)が自由にできるようになっており(大学教員の投票や意向調査抜きに・・・そうしたチェック・システムなしに)、それが今回のような危機段階になると、いっそう恐るべき力を発揮する、ということでもあろう。
真実の解明と、それに基づくしかるべき名誉回復が、きちんとなされなければならないだろう。
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4月1日公表された新理事長挨拶文と教員管理職の辞令には大学として非常に重大な問題を孕んでいるように思えます。以下メモ程度のものですがご検討いただければと思います。
「副学長及び部局長等の任期及び選考規程」(公立大学法人横浜市立大学規程112号)第4条によれば、第一項で、これら教員管理職の選考は「学長が人事委員会に諮り、その議に基づき理事長に申し出る。」あり、第二項では「理事長は前項の学長の申し出により、副学長及び部局長等を任命する。」となっています。 (2)「凍結」の実態は一部教員管理職人事についての恒久的な変更ではないでしょうか? 大学ホームページ(教職員用)にでている任命辞令によれば、<1>20年度に新たに医学部医学科関係者が管理職に任命されることになっていたポジションでは19年度の管理職者が引き続き任命され、<2>ただし、医学部長に関しては新たに代行(3月14日から代行していた人とは異なる人)が任命され、<3>医学部からの副学長については19年度の該当教員は任命されずに空席となっており、<4>これらの任期が正規の任期の2年間である平成22年3月末まで、となっている。その理由は、学位審査謝礼授受問題の「対策委員会による事実の解明とそれに伴う対応の検討を経て新年度の体制をスタートさせることが適切」であり、「新年度の教員管理職人事のうち医学関係の発令を一時凍結する」と理事長挨拶(4月1日付け、YCU-Net通知一覧)にある。 発令の一時「凍結」であれば、任命辞令にもその旨記されていなければならない。しかし、辞令としてホームページに公表されている任命辞令文書には、教員管理職の正規の任期の2年間、つまり、「平成22年3月31日まで」とある。理事長挨拶文と任命辞令文書のどちらが法的拘束力をもつかは明らかである。つまり、3月11日の人事委員会で承認されすでに公表されていた当初の教員管理職人事の少なくとも一部が「完全に恒久的に変更」になったのである。 (3)「凍結」された人事が学位審査謝礼問題の解明と今後の対策を真に意図したものでしょうか? 発端となった学位審査謝礼授受問題は大学院医学研究科固有の問題であり、医学部医学科や両付属病院や全学的組織である学術情報センターなどは直接あるいは全く関係がない。ところが、今回の「凍結」の対象となった管理職ポシションには医学部医学科のカリキュラム長や付属病院の病院長と副病院長、さらに学術情報センター長が含まれている。さらに特徴的なことは、すべての「凍結」されたポジションには新年度新たに医学部教授が任命される予定であったという点である。 大学院医学研究科の担当者は医学部医学科の教授や両付属病院の病院教授であるから学部や病院を医学研究科と区別する必要はないと思われるかもしれません。その議論の暗黙の前提は、’’今回の謝礼授受の問題は医学部全体の体質である’’ という認識でしょう。ですから、「事実の解明」と「今後の対応の検討」を経て「新年度の体制をスタートさせることが適切」という理事長の挨拶文の説明になったと思われます。しかし、「凍結」の結果、医学研究科長はじめすべての医学関係教員管理職ポジションには(学部長を除き)19年度の管理職、つまり、医学部の教授たちが引き続き任命されたのです。(学部長の代行も医学部教授です。)もちろん、他学部の教授や事務職を医学関係の教員管理職に任命する訳にはいきませんから、今回の「凍結」人事が学部全体の体質に関わる問題の解明や対策には全く効果がないばかりか初めから意味がないことは明らかです。 今回「凍結」された人事案件は学内の正規の手続きと慎重な審査を経てすでに任命が公表されていたものです。それも、すでにコンプライアンス委員会で学位審査謝礼が問題にされて調査が行われているなかで審査、承認されたものです。それが「凍結」されること自体、合理的なかつ相当な理由がなければなりません。考えうるものは、該当者について懲戒処分に相当するような事実が客観的に明らかになった場合のみでしょう。(大学自治の観点から、教員管理職の(変更も含めた)任命手続きには上記規程にあるように厳しい条件が課されています。)ゆえに、すでに公表されていた管理職任命が「凍結」されるということは該当者にとっては実質的に懲戒処分を受けるに等しいと言えます。