ホロコーストの研究史(論争史)
ホロコーストをめぐっては、実にたくさんの研究や論争がある。
その研究動向に関して、ドイツの研究者で、ドイツ史、現代史の代表的な研究者フライブルク大学のヘルベルト教授の研究史整理を、紹介しておこう。
全文「ホロコースト研究の歴史と現在」(オリジナル原稿タイトルの直訳は、「ホロコースト研究の諸傾向」)
これは、2001年2月に横浜市立大学で開催された国際セミナーでの報告(その原稿)を翻訳したものであり、いまではすでに『横浜市立大学論叢』社会科学系列、第53巻第1号(2003年1月)で公開しているものである。
1.歴史家論争(1980年代後半)・・・冷戦体制下(反ソの政治意識とかさなりつつ)、ナチズムの罪の相対化の議論、これへの批判の議論
2.ゴールドハーゲン論争(1996年)(「普通のドイツ人」とホロコーストのかかわり)、ドイツの戦争責任論争
3.絶滅戦争・国防軍戦争犯罪展(1995年)をめぐる論争・・・写真を中心とした証拠提示で「絶滅戦争」の実態を明らかにし、国防軍神話を実証的科学的に批判
(ブレーメンにおける論争・ドキュメント:Bremen 1997)
・・・・「国防軍神話」(「清潔で礼儀正しい国防軍」の神話)の破壊・・・極右・保守・自由主義・革新間の現実政治における激しい対立・・・歴史科学的・実証的な問題の指摘・・・歴史の真実をめぐる本格的問題:写真鑑定・検証委員会の設置とその報告
(2001/2年の国防軍犯罪展・ドキュメント中心版)(『国防軍犯罪展』を見に行った時のメモなど)
2004年3月、ミュンヘン現代史研究所とハンブルク社会研究所の合同シンポジウム(ハンブルクで):
「10年に及ぶ論争の総括・総決算」
4.ゲルラッハ論争(1997年)・・・・ヨーロッパ・ユダヤ人絶滅命令の有無・時期・論理をめぐる論争
5.歴史家の戦争責任に関する論争・・・戦後ドイツを代表する歴史家(コンツェ、シーダーなど)の「過去」
6.さまざまの分野の科学者のヒトラー政権・ホロコーストとの関係に関する研究
最新の研究動向の簡単な紹介
更新:2005年9月5日