3月31日(2) 都立の大学の就業規則に関する交渉の到達点が明らかになった。成果とともに、未解決の諸論点、「教員の就業に関する規則(仮称)」の制定の確認など重要事項を伝える「手から手へ」を以下にコピーしておこう。同じく、「大学に新しい風を」第6号のファイルにもリンクを張っておこう。ポーカス博士(緊急情報版)も本日をもって新しいアドレスに移転とのこと。新しい職場でのご健闘と可能なかぎりの首大情報(外部からでは困難になろうが)を期待したい。社会からの厳しい目が、首大の学問の自由・大学自治の復活・再活性化に貢献することを期待して。

 

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2340号

 

 

 

 

 

 

 

 

教員の就業に関する規則(仮称)の制定を確認
「旧制度」教員の「昇給・昇任なし」は規定されず
36協定等は引き続き協議
―昨日の大学管理本部との交渉結果について―

 組合は昨日、大学管理本部との間で専門委員会交渉を行い、教員の特性に配慮した「教員の就業に関する規則(仮称)」を就業規則に加えて制定することなどを確認し、覚書を交わしました。

〈組合と管理本部との間の覚書〉

   覚 書
  就業規則等に関し、以下の5点について、東京都立大学・短期大学教職員組合(以下「組合」という。)と公立大学法人首都大学東京(以下「法人」という。)との間で覚書を取り交わすこととする。
1 就業規則及び下位規程に関し、現時点で未整備の規程については、4月1日以降、引き続き組合と法人との間で誠実な協議を行い、4月末を目標に基本的な諸規程を整備し、労働基準監督署に補正を届け出ること。
2 教員の就業について、別の定めを設けることを就業規則第2条に記載するとともに、4月1日以降、その規程内容について、引き続き組合と法人との間で誠実な協議を行い、4月末を目標にこれを制定すること。
3 上記1・2の協議対象には、未整備規程のみでなく4月1日に労働基準監督署に届け出る就業規則及び下位規程も含むこととし、当該規程については、必要に応じ修正も行うこと。
4 労使協定のうち時間外労働及び休日労働に関する協定、専門業務型裁量労働制に関する協定、休憩時間の一斉付与の除外に関する協定について、同様に誠実な協議を行い、4月末までに協定締結を目指すこと。
5 上記4の労使協定締結までの間における時間外労働等、休憩時間及び勤務時間等の取扱いに関しては、現行を基本とすること。なお、管理職が必要と認めた超過勤務については、超過勤務手当を支払うこと。

 〈3月29日交渉での確認事項〉
1.旧制度教員の昇任の扱いについて
  旧制度教員の昇任の扱いについて、「旧制度のままでは昇任できない」という規定は諸規則・規程にはいっさい明記されていないこと。
2.新制度教員の年俸について
  教員給与規程における記載にかかわらず、新制度教員の基本給に関しては本年1月14日付「法人化当初における基本給決定の経過措置について」に示されたとおりの昇給が行われること。
3.就業規則及び下位規程と諸法規との関係について
  就業規則等の規定が労働基準法をはじめとする諸法規に抵触する場合、諸法規の規定が優先すること。

 〈交渉の中での前進〉
  就業規則等に関しては、これまでの組合と管理本部との間の交渉に加え、3月中旬からは各キャンパス過半数代表者と管理本部との間の協議も行われてきました。
  提示された就業規則等については、文書等の他への提示や学内での配布・集会等への重大な制限、「旧制度給与規則」中に昇給なしの記載、解雇・降任・配置換え・懲戒等に関する理事長らの恣意的な判断を許す規定や解雇・懲戒等の手続規定の不在など、重大な問題が多々含まれている上、4月直前になっての提案で十分な検討の時間もないなど、多くの批判と疑問が、学内からわき起こっていました。組合はこれまでの交渉の過程で、こうした問題点を管理本部にぶつけ、修正を強く迫ってきました。
  その中で昨日の交渉確認事項を含め、当初提案からの主な変更は以下の点です。
  第一に、「旧制度」教員に関して管理本部はこれまで、任期のつく新制度に移らない限り一切の昇任・昇給は認めないと再三繰り返してきました。しかし、当初「旧制度教員給与規則」に明記されていた「昇給なし」の規定が交渉の過程で削除され、さらに昨日の交渉で、「昇任なし」についても就業規則をはじめとする諸規則・規程の中には一切記載がないことを確認しました。管理本部側は、規定には書かなくとも、これまでの方針に変化はないと強弁しています。しかし「昇給・昇任なし」はこれまで組合が再三指摘してきたように、明らかな不利益変更であり、それが規則上明記できなかったことは当然です。規則にも書いていないことをもし闇で行うとすれば、それ自体が重大な問題です。組合は今後、任期のつかない教員にも、これまで通りの昇給・昇任を認めることや、4月からの昇任者についても昇任したままで任期のない制度に戻れることなどを強く要求していきます。
  第二に、「新制度」教員の給与規則には、昇給に関する規定が一切入っていません。これについては、少なくとも2007年度までの間については、基本給昇給についての「経過措置」がすでに提示されており、その「措置」に沿って昇給があることを確認しました。今後、「旧制度」ともども昇給規定そのものを明記することを求めていきます。
  第三に、「教員の就業に関する規則(仮称)」の制定を認めさせたことです。これまでは教育公務員特例法が、とくにその身分が保障されなければならない教員の特殊性に配慮するものとして存在しました。そこでは解雇・降任・転任・懲戒等について、恣意的な決定が行われないため、本人の異議申し立てを含め詳細な手続が規定されているほか、授業等に支障がない限り勤務地を離れて研修する機会の保障などが詳しく規定されていました。組合は、その趣旨を引き継ぎ、教員の特性に配慮する規定を設けるよう、強く要求してきました。これに関しては、具体的内容は4月1日以降の協議にゆだねられています。組合は、教特法の内容や趣旨をふまえ、十分な内容を備えた規則とするよう、協議の中で強く要求していきます。
  第四に、教職員の表現や行動に不当な制限を加えている諸規定のうちで、「教職員は、任命権者の許可なく文書を他に示し、又はその内容を告げる等の行為をしてはならない」などを含む条項を削除させました。また、採用時に「任命権者」への提出を義務づけている書類の中から「誓約書」を削除させました。
  第五に、就業規則等の規定が労働基準法をはじめとする諸法規に抵触する場合、諸法規の規定が優先することをあらためて確認しました。様ざまな自由の制限は、憲法をはじめとする諸法規に明らかに抵触するものです。例えば、正常な業務の妨げとならない職場での文書配布等が制限できないことは、判例などにおいてもすでに認められています。したがってこれらを制限しようとする就業規則等の規定は無効です。組合は、そうした規定の削除や修正を、さらに求めていくものです。
  第六に、4月以降の協議対象として、今後制定される規則・規程類のみでなく、4月1日に労基署に届け出たものも含めて、就業規則及び関連規則・規程のすべてを含めたことです。いくつかの重要な修正を勝ち取ったとはいえ、以下に述べるように未だ多くの重大な問題が未決着です。それらの修正と未制定規則類の制定を、覚書にあるように4月末を目標に、強く求めていきます。

 〈まだまだ重大な問題が残されている〉
  以上のような前進があったとはいえ、重要な問題の多くは残されたままです。
  なかでも最大の問題は、「旧制度」教員の昇給・昇格です。当局側のかたくなな姿勢を打ち破り、これを実施させること、及び規定上も明記させることが重要です。また、上記四で触れたような変更があったとはいえ、「任命権者の許可」なく文書等を配布してなならないなどの規定、あるいは破防法規定など、教職員の表現と行動を不当に制限し、恫喝する多くの規定が残されたままです。内部告発の保証も十分に規定されていません。さらにその他の規則類にも大小様々な問題が残されています。

 36協定などは引き続き協議、協定締結までは勤務時間管理・超勤手当等現行通り〉
  また管理本部は就業規則等にあわせて、36協定(時間外労働等に関する協定)など5つの労使協定の締結を求めていますが、給与等振り込み、及び給与等からの控除に関する協定の二つ以外のものについては、就業規則等の修正などとともに4月末の締結を目標に引き続き協議を行うこととしました。
  36協定については、提案されている内容がこれまで各大学で締結されていたものから様ざまな点で改悪されたものになっている上、組合にも過半数代表にも文書が手渡されただけで、いまだ説明さえされていません。なお、協定未締結であることは、超過勤務手当の支払いをなんら妨げるものではありません。覚書で確認されているように、新たな協定の締結までの間は、超過勤務の上限などについて、これまで各大学で取り結ばれてきた36協定の内容を基本にし、管理職が必要と認めた超過勤務についてはこれまで通り超過勤務手当を支払うことを確認しました。なお、新学期と法人発足が重なる4月には、当然、膨大な仕事が予想されますが、組合は、職員の過大な超過勤務が発生しないよう、十分な配慮を払うことを併せて強く申し入れました。
  教員の裁量労働制に関する協定については、組合はこれまでも専門医委員会交渉で管理本部との間の協議を進めてきました。しかし、いまだに両者の間に意見の隔たりがあり、3月23日の職場代表委員会主催の意見交換会でも、深夜の実験やそこでの事故の扱いはどうなるのか、助手の場合は本当に自分の裁量で勤務時間を決められるのかなど、様ざまな疑問が出されました。これについても、さらに法人との間に協議を詰めたうえで、早期の締結を目指します。また、それまでの間は、これまでの勤務時間管理と基本的に同じやり方とすることを確認しました。
  休憩時間等に関する協定も、いまだ説明がなされていないことに加え、新大学の発足や勤務時間の異なる固有職員が加わるなど、整理しなければならない問題があります。

 〈さらなる修正に教職員の力を合わせよう〉
  以上のように、重要な課題の多くは、今後の協議にゆだねられました。組合は、各キャンパスの過半数代表者とも協力しながら、さらなる修正・改善に向けて、取り組みを進めます。各キャンパスのすべての教職員の皆さんが、新法人を、教職員の権利と自由が認められ、働きやすい職場に近づけていくため、様ざまな問題点を指摘し、力を合わせていくことを呼びかけます。
 

 

 

 

 

 

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331(1) 大学の自治のあり方に重大な関心を寄せて、全国の大学の事件情報を収集している「全国国公私立大学の事件情報」が、昨日及び一昨日の本日誌を紹介し、さらに問題になっていることをわかりやすくするための「法人と大学の組織図」を佐藤真彦教授のHPから紹介している。私自身も、学内で議論になっていることなので、この318日の説明会やその後の会合などで議論に出たことを自分なりにまとめたのであるが、基本資料としてこの組織図がなくては、理解しがたいことであろう。引用者の指摘に感謝したい。いまや、大学教員の自律的独立的組織としては教員組合しかないとすれば、大学の自治の中心的担い手として、教員組合で研究教育、昇任昇給、評価制度などに関しても独自に検討する必要があるということではないか。ボトムアップの自由な民主的体制は、今回の組織図からはまったく浮かび上がってこないように感じられるからである。以下の具体的組織(任命制、代議員制、教授会権限の分散など)をみて、個々の教員(さまざまのレベルの管理職ではない一般教員)が主体的に審議決定に参加する権限のある事項は存在するのであろうか? 

その可能性のある事項は、「・・・会議の議を経て」というところがポイントになろう。その箇所を抜粋して見よう。

「1.           教育研究に関する各組織の長の役割と権限」をみると、一番最初にでてくるのは、(6)専攻長のところで、「2 専攻長は専攻会議の議を経て、以下の事項について決定する」という箇所である。同様に、()共通教養長の「2 共通教養長は、共通教養会議の議を経て、以下の事項について決定する」と。(8)コース長、(9)カリキュラム長、(19この「議を経て」をどのように運営するかによって、民主的システムとなるか独裁的システムとなるかが分かれてこよう。したがって、各専攻会議、共通教養会議、等々の「会議」の規則が問題となろう。   

       学部長のもとにある「学部運営会議」、研究科長のもとにある「研究科運営会議」などは、人事委員会によって決定・任命された学部長や研究院長等の管理職が主要なメンバーであり、そうした長が指名した委員で編成される。そこでは、指名制委員の場合、学部長のカリキュラム編成方針や予算編成方針等に批判的である(ありうる)委員が選ばれることはない(可能性は少ない)であろう。したがって、研究教育の全般にわたり、一般教員の関知しない上からの任命制・上からの指名制によるメンバーが、全体を牛耳ることになろう。これは、民主的な議論を封じ込むシステムではないだろうか? どこに民主的なボトムアップのシステムが組み込まれているのだろう。

 

 

 

 

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20050331

横浜市立大、4月からの教授会自治解体の組織図

■永岑三千輝氏『大学改革日誌』 (2005.3.29+30)より

■学問の自由と大学の自治の危機問題

 ●永岑三千輝氏『大学改革日誌』 (2005.3.29+30) 4月からの教授会、「まったく何も言う気がしなくなってくる」

 

 

 3月30日(1) 本日誌の読者の一人から、昨日の日誌(4)における私の主張に基本的に同意を示されながら、言及が足りない重要な論点の指摘をいただいた。下記に示すご指摘はまったくそのとおりである。先日の説明会(18日)で、ある教員が「まったく何も言う気がしなくなってくる」と自治解体のシステムを表現した。そのとおりで、何か発言しても、行政当局(4月以降は表面的には法人経営者)が最終的決定権を握り、それが脅かされないような完璧なシステムとなっているといえるからである。

 すなわち、教授会開催のあり方、教授会権限の執行のあり方、執行部体制のあり方に関してである。学部長だけが上からの任命というにとどまらない。通常は教授会も開かないシステムになっている。

 「教授会権限を「代議員会」に委ねてしまうこと。代議員の選出方式が、任命制にかたより、また、コースにより、代議員選出の票の重みが違うことなどにも、重大な問題があるように思われます。」

 まさにそのとおりであり、いかにも行政当局が考え出した制度、というものである。教授会とは名ばかり、ということになろう。こうしたシステムの元で、教員評価が行われたら、一体どのようなことになるのか? 一次評価者が任命制のコース長、二次評価者が任命制の学部長、最後が行政当局任命による学長、教授会を開催してもそこでは任命制のシステムが支配するようになっている、とすれば、このどこに行政当局からの大学人の自律・自治があるか?

 このようなシステムの元で、どのように自由で創造的な生き生きした研究教育となるのか?日々明らかになってこよう。

 新しいシステムでは、法人や大学執行部との関係で、それに対する自律的・自治的組織(メンバーの選挙によって選ばれたという意味での正当性・権限と権威の正統性をもつもの)は教員組合、各種従業員組合しか存在しない。したがって、現在のような新学部発足時点では、教員組織の自律的自治的組織は教員組合しかないともいえる。先日のある会合で、「教員組合が教授会だ」という人がいたが、まさにかつての教授会と同じような自律性を持つのは教員組合しかなく、この発言もそのような意味合いであったのだろう。

 教育研究に従事する人間たちの自律的自治的組織は、現時点ではそれしかないからである。

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 3月29日() 新しい学部「国際総合科学部」の教授会召集状がメールで届いた。やはり、学校教育法、その背後にある憲法等を無視することはできない、ということが法人経営サイドにもわかったということである。

 問題は、教授会の権限であり、その権限の範囲内での責任の所在である。これを明確にするために審議事項が学則で定められなければならない。

 この間、問題となっている入試倍率の低下なども、発足時点の新学部は何ら責任の主体ではない。新学部が発足していない、ということで教授会審議の対象とならなかったからである。大学改革推進本部が旧制度の学長、旧制度の委員を適宜活用して新学部の入試を行った、ということである。

 新発足の教授会は、新学部長を選挙していない。したがって、教授会構成メンバーから自由な選挙によって選ばれておらず、オーソライズされてはいない。その学部長がどのようか権限を持つのか。これが今後、教授会の権限との関係で問題となる。

 学部長の権限をどのように規程するのか、教授会は何を審議する権限があるのか。

 教授会は何の決定に参加し、その決定に参加した範囲で責任を負うことになるのか。

 その学則規程(条項)が法律(学校教育法等)に照らして問題となる。自治・自律はどこまでのものか?

 この間の各種ワーキンググループは、大学改革推進本部という行政機関の単なる諮問委員会のようなものであった。単なる相談にあずかる、「協力する」、単に実務作業を担う(決定権はない)というものであった。

 

上記の主張と問題点の指摘は,外部の者には具体的に理解しにくい点がありましたが,以下の横浜市大学改革推進本部「法人組織説明会資料」(2005/3/18)によって,教授会自治解体のおよその構図がわかりました。

 

■横浜市大学改革推進本部「法人組織説明会資料」(2005/3/18

(出所「学問の自由と大学の自治の危機問題」より)

 

 この組織図をみると,教授会審議事項については,これまで有していた4つの事項(@教員人事に関すること,A研究に関すること,B学部運営に関すること,C学生の身分に関すること)から@〜Bを切り離し,Cだけに限定されている。また,教授会は「全体会」と「代議員会」に区分され,上記永岑氏の説明によれば,「通常は教授会も開かないシステムになっている」(ここで言う「教授会」とは全体会を指しているように読める)ようだ。

 

 

法人組織説明会資料

(平成17318日現在)

 

1 教育研究組織

 (1)教育研究に関する組織

 (2)教育研究に関する組織図

 (3)新たに導入される主な運営制度及び組織

 

2 法人の事務組織

 (1)法人組織図

 (2)法人事務分掌

 

○参考資料(別冊)教育研究組織関係資料

 

 

横浜市大学改革推進本部

 

 

 

Posted by 管理人 : 掲載日時 20050331 01:09 | コメント (0) | トラックバック (0)

URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/4_5.html

 

 

 

 

 

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3月30日(4) 教員組合ウィークリー本日号が、先日の「大学人の会」の声明を掲載した。以下にコピーしておこう。

 

--------横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー2005.3.30----------


大学人の会の声明(23日)

 23日、すでに本紙において報じ(24日付け)、また、神奈川新聞(同日
付け)でも報じられたように、「横浜市立大学問題を考える大学人の会」
(呼びかけ人:久保新一関東学院大学教授ら)が、現在の横浜市大の改革
のありかたを批判し、特に、任期制、年俸制、教員評価制度の導入強行に
反対する声明を発表しました。
 当組合の要求ではありませんが、重要な文書ですので本紙に続報として
掲載します。
 「横浜市立大学問題を考える大学人の会」は、横浜市在住・在勤の大学
教員および大学教員経験者22名から成り、この間、声明文中にもあるよう
に、横浜市立大学の改革のありかたを憂慮してさまざまな取り組みをして
います。
 特に、昨年328日には、当組合も共催団体として参加した、シンポジ
ウム「任期制・年俸制導入と評価制度は大学と教育をどう変えるか」を主
催しています(他の共催団体:「横浜市立大学を考える市民の会」「都立
の大学を考える都民の会」「東京都立大学・短期大学教職員組合」)。




横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める
−研究・教育の劣化を押しとどめるために−

 横浜市立大学は、4月から商学部・国際文化学部・理学部を廃して「国
際総合科学部」に統合し、医学部と共に地方独立行政法人化した新大学と
して再出発する。しかし、その再出発は、それぞれ誇るべき歴史と伝統を
持ち性格も違う3つの学部を、特別な理念もないまま強引に1学部に統合
し、教授会から人事権のみならず教学権まで剥奪するという、まともな大
学がどこもしなかった暴挙をあえて行った上で、どたんばで前代未聞の教
員全員任期制・年俸制・評価制の導入を強行しようとしている。これらの
制度の導入は、大学の最大の資産である「優秀な人材」の確保を保証しな
いばかりか、大学の存立根拠である「研究・教育の自由」を奪う怖れが極
めて強く、ひいては市民の「言論の自由」の侵害にも道を拓きかねない危
険性を持つものであり、認め難い。

(1)
新大学への応募倍率の低下
 去る2月末新大学に学生を迎える初めての入試が行われたが、前期試験
の応募倍率は、理学系の5.6倍から2.1倍への低下をはじめ、医学部を除く
すべての系で半減または激減する結果となった。この数字は、教員や関係
者の多くの反対にもかかわらず強行された「改革」が、受験生からも予想
以上に厳しい評価を受けたことを示唆している。

(2)
止まらない教員の流出
 ある新聞が「隠れFA宣言」と報じたように、横浜市大からの教員の流出
も止まらない。定年前に横浜市大から流出した教員は、商学部で26.4%
20023月現員比率、以下同)、国際文化学部で24.1%、理学部で16.4%
木原生物学研究所で22.2%に及ぶなど、高率の教員流出が続いている。流
出者の中には、若手教員や現・前学部長など、大学の中核を担うと期待さ
れていた人材が少なからず含まれていることは特に注目される。

