序論

  −ネオナチ・アウシュヴィッツ否定論等の世界的諸潮流、無知、忘却、歪曲科学的歴史研究の課題研究史の動向
  



T.否定論・「修正主義」論
映像資料「ホロコーストを
否定する世界の人々」
 -最近、ドイツ、オーストリアであいついで、ツュンデル、ルドルフ、アーヴィング
逮捕され、裁判にかけられている

 しかしまた、現在の世界政治の状況、イスラエル対パレスチナ・イランといった状況の中で、現実利害(反イスラエルと反ユダヤの結合)がホロコースト理解をゆがめ、否定させたりしている。
 その意味で、否定論・「修正主義」論の背後には、現実の世界政治がある。
 (2006年1月26日のシュピーゲル・インタヴュー:ホロコースト記念日


U.インタヴューによる現場再現

    映画『ショア-』
の衝撃−被害と加害・傍観のたくさんの生存者の直接体験の厖大な集積・生の声の迫力
    しかし、「被害の側」からは見えてこないもの=「加害者の論理・力学」、これらの総体こそ歴史科学が明らかにすべきこと



V「アウシュヴィッツと"最終解決″」・・・NHKで(05年8月中旬5回・BBC製作)の「アウシュヴィッツ-解放60周年記念」225分のすぐれた番組・・・この講義に関心をもつような人の中には見た人も多いであろう。このドキュメンタリーも歴史の忘却歪曲・そして否定に対抗しようとするものである。

 しかし、アウシュヴィッツ、収容所に視野を限定することで、かえって、アウシュヴィッツの背後にあったことはわからない。「よい親衛隊員もいた」といった通俗的なことになる(軍需工場労働力要員として助かったユダヤ人の話、「シンドラーのリスト」)・・・全体のヨーロッパ・ユダヤ人の運命とそれを規定した重要な条件群がみえてこない。




  歴史科学による諸要因の連関と背後の理解、歴史の大局の理解が必要