しかしながら、3月25日付けのコンプライアンス委員会の報告書(YCU-Netファイル管理経営審議会3月27日の議事録)によれば、これから謝礼授受のアンケート調査を始めるとあり、委員会の調査の対象になった一人の教授以外には金銭の授受が客観的に明らかになっていません。いくら学部全体の体質であったとしても、管理職予定のすべての教員が謝礼をもらっていたと初めから決めつける訳にはいきません。(一部の大学教員に問題があるから他の教員すべてに問題があるという、個別と全体を区別しない「レッテル張り」の議論の横行は人種差別やホロコーストの場合を想起させます。ここでも同じことが起きています。) -------------- 4月2日(1) 昨日の理事長の挨拶に関して、あるいは、辞令(3月初めの段階で決めて公表して管理職の誰を発令し誰をペンディングにしたか)に関して、その処理の仕方など重大な問題を含んでいるとの指摘が寄せられた。たしかに、いくつか3月決定と今回の決定で違っているところに気づいた。今回の辞令は、理事長挨拶のように「当面の」ものか、あるいは、辞令が示すように「2年間のも」のか、相互に矛盾するところがあり、戸惑いを引き起こしている。「当面」=「2年間」なら、言葉の魔術。 仄聞するところでは、昨日の辞令交付式で、医学部教員と理事長との間は「異様な雰囲気だった」ようである。いまだきちんとした調査なしに(今後調査を進めるというのだから)、暫定的かもしれないが、「処分」のような形となるのは、学位審査における金銭授受とは関係のない人、身の潔白な人、それを信じている人たちには不本意であろう。もっとも、「異様な雰囲気」の内実を知るわけではない。 ホッブズによれば、言葉には、「効用」と「悪用」がある。効用のひとつは、「意志と目的とを他人にしらせて、われわれが相互に助け合えるようにすることである」が、他方で、悪用のひとつは、「考えてもいないことを考えたこととして記録し、こうして自らを欺く」し、「語を比ゆ的に、すなわち、その語が定められている以外の意味に用いる場合、これによって他人を欺く」と[4]。 たとえば、「少人数教育」を称しながら、それに反する事態・悪化する事態をみても、そうした事態になることをこの3年間の経験でわかっていても放置しておくとすれば、それは、現実を直視して解決の道を探り実現していくことに対比するとき、言葉の悪用ということなのだろう。大量の教員流出のあとをどのように補充するのか、全体的方向性が出ていない、又それを全学的に検討していく民主的体制となっていない。 人員と予算なくして、「少人数教育」はできない。したがって、財務体制の黒字だけを喧伝することも、現実の問題を直視していない態度ということになろう。 ------------ 4月1日(3) 下記のような情報があった。不信は広がっている。理事長・学長はどう対処するのであろう? 「講座制が諸悪の根源」・・・では、どう改革すればいいか? 他の大学医学部では? 管理職を、理事長から始まって、学長以下、「外から」、ないし「上から」任命するシステム−下からの秘密自由なチェック、秘密自由な意向投票、その他のチェックを受けないシステム−で、問題は処理できるか? 人事において、「任期制」などで統制を強めるとき、講座制における生殺与奪の権力と同じ権力を、理事長、学長がにぎることにならないか? 「講座制」の問題はどのようなところにあるか? 今回の問題で明らかになった点は、能力・業績評価におけるピアレヴュー(学界評価、外部評価[5])原則とは違った能力・業績評価が行われる(可能性がある)ということではないか? 情実、家族関係、師弟関係、金銭関係などが、ピアレヴューをゆがめる問題性。 人間は、個々人としては弱いので、そうした問題性に絡めとられないように、たとえば、入学試験などにおいては、「何親等までの関係者がいる場合は試験監督等をしない」という原則をうちたて、実行しているのではないか? 学位審査では? 親子関係で審査者と被審査者となるというのは、学位の信頼性からして、問題があることは誰が考えても明らかだろう。それをチェックできなかった原因はどこに? 能力・業績とは関係のない「従順さ」・「忠誠度」(それを通じる種々の利益)が、ピアレヴュー原則による評価に対して、優位を占めている(その可能性、不信)、ということではないか? 「任期制」は、若手に対してそのような「従順さ」、「忠誠」を押し付けやすくするのではないか? 任期とかかわって、まさに「評価問題」が重大な局面に差し掛かっている。一次評価者、二次評価者が「上から」の任命制の現在のシステム(下からの秘密自由の選挙によるものではない)では、根本的に問題がありはしないか? 問答無用の、強権的な評価制度の押し付けは、「従順な」もの、「上」と「外」に眼の向いたものだけが利益を得ることになりはしないか?