(3)
再三行ってきた批判と検証
 「横浜市大問題を考える大学人の会」は、2003415日「『横浜市立
大学のあり方懇談会』答申に関する訴え」を出し、任期制の問題点を明ら
かにしたことを始めとして、同年1125日には「横浜市立大学の新たな大
学像について」に関する声明を発表し、横浜市が導入しようとしている教
員全員任期制は、特に教授会による自治が保障されない状況の下では、研
究・教育の自由を侵害するおそれが強いことを指摘した。また、「教員全
員に任期制を導入した場合、適任と思われる人材が応募をためらい、注目
される教員は任期制でない他大学に引き抜かれるなど、研究・教育水準の
低下が懸念される」と危惧を表明した。
 さらに、「大学人の会」は2004328日に、成果主義賃金制度に詳し
い経営コンサルタントや米国の大学での管理職経験者等を招いて「任期
制・年俸制・教員評価制度の導入は研究・教育にいかなる影響を与える
か」に関するシンポジウムを行った。その結果、@民間企業でも成果主
義賃金制度はうまく機能していない。原因は評価制度が社員の労働意欲を
低下させてしまっている点にある。A任期制を先行導入した国立研究所で
は、目先の成果が上がりそうな研究テーマを選ぶようになり、仲間との交
流も減った。Bアメリカの大学は任期制ではなく、テニュア(終身在職
権)制である。D日本型任期制は、京都大学の井上事件に象徴されるよう
に「業績のある教員」を排除する制度にもなりうること、等が明らかにさ
れた。

(4)
批判と教員大量流出の現実を無視した「教員全員任期制・年俸制・評
価制」の導入強行
 上に記したわれわれの批判と教員の大量流出にもかかわらず、横浜市は
市大における教員全員任期制・年俸制・評価制の具体案を発表し、導入を
強行しようとしている。われわれは、この具体案が今後の市大における研
究・教育に重大なマイナスの影響を与えるものであることを痛感し、「教
員全員任期制」と「年俸制」、提案された「評価制度」の導入を停止し、
以下のような措置をとることを求める。

(5)
教員組合と協議しその了解を得ること
 雇用者は被雇用者(教員)の身分や労働条件の大幅な変更をともなう
「改革」を行う場合には、事前に被雇用者の過半数を代表する組織の了解
をえることが義務付けられている。にもかかわらず、昨年12月末に至って
ようやく一部の案を提示し、本年の1月25日に初めて説明会が持たれたこ
とが示すように、教員との協議により「改革」を進めようとする姿勢が欠
けている。横浜市は性急な「改革」の強行を止め、教員組合と協議しその
了解を得て「改革」を行うことをまず、要望する。

6)「全員任期制」では、優秀な教員を採用・確保できず、教員の流出
は止まらない
 京都大学再生医科学研究所における任期制(有期雇用)をめぐる裁判で
明らかになったように、任期制のもとではいかに優れた研究成果をあげて
いても、雇用者は「再雇用をしない」ことが可能である。ほとんどの研究
者にとって任期終了による失業は、避けたい事態である。先のシンポジウ
ムでも示されたが、アメリカの大学で終身雇用保障を与える終身在職権
(テニュア)制度が拡大したのは、大学間競争の中で大学が優秀な人材を
確保するためであった。世界の有力大学で「全員任期制」を採用している
大学が皆無であるのは、当然のことである。すでに進行している横浜市大
からの人材流出が示唆するように、優秀な人材が任期制ポストへの応募を
ためらい、在職教員が終身雇用を保障する他大学に移出してゆくのは自然
であり、横浜市の「導入の目的」(1228日付資料)とは逆に「全員任期
制」は「優秀な人材の確保」を困難にするであろう。
 
7)大学における成果主義(年俸制、評価制)の導入は、研究・教育意
欲を向上させない
 すでに「成果主義の導入が企業の生産性上昇を阻害する」ことは、かな
り有力な学説となっている。最近の日本能率協会や労働政策・研究機構の
調査でも、従業者の多くは、成果主義の導入による「勤労意欲の上昇はな
い」と回答し、「評価に対する納得度は低下した」と答えている。民間企
業の場合、評価者は被評価者とおおよそ同一内容の業務をしており被評価
者の仕事内容がかなりよく分かるはずであるにもかかわらず、評価が適切
だと納得している従業員は少ない。
 大学の場合は、教員間の専門性の違いは大きく、専門分野ごとに標準的
な研究や教育の方法も成果の出方も異なる。この違いを無視して共通の評
価基準を作ることはほとんど不可能である。また、専門分野を知らない評
価者による評価が被評価者を納得させることは難しい。正当だと思われな
い評価に基づいて年俸を決められた場合、研究・教育意欲の低下はまぬが
れない。まして、市大の場合評価は「相対評価」で行われるから、どんな
に努力して業績を上げても、何らかの理由で下位にランクされた教員は、
再任の途を断たれるか減俸の対象になる。
 成果主義賃金制度を導入した数少ない大学の一つである北陸大学の場
合、制度の導入によって「意欲が高まった」と答えた教員は回答者中の
4%に過ぎず、63%は「低下した」と答えている(北陸大学教職員組合調
査による)。「不透明、不公平、恣意的な業績評価、それに基づく人事考
課は不信と諦めを生み出すだけだ」という意見は、アンケートにみる代表
的な意見である。意欲の低下に加え、結果が予想できない困難な研究課題
への挑戦を避け、数年で消費され尽すような研究であっても、短期的に成
果が予想できる課題を研究テーマに選ぶようになる可能性は高い。

8)研究・教育の自由を奪う制度
 横浜市立大学の場合、評価を担当する学部・コース・研究院などの組織
の長は、教員によって選出されるのでなく、「上から」の一方的任命であ
る。全国の国立大学法人や首都大学東京でさえも、「教員人事に関する事
項」は教育研究審議会(評議会)の審議事項であるが、横浜市立大学定款
では、教員人事は教育研究審議会(評議会)の審議事項から除外されてい
る。理事会は、横浜市長が任命する理事長がほとんどの理事を決められる
制度となっており、横浜市の意向を体したもののみが教員組織の長に任命
される、という事態を防止する制度的保障は全くない。憲法が保障する学
問の自由と、大学の自治や「大学には重要事項を審議する為に教授会を置
く」とする学校教育法の精神に反した制度になっている。
 このように「上から」選ばれた組織の長が、教員の活動の評価者となる
ため、横浜市の行政に対する忠誠度や思想、個人的関係など学問外の要因
が評価に影響する可能性は小さくないし、被評価者が、そうした非学問的
な要因や第一次評価者の主観的判断が評価に影響していると推測する可能
性は高い。
 まして、横浜市立大学の場合、この評価制度は任期制と結合した「相対
評価」だから、威力は相当なものになるであろう。その結果は、評価を上
げて再任されるために、教員は、評価者や横浜市の意向に、学問的に、政
治的に、社会的に、擦り寄ることを強要されることになりかねない。評価
者や設置者の顔色をうかがい、批判的精神を失った研究・教育を行う大学
は、大学が社会から負託された社会的責務に応ええないものに変質すると
いわなければならない。

(9)
全員任期制の承認を踏み絵にしてはならない
 横浜市は、任期制度の導入を強行するために「任期制に同意しない教員
については(助教授から教授などへの)昇任を認めない」方針である、と
伝えられている。教員の昇任は、当該教員の研究・教育の成果に関する専
門性をもつ教員集団を中心とした評価と適格性の判断によって決められる
べき性格の問題である。「任期制に同意しないと昇任させない」という筋
違いの条件をつけること自体、任期制が研究・教育の自由を侵害する怖れ
が極めて強いものであることを物語っている。

(10)
「教員全員任期制・年俸制・評価制」の導入強行に反対し、中止と撤
回を求める
 以上、私たちは、横浜市による市大への教員全員任期制・年俸制・評価
制の導入強行に反対し、その中止と撤回を求める。それは「研究・教育の
自由」を侵害するのみならず、市民の「言論の自由」の抑圧に道を拓くこ
とになる可能性が強いからである。人事制度の変更については教員組合の
同意をえること、教員の人事権、教学権については教授会に戻し、教授会
の自治ならびに大学の自治を回復することを強く訴える。

 2005323

「横浜市立大学問題を考える大学人の会」(・印呼びかけ人)

相原光(横浜市立大学名誉教授)、浅野洋(神奈川大学特任教授)、伊豆
利彦(横浜市立大学名誉教授)、板垣文夫(横浜商科大学教授)、伊東昭
雄(横浜市立大学名誉教授)、・伊藤成彦(中央大学名誉教授)、・今井
清一(横浜市立大学名誉教授)、・久保新一(関東学院大学教授)、・田
中正司(横浜市立大学名誉教授)、玉野研一(横浜国立大学教授)、津久
井康之(専修大学教授)、土井日出夫(横浜国立大学教授)、田畑光永
(神奈川大学教授)、中川淑郎(横浜市立大学名誉教授)、長谷川宏(東
京都立大学教授)、平塚久裕(横浜市立大学名誉教授)、本間龍雄(東京
工業大学名誉教授)、宮崎伸光(法政大学教授)、安田八十五(関東学院
大学教授)、・柳澤悠(千葉大学教授)、矢吹晋(横浜市立大学名誉教
授)、・山極晃(横浜市立大学名誉教授)、横山桂次(中央大学名誉教
)、吉川智教(早稲田大学大学院教授)

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発行 横浜市立大学教員組合執行委員会

236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号
Tel 045-787-2320    Fax 045-787-2320
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教員組合ホームページ 
http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm
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------ 

3月30日(3) 政治の論理に支配される官僚機構の問題性は、次のようなところからもわかる。

「国策操作」。下記の本の主張どおりなら、まさに現代社会の冤罪事件である。

さて、大学改革では?

 

---天木直人 3月 29日 メディア裏読み 2005 最終号----

 

contents------------------------------------------------------
 「国家の罠」という凄い本
 日朝国交正常化交渉担当大使というポスト
 エルピーダメモリ社長の坂本幸雄さん
------------------------------------------------------ contents

◇◆
 「国家の罠」という凄い本 ◆◇

 「国家の罠」という凄い本が新潮社から出版された。鈴木宗男事件に関係して逮捕・起訴された佐藤優元外務省所職員の手になる告発書である。
 さっそく購入して目を通した。そして推測していた以上に卑劣な事が外務官僚と検察官僚によって行われていたことを知った。この国の闇を見る思いがした。

 しかし、この本の凄さの意味を一般の読者はどこまで理解するであろうか。この告発書の本当の凄さを、耐えられない思いで読んでいるのは外務省、検察庁の当事者であるに違いない。
 私がこの書で感じた思いは到底一言で述べられない。ここでは著者が国家権力に一人立ち向かって訴えようとしたつぎの二点を指摘するにとどめる。それだけでも十分すぎると思うからだ。4月8日号の週刊朝日、4月9日号の週間現代からの記事を一部引用して紹介する。

 その一つは「国策捜査」というものを、検察官自身が認めたという驚くべき事実である。
「国策捜査」とは国家利益を守る目的で犯罪を作り上げていく作為的な捜査だ。 東京地検特捜部の西村尚芳検事は佐藤氏にこう言ったという。「あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件をつくるため。国策捜査は時代のけじめをつけるために必要なんです。(あなたは)運が悪かったとしか言えない・・・」。どれほどの人間が国策捜査の犠牲になってきたことだろう。戦前ならいざしらず、今日においてもこのような国策捜査が行われていることは衝撃的だ。

 もう一つは外務官僚の卑劣さだ。佐藤氏は、「ムネオ事件」の発端となった鈴木宗男と田中真紀子の相打ちは、両者を外務省から追放したかった外務官僚の陰謀だったと主張する。そして「外務省は組織防衛のためなら何でもする。私のやったことは上層部がすべて決済して了承されたことであったのに、決裁書はすべて密かに処分され、公判でもウソの証言をした」と糾弾する。

 佐藤氏の小泉首相に関する言及がおもしろい。極めて正鵠を得ていると思う。「私は小泉首相本人が意図的に鈴木さんを狙ったとは思いません。鈴木さんを守って政権がつぶれるのを回避しただけです」
 「国家の罠」で明らかにされた官僚の卑劣さ。政治家さえも切り捨てる面従腹背の官僚のしたたかさ。しかもその官僚が出世の為にお互いを攻撃しあう。裏切る。
 佐藤氏は言う。「なにしろ正式な決済を得て、上司からも『骨を拾う』と言われて進めた仕事で逮捕されたわけです。つまり骨になっても、その骨さえ絶対に拾ってもらえない・・・外務省と言う組織は、あの時に壊れてしまったのです・・・」
 

◆◇◆◇ 「メディア裏読み」をご愛読いただいている皆様へ
ご愛読いただいておりました「メディア裏読み」は、今回で最終号となります。
長らくご声援を頂戴いたしましてありがとうございました。
ご案内させていただきました講談社新刊「ウラ読みニッポン」は皆様から頂いたご声援の賜
物と感謝申し上げます。
4
月からは表題も新たに発信を予定しております。
詳細は新しいHP http://www.amaki.info/ に掲載いたします。
どうぞご期待ください。 
◆◇◆◇

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3月30日(2) 「首大(クビダイ)」の就業規則案も、息詰まるような内容である。このような諸条項で縛った大学などというのは、自由で生き生きした大学になるのだろうか?

          言論の最大限完璧な自由なくしては、学問の自由、精神の自由などありようがない。言論の内容に問題があれば、それに対しては事実と論理を持って批判すればいいのである。事実と論理で批判して真実や真理を発見する基本的方法・基本的態度・基本的精神を学ぶところが大学である。大学の使命と基本的論理を否定するような規則を、行政当局は平気で作る、ということだろう。

下記のような諸条項によって規則や許可で押さえ込もうとする発想自体、「首大」の根本的問題を証明していると思われる。大学「改革」の本質的問題はこんなところにも表れている、といわなければならない。

 

----2005年03月30日「全国国公私立大学の事件情報」より------

 

大学管理本部、言論の自由が奪われ息苦しい大学に変えてしまう就業規則案

■東京都立大学・短期大学教職員組合

 ●「大学に新しい風を」編集委員会「大学に新しい風を」(2005年3月29日)

 

 

言論の自由が奪われ息苦しい大学に変えてしまう就業規則案

 

就業規則検討グループ  2005.3.25

 

大学管理本部が、3月15日に発表し、23日に若干の修正を加えた就業規則、旧制度教員給与規則などの案(注1,2)は、以下に述べるように多くの点で重大な問題点を含んでいます。

 

1.勤勉に働いても昇給・昇任なし(旧3条2項)という公序良俗に反し、地方独立行政法人法57条に明白に反する違法な「旧制度教員給与規則」が出されました。これはあまりにも露骨であることから、すぐに23日の案で削除されました。しかし管理本部は、「3条2項を削除したとしても、昇任・昇給規定が旧制度教員給与規則にはないので、昇任・昇給は行われない」と主張しております。

 

2.また就業規則案には、学内での集会・演説・放送や文書等の配布の許可制に関する条項38条)は、言論・出版・表現の自由を奪う危険性があり、学問の自由、大学の自治、信条・表現の自由など基本的人権を侵す条項であり、重大です。労働組合活動や学生の自治会活動すら抑圧することができます。また、任命権者の許可なくして発表を不可能とする守秘義務の条項(31条)により、大学や都政の問題点を指摘できなくし、企業でも行われている「内部告発」を押さえ込むことが危惧されます。しかも、対象となる行為に関しては、「法人の名誉若しくは信用を失墜させる行為」「法人の秩序及び規律を乱す行為」(30条)となっています。修正前の条項では、「そのおそれのあるもの」(38条2項3)、という非常に曖昧な定義となっていましたが、それは撤回されました。

 

3.さらに懲戒処分の条項は、不服の受付や対処手続きが規定されておらず、すべて理事長の裁量に任されるという、使用者の暴走に対する歯止めや人権尊重のない欠陥条項を含む治安維持法的な「就業規則」の提案です。これは、教育公務員特例法(注3)9条で、教員の人権を尊重した慎重な懲戒処分の手続きを規定していることを参考とすべきです。

 

4.給与や業績評価、大学運営のやり方に対して、問題点の指摘や不満を述べた文書や意見の表明が、理事長の許可制38条)であることから考えて、それに反した場合には、解雇(46条4項)等の懲戒処分となりえます(45条)。

 

5.解雇の条件として、「業務上又は経営上やむを得ないとき」、「その他職務を遂行するために必要な資格又は適格性を欠くとき」(24条1項)という、非常に恣意的に首にしやすい条件が規定されています。たとえば、オープンユニバーシティーの場合には、早大や昭和女子大の例でも非常に赤字経営が問題とされていますが、この条項を使って整理解雇や配置替えが危惧されます。教特法6条や5条に規定されているような、教員の人権を尊重した慎重な手続きが必要です。

6.さらに、解雇の条件として「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入したとき」(新24条2項3)という条項について、「破防法」に基づいた規程は公務員に特有な条項ですが、非公務員に対しては破防法などに連なるだけでなく、思想信条の自由に抵触する条項となっている点から、東大等どの国立大学でも削除しております。職員についてのみこの条項を削除しましたが、教員についても削除すべきです。

 

7.そのような思想を改めさせるための研修を命ずる業務命令(43条)さえ発することが可能です。本来、教員の研修とは、「本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」ものであるはずです。教特法20条や19条では、自主的な自己研鑽のために研修の権利が認められているのであり、首大の就業規則とは雲泥の差です。

 

8.また管理者は、「配置替等を命ぜられた教職員は、すみやかに着任しなければならない」、「着任できないときは、任命権者の承認を得なければならない」(37条)、「配置換等を命じられた教職員は、正当な理由なくこれを拒むことができない」(11条)と教職員の同意なしに自由に異動させることも可能であり、現在異動に関して教特法5条で行われている教員の人権を尊重した慎重な手続きの条項が欠落しています。

 

これらの条項は、懲戒・異動等の決定に際して行われて生きた教育公務員特例法で規定されている教員組織(教授会・評議会)の議に基づいて行うという諸手続や不服の受付や対処手続き(5,9条)が規定されていません。従って、上記に述べた条項を利用すれば、管理者は恣意的な懲戒・業務命令・異動・圧力が可能となります。このように教員の人権を保護する規定が、まったく欠落しており、すべて理事長の裁量に任される危険性があります。

 

そもそも、慎重な手続きや不服の手続き規定は、「学問の自由の保障」(憲法23条)や「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない」(教育基本法6条2項)という法律に基盤を置き、「教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基き、教育公務員の任免、分限、懲戒、服務及び研修について規定する」(教特法1条)という教員の人類的社会的倫理的責務の遂行のために教員の身分を保障する上で必要不可欠なものです。

 

……後略

 

 

 

 

Posted by 管理人 : 掲載日時 2005年03月30日 09:45 | コメント (0) | トラックバック (0)

URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_872.html

 

-----------

3月30日(1) 本日誌の読者の一人から、昨日の日誌(4)における私の主張に基本的に同意を示されながら、言及が足りない重要な論点の指摘をいただいた。下記に示すご指摘はまったくそのとおりである。先日の説明会(18日)で、ある教員が「まったく何も言う気がしなくなってくる」と自治解体のシステムを表現した。そのとおりで、何か発言しても、行政当局(4月以降は表面的には法人経営者)が最終的決定権を握り、それが脅かされないような完璧なシステムとなっているといえるからである。

すなわち、教授会開催のあり方、教授会権限の執行のあり方、執行部体制のあり方に関してである。学部長だけが上からの任命というにとどまらない。通常は教授会も開かないシステムになっている。

 

教授会権限を「代議員会」に委ねてしまうこと。代議員の選出方式が、任命制にかたより、また、コースにより、代議員選出の票の重みが違うことなどにも、重大な問題があるように思われます。」

       

まさにそのとおりであり、いかにも行政当局が考え出した制度、というものである。

教授会とは名ばかり、ということになろう。こうしたシステムの元で、教員評価が行われたら、一体どのようなことになるのか? 一次評価者が任命制のコース長、二次評価者が任命制の学部長、最後が行政当局任命による学長、教授会を開催してもそこでは任命制のシステムが支配するようになっている、とすれば、このどこに行政当局からの大学人の自律・自治があるか?このようなシステムの元で、どのように自由で創造的な生き生きした研究教育となるのか?日々明らかになってこよう。

新しいシステムでは、法人や大学執行部との関係で、それに対する自律的・自治的組織(メンバーの選挙によって選ばれたという意味での正当性・権限と権威の正統性をもつもの)は教員組合、各種従業員組合しか存在しない。したがって、現在のような新学部発足時点では、教員組織の自律的自治的組織は教員組合しかないともいえる。先日のある会合で、「教員組合が教授会だ」という人がいたが、まさにかつての教授会と同じような自律性を持つのは教員組合しかなく、この発言もそのような意味合いであったのだろう。

教育研究に従事する人間たちの自律的自治的組織は、現時点ではそれしかないからである。

-------- 

3月29日(4) 新しい学部「国際総合科学部」の教授会召集状がメールで届いた。やはり、学校教育法、その背後にある憲法等を無視することはできない、ということが法人経営サイドにもわかったということである。

問題は、教授会の権限であり、その権限の範囲内での責任の所在である。これを明確にするために審議事項が学則で定められなければならない。

この間、問題となっている入試倍率の低下なども、発足時点の新学部は何ら責任の主体ではない。新学部が発足していない、ということで教授会審議の対象とならなかったからである。大学改革推進本部が旧制度の学長、旧制度の委員を適宜活用して新学部の入試を行った、ということである。

新発足の教授会は、新学部長を選挙していない。したがって、教授会構成メンバーから自由な選挙によって選ばれておらず、オーソライズされてはいない。その学部長がどのようか権限を持つのか。これが今後、教授会の権限との関係で問題となる。

学部長の権限をどのように規程するのか、教授会は何を審議する権限があるのか。

教授会は何の決定に参加し、その決定に参加した範囲で責任を負うことになるのか。

その学則規程(条項)が法律(学校教育法等)に照らして問題となる。自治・自律はどこまでのものか?

この間の各種ワーキンググループは、大学改革推進本部という行政機関の単なる諮問委員会のようなものであった。単なる相談にあずかる、「協力する」、単に実務作業を担う(決定権はない)というものであった。

ともあれ、召集状は、次のようになっている。

-------

教員各位
                            国際総合科学部長
                             予定者                                    
                               藤野 次雄

        17年4月国際総合科学部教授会の開催

標記の件に付、下記のとおり開催いたしますので ご出席ください。

日付  平成1744日(月) 午後3時より
場所  カメリアホールにて

なお、ご欠席予定の方は、委任状をご提出ください。
よろしくお願いいたします。

(詳細は通知にてメールBOXに入れておきます)

 

-------

3月29日(3) 下記の任期制等に関するさまざまの未確定問題・労使交渉問題とも関連して、香川大学の吉田さんの最新日誌をコピーしておこう。

 

------更新雑記-------

 

-------

3月29日(2) 過半数代表選出

-----横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー2005.3.29---------

 

市大過半数代表者会議、開催

就業規則についての意見聴取、労使協定にそなえ


過半数代表者・過半数組合、出そろう

 当局が進めている就業規則の作成にあたっては、法の定めるとこ
ろにより、労働者代表の意見を聴取することが使用者側に義務づけ
られており、裁量労働制の適用など、各種労使協定の締結にあたっ
ては、当該事業場 における労働者の代表との合意が必要となって
います。この労働者代表として、学内の全6事業場のうち3事業場
で、過半数代表者が、25日までに選出されました。また、残りの3
事業場については、労働者代表の役割をはたす過半数組合がすでに
存在していますので、すべての事業場について、過半数代表者・過
半数組合が決まったことになります。
 各事業場の過半数代表者および過半数組合は、下記のとおりで
す。

@
 舞岡・木原生物学研究所  笹隈哲夫氏(同研究所、教授)
A
 鶴見・連携大学院  木寺詔紀氏(大学院総合理学研究科、教授)
B
 福浦(附属病院以外:
医学部・看護短期大学部等)三浦惠氏(医学部、助教授)
C
 福浦・附属病院   医従(横浜市立大学病院従業員労働組合)
D
 浦舟・センター病院  医従
E
 金沢八景キャンパス  教員組合

市大過半数代表者会議、開催

 これらの過半数代表者・過半数組合の連携をはかるため、当組合
の呼びかけにより、28日、横浜市大過半数代表者会議が開催され
ました。会議には、各過半数代表者およびその補佐役の人と、医従
から岡田副委員長、当組合からは、中西委員長、藤山副委員長、山
根書記長が参加しました。
 会議においては、過半数代表者・過半数組合の法律上の役割・権
利と、現在、当局が必要としている、協定事項等について検討しま
した。
 その結果、就業規則と各種労使協定には、問題の大きなものが多
く、今後、当局と十分な話し合いを経て、問題点が明らかにならな
ければ、一部の事項を除いては、ただちに当局と合意することは難
しいことが確認されました。
また、各事業場が自主的に判断することを前提としながら、要求を
すりあわせつつ、各事業場の過半数代表者・過半数組合のあいだ
で、連携、連絡をはかることで一致しました。

過半数代表者の扱う事項

 当局が2月末の教員説明会で示したように、新法人の業務を開始
するにあたって、当局側は、いくつかの事項について、過半数代表
者・過半数組合(以下、労働者代表)の意見を聴取したり、その合
意により労使協定を締結したりすることが義務づけられています。
就業規則
就業規則の作成にあたっては、使用者は、労働者代表の意見を聴取
すること、労働者に就業規則を周知すること、労働者代表が署名捺
印した意見書を添付して、就業規則を労働基準監督署に届けること
が義務づけられております。この手続きを踏めば、労働者代表が同
意しなくとも就業規則は成立してしまいますが、使用者には、労働
者の意見を聴取する義務を誠実に果たしたかが問われます。また、
労働者代表の意見書の内容も考慮される余地があります。
当組合は、諸規程を含めた就業規則の問題について、じゅうぶんに
話あい、解決することを当局に求めていきます。

労使協定
 労使協定を結ぶ必要がある事項として、当局が挙げているのは、
以下の6点です。

@
 賃金の控除(天引き)・・・賃金から保険料などを天引きする
こと。
A
 賃金の口座払込・・・この協定がないと、現金、直接払いが義
務。
B
 休憩時間の一斉付与の例外
C
 時間外及び休日の労働・・・いわゆる「36(さぶろく)協
。この協定がないと、勤務時間終了後の(当局案の場合)の
授業や、入試業務等の休日の勤務を労働者にさせることができません。
D
 専門業務方裁量労働制
E
 育児休業、介護休業制度の適用除外者の決定
 
 @Aの事項を除けば、いずれも、就業規則、諸規定の案によっ
て提示された条件のうち、問題のある箇所に抵触しますので、労働
者として簡単に合意するわけにはいきません。
 これらの協定を要する事項は、労働者代表の合意が必要です。わ
たしたちの同意ぬきに勝手に導入、運用できるものではありません。
B
CDは、当局案に大きな問題がある、教員の勤務時間制度
かかわっています。勤務時間を教員については、6時15分までとす
る案、裁量労働制を任期付き教員のみに適用する案、「裁量労働勤
務規程」案の諸問題など、現在の当局案のままでは受け入れられな
いことが盛りだくさんです。
Eについては、育児・介護休業に関する規程に問題があり、適用の
除外については慎重に検討しなければ、不当に権利を侵害される職
員が出てくる可能性があります。
 
これらの当局案の問題については、当組合の要求(特に323日付
け要求の第6章)において詳しく述べたところです。
当局には、これらの事項のような労働条件の決定については、労働
者の合意が必要であり、労働者側の意見を容れる必要があるという
こと、さもなくば違法性があるということをよく理解し、誠実に交
渉にのぞむよう求めます。



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発行 横浜市立大学教員組合執行委員会

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3月29日(1) 独島・竹島問題、日韓関係の悪化にも言及する本学名誉教授・伊豆利彦氏の通信をコピーしておこう。

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>>日々通信 140号 2005年3月30<<

新掲示板2に学校を正常化するために非日の教師や教科書を追放せよという意味の投稿が
あったので、いよいよこの掲示板にも非日とか、追放とかいう言葉が登場したかと、次の
ようにコメントした。

非日はやがて非国民という言葉になるのだろう。
国賊とか売国奴とかいう言葉が氾濫したとき、日本はどういうことになったか。

ところが、この投稿が投稿者によって削除されてしまった。
どういうわけなのだろう。

実は、この投稿をきっかけに、愛国心の問題を考えたいと思っていたのに、残念なことだ。

自分が生まれ育った国を愛するのは自然な感情だ。
ちょうど20年前、1年ばかり中国で暮らしたことがある。
日本語かの教師や学生にとりまかれて暮らしたので、日本語ばかり使って暮らし、その点
では苦労はなかった。
おかげで中国語は一向に上達しなかった。
それでも、大学を一歩出れば、日本語は通ぜず、やはり、緊張して暮らしていたのだと思
う。
日本に帰ってきた時、日本語で用が足り、思うことが自由に通じる気がしてうれしかった。
自由でのびのびした気分になった。
自分は日本人だ。日本人は日本人だと身に沁見てしみて思われた。
日本人である以上、日本の繁栄を願わずにはいられない。
日本人の幸福を願わずにはいられない。
やはり、私は日本を愛しているのだろう。
スポーツで国際対抗戦になると、やはり、私は日本の勝利を願い、日本を応援している。

しかし、日本を思い、日本人の幸福との発展を願うというのは、いまの日本の政治や社会
を肯定することではないと思う。
日本の過去を美化し、それを誇ることではないと思う。

いまの私はしばしば日本を憎まずにはいられない。
おごりたかぶり、他国を見下している日本。
しかもアメリカには一も二もなく尻尾を振ってついていく。
私はむしろ、飢えに苦しみ、アメリカに脅迫されて、破滅寸前の北朝鮮の人民に愛情を感
ずる。
なんとかして、彼らを幸福にしたいと思う。

こんな私を彼らは非日と呼ぶのだろうか。
しかし、私は自分が日本を愛していると思うのだ。
日本を愛する故に日本を憎むのだと思う。
愛していなければ憎みもしないだろう。

私が日本を愛していると強く思ったのは、1945年の初夏、日本の都市が次々に焼き払われ
て、日本の滅亡が迫っていることを、いやでも思い知らされなければならなかった時であ
る。
私の家も焼けた。私はくらい心で巷をさまよっていた。
やがて、兵隊にとられる身であった。
絶望的な気分が私を支配していた。
しかし、ふと見た戦意高揚映画、「一番美しく」という題ではなかったかと思うが、少女
たちが、神風の鉢巻きをしめて、一生懸命に働いている姿を映していた。
国策映画だと思いながらも、自分の生きる意味を見うしなっていた私はこの懸命な少女た
ちの姿に心をうたれた。
この少女たちのために、家を焼かれ、生きる術を失った人々のために、私は祖国を守る戦
いに参加しようと思った。

やがて死ぬ虫が一生懸命に鳴いている。
その生涯に何の意味があるだろう。
意味があるから生きるのではない。
たとえ無意味でも、たとえ明日死ぬ身であろうと、いまを生きるのだ。
いまを全力で生きるのだ。
それが生きるということだと強く思った。

この時の生命の発見は、その後の私の生涯を決定したように思う。
いまも、同じ思いで生きている。
<いまを生きる>とはそういうことだ。

日本は亡びる。
漱石の作品に響くこの言葉に私はうたれる。
日本の滅亡を強く感じる故に、日本を思い、破滅へ向かって一路突き進む人々を思い、日
本が生き延びるために、何かをしたいと思う。
そして、私は日本を食い物にし、日本を滅ぼそうとしているとしか思えない政治家や官僚、
財界人を許せないのだ。
日本国民が、いまの危機を自覚し、生き延びることが出来るようにと願って、日々の思い
を書き綴るのだ。

いま、卒業式と入学式の時期を迎えて、日の丸・君が代があらためて問題になっている。
今日のNHK「クローズアップ現代」で、この問題を取り上げていた。

演壇正面には大きな日の丸がを中央に、その左右には東京都の旗と校旗がかかげられてい
る。
その大きさや、位置やかかげ方もきびしく決められているのだという。
「君が代」を歌うときは、起立し、大きく口をあけて歌わなくてはならない。
これに違反すれば処分されるのだという。
校長が、それを職務命令として文書として教員の一人一人に手渡したという。
そして、管理職や、都教委から派遣された職員が、教師一人一人を監視していると言う。
なんと情けないことだろう。
国旗・国歌法が国会で審議されたときは、決して教育の現場で強制しないようにとくりか
えし強調され、その旨確認されていたはずである。
しかし、東京都の教育長は、国はそうでも、指導要領に、国旗・国歌の指導について定め
れているのだから、国旗・国歌に対するマナーとして、厳格に取り締まるのだという。

いまの規律が弛緩し、秩序が乱れているときに、国旗・国歌の指導を通じてそれを回復す
るのだという。

これでは、日の丸・君が代は官僚支配国家、思想強制国家のシンボルだということになる。
国民の多数が反対しているのに、政治的に、過半数の支持を得たからといって国旗・国歌
を制定し、今度はこれをテコにこの旗や歌を拒否するものを、法と権力でおさえつけ、処
罰して、国民全体にこれを強制しようというのだ。

そして、これに反対する教師を非日教師として追放しようとする動きがあるのだ。私の掲
示板に書き込んだ勢力は、まだ、それほど大きな力にはなっていないと思う。
しかし、次第にその勢力を増してきている。権力と結びつき、それに支援されて、やがて
猛威を振るうことになるのであろう。

私が大学を卒業して高等学校の教員になったとき、校長が語った話をいまも覚えている。、
天皇陛下という言葉が発せられると一斉に気をつけの姿勢になる。中学の話である。はじ
めは一年生だけがそうした。次の年は二年生までがそうした。そしてやがて、全校生徒が
そうするようになった。そのことを、なぜ、その校長が若い私に話したのかわからない。
1950
年頃のことである。
日本がアメリカと講和条約を結び、再軍備の道を歩きはじめ、逆コースということが言わ
れた頃のことである。
校長は校長なりに危機感を持ったのであったかも知れない。

とにかく、こうして、世の中は変わって行ったのだ。
はじめは処女の如く終りは脱兎の如しということばがある。
変化は加速度的に激しさを増すのだ。
いま起こっていることは、五年前には想像できなかったのではないか。
しかし、かつては想像もできなかったことが現実になる。
そのような時代に、いま、私たちははいっているのだと思う。
まだまだ序曲だ。
これからが大変だと思う。
こうして、破滅に向かって走りはじめた日本を私は愛するのだ。

国を思うとはどういうことか。
国を愛するとはどういうことか。
あの大平楽な森さんがゴルフのかえりに、料亭で愛国について説いている。神の国日本に
ついて語っている。
これはマンガだ。しかし、このマンガが日本を支配している。

いま、韓国の対日感情が大荒れに荒れている。
ノ・ムヒョン大統領の態度も激変した。
なぜ、そんなことになるのだ。
日本のマスメディアは、この事態に対してはっきりした認識を持っていないのではないか
と思う。
この問題の背後には、日本政府のおそろしいほどの右傾化の事実がある。
日本の過去を肯定し、美化し、アジア人に対する露骨な侮蔑を示す政治家がいる。それに
類する歴史教科書が、日の丸・君が代を教師たちに強制する東京都の教育委員会で採択さ
れる。
米軍と一体化し、中国をにらんでアジア包囲網の拠点に再編されようとしている自衛隊、
そして、憲法を変えて、アジアのどこへでも、世界のどこへでも出て行ける軍隊をもとう
としている日本、いま、おこっているさまざまなことを、ばらばらに切り離すのでなく総
合的に考えれば、日本に対してアジアが態度を硬化させるのは当然だと思う。

私はこのような日本とを憎み、これと戦わなければならないと思う。

春はようやく盛りを迎えようとしている。
桜も咲き、行楽の季節を迎えた。
学校も休みだ。
私もすこしのびのびしたいと思う。
みなさん、お元気でお過ごしください。

           伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu 

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3月28日(4)本学の教員組合の筋のとおった主張で、昇任に関する不当・違法な差別措置(任期制教員とそれ以外との間の差別)は事実上撤回されたようであるが、それは都立大学の教職員組合の交渉にも影響を与えそうだ。合理的な主張はなんとしてでも通さなければ、大学ではないだろう。また、本学の場合も、「事実上の撤回」に過ぎないようでもあり、きちんと確認書などを取り交わす必要もあろう。また、不当な差別が陰に隠れて行われないよう、監視と検証も必要となろう。

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2005328日:横浜市大では組合が当局の交渉で,「任期制に同意しない教員も昇任の対象とする」という方針を勝ち取った。詳しくは 全国国公立私立大学の事件情報のここを参照。
COMMENT:
<任期制に同意しない教員を差別して昇任の対象からはずす>ことを横浜市大当局側が撤回したようだ。他方,東京都の強引な<「旧制度」を選択した教員は昇給しない>という強引な<不利益変更を強いる>方針は依然として改められていない。第2回の協議が本日にも予定されているが,もしこのまま大学管理本部と労働者過半数代表者の協議が決裂すれば,労働者過半数代表者は「36協定」(さぶろくきょうてい)への調印を拒否するだろう。(36協定:時間外労働・休日労働に関する協定。この協定なしに使用者が時間外・休日勤務を命じることは違法となる。)「36協定」に調印しなければ,例えば18時から始まる6限の授業を教員が始めたとたんに,時間外労働として逮捕される可能性もある。つまり「36協定」の合意が無ければ,教職員が違法な時間外労働をしないようにするだけで,正常な大学の授業すらままならなくなるのだ。今日と明日の協議の模様に注目。

2005326日:323日に大学管理本部と労働者過半数代表者との第1回協議が行われたが, 就業規則第2案や教員給与規程などが提示された。いくらかの修正点はあるものの,未だに重大な問題が残されている。次回の協議は328日,29日を予定。
COMMENT:
旧制度教員給与規程の中の「昇給なし」の明記部分が削除されたそうだが,昇給昇任なしの方針を変えるわけではないとの口頭説明があったそうだ。どこまでも「不利益変更」を強行する姿勢は変わっていない

 

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3月28日(3) ひさしぶりにJMM通信をコピーしておこう。この間に、読者もかなり増えたようだ。「二重国籍者は永遠になれるものではない。成人になると、どちらかの国籍を取得し、片方は捨てなければならない。独島・竹島は「東島」と「西島」にわかれている。これって仲良く取り分けるわけにはいかないのか。」という部分は、面白い。こんなところで妥協できるとすれば、冷え込みつつある友好関係は回復できるのではないか? このあたりでお互い妥協し、友好関係を発展させるのが21世紀東アジアの反映の為に、両国民全体の平和と繁栄のために一番いいのではないか? 両国民・両政府の良識、全体的利益のために細かなことでいつまでもいがみ合わない、というスタンスが重要であろう。

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         2005325日発行
JMM [Japan Mail Media]
                No.315 Friday Edition
                       http://ryumurakami.jmm.co.jp/

  『Younghee Ahn の韓国レポート』 第152回
   「島の二重国籍」

 最近、韓国では日本について、特に「竹島(韓国名:独島)」問題について述べることは憚れる。今年の3月10日、島根県議会が「竹島の日」条例案を可決してからというもの、韓国のマスコミは「独島・竹島問題」で持ちきりだ。先週、ぺ・ヨンジュンが現在撮っている映画の現場公開においても、韓国のマスコミは独島・竹島の問題を出してきた。もちろん、日本側もそれについては聞きたかったらしいが。

 映画の広報部では、先に質問用紙を配り予め質問を受けていたので、「映画と関係ない質問は受け付けない」と釘をさしたが、結局最後の自由質問において韓国の公共放送であるKBS(韓国放送公社)と民間放送の老舗であるMBC(韓国文化放送)が「最も代表的な韓流スターとして『独島問題』をどう考えているのか」という質問をした。

 これに対し、ぺヨンジュンは「国民の一人として懸念しているが、ここは映画の話をする場なので席を改めて話をしたい」と述べた。また、今週は「甘い人生」の舞台挨拶をしたイ・ビョンホンに対してもマスコミは同じような質問をしている。彼もまた韓国のマスコミにとっては物足りない答え方だった。

 韓国人は「独島は韓国のもの、間違いない!」と思っている。日本では「竹島は日本のもの」としている。筆者は、小さい頃からどちらの名称も知っていたが、地理に弱かったせいか『独島』と『竹島』はそれぞれ別のものだと思っていた。それが同じ島だと知った時、一体どちらの意見があっているのか、とても不思議な気持ちだった。
 韓国語で「ドット」と言われている島は、漢字は「独島」だが当て字で元々の意味は「石島」だ。岩礁だらけの島で無人島だったからだという。この無人島が「近くて遠い国」から「近くて近い国」へと一歩近づいた矢先にまた元通りになろうとしている。

 島根県議会が「竹島(韓国名・独島)の日」条例を制定したことに抗議し、韓国では韓流ブームの火付け役となったドラマ「冬のソナタ」の舞台、江原道春川(チュンチョン)市が18日、岐阜県各務原市、山口県防府市などとの相互交流事業を無期延期すると発表した。また慶尚南道馬山(マサン)市議会は同日、6月19日を「対馬の日」とする条例案を可決した。また、これまでは島巡りしかできなかった独島の観光が、3月24日からは観光客が島へ上がることもできるようになった。24日には天候悪化で結局実現できなかったが。