(仄聞するところでは、職員などでも固有職員の中に強い不満がある) きちんとした検証を踏まえない「評価制度」の強行は、「諸悪の根源」の全学化とならないか? 昇任問題において、能力業績以外の基準を持ち出すことは、ピアレヴュー原則背反ではないか? この間の昇任手続き(一方における不昇任問題、他方における違和感をもたれる特別昇進)に、実は根本問題があること(ピアレヴュー原則背反)を示してはいないか? 講座制におけると同種の問題がここにありはしないか? コンプライアンス委員会は、この昇任問題を、すでに組合が当局に提起しているのだが、検討したのか? 「上から」検討を依頼された問題だけ、社会的に問題となったことだけを、コンプライアンス委員会は取り上げるのか? 下記の意見では、「法的に拘束される訳ではありません」と。 しかし、名古屋市立大学の問題との共通性は? 現役教授、現役学部長だけに問題は名古屋市大より深刻ともされる。 表面的なことでやり過ごすと、結局は、大学の質が低下することになるのではないか? 理事長・学長は、それぞれの職務に関して、しかるべきピアレヴュー原則を当てはめると、どういうことになるか? 法律家の学長だから(それで大学の顧問もやっていたはずだから)、きちんと法的な処理を進めることを期待したいが・・・ ---------------------------------------- 教員管理職の情報ありがとうございました。 ---------------------------------------------------------------- ------------- 4月1日(2) 今日現在、経営当局(理事長)・大学当局(学長)は、国際総合科学部では、二つのコースで管理職(コース長)を指名・任命できなかったようである。 「調整中」? 日銀総裁空席のように、空席? あるいは医学部のように代行、ないし代理? 本日付理事長挨拶では、医学部に関して、「新年度の教員管理職人事のうち医学部関係の発令を一時凍結することといたしました。当分の間、19年度体制を継続することとしますが、医学部長につきましては学部教育上の必要性から、当面、カリキュラム長の中から代行を立てて対応」とある。 本日付辞令との関係は? 理事長は医学部にしか関心がないか? --------本日付辞令-------- http://www-cc.yokohama-cu.ac.jp/~info/jinji/jirei200401_kyouin_kanrishoku.pdf --------------------- いったいどうするつもりか? 現在の制度では、「上から」の任命のはず。 その権限を握っている(したがって責任を負う)のは法人、その任命した学長(その補佐としての副学長など)・学部長のはず。 今回の発令も理事長名となっている。 新年度、各コースの説明などはどうなるのか? 無権利・無資格のものがコースを代表して説明することもできないだろうし。 コース会議を学校教育法にのっとり、重要事項を審議する組織(コース教授会)として再建し、そこで選挙する(それを当局はコース自治を承認して任命する)という手続きを取らなくていいのか? それが、かつて、学校教育法に基づいて行われてきたところである。また、普通のほとんどの大学で行われていることである。 学長(その補佐としての副学長)・学部長はどのようなスタンスか? 二つのコースの管理運営は、学長・学部長の直轄として、じきじきに行うのか? ---------- 4月1日(1) 新年度開始。 30日の夕方から、故・西川正雄氏のお別れ会が湯島であった。さすがに多数の参加者。柴田三千雄氏、板垣雄三氏、水田洋氏[6]、宮地正人氏など、学会の実力者・著名人による追悼の挨拶があり、故人の仕事を改めて多面的に確認できた。韓国などから駆けつけた大学人、オーストリアからの弔電など、西川氏の国際的な活動をしのばせる会であった。 追悼式終了後の会食の場で、何人かの全国の知人と話し合う時間があった。 国立大学法人も私学も、教員の仕事が大変増えているようで、評価の内容を創造する時間よりは、評価書を作成する時間,そのための事務処理の時間など、ほんらいてきな教育研究の時間ではないところに、多くの時間をとられること、認証評価にかかわっては、若干でも批判的な文言があれば削除されるなど、息苦しい雰囲気が漏れ伝わってきた。このような話からも、官製文書・当局文書の一面性、「きれいごとの羅列」(その可能性)を確認できる。 大学人は、国立大学の場合も、「上から」の「指示」(締め付け)で、教員はいわば真綿で首を絞められる、状態にあるという。自由で創造的な教育研究が果たしてできるのか(そのための十分な時間や予算が確保できるのか)、それなくしては国際的に存在を確保できないと思われるのだが。 