 韓国に進出している日本の企業は韓国人の「日本製品不買運動」に敏感になっているが、韓国企業もまた日本への輸出に影響が出やしないかと気を揉めている。韓流の関係者も経済界もこの場合は、慎重にしていようと思うらしい。

 80年代、韓国民が「反日」を超え、「克日」とまで叫んでいた時、ある歌謡曲がヒットした。それは「独島はわが領土」という歌である。「ウルルン島東南方面へ船道で200里(韓国の10里が日本の1里)、独りの島鳥たちの故郷、どいつが何と言っても独島はわが領土」と歌うもので、爆発的な人気だった。しかし、政府は日本を刺激しすぎるという理由で、その歌は禁止曲となった。それでも巷では歌われてきており、最近また復活した。曲の途中で「対馬は日本のもの、独島はわが領土」という部分があるが、現在は「対馬はさておき」と歌詞が変えられたという。

 国際法上では日本がたくさんのネゴをして日本が有利だと韓国側は考えている。しかし、実効的に同島は韓国が支配している。日本側はそれは不法占拠だという。これはまるで島の二重国籍だ。しかし、二重国籍者は永遠になれるものではない。成人になると、どちらかの国籍を取得し、片方は捨てなければならない。独島・竹島は「東島」と「西島」にわかれている。これって仲良く取り分けるわけにはいかないのか。

 それにしても、筆者の知り合いで日本のマスコミ関係者は「韓流ブームであんなに盛り上がっていた日韓友好ブームは一体何だったの? 今年は日韓友好の年なんでしょう?」と嘆く。

 今年は日韓国交正常化になって40年たった年で、「日韓友好の年」、お互い仲良くやりましょうっていうじゃない? だけど、昨今の雰囲気まったく友好的ではありませんから。残念。

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Younghee Ahn
(アン・ヨンヒ)
韓国生まれの韓国人。小学4年から高校1年まで、大阪在住。韓国外国語大学同時通訳大学院日本語修士課程卒業。同時通訳からスタートして、放送コーディネーターや翻訳、トレンドについてのレポートなどを発表。現在、韓国梨花女子大で、日本語の講師も務める。著書に『シナブロ(知らぬ間に少しずつ)』(小学館)

http //www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093860971/jmm05-22

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【発行】      有限会社 村上龍事務所
【編集】      村上龍
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3月28日(2) 横浜市大新聞ブログ版の掲示が掲示板等に出ていたが、まだアクセスを試みたことはなかった。

今日、「全国国公私立大学の事件情報」に3日ぶりでアクセスして見ると、市大新聞の記事とリンクが掲載され、全国に紹介されていた。すばらしいことである。それで、初めて私もアクセスしてみた。市大新聞が主張すること、「【論評】今の「責任」も重大だは、もっともである。まさにそれこそが現在では一番重要だ。

経営責任を引き受けたい以上、いろいろな問題を過去のせいにするわけにはいかない。

最高経営責任者が、過去の問題を適切にクリアする責任が現在においてあることはいうまでもない。

過去のしがらみが現在を縛り、過去が「今」をがんじがらめにし押さえ込んでしまうことのないようにする責任は、最高経営責任者、そして新しい学長にある。そこに、独立行政法人、公立大学法人横浜市立大学の自立性・自治がある。上意下達の役人との違いをどこまで実現できるか、これがまさに問われている。「今の」見識とリーダーシップが問われている。

大学の研究教育の最高責任者としての新学長には、大学の研究教育の発展とそのための自由・自治・自立・自律の見地からイニシアティヴを発揮することを期待したい。

今までの学長と違って早くも(予定者の段階から)2回も学生諸君とあっているようで、その前向きな姿勢に注目したい。

経営責任者と新学長が、改革騒動のなかで忘れ去られ無視されてきた感のある2年生以上の学生のため、また廃止される大学院経済学研究科や経営学研究科などの院生、そしてオーバードクターなどのためにも、適切な措置をとることは重要である。学内の空気があかるくなるであろう。

市大新聞ブログ版の発足で、本学の学生院生諸君の意見や希望が広く論じられ(投書箱など意見集約の広場の開設も期待される)、適切に集約される手段・契機となることを期待したい。

市大新聞編集部の責任編集のもと、学内の情報が瞬時にたくさんの学生院生諸君に行き渡り、大学の講義やその他の活動が生き生きとしてくることを望む。

教員は教員組合に結集して意見表明・対当局交渉を積極的に続けているが(その成果のひとつが昇任問題に関する不当・違法な発言を撤回させ、さしあたりはその問題を手段とする任期制押し付け・不利益措置を許さないことに成功)、市大新聞ブログ版によって、学生院生諸君もそうした自律的自主的な意見集約と意見表明がこれまでよりいっそう容易にできるようになるであろう。一歩前進(巨大な前進)を喜びたい。

 

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2005年03月27日

【論評】今の「責任」も重大だ


 松浦敬紀CEOが「来年度の入試には私が責任を持つ」と発言した。これによって、これまで誰も責任を持とうとしなかった大学改革の現実が、改めて浮き彫りとなった。

 ここで提起したいのは、現在、学生が被っている多大な迷惑の責任は誰がとるのか、ということである。一昨年来、商学部・国際文化学部を中心に教員の転出が著しい。後任を採用しないどころか、非常勤講師すらも配置せずに運営ができなくなったゼミさえもある。先日ストロナク参与と会談したNetwork of OutBurstNOB)の中にも、入ろうとしたゼミが突然なくなった経験を持つ学生が多い。

 学生がかつて、改革の方法について800人近い署名を通じて提言したことがあった。しかし、後の学生向け改革説明会でその回答がないことを指摘されると、改革担当者は「それはどんな内容だったのか」などと逆に質問者に質問をしていた。意見はメールで受け付ける、という方針だったがどんな意見が集まったのか、どう対応したのかは明らかではない。

 本来保証すべきカリキュラムを保証しない、そして学生が出した意見にも返答をしない。学生を無視して改革を進めてきたことを、担当部局は反省するべきである。そして今後は、NOBや学生自治中央委員会、アンケートなどを通じて学生の声を聞き、それを改革に反映させるよう、態度を改善することを要求したい。責任とは口で言うだけでなく行動でも表すものだ。

 今回の松浦氏の発言は、入試という外部の評価に直結した責任のみの言及で、迷惑を被った在学生に向いたものではない。少しでも早く、学生と率直に向き合う「人間の顔をした改革」に転換してほしいものだ。 

 

 

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3月28日(1) 週末、大学評価学会の第二回全国大会(駒澤大学)と、東大の現代ヨーロッパ経済史教育プログラム第一回シンポジウム参加などのため、大学に来なかった。

月曜日の今日、メールボックスを開けてみると、25日付の教員組合ウィークリー(下にコピー)が届いていた。朗報である。

教員の正当で合法的な主張を当局(最高経営責任者、労務担当者)が認め、理解したようであり、独立行政法人の大学の労使関係を模範的な正当性・合理性・合法性を持ったものとして確立していく一つのきっかけとなれば、と願う。

 

サバティカル制度における差別、海外留学制度における差別、研究費における差別などの恫喝に関しても、撤回や適切な制度設計の提示が求められるだろう。たとえばすでに内外地研修制度は存在したのであり(身近なところで国際文化学部の教員は最近でも現行制度のもとで年に1-2名内地研修や在外研修にいっている、商学部の場合その制度を利用した人がこの数年以内だけである)、あたらしくそれに付け加えて限定的な任期制教員に対する制度を新設することはありえようが、従来の制度を廃止しては不利益措置となろう。

 

もちろん私たちが、正当な権利を主張することは、当然にもまたそれに対応する義務も負うものである。権利と義務との正当・妥当な相互関係をこそ、労使のきちんとした話し合いで、樹立し維持していくべきであろう。教員組合が任期制・年俸制・評価性に関して提起している問題群に関しても、しかるべき適切た反応があること望みたい。

 

--------横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2005.3.25-----------



「非任期付雇用の教員も昇任の対象」
 
 福島部長発言、事実上撤回

     23日、予備折衝において


 現在、当組合が提出した要求について交渉を求めていますが、
今週に入ってから予備的な折衝が当局とのあいだでようやく始ま
りました。
 その折衝のなかで23日、当局は、任期制に同意しない教員、す
なわち「任期付き雇用のもとにない教員(期間の定めのない雇用
のもとにある教員)についても、昇任の対象とする」という方針
を示しました。

 当局の2月28日における説明会において福島部長(大学改革
推進本部)は、任期制に同意しない教員は、昇任の対象としない
と述べています。この発言を、今回示された方針は、事実上、撤
回するものであります。

 組合は要求書および本紙等を通じて、任期制に同意しない教員
の昇任機会を奪うことは、労働条件のいちじるしい不利益変更
あり、不当かつ違法であることを粘り強く主張しています。ま
た、組合員および非組合員からは、説明会の場などを通じて、福
島発言におけるような露骨な差別策動に対する怒りの声が、激し
く挙げられて来ています。
 法制上当然のこととはいえ、こうした教員の力強い意志と発言
と行動によって、当局は前言撤回を余儀なくされたのだと見てよ
いでしょう。
 わたしたちがみずからの権利を守るために、たがいに協力し、
理にかなった主張を掲げて粘り強く行動すれば、道は開けるとい
うことが、ここでも見えてきたと言えましょう。

 わたしたちの権利を蹂躙することを許さないという声を、今後
もさらに高めてまいりましょう!


========================================================
発行 横浜市立大学教員組合執行委員会
236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号
Tel 045-787-2320    Fax 045-787-2320
mail to : kumiai@yokohama-cu.ac.jp
教員組合ホームページ
 http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm

--------

3月25日(2) 「全国国公私立大学の事件情報」が伝える「スポイチ」編集長日誌の主張によれば、「クビ大の猿真似でもして”受験者半減やマスコミによる批判は改革に反対していた教員の責任”というマジックでも出すんですかねとある。都立大・首大で行われたことは、本学では密かなやり方ではすでに行われてきたのではないか、と思われる。「なんでも反対の教員」とか「批判ばかりで建設的な意見がない」などという言い方が当局サイドで各所で行われているからである(たとえば最近では評議会における名誉教授推薦問題の議論の中で出されたひとつが言い方がそれであったと記憶する、「延期する理由を述べよ」など)。こうした批判が密かに徘徊しているから、「いいたことは今はいえない、いずれ定年後にでも本なり論文にまとめたい」という人もいるのである。

問題のないところに、批判は起こりようがない。火のないところに煙は出ない。煙に罪を負わせよう、責任を転嫁しようという人々はどこにでもいよう。

たとえば、全教員に対して有期契約への同意書を求める文書を年度末になって送りつけてきたことひとつとっても、火種がどこにあるのかは明らかではないだろうか。大学教員任期法に基づく限定的な制度導入の提案ではなく、「大学像」の時点では存在しなかった法律(労働基準法改正)をこれ幸いと適用し、あえて全員に有期契約を押し付けようというやり方は、どのような合理性があるのか?

火と煙とを混同しないでいただきたい。非合理的なやり方を強行するために、差別的恫喝を行った文書をよく調べてみて欲しい。これでどれだけ多くの教員が怒り苦しんでいるか。

大学法人の定款、それと本学のこの1年間の現実、これらに対する「大学人の会」の批判などを、自分の頭で検討することを、ジャーナリズムや普通の人々、広く社会には求めたい。

全員に任期制への同意を求めるやり方、同意者を増やそうとして差別的恫喝を文書で示すやり方は、この2年間のトップダウンの行政的高圧的やり方の一事例にすぎない。その最終局面での現象のひとつに過ぎないのである。

 

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3月25日(1) 今日は卒業式の日。今年卒業できた人も、最後の2年間は、大学改革で、いろいろと変化が激しく(たとえば事務室統合など)、大変な経験もしただろうが、無事卒業した学生諸君におめでとうといいたい。

年度末、教員には「任期制」同意をめぐる文書などが提示され、すくなくともそれに同意せず教員組合に委任状を提出した教員数だけで半数を越える状況で、教員サイドは喜び浮かれている人はほとんどいない(ごく少数の例外はあろう)のではないかと思われる。教員組合の文書を、学生諸君も読んでいただきたいものである。

学生諸君の前途も、そんなに楽しいことばかりではなかろう。グローバル化のなかで、世界の資本がチャンスを求めてグローバルに動き回る。ライブドアのニッポン放送株取得もその一端であろう。学生の皆さんが就職するであろう企業や官公庁も、激動の嵐を免れるわけには行かないだろう。

荒波に飲み込まれることなく、問題と状況ごとに正義や法や真実・真理を探究して、正々堂々と乗り切っていっていただきたいものである。

商学部の教員の長年の端午会も、学部解体、3月部統合にあわせて、解散されることになった。3学部全体の教員親睦会ができるのかどうかはわからない。ともあれ、23名で解散の会(お別れ会)が開かれた。

 

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3月24日(5)  「任期についての素朴な疑問Q&A」シリーズ第2が届けられた。以下にコピーし、リンクも張っておこう。組合員でない教員にも、この一連の情報の正確な認識が求められる。不当・違法なことに同意しては、大学人はどこに顔を向けて話ができるか?

教員組合が、これだけ諸法律・諸根拠を示しながら不当・違法だと主張している同意書に対して、同意した教員がいるとすれば、どのような教員か? いやいやながらであれば、同意せざるを得なかった事情は何か?

何人くらい同意書を出して人がいるかは不明だが、もし何人かいるとして、同意した人々は、どのように不当・違法性について考えているのか?

 

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組合員各位

 

 下記のビラを教員に配布しましたので配信します。
         横浜市立大学教員組合執行委員会
==================================================

任期についての素朴な疑問Q&A
 <シリーズ第2弾>
              2005324日発行
              横浜市立大学教員組合

Q
4 職場を変わりたいときには現在のように自由に異
動できますか?

 
今提案されている就業規則(案)では、退職しようと
する6ヶ月前までに理事長に申し出ることとされてい
ます。翌年の4月に新任地に赴任すると仮定すると、
この条件ではその前年の9月には内定していなくては
ならないことになります。異動先の大学などの事情に
も左右されますから、9月時点での転出確定は現在で
も容易ではありません。
 これでは任期付きであるか否かに関わりなく、全て
の教員にとって他大学などへの移動の自由がひどく制
限されてしまいます。
 期間の定めのない雇用の場合には、解約を申し入れ
て2週間後には雇用関係は終了することになっていま
す(民法第627条)ので、6ヶ月という定めは不
法・不当です。

Q
5 任期付きの場合の離職はどうなりますか?
 法律上は、期間の定めのない教員に比して大きな制
約条件が付されています。 労働基準法上の、期間を
定めた雇用の場合、期間には二種類あります。3年の
場合と5年の場合です。  
 3年任期の場合には、契約が始まった最初の1年間
は転職できず、その後の2年間は「いつでも退職でき
る」ことになっています(労基法第137条)。しか
し、最初の1年間は拘束され、かつ、さきの6ヶ月の
規定がそのままだと移動がきわめて不自由になりま
す。
 5年任期の場合にはこの第137条が適用されませ
んので、期間の定めのない場合には認められている
「辞職」が通常の理由では認められにくくなっている
のです。ですので、5年任期のケースでは、労働者か
らの契約解除の申し入れに対しては損害賠償責任が求
められる可能性が残ります。

Q
でも、ほかの大学の理工系・医学系では任期付き
でもけっこう異動している人いるのですが、どうして
ですか? 任期法と労基法でちがいがあるのですか?

 他大学で行われている任期制は通常、教員任期法
大学の教員等の任期に関する法律)にもとづくもの
です。それに対して、横浜市大で当局が導入しようと
しているのは、労働基準法第14条にもとづく任期制
です。おっしゃるように、教員任期法と労基法14条
では大きな違いがあるのです。
 教員任期法にもとづく任期の場合には、1年以内の
異動はできないのですが、労基法14条による任期制
に比して、しばりは少ないのです。学問研究の性格
上、大学教員の場合には必要とあれば自由に異動して
研究環境を変化させるという選択肢が保障されている
必要があります。
 労基法14条による任期制では、この点での制約条
件が、Q5へのお答えで示したように、たいへんに強い
のです。「全員任期」ということ自体が学問教育の性
格を無視した発想ですが、それを、労基法14条にも
とづいて実施しようという当局案が、二重三重に大学
と学問教育の性格に反するものだといわなければなり
ません。

Q
7 自分が3年任期か5年任期かなど、条件が明確
でないのに、任期に「同意」しても大丈夫ですか?

 Q5でみたように、3年任期と5年任期とでは身分的
拘束の条件が異なっています。ですので、自分の契約
する任期が3年であるのか、それとも、5年であるの
かという具体的な契約条件が個々人に提示されている
ことが「同意」するかどうかを判断する最低限の条件
のひとつです。
 私たちが商品購入の契約をしようとするとき、その
商品の基本的な属性をつまびらかにしていなければ契
約を結びはしません。私たちは、教育研究労働を提供
することでその対価を得ようとするわけですから、商
品の提供者には情報提供の義務があり、教員にはそれ
を知る権利があります。 条件がつまびらかになり自
分が納得できなければ「同意」する必要は全くないわ
けです。
 <シリーズ第1弾>に指摘しましたが、任期への
「同意」がなくても現在の任期なしの身分は承継され
ます。

Q
8 任期付きの雇用は将来、経営不振などで人員整
理に使われませんか?

 率直に言ってこの点はたいへんに心配です。当局は
「リストラが第一義的な目的ではない」などと言って
いますが、企業の場合には、経営不振の時にまず整理
の対象とされるのが、期限付労働者であるという事実
から目を逸らすわけにはいきません。
 法人化した横浜市立大学の大きな収入源は横浜市か
らの「運営交付金」ですが、これが年次的に縮減され
ることがすでに示されています。また、教育事業は営
利目的になじまないので、授業料収入の大幅増を前提
にするわけにもいきません。法人の経営体としての課
題は山積し、かつ、十分な見通しを立てられているわ
けではありません。
 この条件のもとでは、ご心配のように任期が「人員
整理」に使われていく可能性を否定できません。少な
くとも、人件費がふくらむ高次のポスト設定に経営側
が積極的になる条件は多くはないでしょう。 むろ
ん、教員組合は、いかなる形であっても人員整理を許
さぬよう全力を傾注します。


------

3月24日(4) 教員組合ウィークリーで、「大学人の会」が本学の任期制・年俸制に関する声明を出したことを知ったが、その声明文を入手したので、掲載したい。いただいた情報によれば、記者会見における新聞記者の反応は、「かつてなく良かった」そうである。「今回はNHKまで会見に出席し、質問もしていた」と。
 記者会見のあと、市会各会派を回り、声明を手渡し、「共産、ネット、公明が懇談」したそうである。市長に渡した他、大学人の会の代表が夕方、小川学長、松浦最高経営責任者、宝田理事長予定者、新学長予定者の4人に渡してもらうように、担当者に声明文を託したという。

教員組合執行部も、昨日夕方、受取ったわけである。(下記コピーの強調は引用者による)

 

 

---「大学人の会」声明(オリジナル)--—

 

「横浜市立大学の教員全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める

−研究・教育の劣化を押しとどめるために−

 

 横浜市立大学は、4月から商学部・国際文化学部・理学部を廃して「国際総合科学部」に統合し、医学部と共に地方独立行政法人化した新大学として再出発する。しかし、その再出発は、それぞれ誇るべき歴史と伝統を持ち性格も違う3つの学部を、特別な理念もないまま強引に1学部に統合し、教授会から人事権のみならず教学権まで剥奪するという、まともな大学がどこもしなかった暴挙をあえて行った上で、どたんばで前代未聞の教員全員任期制・年俸制・評価制の導入を強行しようとしている。これらの制度の導入は、大学の最大の資産である「優秀な人材」の確保を保証しないばかりか、大学の存立根拠である「研究・教育の自由」を奪う怖れが極めて強く、ひいては市民の「言論の自由」の侵害にも道を拓きかねない危険性を持つものであり、認め難い。

 

(1)新大学への応募倍率の低下

去る2月末新大学に学生を迎える初めての入試が行われたが、前期試験の応募倍率は、理学系の5.6倍から2.1倍への低下をはじめ、医学部を除くすべての系で半減または激減する結果となった。この数字は、教員や関係者の多くの反対にもかかわらず強行された「改革」が、受験生からも予想以上に厳しい評価を受けたことを示唆している。

 

(2)止まらない教員の流出

ある新聞が「隠れFA宣言」と報じたように、横浜市大からの教員の流出も止まらない。定年前に横浜市大から流出した教員は、商学部で26.4%20023月現員比率、以下同)、国際文化学部で24.1%、理学部で16.4%、木原生物学研究所で22.2%に及ぶなど、高率の教員流出が続いている。流出者の中には、若手教員や現・前学部長など、大学の中核を担うと期待されていた人材が少なからず含まれていることは特に注目される。

 

(3)再三行ってきた批判と検証

 横浜市大問題を考える大学人の会」は、2003415日「『横浜市立大学のあり方懇談会』答申に関する訴え」を出し、任期制の問題点を明らかにしたことを始めとして、同年1125日には「横浜市立大学の新たな大学像について」に関する声明を発表し、横浜市が導入しようとしている教員全員任期制は、特に教授会による自治が保障されない状況の下では、研究・教育の自由を侵害するおそれが強いことを指摘した。また、「教員全員に任期制を導入した場合、適任と思われる人材が応募をためらい注目される教員は任期制でない他大学に引き抜かれるなど、研究・教育水準の低下が懸念される」と危惧を表明した。

 さらに、「大学人の会」は2004328日に、成果主義賃金制度に詳しい経営コンサルタントや米国の大学での管理職経験者等を招いて「任期制・年俸制・教員評価制度の導入は研究・教育にいかなる影響を与えるか」に関するシンポジウムを行った。その結果、@民間企業でも成果主義賃金制度はうまく機能していない。原因は評価制度が社員の労働意欲を低下させてしまっている点にある。A任期制を先行導入した国立研究所では、目先の成果が上がりそうな研究テーマを選ぶようになり、仲間との交流も減った。Bアメリカの大学は任期制ではなく、テニュア(終身在職権)制である。D日本型任期制は、京都大学の井上事件に象徴されるように「業績のある教員」を排除する制度にもなりうること、等が明らかにされた。

 

(4)批判と教員大量流出の現実を無視した「教員全員任期制・年俸制・評価制」の導入強行

上に記したわれわれの批判と教員の大量流出にもかかわらず、横浜市は市大における教員全員任期制・年俸制・評価制の具体案を発表し、導入を強行しようとしている。われわれは、この具体案が今後の市大における研究・教育に重大なマイナスの影響を与えるものであることを痛感し、「教員全員任期制」と「年俸制」、提案された「評価制度」の導入を停止し、以下のような措置をとることを求める。

 

(5)教員組合と協議しその了解を得ること

 雇用者は被雇用者(教員)の身分や労働条件の大幅な変更をともなう「改革」を行う場合には、事前に被雇用者の過半数を代表する組織の了解をえることが義務付けられている。にもかかわらず、昨年12月末に至ってようやく一部の案を提示し、本年の1月25日に初めて説明会が持たれたことが示すように、教員との協議により「改革」を進めようとする姿勢が欠けている。横浜市は性急な「改革」の強行を止め、教員組合と協議しその了解を得て「改革」を行うことをまず、要望する。

 

6) 「全員任期制」では、優秀な教員を採用・確保できず、教員の流出は止まらない

 京都大学再生医科学研究所における任期制(有期雇用)をめぐる裁判で明らかになったように、任期制のもとではいかに優れた研究成果をあげていても、雇用者は「再雇用をしない」ことが可能である。ほとんどの研究者にとって任期終了による失業は、避けたい事態である。先のシンポジウムでも示されたが、アメリカの大学で終身雇用保障を与える終身在職権(テニュア)制度が拡大したのは、大学間競争の中で大学が優秀な人材を確保するためであった。世界の有力大学で「全員任期制」を採用している大学が皆無であるのは、当然のことである。すでに進行している横浜市大からの人材流出が示唆するように、優秀な人材が任期制ポストへの応募をためらい在職教員が終身雇用を保障する他大学に移出してゆくのは自然であり、横浜市の「導入の目的」(12月28日付資料)とは逆に「全員任期制」は「優秀な人材の確保」を困難にするであろう。

 

7)大学における成果主義(年俸制、評価制)の導入は、研究・教育意欲を向上させない

 すでに「成果主義の導入が企業の生産性上昇を阻害する」ことは、かなり有力な学説となっている。最近の日本能率協会や労働政策・研究機構の調査でも、従業者の多くは、成果主義の導入による「勤労意欲の上昇はない」と回答し、「評価に対する納得度は低下した」と答えている。民間企業の場合、評価者は被評価者とおおよそ同一内容の業務をしており被評価者の仕事内容がかなりよく分かるはずであるにもかかわらず、評価が適切だと納得している従業員は少ない。

 大学の場合は、教員間の専門性の違いは大きく、専門分野ごとに標準的な研究や教育の方法も成果の出方も異なる。この違いを無視して共通の評価基準を作ることはほとんど不可能である。また、専門分野を知らない評価者による評価が被評価者を納得させることは難しい正当だと思われない評価に基づいて年俸を決められた場合、研究・教育意欲の低下はまぬがれない。まして、市大の場合評価は「相対評価」で行われるから、どんなに努力して業績を上げても、何らかの理由で下位にランクされた教員は、再任の途を断たれるか減俸の対象になる。

 成果主義賃金制度を導入した数少ない大学の一つである北陸大学の場合、制度の導入によって「意欲が高まった」と答えた教員は回答者中の4%に過ぎず、63%は「低下した」と答えている(北陸大学教職員組合調査による)。「不透明、不公平、恣意的な業績評価、それに基づく人事考課は不信と諦めを生み出すだけだ」という意見は、アンケートにみる代表的な意見である。意欲の低下に加え、結果が予想できない困難な研究課題への挑戦を避け、数年で消費され尽すような研究であっても、短期的に成果が予想できる課題を研究テーマに選ぶようになる可能性は高い。

 

8)研究・教育の自由を奪う制度

 横浜市立大学の場合、評価を担当する学部・コース・研究院などの組織の長は、教員によって選出されるのでなく、「上から」の一方的任命である。全国の国立大学法人や首都大学東京でさえも、「教員人事に関する事項」は教育研究審議会(評議会)の審議事項であるが、横浜市立大学定款では、教員人事は教育研究審議会(評議会)の審議事項から除外されている。理事会は、横浜市長が任命する理事長がほとんどの理事を決められる制度となっており、横浜市の意向を体したもののみが教員組織の長に任命される、という事態を防止する制度的保障は全くない憲法が保障する学問の自由と、大学の自治や「大学には重要事項を審議する為に教授会を置く」とする学校教育法の精神に反した制度になっている

 このように「上から」選ばれた組織の長が、教員の活動の評価者となるため、横浜市の行政に対する忠誠度や思想、個人的関係など学問外の要因が評価に影響する可能性は小さくないし、被評価者が、そうした非学問的な要因や第一次評価者の主観的判断が評価に影響していると推測する可能性は高い。

 まして、横浜市立大学の場合、この評価制度は任期制と結合した「相対評価」だから、威力は相当なものになるであろう。その結果は、評価を上げて再任されるために、教員は、評価者や横浜市の意向に、学問的に、政治的に、社会的に、擦り寄ることを強要されることになりかねない。評価者や設置者の顔色をうかがい、批判的精神を失った研究・教育を行う大学は、大学が社会から負託された社会的責務に応ええないものに変質するといわなければならない。

 

(9)全員任期制の承認を踏み絵にしてはならない

 横浜市は、任期制度の導入を強行するために「任期制に同意しない教員については(助教授から教授などへの)昇任を認めない」方針である、と伝えられている。教員の昇任は、当該教員の研究・教育の成果に関する専門性をもつ教員集団を中心とした評価と適格性の判断によって決められるべき性格の問題である。「任期制に同意しないと昇任させない」という筋違いの条件をつけること自体、任期制が研究・教育の自由を侵害する怖れが極めて強いものであることを物語っている。

 

(10)「教員全員任期制・年俸制・評価制」の導入強行に反対し、中止と撤回を求める

 以上、私たちは、横浜市による市大への教員全員任期制・年俸制・評価制の導入強行に反対し、その中止と撤回を求める。それは「研究・教育の自由」を侵害するのみならず、市民の「言論の自由」の抑圧に道を拓くことになる可能性が強いからである。人事制度の変更については教員組合の同意をえること、教員の人事権、教学権については教授会に戻し、教授会の自治ならびに大学の自治を回復することを強く訴える。

 

 2005323

 

「横浜市立大学問題を考える大学人の会」(・印呼びかけ人)

 

相原光(横浜市立大学名誉教授)、浅野洋(神奈川大学特任教授)、伊豆利彦(横浜市立大学名誉教授)、板垣文夫(横浜商科大学教授)、伊東昭雄(横浜市立大学名誉教授)、・伊藤成彦(中央大学名誉教授)、・今井清一(横浜市立大学名誉教授)、・久保新一(関東学院大学教授)、・田中正司(横浜市立大学名誉教授)、玉野研一(横浜国立大学教授)、津久井康之(専修大学教授)、土井日出夫(横浜国立大学教授)、田畑光永(神奈川大学教授)、中川淑郎(横浜市立大学名誉教授)、長谷川宏(東京都立大学教授)、平塚久裕(横浜市立大学名誉教授)、本間龍雄(東京工業大学名誉教授)、宮崎伸光(法政大学教授)、安田八十五(関東学院大学教授)、・柳澤悠(千葉大学教授)、矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)、・山極晃(横浜市立大学名誉教授)、吉川智教(早稲田大学大学院教授)

 

 

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3月24日(3) 教員組合から、電子メール版ウィークリー(3月24日号)を受け取った。就業規則等に関する第二次要求が別添文書となっている。

同意書提出拒否状況の知らせ(当局が何通の同意書を取り付けたのかは不明、下記組合主張のように昇任等による同意書強制が不当・違法であることは別として)を含む非常に重要な情報が掲載されている。リンクを張ると同時に、下記にコピーしておこう(強調箇所は引用者、オリジナルはリンク文書参照)。

下記教員組合の主張するように、そもそも現時点におけるあのような同意書提出要求が、内容的手続き的に誠実交渉義務に違反し、不当労働行為など非常に問題の多いものであり、かりにそうした法的問題も知らないで「恫喝」に屈して(学内移動、昇任等の弱みを逆手に取られて)同意書を出してしまっても、法的に撤回可能だということであり、当該関係者(提出してしまったもの)はきちんと考えて、教員組合に相談し撤回することが必要であろう。当局の説明(電話等による説明)を鵜呑みにしてはだめであろう。京都大学の井上事件が示しているのは、口頭の約束など法的効力の面ではないに等しいのである。

下記の文書によれば、八景キャンパスの教員数は、120名にまで大幅に減少しているという。かつては、少なくとも2年程前までは180名を越えていたのではないかと記憶する。大幅な教員減少は、「経営」サイドからは人件費削減と喜ばれても、大学の使命に照らすときどうだろうか? 大学の教育研究の悪化を意味しないだろうか?しかも、残っている教員は、下記の教員組合の見解・要求書が示すように、さまざまの不当・違法な就業規則諸条項を突きつけられて、研究教育に没頭できず、多かれ少なかれ意気消沈していると思われるからである。

 

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横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー
                   (2005.3.24

もくじ
要求Uを提出
委任状の受け付け状況 同意していない人が多数派
当局文書を批判する  同意書を提出しないのはあ
 たりまえ
● 看護短大学習会
● 大学人の会、声明発表
● メディアが注目 各紙、市大問題を報道
「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類に
 たいする見解と要求U」全文(添付)
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要求Uを提出
 
時間・兼業・就業規則などについて

 当組合は、昨日、当局に対し、要求書「2月15日当
局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求
U」を提出しました。
 前回8日の要求書の後半部分にあたるもので、おもに、
勤務時間制度、兼業規程、その他の規程類、および就業
規則本則についての要求と質問を掲げ、回答を求めてい
ます。
 全体として、教職員の活動を制限し、不利益を与え
る、もしくは与えるおそれのある規定・制度、本人の自
由な判断に委ねられるべきことを、理事長の裁量権限の
もとに置こうとする規定が数多く労使対等の原則にも
とるという問題点を中心に、数多くの問題点、許されな
い点を指摘しています。
 当局は早急に回答し、交渉に入るべきです。(全文を
7ページ以下に掲載)


委任状の受け付け状況
 八景、同意していない人が多数派 三学部で50%

 当組合は、任期制への同意を保留するさいに、個人に
不当な圧力がかかるのを防ぐために、執行委員長宛てに
同意についての委任状を提出するよう呼びかけています
(本紙228日号)。
 23日現在の集計の結果、組合で受け付けた委任状のう
ち、金沢八景三学部(商・理・国際文化)所属の教員か
らの提出数は60となり、三学部所属の全教員数から転
出予定者および中西執行委員長を除いた数120人(当
組合推計。管理職・管理職就任予定者を含む。)の、ち
ょうど50%に達しました。さらに、組合に委任状を提
出しようと思っているが、まだ出していない人や、委任
状は提出しないが任期制に同意しないという人が多くい
ことを勘案すると、金沢八景キャンパス所属の教員の
うち、半数を相当うわまわる数の教員が、当局設定の期
限であった22日までには、任期制同意書を提出していな
いことは明らかです。
 もちろんほかの部局の教員からも多くの委任状が集ま
っていますし、同意しないつもりであるという人もます
ます増えている模様です。
 仲間は多いのです。安心して同意書提出をみあわせま
しょう。




 当局文書を批判する
  同意書を提出しないのはあたりまえ

15
日文書

 前号(3月)で報じたように、当局は15日付で、任期
制への同意を求める文書を教員に配布しました。この文
書には、形式にも内容にも重大な問題と欠陥があり、
よそ有効なものとはいえません。

同意する必要はありません

 この文書に応じて同意する必要はありません。
 任期制度案の内容が変わって、労働者として十分に納
得できるものになり、かつ当局の行動のしかたが誠実な
ものへと変化すれば別ですが、当面、同意することは不
利ですし、以下に示すように、同意を拒否しても不利に
なる可能性はそれほど高くはありません。
 また、当局は来年度途中での同意書提出も可としてい
ますから、今後も様子を見ながら、ゆっくり検討すれば
よいのです。

多数が同意せず

 実数は把握できませんが、多くの教員が昨日の締切ま
でには同意書を提出していないと思われます。同意を
留するための委任状も、しだいに組合に提出する教員が
増えてきました(前の記事参照)。

返事をしない・撤回する

 引き続き、返事をしない、同意はしない、少なくとも
保留、という方針を貫きましょう。
 また、こんなこととは知らずについ同意書を出してし
まったという人は、同意が無効ですので、撤回すること
は法的に可能です。「しまった、撤回したい」と思った
ら、組合に連絡を取ってください。
 以下、当局文書の問題点と、わたしたちとして注意す
べきと思われる点を示します。

○同意を求めたこと自体不当

 当局が、現時点で個別に任期制への同意を取り付ける
作業に入ったこと自体、不当であります。任期制を含む
労働条件の変更については、当組合と交渉中、というよ
りは、ようやく交渉の前提としての条件案提示を当局が
終えたばかりです。当局に対する当組合の要求は、誠実
な交渉をすることをめざして、可能なかぎり早期に提出
しています(38日)。それにもかかわらず、当局は交
渉のプロセスを無視して、今回の行動に踏み切ったので
あります。これは、単に道義的に不当であるばかりでは
なく、労働諸法令の定める、誠実交渉義務を無視する、
不誠実な行動であり、当組合として断固、抗議します。
 また、このように交渉が進んでいないこととあわせて
、当局の提示する制度内容は、曖昧であり、さまざまな
問題点をどのように解決するのか、示されていません。
条件が曖昧なまま提出された同意書は、労働契約として
不完全であり、その有効性に重大な瑕疵があります。

○医学部における配布のしかた

 この文書は、金沢八景キャンパスでは、各教員自宅宛
てに簡易書留郵便で送られ、看護短大では各教員の研究
室に事務側から直接届けられた。それに反して、医学部
では「所属」の教授をとおして各教員に手渡すという方
法が取られました。なにゆえ、医学部においてのみこの
ようなしかたになったのか疑問です。すでに解体された
はずの「講座制」を利用しようとするもののようにもみ
え、不透明なありかたです。

○同意を求める文書の性質に問題

 同意書には、松浦最高経営責任者名による「任期の定
めのある雇用契約への同意について」という、同意を求
める文書とともに、同最高経営責任者名の「任期制運用
の基本的な考え方について」(以下、「考え方」)、な
らびに個人別の年俸推計額表を同封しています。
 このことにも、以下のように重大な問題があります。

○任期制への誘導・同意しない者についての不利益変更
による脅しは許されない

 「考え方」において、当局は、さまざまな点で、任期
制を受け入れると有利になると宣伝しています。しかし
このような宣伝は、逆に言うと、任期制に同意しない
者は不利益になると脅して、同意へと誘導する行為であ
る。不利な労働条件を押し付けることによって、同意へ
と誘導することは、法の趣旨に反し、違法性があり、不
当です。
 他方、以下に示すように、任期制の有利な点として示
された事項も、実現しえないか、不当であって、到底容
認しえないものばかりなのです。そのような事項は、当
組合が粘り強く抵抗するので、その実現は当局にとって
きわめて難しくなります。

・裁量労働制を利用する差別は不当、不可能
 任期付雇用の教員についてのみ、専門業務型裁量労働
制を導入するとしています。しかし、裁量労働制を導入
するかどうかということと、任期付雇用か否かというこ
とは無関係であり、両者を結びつける根拠に欠けます。
裁量労働制を使って差別を設けようとするのであれば、
不当であります。
 なお、裁量労働制については、労使協定を結ばないと
導入できないことになっており、労働者の過半数代表者
もしくは過半数労働組合との合意が必要です。一方的に
、使用者が裁量労働制を適用することはできません。ち
なみに、金沢八景キャンパスでは当組合が過半数労働組
合となる見込みです。
 裁量労働制を取らない教員については、現状どおりの
時間管理制度を実施するよう組合は要求していますし、
現状よりも不利な制度に変更することは法的に許されま
せん

・兼業についても不利益変更は不可能
 裁量労働制とのかかわりで、任期付雇用のほうが、
「兼業の機会もひろがることが考え」られるとしていま
すが、任期付雇用を選ばない場合に兼業をしにくくする
ことは、不利益変更であり、不可能です。兼業について
は従来どおり認めることは先月末の教員説明会で当局も
述べています。そもそも、その根拠としている裁量労働
制は上記のとおり、一方的には導入できません。

・給料増額における差別は不可能
 任期制を受け入れた者は、再任時に給料相当分の「増
額の機会が広がる」ことが考えられるとしています。し
かし、再任のさいには増額しない、あるいは減額となる
こともありうるので、なんの約束にもなっていません。
また、任期付雇用のもとにない教員の給与については、
当組合と使用者側の労使交渉を通じて決まるものであり
、増額しないと当局が一方的に決定することはできませ
ん。

昇任にさいしての任期制同意強制も違法
 説明会では、任期付雇用を受け入れないと昇任がない
と当局は述べていましたが、今回の文書では、やや変更
し、昇任のさいには任期制による労働契約を結ばせると
しています。これは、任期制に同意しないかぎり昇任さ
せないということを結局は意味しており、今まで昇任の
可能であった雇用条件を、昇任のない労働条件に変更す
るという不利益変更であり、違法です。

・海外出張・長期研修・研究費の面での差別は許されな

 当局はまた、海外出張・長期研修・研究費の面でも差
を設けるとしていますが、このようなこともすべて不利
益変更にあたり、許されません
 また、任期制を受け入れることと、研究費等の事項は
無関係です。後者は本人の利益のために行なうのではな
く、研究・教育の向上のために行なうものであり、任期
制を受け入れるかどうかと関連づけることは、大学の健
全な研究・教育の発展を阻害することにもなります。研
究・教育を任務とする大学の根本的な理念に配置する措
置であり、到底、許されません。

○給与推計額は同意と無関係

 年俸制を導入した場合を想定した給与推計額を示す表
が同封されていますが、給与額は任期制の同意・非同意
と無関係です。
 なお、年俸制についても当組合との交渉を経ていない
現在、年俸制導入を決定することは不当であります。

○当局案の任期制はキケン

 本紙において当組合が何度も示してきたように、任期
制には大きな危険性がつきまといます。とりわけ、現在
の当局案は、どのような基準で再任があるのか、どのよ
うなプロセスで再任審査をするのかなど、重要な部分で
不分明な点があまりに大きく、任期付教員が不当に雇い
止めにされてしまうおそれがあります。
 「考え方」において当局は、任期制は「任期の期間の
雇用を約束するもので、教員のリストラを第一義の目的
としたものではありません。」と述べて、この制度が
ストラにも利用できるものであることを、かえって示し
てしまっています。
 教員各位におかれては、任期制に同意する前にこうし
た問題と危険性をよくよく考えられるよう、切にお勧め
します。