学校教育法 第92条 大学には、学長、教授、准教授、助教、助手及び事務職員を置かなければならない。ただし、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができる。 2 大学には、前項のほか、副学長、学部長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができる。 3 学長は、校務をつかさどり、所属職員を統督する。 4 副学長は、学長の職務を助ける。 5 学部長は、学部に関する校務をつかさどる。 6 教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。 7 准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。 8 助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。 9 助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。 10 講師は、教授又は准教授に準ずる職務に従事する。 第93条 大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。 2 教授会の組織には、准教授その他の職員を加えることができる。 [2] 旧学校教育法においても、現在の学校教育法と同じ条項がある。 第五十八条〔学長・教授その他の職員〕 2 大学には、前項のほか、副学長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができる。 3 学長は、校務を掌り、所属職員を統督する。 4 副学長は、学長の職務を助ける。 5 教授は、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。 6 助教授は、教授の職務を助ける。 7 助手は、教授及び助教授の職務を助ける。 8 講師は、教授又は助教授に準ずる職務に従事する。 第五十九条〔教授会〕 2 教授会の組織には、助教授その他の職員を加えることができる。 この条文に基づく重要審議事項は、各教授会規則で明文化されていた。それを引き継ぐのが穏当であるが、それを行っていない。 商学部、国際文化学部、理学部等の規則は、リンクで示す諸規則のようであった。 [4] ホッブズ著水田洋・田中浩訳『リヴァイアサン』(河出書房、世界の大思想13)、24−25ページ。 [6] ホッブズ著水田洋・田中浩訳『リヴァイアサン』(河出書房、世界の大思想13)の冒頭、訳者の水田氏が、「西川正身先生に」と献呈の辞を書いており、「どのような関係か」と疑問を持っていたが、「英語の恩師」であると。 水田洋氏がその恩師・西川正身先生のところに伺ったときに、西川正雄先生がそばにいたそうで、「息子があなたにほれ込んでいる」、ないし「没頭している」と語ったとか。 水田氏に比べて相当に若い西川さんが先に逝き、幽明境を異にした、ということである。 われわれとしては、水田氏の生命力に驚く。
医学部に関しては、暫定で昨年度のままということでしょうか。
副学長、医学部長、副研究院長(定年退職)が空席のままです。
5日(土)と11(土)に学位授与に関わる金品授与の有無について、30分ほどの
事情聴取があると伝え聞いています。
形式的な身体検査をしてから、任命ということでしょう。
3月12日の医学系組織報告会の席上、認めた教授もいたようですが、大部分の教
授は否認したそうです。法的に拘束される訳ではありません。後から出てきて
も、政治家と同じように、”記憶にありません”で済むのではないでしょうか。
今朝の読売新聞報道をお送りします。医学部の講座制が諸悪の根源です。
横浜市大、院生派遣「事実認定できず」と調査中止
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080401-OYT1T00462.htm
横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の嶋田紘(ひろし)・前医学部長(64)が、
親せきの経営する金沢市の病院に大学院生を派遣していた問題で、同大コンプラ
イアンス(法令順守)推進委員会が、嶋田前学部長自身が派遣を認めたにもかか
わらず、「事実と認定できなかった」として調査を打ち切っていたことが1日、
わかった。
問題は改善されないまま、大学院生の派遣は、その後も3か月間続けられた。
同委によると、昨年11月、学位取得を巡る現金の授受と大学院生派遣の問題
について通報があり、同12月下旬、嶋田前学部長から事情聴取した。嶋田前学
部長は、両方の問題について、大筋で事実関係を認めたという。
同委は、現金授受について、謝礼を渡したとされる大学院生らから聴取を進め
たが、大学院生の派遣問題については、派遣先の病院や大学院生の聴取をしない
まま、12月末で調査を打ち切り、3月25日に大学側に提出した報告書では
「確認に至らなかった」と結論付けていた。
金沢市の病院への派遣は、同委の調査後も続いたが、大学内で「問題だ」との
声が強まり、3月末で打ち切られた。
同委委員の岡田公夫副学長は「調査が現金の授受に集中し、病院への派遣問題
は疑問が残ったまま打ち切った。なぜ、金沢市の病院に派遣しなければならな
かったのか、継続的に調査すべきだった」としている。
(2008年4月1日14時53分 読売新聞)
横浜市大医学部長、親族経営の認定外病院に医師派遣
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080401-OYT1T00010.htm
学位取得を巡る現金の受け取りが明らかになった横浜市立大医学部(横浜市金
沢区)の嶋田紘(ひろし)医学部長(64)(31日で学部長退任)が、親せきが
経営する金沢市内の民間病院に大学院生の医師を派遣していたことが31日、わ
かった。
この病院は横浜市大の派遣先に該当せず、嶋田学部長が役員を務める学会の会
議費名目で多額の寄付をしていた。横浜市大コンプライアンス(法令順守)推進
委員会に内部通報があったが、「事実と確認できなかった」と報告書を公表して
おり、調査のあり方も問われそうだ。
横浜市大は「私的に医師の派遣が行われており、問題がある」とし、派遣は3
1日で打ち切られた。
この病院は、外科や内科、脳神経外科などがあり、嶋田学部長の親せきの男性
が理事長をしている。
理事長によると、2007年4月に4人の医師が抜け、嶋田学部長に派遣を依
頼した。同6月から2〜6か月ごと3人が派遣され、外科診療にあたった。
大学関係者によると、派遣された大学院生は、いずれも嶋田学部長の研究室に
所属し、研究を途中で打ち切らされ、同意なく派遣された例もあった。
医師の派遣は、臨床研修医の受け入れ先として厚生労働省が認定する「協力病
院」と、大学の慣例で受け入れ先となっている「関連病院」がある。この病院は
いずれにも入っていない。新たな派遣先を決める際、研究室での合意が必要だ
が、この病院への派遣は学部長の指示で決まっていた。
また、この病院は04年12月に横浜市内で開かれた嶋田学部長が会長を務め
る国際消化器外科会議に200万円の寄付をしていた。嶋田学部長が役員を務め
る日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会が05年6月に開いた会議に、100万円
を超える寄付があった。
協力、関連病院以外に横浜市大から医師が派遣されている例はほかにはなく、
関連病院などからの寄付はないという。
理事長は「医師の派遣は、嶋田先生の一存で決めてもらった。個人的なつなが
りから助けてもらった。学会は費用がかかるから、少しでも使っていただこう
と、応援したい気持ちから寄付した。金額は覚えていない」と話している。
一方、コンプライアンス推進委員会への内部通報は昨年11月、学位を巡る謝
礼授受の情報とともに寄せられた。同委員会は学部長らから聞き取り調査し、3
月25日にまとめた報告書は「現金授受は認められる」としたが、嶋田学部長の
親せきの病院への医師派遣は「伝聞に基づく」とするにとどめていた。
(2008年4月1日03時02分 読売新聞)
「内部通報者に悪意」横浜市大研究室員らが学長に処分要求
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080401-OYT1T00015.htm
横浜市立大の嶋田医学部長の研究室員らが、学位を巡る現金授受などについ
て、同大コンプライアンス推進委員会に対して内部通報した者を処分するよう求
める申し入れ書を、理事長と学長あてに提出していたことがわかった。
同大の規定では法令や倫理違反に関する内部通報者の保護を義務付けており、
申し入れはこの趣旨に反している。
読売新聞社が入手した申し入れ書によると、研究室の准教授ら11人の連名が
あり、2月12日付。
申し入れ書では、内部通報者を「医局内での出来事を悪意に歪曲(わいきょく)
している」などと指摘。「仲間を引きずり下ろそうとする人間」とした上で、委
員会に、「厳しい責任追及」を求めている。
(2008年4月1日03時02分 読売新聞)
大学には、学長、教授、助教授、助手及び事務職員を置かなければならない。
大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。