看護短大学習会ひらかれる

 8日、看護短期大学部において、野村執行委員(看護
短大)の準備により、看護短期大学部に所属する非組合
員を含めた教員を対象に、学習会が開催されました。
 看護短大の教員から多数の参加を得て、活発な議論が
なされました。
 特に関心の集中した点は、任期制および、任期制非同
意の問題、組合の委任状の意味、育児介護休業制度に関
連する問題点などでした。いずれについても具体的で、
重要な論点が提出され、教員をとりまく状況が明らかに
なりました。
 今後も看護短大や他の部局で、部局単位のこのような
学習会を持ちたいと執行部では考えています。



大学人の会、声明発表

 昨日、「横浜市立大学を考える大学人の会」(呼びか
け人、久保新一氏ほか)は、声明「横浜市立大学の教員
全員任期制・年俸制・評価制導入の撤回を求める 研
究・教育の劣化を押しとどめるために」を発表し、中田
市長、小川学長、宝田理事長予定者、松浦大学改革推進
本部最高経営責任者に対して提出しました。
 全員任期制・年俸制・評価制の問題点を指摘し、その
撤回を求めています。



メディアが注目 各紙、市大問題を報道

 本紙でも『朝日新聞』に市大の問題を報じる記事があ
ったことを伝えましたが、今週に入り、各紙が市大問題
に注目して報道しています。
 22日付け『毎日新聞』神奈版は、「横浜市大:教員の
任期制導入で混乱」と、全員任期制導入にともなって現
在、生じている問題を報じ、昨日付け『東京新聞』は、
「競争力つくはずが・・・ 横浜市大 改革の責任誰
に?」と、受験生志願倍率低下の問題と、教員流出の問
題を報じています。
 わたしたちの直面する問題が、社会に広く認識される
ようになってきたといえるでしょう。



「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたい
 する見解と要求U」全文(添付)

==================================================
発行 横浜市立大学教員組合執行委員会

236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号
Tel 045-787-2320    Fax 045-787-2320
mail to : kumiai@yokohama-cu.ac.jp
教員組合ホームページ
http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm
==================================================

 

 

2005年3月23日

 

横浜市立大学学長

   小川惠一殿

 

横浜市立大学教員組合

執行委員長 中西新太郎

 

2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求U

 

 

 すでに提出済みの当組合要求書「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にたいする見解と要求」(本年3月8日付け)の後続部分をここに提出する。当組合の要求を受け入れ、また、誠実に回答することを求める。

 

 

6 勤務時間及び関連規程に関する見解と要求

 

◎教員の終業時刻を午後6時15分としていること(就業規則案第40条第3項)は、現行勤務時間よりも1時間拘束時間を延長するものであり、不利益変更にあたる。また、このように拘束時間を延長する合理的根拠は認め難い。現行どおりの勤務時間とすることを要求する。

 

 1月14日付要求においてすでに指摘したように、教員の終業時刻を1時間延長することは、たとえ休憩時間を法規どおり与えているとしても、拘束時間の延長を戒めた労基法の趣旨に反するもので認めることはできない。

 終業時刻を1時間延長する理由について、当局は、教員組合に対する2月15日付回答において、5限(午後4時10分〜午後5時40分)の授業時間をカバーするためとしているが、この説明には合理的根拠がない。

 特定の教員が特定の曜日に行う5限授業の終了時刻を理由として終業時刻を一律に1時間延長する必要はない。教員の勤務様態に応じた時間管理を行うことで5限授業に対応することは十分に可能であり、また、その方が、すべての教員の終業時刻を延長するよりも合理的であるのはあきらかである。

 当局は延長保育等に問題について別途対応するとしているが、現行のままで対応できる終業時刻を延長したうえで、その結果生じる問題に別途対応するというのは問題の所在を逆転させる取扱である。

 現在行われている6限、7限授業について変形労働時間等の時間管理によって対応できるというのであれば、5限についても同様の扱いが可能であり、終業時刻を延長する特段の必要は存在しない。

 

○就業規則案第40条第4項において、「任期付教員については、労基法第38条の3に規定する手続を経て専門業務型裁量労働制を適用することができる」としているが、専門業務型裁量労働制を採用するかどうかは教員の勤務態様に応じて決定されるべき問題であり、裁量労働制の適用を任期付教員のみにかぎる規定は不適切であり削除すべきである

 また、この規定を受けた「裁量労働勤務規程(案)」は、任期付教員にのみ適用させる案となっており、受け入れることはできない

 当然ながら、「勤務時間・休日及び休暇に関する規程(案)」4条についてもこの趣旨にそって変更されねばならない。

○教員の勤務時間については、その勤務態様にてらし、6ヶ月、1年単位の変形労働時間制をふくむ変形労働時間制、裁量労働制等を適用できるとする規定が設けられるべきである。

○そもそも大学教員について裁量労働制を適用するか否かは労使協定により決せられ効力をもつのであり、当局が一方的に規程案として提示するものではない。「公立大学法人横浜市立大学職員の裁量労働勤務規程(案)」はしたがって労使協議のための労使協定案として提案されるべきものである。

 この点を確認した上で協定の内容を協議する用意はある。

○「裁量労働勤務規程(案)」第1条第2項における但書「職場秩序・勤務管理の基本的事柄についてはこの限りでない」の、職場秩序・勤務管理の基本的事柄とは何を指しているのか? 労基法第38条の3第3号は、裁量労働制をとる場合の労使協定事項として、「対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。」とある。このことと、前記但書とはどのように整合性があるのか? また、労基法に第38条において裁量労働制は計算上のみなし規定として導入されており、裁量労働時間に関する規定なのであって、但書にあるような勤務の規定にはなじまない。この但書を削除すべきである

○「裁量労働勤務規程(案)」3条で、「深夜勤務・休日労働を行う場合は理事長の承認を得るものとする」としているが、実験等大学教員の研究活動について理事長承認をその都度得なければならないとするのは非現実的であり、専門業務の遂行を阻害する。これを削除するか、あるいは「使用者は裁量労働制を採る労働者の健康管理に注意する」という文言に変更すべきである

○「裁量労働勤務規程(案)」5条後段の「服務に関する定めを遵守」する旨規定は裁量労働制の規定としては不要である。前段の出退勤管理については、就業規則40条の勤務時間規定に付随させ、「裁量労働制が適用される職員においては厳正に出退勤を自己管理する」旨記しておくべきである。

 

○年次有給休暇の取得について、「公立大学法人横浜市立大学職員の勤務時間・休日及び休暇等に関する規程(案)」13条5項は、「理事長が特に必要と認める場合」のみ「半日を単位とすることができる」としている。現行の有給休暇取得と同様の扱いとし、「理事長が特に必要と認める場合」という要件によらず半日単位の取得を可能とすべきである。

 また、教員の勤務態様の特性から授業コマ単位の取得を可能とするよう要求する。

 

○「公立大学法人横浜市立大学職員の育児・介護休業等に関する規程」2条は、期間雇用者であって育児休業の対象となる者について、「3歳到達日から1年を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、かつ、更新がないことが明らかである者」を除外している。当局の任期制規程においては助手の再任を1回限りとしているため、上記規定によると、再任後は育児休業の申請ができないこととなる。これは更新回数を限定している任期付教員とりわけ助手に対するきわめて不当な差別であり容認できない。改めるべきである。

○また、この場合、昇任の可能性が存在していることからして、「更新がないことが明らかである」とは言えないとみなしているのかどうか、明確な回答を要求する。

○介護休業についても上記と同様の問題が生じる。

 

 

7 兼業規程に関する見解と要求

 

 「公立大学法人横浜市立大学職員兼業規程(案)」は、以下に示すように、およそ教職員が勤務時間外に行う市民活動のすべてにたいし理事長の許可を求めさせようとするものであり、兼業規程の趣旨を逸脱する恐れがある。

 

○同規程案2条における「職」「業務」の範囲は無限定か、それとも一定の範囲を想定しているのか?

○同規程案4条「職員は、あらかじめ理事長の許可を得て兼業を行うことができる」という規定は、定義における「職」「業務」範囲を無限定とすれば、憲法上認められた市民活動の自由を侵害することとなるが、そうできる根拠は何か?

 

 この点についての回答次第では、あらゆるサークル、市民活動団体・組織への参加が規程上、許可を求められることとなる。

 2月28日教員説明会における松浦CEOの説明では、「兼業」に従事する頻度等で差異があるとしたが、規程上ではそのような差異は規定されていない。また、頻度を要件とすれば、たとえば、毎週末少年野球チームの監督ないし審判を務めるような場合には許可できないということになるのか?

 

○同規程12条1項3号における「法人格を有しない団体」の範囲は何か? 労働組合は「法人格を有しない団体」にふくめているか?

 規程案は、同条2項における除外例を除き、ここで規定された団体の役員に就くことを禁じている。これは2項に列挙されている以外の幅広い団体への参加を禁じるものであり、認め難い

 

○同条2項における「理事長の許可」要件は、教員組合役員についても及ぶことになるが、これは団結権の不当な侵害にあたる。

 また、この規定は、学会役員等について理事長の許可なく就任できないことを明記しており、各種の学術、文化団体に対する不当な干渉を謳っていることになる。

 

営利企業以外の団体における兼業については、公立大学法人職員としての責務に反しないものであることを条件として職員の自由裁量に委ね、必要な場合に届出等の扱いとすべきである。そのさい、とりわけ許可を必要とする兼業、許可しない兼業については、その根拠を明確に説明したうえで、特に規定しておけばよい。

 

○同6条2項における「理事長が指定する金額を超える報酬等」の「指定する金額」とは具体的にどれだけの金額か?

 また、金額を決定する基準は何か?

○同7条における「旅費等実費」とは旅費以外に何を指しているのか?

○同条における「法人の利益に資するもの」とは、12条〜20条における兼業のどの範囲、どの種類を指しているのか?

同17条5項「法令又は条例で、学識経験者からの意見聴取を行うことを義務づけられている場合」、これに応じることすらも理事長の許可事項とするのは、いちじるしく教員の公的活動を阻害することになる。この場合の兼業は、大学の業務に支障がない時間数については、その時間の基準を明示しつつ、許可を不要とすべきである。

 

○大学の非常勤講師を務める場合従来どおりの扱いとする旨、教員説明会において説明があったが、高等教育機関としての大学が当該大学常勤スタッフの対応できない分野について非常勤職を不可欠とし相互協力を行っている事情から、これは当然のことである。この趣旨から「賃金支給等の例外」として大学等教育研究機関における非常勤職等、教育・研究に関する職・業務について規定しておくべきである。

 

 

8 その他の規程類に関する見解と要求

 

@ 退職規程について

○退職規程における通算手続についてその考え方と原則を示すよう求める。

 

A 安全衛生管理規程について

○以下のように文言を修正して、正確な表現とせよ。

・第1条「この規程は・・・、職員の健康増進と安全衛生の確保を・・・」を、「職員の健康保持増進と安全衛生の確保を・・・」に。

・第3条「職場における安全と健康の保持増進に…」を、「職場における安全の確保と健康の保持増進に・・・」に。

○各種管理者等の業務内容・権限を明記すべきである。

・第7条の「総括安全衛生管理者」の業務内容を明記すべきである。たとえば、同上第1項の「業務」を「安衛法第10条第1項の定める業務」とするべきである。

・第8条の「衛生管理者」の業務内容を同様に明記すべきである。

・第10条「衛生推進者」の業務内容を同様に明記すべきである。

・第12条「産業医」の業務内容を同様に明記すべきである。

・また、「産業医」の権限を明記すべきである。産業医が理事長または総括安全衛生管理者に対して勧告し、または、安全衛生管理者等に対して指導、もしくは助言することができるとし、理事長または総括安全衛生管理者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならないとすべきである。

○安全衛生委員会の運営に関する第17条において、労働安全衛生規則第23条第1項により、安全衛生委員会を月に1回以上開催することを明記せよ。

○下記の各種管理者等の選任のしかたについて、どの機関の推薦に基づき、どの機関が任命するのかを明記せよ。

・第8条の「衛生管理者」

・第10条の「衛生推進者」

・第12条の「産業医」

 

B セクシャル・ハラスメント規程案について

○以下の問題点を解決するために、修正もしくは撤回せよ。

 セクシャル・ハラスメント規程案は、全体として不備であり、大学の実態と矛盾するものとなっている。

 特に、規程の目的を示す規程案第1条、「この規程は[・・・]セクシュアル・ハラスメントとの防止および排除のための措置並びにセクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、教員、職員等関係者[・・・]の利益の保護等を図るため、必要な事項を定めるものとする。」という定めは、大学においては教職員のみならず学生の利益の保護を掲げなければならないという大学の実態を無視しており、到底認められない。

 就業規則この条、および同様の問題のある条項を修正するか、もしくは、この規程自体を撤回し、当面のあいだ、就業規則の関連条項では、既存の「横浜市立大学セクシュアル・ハラスメントの防止と対策に関するガイドライン」を職員が遵守すべきことを定めるのみにすべきである。

 

C 教員評価制度に関する要求と見解

 教員評価制度に関して、前回提出した組合の疑問、要求について当局はほとんど回答していない。

○未回答の部分を回答するよう要求する。

協議、折衝なく教員評価を強行することは許されない。

 教員評価制度について、とりわけ教員処遇にかかわる規定、内容をあきらかにし、必要な協議・折衝を行ったうえで、実施手続きについて協議するよう要求する。

 「実施するなかで改善していきたい」という回答は、評価制度に不可欠な試行期間をおかず、今年度からいきなり評価を実施するということであり、認められない。

○今年度試行に入るという提案であれば、試行の内容、範囲、全面実施までのプロセスを明確にし、必要な協議を行ったうえですすめるべきである。

 

 

9 就業規則(案)にたいする見解と修正要求

 

@ 全体について

雇用者と被雇用者を拘束する就業規則

 就業規則は、労働者の服務のみを定めたものではなく、仕事遂行における雇用者(大学法人)と被雇用者(教員、職員)の守るべき規則を労働現場における両者の対等性保持を考慮して定めるものである。雇用者側がその指示、命令を一方的に正当化するために定めるものではない。就業規則案は労働者が守るべき規則に偏重しており、また雇用者の裁量範囲が非常に広く規定しており、雇用者が守るべき規則とのバランスがとれていない。

○労働者に義務づける事項をより限定し、雇用者の裁量範囲をより限定すべきである。

 

大学における就業規則の特性

 大学という労働現場に適用される就業規則は、大学としての根本的社会的使命である「知の継承と発展」の主たる担い手である教職員が最大限かつ多様にその能力を発揮できるものでなければならない。この観点からみると、

○就業規則案は、教職員の活動を制約し、萎縮させる項目が多く見られる。そのような項目を修正もしくは削除せよ。

○大学の他の規則(学則や学内規定)との整合性について何も述べていない。明示すべきである。

 

規則の適用手続の透明性

 上記(1)でも述べたように、雇用者の裁量範囲が非常に広い就業規則案は、被雇用者にとって規則の遵守を正当化できるものではない。規則の適用の公平性、客観性、公開性が確保される必要がある。

○そのために、利害関係者すべてがその規則適用の過程を知ることができ、かつ、その事実自体を第三者が知ることができる透明性を確保せよ。

 

職種別の規定が必要

 本就業規則の概要は、教員、看護士、技術吏員、一般職員などの区別をせず、「職員」とひとつにまとめて扱う規定となっている。これら職種の相違はひとつにまとめて扱うには大きすぎる。

○項目によっては、職種別の規定とすべきである。

 

A 個別条項について

 

採用(第7条)

 第7条で扱われる一般職員の採用と教員の採用は、その選考過程が大きく異なる。研究・教育の専門上の評価は面接、経歴評定、筆記試験ではできない。また、「その他の選考方法」では採用審査の公平性が疑われる。

教員採用については別の定めを置くべきである。

 

試用期間(第9条)

 第9条の定める6か月の試用期間は法的に許容される(雇用上の不安を労働者に与えない)限度の期間である。なぜ、これほどまで、長い期間を試用期間とする必要があるのか? 

○第9条の試用期間は、法的に許されるより短い期間とすべきである。

○第1項但書「ただし、理事長が必要と認めたときは、試用期間を短縮し、又は設けないことができる。」について。試用期間はその趣旨からいえば、職種や職務内容によって客観的に決まってくるものであり、理事長の裁量で左右されてよいものではないので、明確な規定を設けるべきである。

 

労働契約の締結(第10条)

10条第2項の「理事長は、前項に定めるほか、任期付教員又は任期付大学専門職が[・・・]再任、[・・・]昇任及び[・・・]降任となった場合は、当該職員との間で労働契約を締結する。」とある部分については、再任・昇任のさいに、新たな労働契約によって雇用条件・労働条件を引き下げることのないよう、また降任のさいには十分に合理的な範囲を越えて引き下げないよう規定を設けるべきである(8日要求書4のBのDを参照せよ)。

同条第3項、「横浜市から法人に引き継がれた教員[・・・]との間で、その同意に基づいて、期間を定めた労働契約を締結する。」を削除せよ。承継の職員について新たな労働契約を結ぶことは必要なく、また、有期雇用契約しか結ばないこととする規定は、本人同意なしに期間の定めのない雇用を有期雇用に切り変えることを予定した文言となっており、違法である。

 

労働条件の明示(第11条)

11条第2項の規定において、任期付教員・任期付大学専門職の再任・昇任・降任のさいに労働条件を明示するにあたって、勤務条件・労働条件を引き下げないよう規定を設けるべきである。

 

評価(第13条)

○第13条「勤務実績等について評価を」の「等」は曖昧であるので、削除すべきである。

 

昇任(第14条)

○昇任決定が公平性、公開性、客観性、透明性をもつ様にするための手続を規定すべきである。第14条第1項の「職員の昇任は理事長が行う。」では、すべて理事長の恣意にゆだねられることになり、許されない。

○第14条第2項の「勤務実績等の評価に基づいて行う。」の「等」は削除すべきである。

 

降任(第15条)

 第15条の扱う降任のような、職員の雇用労働条件に大きな影響を与える決定については、公平性、公開性、客観性、透明性をもつ手続が必要である。

○第1号については、「勤務成績が良くない場合」の「良くない」ことの客観的基準を示すべきである。

○第2号については、セカンドオピニオンを含む医師の診断書などを要することなど、厳格な手続きを規定すべきである。

○降格についての不服申し立て手続、その審査手続、再決定の手続を明確に規定すべきである。

○第4号の「組織改廃により職制を廃止する必要がある場合」は整理解雇四要件を満たす場合に限ることを明記するべきである。

 

職員の配置(第16条)

○第16条に「法人の業務上の必要に基づき本人の適性等を勘案して」とあるが、本人の意思も勘案の対象とし、事前に過半数代表者あるいは過半数労働組合もしくは労働者の過半数代表者との協議する事項とすべきである。

 

異動(第17条)

○第17条の扱う異動も労働条件の大きな変更となるから、一方的に雇用者側が決定し、労働者側に服従義務を負わすことはできない。異議申し立て、その審査の手続を規定するか、事前に過半数労働組合もしくは労働者の過半数代表者と協議する事項とすべきである。

○第17条第2項の「職員は、正当な理由がないときは、前項に基づく命令を拒否することができない。」は、職員に正当な理由があるときには、同条第1項に基づく命令を拒否することができることを意味するのか? 労使の対等性を保障するために、正当な理由がある場合に、職員に異動を拒否する権利を保障すべきである。

 

赴任(第18条)

○第18条第2号の定める赴任の命令についても、第17条と同様に、本異議申し立て手続きを規定し、労働組合、労働者過半数代表との協議事項とすべきである。

 

退職(第23条)

 第23条退職となる場合を列挙するなかで、第1号において「退職を申し出て、理事長から承認された場合」を挙げている。しかし、退職を申し出た場合、すなわち辞職の意思表示をした場合、使用者の承諾の有無にかかわらず、民法627条1項の定めにより、一定期間を経て労働契約は終了する。それゆえ、辞職にさいして理事長の「承認」を要するかのごとき表現は、法の趣旨に反する。

○第23条第1項の「理事長から承認された場合」を、「理事長に受理された場合」とせよ。

 

退職手続(第24条)

 第24条第1項は、教員が自己都合により退職するさい、「退職する日の6か月前」に理事長に申し出ることとしている。退職の告知は、期間の定めのない契約の場合、民法627条が適用され、原則2週間の告知期間が必要であり、期間の定めのある場合、民法628条のいう「已むことを得ざる事由」あるときは、直ちに契約解除ができる。また、有期労働契約においては労基法137条により、当該労働契約の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職が可能である。さらに、この告知期間は就業規則で短縮はできても、延期はできず、無効となる。6か月前の告知義務は違法である。

○退職の告知期間は、民法627条および労基法137条の規定に反しない期間とすべきである。

 

解雇(第29条)

 第29条第2項の解雇要件のうち、

○第1号においては、専門医の診断にはセカンドオピニオンを認める旨明記せよ。

○第2号については、「勤務成績が著しく良くない場合」の客観的基準を示せ。示せなければ削除せよ。

○第3号の「事業の縮小又は組織の改廃、その他やむを得ない業務上の都合により剰員が生じ、かつ他[に]適当な配置職務がない場合」という規定は、解雇権の濫用を招く。整理解雇四要件を満たす場合に限る旨を明記せよ。

 

職務専念義務(第33条)

○第33条第2項は、「職員は、法人の利益と相反する行為を行ってはならない。」となっており、「法人の利益」というが、大学法人は利益、利潤をあげることを目的としている訳ではない。また、法人格は大学という組織を効率的に運営するための手段であり、「法人」とすべきではない。「大学の理念、目的」とすべきである。

○同条第3項の「法人がなすべき責を有する業務にのみ従事しなければならない。」という規定は、誰にも到底文字通りには実行できない事柄である。はじめから遵守できないことがわかっている規定を定めるのは法的拘束力をもつものとして不適切である。職務専念義務に関しては一般的表現にとどめるべきである。

○同項の「法人」を「大学」とすべきである。

 

服務心得(第34条)

○第34条第1項に「職員は、この規則、関係規程又は関係法令を遵守し、上司等の指揮命令に従って、その職務を遂行しなければならない。」とある。しかし、教員の活動のほとんどは、上司等の指揮命令に従って行なわれるものではない。教員については少なくとも別規定とし、「上司等の指揮命令に従って」の部分を削除すべき、あるいは他の表現に改めるべきである。

 

禁止行為(第35条)

○第35条第1号「法人の信用又は職員全体の名誉を傷つけること」は、表現を改め、「法人の信用又は職員全体の名誉を傷つけるような行為」とせよ。誤解を招く表現である。

○同号における「法人」は「大学」あるいは「大学あるいは法人」とすべきである。

○同条第2号の守秘義務に対し、認められるべき例外として、内部告発制度の規定を設けるべきである。

同条第4号「その他法人の秩序及び規律を乱すこと」を削除せよ。職員の権利を不当に侵害するおそれがある。

○同号における「法人」は「大学」あるいは「大学あるいは法人」とすべきである。

 

文書配付・集会(第37条)

職務と関係のない」集会、文書・図画配布を制限する37条を削除せよ。

 大学における自由な言論活動を制限する条文である。大学構成員(教員、職員、学生)すべては、判断力ある大人(市民)として行動している。大学の規則に明らかに反するものでないかぎり、集会、言論は認められるべきであって、使用者側がみだりに規制してはならない。しかも、「職務と関係がない」か否かの判断は悉意的になる。

 

セクシュアル・ハラスメントの防止(第39条)

○第39条については、本要求第8章Bを見よ。

 

勤務時間(第40条)

○第40条については、本要求第6章を見よ。

 

研修(第48条)

○第48条では、教員の長期にわたる海外研修などの機会がどのように保障されるのか不明である。研修規程によって明記すべきである。

 

懲戒(第9章)

○懲戒に関して、公平性を担保するために、適切な手続きを定め、懲戒審査会を設置するなど、懲戒の手続きを公正に行うための制度的枠組みを作れ。

○懲戒審査会を設置する場合、労働者側の代表として、労働者の過半数代表者もしくは過半数労働組合の代表者を加えること

 

懲戒の事由(第50条)

○第50条の懲戒事由の第5号「法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」において、「法人」を「法人あるいは大学」とし、「法人あるいは大学の名誉又は信用を著しく傷つけるような行為に及んだ場合」とせよ。大学のありかた、方針、制度についての自由な議論を抑圧するおそれがある。

○同条6号「素行不良で法人の秩序又は風紀を乱した場合」を削除せよ。「素行不良」、「法人の秩序」、「風紀」はいずれも曖昧な概念であり、恣意的な解釈によって不当に職員の権利を制限するおそれがある。

○同条8号「私生活上の非違行為や、法人に対する誹謗中傷等によって法人の名誉を傷つけ業務に影響を及ぼすような行為があった場合」を削除せよ。法人に関する自由な言論を圧殺する規定である。

○同条第9号「又は前各号に準ずる違反があった場合」を削除、もしくは限定的な表現に改めよ。このような曖昧な規定があると、恣意的な解釈によっていくらでも職員の権利を制限することができることになる。

 

不服申し立て(第53条)

○第53条の定める懲戒への不服申し立てにさいしての再審議については、第三者が加わり、客観性、公開性、公平性、透明性が確保された審査委員会の規定が就業規則の一部として定められるべきである。

前項の審査委員会においては、公平性を担保するために、労働者の過半数代表者もしくは過半数労働組合の代表者を加えること。

不服申し立て期間が7日と異常に短く設定されており、不服申立制度として機能しない。公平性と合理性を確保するために、より長い期間とせよ。

 

 

10 就業規則案及び関連規程類についての協議・交渉

○就業規則案及び関連規程類について、今回要求した事項の他に問題点、疑問が生じた場合、組合の要求に応じ協議、交渉を行うこと。

○1年後に規則、規程を見直し、必要な変更、改善を行うこと。見直しにあたっては組合との協議を行うこと。

 

 

11 新任人事における任期制誘導の違法性

○「期間の定めのない雇用」教員の転出・退職に当たり、後任人事を労基法14条にもとづく有期雇用契約に切り換えることは、同条改正の趣旨にあきらかに反するものである。(「今回の改正を契機として、企業において、期間の定めのない契約の労働者の退職に伴う採用や新規学卒者の採用について、期間の定めのない契約の労働者を採用することとしていた方針を有期契約労働者のみを採用する方針に変更するなど有期労働契約を期間の定めのない労働契約の代替として利用することは、今回の改正の趣旨に反するものである」労働基準局長通達「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」)

 当局は労基法14条改正によって有期雇用契約への切り換えが可能となったとしているが、これは上記通達にてらし、労基法14条改正を悪用した典型例とみなされる。

 

 

12 学則の整備と検討及び大学自治の原則に立った教員の自律的検討の保障

○教育研究等、大学教員の業務を遂行するに当たっては、大学自治の原則に立ち、学則に則った制度整備が必要とされる。教学組織による適正で民主的手続きにそった学則等の検討・整備ぬきに大学組織及び運営をすすめることは許されない。

 

 

 以上、要求する。

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3月24日(2) 千葉大学公共哲学COE関連のネットワークから、韓国大統領の国民に対する呼びかけが翻訳されて送られてきた。以下にコピーしておこう。地方議会の「竹島の日」制定と、憲法「改正」への動き、自衛隊海外派兵、教科書問題、日の丸・君が代押し付けなど、一連の日本の右傾化問題とが、周辺アジア諸国に脅威とうつっている。

 

----- Original Message ----->


 
日本の友人のみなさま、
 
3月23日に青瓦台のホームページに寄せられた韓国の盧武鉉大統領の対日問題 に関する韓国国民へ宛てた談話の全文の翻訳をお届けいたします。日韓問題に関して大統領自身が直接、これほど厳格に日本政府を直接批判したことは、これまでもありません。大統領は「事必帰正:すべての過ちは、必ず正しい道理に帰する」を信じていると述べ、ありうる困難を見通して国民に覚悟と自覚を呼びかけています。

極右勢力に乗っ取られている自民党の小泉政権に対する、近隣諸国首脳からの、これほどの直裁な批判は前代未聞でしょう。ふたたび、佐島顕子氏の翻訳でお届けいたします。()、「」は訳者による訳注です。転載はもちろん歓迎いたします。
                                    梶村太一郎拝

 

 (以下翻訳)
 
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韓日関係に関連して、国民の皆さまへ
 
               [2005.03.23]
尊敬する国民の皆さん
 
国民の皆さんの憤りは、報道を通じて手にとるように見ています。そして私は、沈黙している多くの方々の胸中に秘められたもどかしさにも共感しています。
 
皆さんが感じている憤りともどかしさを少しでも解ければと思い、この文を書きます。

 
国民の皆さんのもどかしさは、大きな怒りと抗議にもかかわらず、希望的な結末は予想しがたいという点にあります。これまで韓国国民は、政府が微温的に対応した時も、強硬な対応をしたは良いが特にこれといった結果なくうやむやになってしまった時にも、我々の意志を貫徹するにふさわしい手段がないという状況を理解して、深く恨まず、気持ちを静めてきました。

 
今回の政府の対応についても同様です。「気持ちだけでもすっきりした」とおっしゃりながらも、やはり正当な結果は期待しがたいため、もどかしく思われていることでしょう。

 
しかし国民の皆さん
 
今度は違います。(政府は)正しく対応します。もちろん、感情的な強硬対応はしません。戦略を持って慎重に、しかし積極的に対応します。結局うやむやにするようなこともありません。遠くを見つめ、根気強く対応します。

 
尊敬する国民の皆さん

 
日本はこれまで自衛隊海外派兵の法的根拠を準備し、今では再軍備論議を活発に進めています。これらはみな、痛ましい過去を我々に思い出させ、未来を不安にする行為です。

 
しかし日本がすでに謝罪し、それを我々が受け入れ、新しいパートナーシップを宣言したのですから、普通の国々が一般的に享受する国家権能を日本だけが持てないというのは、日本国民が納得しがたいことです。このような判断から、我々は懸念を抑え、言いたいことを控えてきました。韓日関係の未来のためでした。

 
はっきり言えば、謝罪とは真実な反省を前提とするとともに、それに相応する実践が伴うべきものですから、小泉首相の神社参拝は、日本の指導者たちがかつて行った反省と謝罪の真実を毀損する行為です。

 
韓国政府はしかし、これについても直接的な外交争点としたり、対抗措置をとったりせず、それとなく自制を促すにとどめました。それこそ、日本の指導者たちが口癖のように繰り返す、未来志向的韓日関係のためでした。しかしながら、もうこれ以上黙過できない事態に立ち至ってしまいました。

 
日露戦争とは、名称からして日本とロシアの領土をめぐる戦争のように見えますが、そうではなく、日本が韓半島を完全に手に入れるために起こした韓半島侵略戦争でした。実際、日本はこの戦争に勝利した直後、我々の外交権を強奪し、事実上の植民統治を開始しました。

 
日本はこの戦争中に、独島(竹島)を自国の領土に編入しました。それこそ、武力で独島を強奪したのです。日本の島根県が「竹島の日」と定めた2月22日とは、100年前日本が独島を自分たちの領土に編入した、まさにその日なのです。それこそ、過去の侵略を正当化し、大韓民国の光復(独立)を否定する行為です。

 
教科書問題も同様です。2001年、歪曲された歴史教科書が日本でほとんど採択されなかった時、我々は日本の良心に期待をかけ、東北アジアの未来について楽観的な展望も持ちました。それなのに今、その歪曲された教科書がまた息を吹き返そうとしています。これもまた、侵略の歴史を正当化する行為です。

 
そしてこれらが、一自治体や一部の無分別な国粋主義者らの行為にとどまらず、日本の執権勢力と中央政府の幇助のもとに成り立っているがゆえに、我々はこれを「日本の行為」として見ざるを得ません。これは、日本がこれまで行ってきた反省と謝罪を、すべて白紙化する行為でもあります。

 
今や、韓国政府も断固として対応せざるを得ません。侵略と支配の歴史を正当化し、ふたたび覇権主義を貫徹しようとする意図を、これ以上看過するわけにはいかなくなりました。韓半島と東北アジアの未来がかかった問題だからです。

 
このような行為は今のところ、日本国民の大多数の考えとは違うというのが事実です。しかし、政治指導者らが扇動し、歴史をさかさまに教えることが続けば、状況はすぐに変わりかねません。

 
尊敬する国民の皆さん
 
政府は積極的に前に立ちます。これまで政府が、日本に対して言うべき言葉や主張があっても、なるべく市民団体や被害者に任せ、沈黙してきたことは事実です。
 
被害者たちの血の出るような叫びにも手を貸さず、被害者たちが真相解明のために東奔西走する時にも、ろくに手伝いませんでした。政府間の摩擦がもたらす外交上の負担や、経済にまで及びかねない波紋を考慮したこともありますが、何よりも、未来志向的な韓日関係を考えて自制したのです。

しかしそれに対する日本からのお返しは、未来を全く考慮していないとしか思えない行動でした。今では、政府が出なかったことがむしろ、日本の無神経さを呼んだのではないかという疑問が呈されています。これではいけません。今からでも、政府ができることはすべて行おうと考えます。

 
まず、外交的に断固として対応します。外交的対応の核心とは、日本政府に対して断固として是正を要求することです。日本政府の誠意ある応答は期待しにくかろう、という懸念があるにはありますが、当然言うべきことならば、(相手が)聞く時まで止めず、ねばり強く要求します。

 
次に、国際世論を説得します。国際秩序とは力の秩序で、国家関係は利益が優先されるのが現実ではあります。しかし一方で、国際社会は、それぞれ皆が尊重すべき普遍的価値と秩序を強調する方向に、少しずつ進んでいるのも事実です。日本が普通の国家を越えアジアと世界の秩序をリードする国家になろうとするならば、歴史の大義に符合して身を処し、確固たる平和国家として国際社会の信頼を回復しなければなりません。

 
国際社会にも日本に対して、人類の良心と国際社会の道理のもとに行動するよう促す義務があります。我々は国際社会に向かって、この当然の道理について説得します。
 
これらすべてに増して大切なことは、日本国民を説得することです。問題を究極的に解決するならば、日本国民が歴史を正しく知り、日本が韓日両国と東北アジアの未来のために何をなすべきか、正しく理解しなければなりません。それでこそ、日本政府の政策が、正しい方向を捉えられるのです。

これらは、決してやさしいことではありません。他人の過ちを表に出して指摘するようなことは、難しいのみならず、気まずいものです。互いに顔を赤らめ、対立することも増えるでしょう。ほかの国々の人々の目に、我々がそしり争うように映るのは、とても恥ずかしくもあります。

 
厳しい外交戦争もありえます。そのために経済、社会、文化その他多くの分野の交流が萎縮し、それが我々の経済を冷え込ませないかという憂慮もあります。

 
しかしこの問題については、大きく心配しなくてもよいでしょう。今や我々もそれなりの困難には持ち堪えられる十分な力量があると思います。そして、国家的に必ず解決するべきことのため、どうしても耐えなければならない負担ならば、毅然として耐えるべきです。しかし、耐えられない負担が生じないように、一方では状況を賢くコントロールします。

 
国民の皆さん
 
どんな困難が生じたとしても、後退したりうやむやにしたりせず、韓国国民が受け入れられる結果が現れるまで、ねばり強く対処します。今回は必ず根を絶ちます。難しい時には国民の皆さんの助けを求めます。新しい問題が起きるたびに、国民皆さんの意見を聞きます。

 
今、このような決意を国民の皆さんに報告しつつ、いくつかお願いをいたします。

 
第1に、(日本の)一部国粋主義者の侵略的意図は絶対に許せませんが、だからといって、日本国民全部を疑ったり敵対してはなりません。日本と韓国は、離れられない宿命的な隣人です。両国国民の間に不信と憎悪の感情が醸成されれば、大きな不幸の再来を避けられなくなります。

 第2に、冷静さを失わず、穏やかに対応せねばなりません。対応は断固として、説得は理性的に品位を失ってはなりません。ある程度の感情表現はないわけにはいきませんが、節度を失ってはなりません。これは、力による戦いではありません。名分を失えば、それは自分にはねかえります。感情を刺激しすぎたり侮辱する行為は、特に慎まねばなりません。

 
第3に、根気と忍耐を持って対応せねばなりません。戦いという言い方をするならば、この戦いは一日二日で終わる戦いではありません。持久戦です。どんな困難であっても甘受するという悲壮な覚悟で臨み、しかし体力消耗は最大限減らす知恵と余裕をもって、粘り強くやり抜かねばなりません。

 
第4に、遠くを見つめ、戦略的に対応せねばなりません。判断は慎重に、発言と行動は遅すぎるぐらいにせねばなりません。一喜一憂してもならず、人々の口をふさいでもなりません。これまで発言・行動が過剰でなかったか、という不安がなくはありません。

 
尊敬する国民の皆さん

 
韓国国民の要求は、歴史の大義に基礎を置いています。我々は無理なことを要求したわけでもありません。新しい謝罪を要求したわけでもありません。不誠実な謝罪ではありましたが、それさえ白紙化するのはどうであろうか、と是正を要求しているだけです。そしていまだ未解決の諸問題については事実を認め、適切な措置を取るよう促しているだけです。

 
私は事必帰正(すべての過ちは、必ず正しい道理に帰する。真理は非道理に勝つ。)という言葉を信じています。私にはこれらを正しく処理する所信と戦略があります。
 
 
国民の皆さんを絶対に失望させません。
 
信じて助けてください。そして勇気と自信をもってください。我々の要求は必ず、歴史から答えを得ます。

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(翻訳全文以上です)

 
青瓦台HP
 
原文
 http://www.president.go.kr/cwd/kr/archive/archive_view.php?
 meta_id=speech&id=1c19f57eb07fa0a5c45add2
>
>
()、「」は訳者によります。

--------「独島」(「竹島」)問題をたとえば、マイクロソフトの日本語版百科事典エンカルタはどう記述しているか?(韓国版とは当然にもちがうであろう)--------

竹島 

「たけしま 隠岐諸島の北西約157kmにある島。大韓民国ではトク()とよぶ。日本海のほぼ中央、北緯379分、東経13155分に位置し、東島、西島の2つの主島と数多くの岩礁からなる。古くから好漁場として知られたが、断崖(だんがい)絶壁の火山島で人の常住には適さない。

江戸初期、山陰地方の漁民はこの島を「松島」とよび、北西のウルルン(鬱陵)を「竹島」とよんでいた。19世紀半ばには、フランスの捕鯨船リアンクール号が島をリアンクール岩と命名したことから、「りゃんこ島」とよばれたこともあった。

 

1618(元和4)、伯耆(ほうき)国の大谷(おおや)、村川両家は幕府から鬱陵島への渡航許可をあたえられ、竹島を寄港地および漁場とした。17世紀末になると、朝鮮からの出漁者がふえて紛争が生じたため、鬱陵島への渡航は禁止されたが、竹島での漁業はつづけられた

1904(明治37)、隠岐の漁業者中井養三郎がこの島の領土編入と「貸下願」を政府に提出。これをうけて政府は翌05年、島名を竹島とし、隠岐島司の所管とした。39(昭和14)以降は島根県五箇(ごか)村の一部となっている。

 

2次世界大戦後の1946年、GHQは竹島を日本の行政地域から分離し、漁業停止区域に指定した。52年には韓国が李承晩(イ・スンマン)ラインをもうけ、この島の領有を宣言。これに対して外務省は54年に覚書を送付し、日本の領有権を主張したが拒否され、両国の紛争が浮上した。54年以降、島には韓国から派遣された警備隊が常駐している。

島の帰属問題は、1965年の日韓基本条約( 日韓条約)および紛争解決に関する交換公文でも解決できず、両国の主張が対立したまま現在にいたっている。96(平成8)の日韓首脳会談では、経済水域の画定と日韓漁業協定の改定について、領土問題とはきりはなして交渉をおこなうことで一応の合意をえた。」Microsoft(R) Encarta(R) Reference Library 2003. (C) 1993-2002 Microsoft Corporation. All rights reserved.

 

-------日本語版(日本政府の態度)だかから「占拠」という表現になる(韓国版では?)----------

竹島占拠問題 

「竹島問題は、1996(平成8)から97年にかけて、国連海洋法条約( 海洋法)に基づく200海里経済水域の設定問題をうけてエスカレートした。日韓の間では、いちおう竹島問題と経済水域設定交渉を切り離すことで合意がなされているものの、交渉の最終局面では領有問題をさけて通るわけにはいかず、韓国側は、これを有利に導くために既成事実を積み重ねている。韓国は54年から島に沿岸警備隊を常駐させ、実力によって領有を主張してきたが、96年暮れから、埠頭(ふとう)建設工事や有人灯台設置計画を推進し、同島を孤島ではなく国民生活の中の島にすることをめざしている。竹島問題は、日韓間の過去の歴史的状況に対する認識がからまっており、韓国側は領有問題を討議すること自体に断固拒否との態度をとっている。(現代用語の基礎知識 2002 より)」、Microsoft(R) Encarta(R) Reference Library 2003. (C) 1993-2002 Microsoft Corporation. All rights reserved.

 

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3月24日(1) 埼玉大学では何が起きているのか? 学長が大学の諸規則を無視する発言を行っているようである。「全国国公私立大学の事件情報」から、コピーしておこう。

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埼玉大学教職員組合、学長見解撤回要求書

埼玉大学教職員組合
 ●学長見解撤回要求書(2005124日)2005/3/16掲載
 ●学長回答(200532日)2005/3/16掲載

2005年1月24日
国立大学法人埼玉大学
 学長 田隅 三生殿
 教育研究評議会御中
埼玉大学教職員組合
執行委員長 本城 昇
 
学長権限に関する学長見解の撤回を求めます!!

 田隅学長は、200年12月3日、学長権限に関する見解を明らかにしました。しかし、大学構成員の間でこの見解に対して強い批判が巻き起こっています。この学長見解は、これまで生じた大学運営に関する問題を正当化し、埼玉大学の大学運営のルールを無視するものです。組合としては、この学長見解は次の問題があり、断固として認められません。田隅学長が同見解を直ちに撤回することを求めます。また、教育研究評議会は、このような学長の暴走を許してはならず、「国立大学法人埼玉大学教育研究評議会規則」を厳しく運用し、埼玉大学の教育研究に関する最重要機関としての役割を完遂していただくよう要求いたします。

1 学問の自由と大学の自治を無視するものであること
 学長見解は、「法人としての国立大学の意思決定は最終的に学長に委ねられている」とし、「学長は、教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されずに、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している」としている。これは、学長が大学の機関や大学構成員の意思に拘束されずに教育研究活動を含む大学運営について意思決定できる権限を持っているとするものといえる。このような意思決定権限が唯一学長に集中しているとする解釈は、学問の自由や大学の自治とどのように両立可能というのであろうか。こうした解釈では、自由闊達な教育研究活動が展開される基盤自体を損なわないという保障は確保されない。 学長見解は、学長が独裁的に全てを決めてよいということを意味しないとしているが、そう言うのであれば、それが制度的にどう保障されるのか説明すべきである。単に教育評議員の意見を考慮するという程度では、恩寵として少しは聞いてやるというのであり、権限としては独裁できると言っていることと同じようなものである。
 憲法で保障された学問の自由と密接に関係する大学の自治の重大性に鑑み、国立大学法人法第3条は、「この法律の運用に当たっては、国立大学……における教育研究の特性に常に配慮しなければならない」としている。同法の国会答弁において、文部科学大臣も、「大学における自主性の中で最も大事なのはその教育研究の自由、教授が持つ自由であろうと思います。当然ながら、それは新たな法人化いたしましても、正にそれがより自律的に自主的に行われるようになるということでございます」(2003年5月29日参議院文教科学委員会)と答弁している。しかし、教育研究活動を含む大学運営についての意思決定権限が唯一学長にあるとする上記解釈では、大学における教育研究の自由、大学構成員を基盤とする大学の自治は制度的に保障されず、そうした自由や自治は実体を失ってしまうのである。
 国立大学法人法成立時の国会附帯決議という形で、国会も、「国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営を確保すること」を求めている。学長見解は、学問の自由、大学の自治の重要性を全く認識していないのであり、学問の自由と大学の自由と対立するものであって、撤回されなければならない。

2 大学運営ルールを無視するものであること
 組合は、昨年12月10日、田隅学長に対して大学運営の正常化を求める要求書を提出した。しかし、その要求に応えようとしていない。それどころか、学長見解により、これまでの不正常な大学運営を正当化し、その姿勢を改めようとしていない。

(1)国立法人法についての問題のある理解
 学長見解は、「国立大学法人に設置された機関、すなわち、役員会、経営協議会、教育研究評議会は全て審議機関であり、意思決定を行う権限を有していない」とし、それら審議機関で審議されたとしても、その審議にかかわらず、学長が教育研究活動を含む大学運営にして意思決定できると主張していると見られる。
 しかし、役員会の審議・議決や教育研究評議会の審議について、国立大学法人法の国会答弁を見ても、そのような学長の暴走を許すような軽々しいものとしてとらえられていない。文部科学副大臣は、「学長が独断専行になった場合、暴君だと、こういうような場合、学長が意思決定を行うに当たっては、経営協議会あるいは教育研究評議会、これが審議や役員会の議決を踏まえる必要があるなど、一定のチェックの仕組みはあるわけでございます」(2003年5月29日参議院文教科学委員会)と答弁している。
 明らかに、役員会や教育研究評議会は、国立大学法人法上、学長の独断専行や暴走をチェックする仕組みであるととらえられている。前記学長見解のように、「学長は、教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されずに、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している」という乱暴な解釈をとると、学長の独断専行や暴走を制度的にチェックすることがなくなるのである。「教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されず」と断言するような乱暴な解釈は許されない。

(2)埼玉大学諸規則の無視
 組合は、前記要求書において、国立大学法人法第11条第1項は、「学長は、学校教育法第58条第3項に規定する職務(校務を掌り、所属職員を統督する)を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する」としているが、これは学長の所掌業務の範囲を定めたものであり、具体的な権限行使を定めた規定ではなく、この規定をもって、学長に何でもできる権限が与えられていると解釈するのは問題があると指摘した。
 埼玉大学は、国立法人法の施行に合わせて、適正な手続を経て、国立大学法人法を踏まえた埼玉大学としての大学運営の諸規則を定めたのである。これら諸規則は、国立大学法人法を根拠法規として引用していることからも明らかなように、同法上適法なものであることを当然の前提としている。学長がこうした諸規則を根拠のないものとして無視することは許されないのであり、組合は、学長がこれら諸規則を厳守することを前記要求書において要求している。 ところが、学長は、学長見解で、これら諸規則を厳守するとは一言も言わないのみならず、これら諸規則を無視してもよいと受け取られても仕方がないようなことを述べている。学長見解は、前記の「学長は、教育研究評議会での教員評議員の意見に拘束されずに、その国立大学の教育研究に関する方針を決定する権限を有している」としているが、この点からすれば、一体、国立大学法人埼玉大学教育研究評議会規則第5条で「教育研究評議会の議事は、出席評議員の過半数で決し」と定めていることはどのような意味を持つというのであろうか。この規定は、法人化前の埼玉大学評議員会規程の規定と同じ文言を用いており、その点だけからしても、教育研究評議会の決定は大変重大な決定であることが分かる。そのような決定について、「拘束されず」と軽々しく言えるものではない。憲法で保障されている学問の自由、それと密接な関係にある大学の自治、また、それを踏まえた国立大学法人法第3条などからして、このような乱暴な見解は問題である。
 また、学長見解は、「本学の利益になりこそすれ、本学構成員に特段の不利益を巻き起こすことはないと考えられるものについては、いちいち教育研究評議会に諮らずに、学長決裁ですすめることにしている」とし、「放置すれば本学にとって有害となる事態が起きるので、それについて何らかの緊急処置を行うことが必要不可欠と私が判断した場合には、学長権限で処置することがある」とする。しかし、国立大学法人埼玉大学教育研究評議会規則は、大学構成員に特段の不利益を起こすことはない場合や緊急事態であっても、その審議を免除するとは定めていない。同規則第3条は、「次に掲げる事項について審議する」とし、教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項」、「教員人事に関する事項」、「その他大学の教育研究に関する重要事項」といった教育研究に関する事項を審議事項として掲げているのであり、大学構成員に特段の不利益を起こすことはない場合や緊急事態であれば、そうした審議事項に該当しても審議を免除するとは定めていないのである。こうした規則を無視した見解は許されない。
 学長見解は、埼玉大学諸規則の法的効力を否定するかのような論理を展開しており、これら諸規則を無視することがあるのであれば、他の法令を根拠とする規則すら一体どうなるのかということになる。実際、労働基準法に基づく就業規則とそれと一体の諸規程もどうなるのであろうか。この規程として、例えば、「埼玉大学教員の採用・懲戒等に関する規程」があるが、この規程第3条は、「大学教員の採用…の選考は、教育研究評議会の議に基づき学長が定める基準により、教授会等が行う」としており、教員の採用の選考については、教育研究評議会が基準を決め教授会がそれにより行うことになっている。この規程第3条は、教育研究協議会や教授会の権限について規定しているが、この権限についても学長は前記のとおり「拘束されず」として無視できるというのであろうか。組合は、前記要求書において、現在、教授会は、学長の了承がないと教員採用の募集(つまり選考行為)ができない状況があることを指摘している。

(3)21世紀総合研究機構の短期プロジェクトの取消し
 学長は、上記緊急事態の例として、21世紀総合研究機構短期プロジェクトの取消しを挙げている。しかし、この取消しは、不正常なものといわざるを得ない。組合が前記要求書でも指摘しているとおり、当然求められるべき適正な手続も経ない一方的なとり潰しといえる。学長は、いかなる理由で「緊急処置」が必要不可欠と判断し、教育研究評議会や21世紀総合研究機構の審議もなしに取消すことができると考えたのか明らかにすべきである。
 ある名誉教授については、このプロジェクト取消しのみならず、大学当局は、「科学研究費補助金の申請資格の申合せ」を極めて短時間で作成し、当該名誉教授に対して申請有資格者の研究者番号を付与しないという措置をとった。また、大学当局は、当該名誉教授の名誉教授称号の剥脱を可能とするよう、無理矢理に「埼玉大学名誉教授称号授与規則」を改正しようとした。こうした行為は、異様な行為と言わざるを得ない。

 組合は、前述のとおり、昨年12月10日に田隅学長及び教育研究評議会に対して大学運営の要求書を提出しました。その中で、組合は、「この大学の運営については、学内で諸規則が定められているのであり、まず、この諸規則を学長や役員会は遵守する義務を負います。この諸規則を遵守しなければ、学長あるいは役員自身がこの大学を運営する資質・能力に欠く者として解任の対象となります」と指摘しました。ところが、学長見解は、以上述べたとおり、これまで生じた大学運営に関する問題を正当化し、埼玉大学の大学運営のルールを無視するものです。組合は、田隅学長が学長見解を直ちに撤回し、また、教育研究評議会が学長の暴走を許さないようしかるべき対応を図っていただくことを要求します。

 

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3月23日(3) 都立大学(首大)に関しても、就業規則問題が山場を迎えているようである。

 

----都立大の危機--やさしいFAQ ----- 

2005323日:都立大学・短期大学教職員組合は, 就業規則策定に関する声明(「手から手へ」2338,3/22)を発表。東京都側は,323日にも「就業規則」案を6事業場の労働者代表に提示しようとしている。勤務労働条件を改悪し、管理強化のみをめざし,時間の切迫を口実に,当局が労働者代表(団)と十分な協議もなしに押し切る可能性があるとのこと。
組合は労働者過半数代表(団)に対して以下のように対抗することを要請:

1 当局に徹底的に疑問、質問、要求を出しましょう。1回の「説明」で済ませることなど論外です。
2 労働基準監督署、厚生労働省や東京都産業労働局、総務省等の関係監督官庁に働きかけ、訴えましょう。これまでの組合の要請行動などでも「新旧制度」給与などは誰もが首をかしげます。
3具体的な改善がなされないなら、当局の欲する、教員の「裁量労働制協定」や「36協定(時間外労働・休日労働に関する協定、この協定なしに使用者が時間外・休日勤務を命じることは違法となる)」への調印拒否を通告すべきです。これらは、就業規則と違って、「双方の合意」がなければ発効しません。労使協定交渉は弱い立場の労働者の強い武器になるのです。

COMMENT: あと9日で4月1日。「首都大学東京」の発足。しかし,教職員の就業規則の議論は始まったばかり。東京都側は勤務労働条件改悪,管理強化を目指した,とんでもない就業規則を「協議したが時間切れ」という理由でまたしても強行突破しようとしている。その背景は,これまでも,強行突破できたからという思い込み! 大学の教職員なんて弱いものだ,という先入観を打ち破る必要がある

 

-------就業規則策定に関する声明(文中赤字等の強調は引用者)------

 

2338号

 

 

 

 

 

 

 


【声明】
管理強化・大学の特性無視の就業規則を許さないために、全教職員が過半数代表団を支え、交渉を成功させよう 「就業規則」の意味を再考し、働きやすい職場と都民のための大学づくりを可能にする改善を 要求しよう
                                                    2005322 東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

 法人発足は10日後に迫っています。都当局は明日にも「就業規則」案を6事業場の労働者代表に提示しようとして います。その内容は、私たちがこれまで再三指摘してきたように、これまでの勤務労働条件を改悪し、管理強化のみを めざして公立の大学としての特性や責務を無視したものです。にもかかわらず、時間の切迫を口実に、当局が労働者 代表(団)と十分な協議もなしに押し切ることも予想されます。組合中央執行委員会は、当局の逃げ切りを許さず、 あくまでも就業規則本来の意味に沿い、都民のための大学づくりを進めるための改善に向けた奮闘を全教職員、とりわけ 各事業場労働者代表団に要請するものです。


1.就業規則を評価する視点
労働基準法の精神に則っているか

  まず考えておくべきことは、労働基準法がなぜ使用者に「就業規則」の作成を義務づけ、しかも、作成に当たっては労働者代表の意見を聞き、その意見書を添えて労働基準監督署に届け出ることを命じているのか、という点です。
同法は第2条で、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」としています。ところが、雇うものと雇われるものが自然に対等にはなり得ず、放置すれば本来的に強い立場にある使用者が解雇や賃下げを武器として労働者に過酷な労働条件を押しつけることになってしまいます。そこで、法は使用者に対して義務として労働者保護を明文化させ、それを職場のルールとして確定する証として「就業規則」の作成と届け出をさせるのです。このことは、労基法が様々な「最低限の労働条件」を記した後に、第89条で就業規則に記載しなければならない事項としてあげている項目が、すべて労働者を恣意的かつ不利益に扱わないための「使用者の義務」であることを見ても明らかです。つまり、就業規則は単なる職場の規則集ではなく、ましてや、その職場の「労働者の義務事項集」ではないのです。したがって、「就業規則」を評価する視点の第1は、その就業規則が労働基準法の精神に則ったものであるのか否か、です。

教育公務員特例法の精神に則っているか
 また、公務員時代は就業規則の代りに地方公務員法や各種条例が私たちの人事や「服務(公務員特有の表現です)」を規定していました。それでもなお、教員である公務員に対しては、時々の為政者が恣意的な「公的利益」を盾にして教育や研究を歪めないように主権者である国民や住民に直接責任を負った勤務がなされるように、教育公務員特例法が優越的規範として存在しています。その関係は「懲戒」や「異動」に関する同法の規定を見れば誰の目にも明らかでしょう。
法人化されようとされまいと、私たちは都民の税金で運営される大学の教職員であることに変わりはありません。今までは都民に責任を負っていたが4月からは理事長のために教育研究を行え、とはさすがの知事でも言わないでしょう。また教育公務員特例法が悪法だったから国公立大学が法人化されたのでないことも明らかです。大学の経営形態が法人組織になっても純然たる私立大学と違って、納税者である都民と大学との関係は法人化によっていささかの変化もないのです。したがって、私たち公立大学の教職員、とりわけ教員の(「服務」に代わる)
勤務規範は相変わらず教育公務員特例法であるべきです。「公務員」ではないという形式的な理由で適用除外になるにしても、新たな勤務規範であるべき「就業規則」は、少なくとも教員に関しては教特法の精神に則ったものである必要があるのです。これは、教員に有利か不利か、という問題ではなく、公的資金で運営される教育機関の職員に課せられた勤務規範なのです。具体的には、教特法が重視している、教員の採用、昇任、懲戒、評価の手続きと主体がどう規定されているのか、この点が第2の視点です。

地独法の趣旨に則っているか
 私たちは国立大学法人法や地方独立行政法人法には、その成立過程で広範な反対運動がなされたことに示されるように様々な問題点があると考えていますが、少なくとも、この法人化の根拠法規には、職員の身分、雇用に関して『・・・職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該移行型一般地方独立行政法人の成立の日において、当該移行型一般地方独立行政法人の職員となるものとする』(地方独立行政法人法59条2項)と、職員の同意なしに自動的に継承されると規定されているのです。当局は、この規定は「雇用、身分は継承するが勤務条件が継承されると保障していない」としていますがそれは明らかな欺瞞です。現に、参院附帯決議では『地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと』と、明らかに労働条件について職員が不利な扱いを受けることがないように釘を刺しているのです。およそ「身分は引き継がれるが労働条件は変わる」などと言ったときの「身分」とは一体何でしょう。法律によって本人の同意なしに継承される「身分」が労働条件、勤務条件を含むのは当然のことです。少なくとも、労働者の側からその継続を要求するのはあらゆる労働法規の観点から見て当然の権利なのです。したがって、「就業規則」を評価する第3の視点は、地独法およびその成立過程での国会論議、決議の趣旨に則っているか否か、なのです。

2.容認しがたい問題点
  私たちはすでに「手から手へ」第2335号で現在提案されている就業規則案ならびにその下位規則である給与規則等について多くの問題点を指摘しました。また、組合弁護団からも、@「旧制度教員給与規則」が重大な不利益変更であること、A「文書配布等」に関わる条項が人権侵害に当たること、B「懲戒手続規定の不備」、すなわち懲戒処分の発動に関しての適正手続が欠けていること、の3点にわたる意見書が出ています(「手から手へ」第2337号参照)。
全教職員と労働者代表団の皆さんが、ぜひこれらの指摘、意見をもとにして就業規則案等を熟読されるようお願いいたします。いかに職責を果たし、業績を上げても昇給も昇任もない、という、明らかに社会的常識に反する「旧制度教員給与」は論外にしても、その他にも要約以下のような問題点があることがすぐに判明するはずです。
・ なぜか無理やり「教職員」と一括してしまうために、教員と職員の勤務形態、職務内容の違いが無視され、教育・研究活動を強く阻害する条項が多数存在すること
・ 教職員に不利な処置処分に対抗する権利保障、手続規定がまったく存在しないこと
・ 基本的に教職員の「義務」の羅列、「規制」の列挙に終始しており、就業規則を設ける意義である「使用者の義務」が記載されていないこと
・ 具体性が必要な箇所でも文言が曖昧で、いくらでも恣意的な解釈が可能となっていること
  組合は度重なる交渉の中でこれらの是正、改善を要求してきましたが、現時点では当局はそれに応じていません。したがって、このままの内容であるならば組合は「容認しがたい提案」と判断しています。
  膨大な内容に辟易して、十分に目を通さずに「組合中執は過大な要求をしている。4月が迫っているのだからまとめるようにしないといけない」と考えておられる教職員も、果たして、この就業規則でまともな職場環境が作れるのだろうか、と思いを巡らせていただきたいのです。

 

3.容認できない就業規則の押しつけにどう対抗するのか
 明白に当局の責任ですが、タイムリミットは迫っています。当局は労働者代表団に「協議」と称して容認を求めてくるでしょう。もともと、就業規則は使用者が作るもので、労働者側には「意見」を述べる権限しかありません。しかしながら、国立大学法人の例を見ても労働者側が「まったく容認できない」という意見書を出した例はなく、そうなった場合に当局は困惑し、提出された労基署は驚愕するはずです。就業規則策定の根本理念に反するものだからです。
組合は労働者過半数代表(団)に対して以下のように対抗することを要請します。また、すべての教職員がそれを支持し、応援してくださるようお願いいたします。
(1) 当局に徹底的に疑問、質問、要求を出しましょう。1回の「説明」で済ませることなど論外です。
(2) 労働基準監督署、厚生労働省や東京都産業労働局、総務省等の関係監督官庁に働きかけ、訴えましょう。これまでの組合の要請行動などでも「新旧制度」給与などは誰もが首をかしげます。
(3) 具体的な改善がなされないなら、当局の欲する、教員の「裁量労働制協定」や「36協定(時間外労働・休日労働に関する協定、この協定なしに使用者が時間外・休日勤務を命じることは違法となる)」への調印拒否を通告すべきです。これらは、就業規則と違って、「双方の合意」がなければ発効しません。労使協定交渉は弱い立場の労働者の強い武器になるのです。

 緊迫した状況ですが、組合中央執行委員会は、組合の権利である当局との団体交渉を通じ、また全教職員への宣伝活動、情報伝達を担うことで、過半数代表団の取り組みを支え、またその先頭に立って活動する決意です。

 

 

 

 

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3月23日(2) 東京新聞記事が掲示板等にはりだされていた。「改革の責任 誰に?」、「受験生半減、教員去り・・・」。

それをスキャンして(12に分割して)リンクを張ると同時に、資料として保存しておこう。今回の改革が、歴史的に積み上げられてきた改革の実績を踏まえ、それを発展させるとということになっているのかどうか、教員の内発的改革意欲を結集したものかどうか、この2年間問い続けられてきたことが改めて問題として提起されているといえよう。この点は、下記(本日日誌の(1)参照)の「スポイチ編集長」の主張するところと重なる論点であろう。 トップダウンで迅速にやれば画期的な改革が実現できるというものではないことは、今回の「改革」が明らかにしたのではなかろうか。

いまなお、制度設計として深刻な問題を抱える「任期制」に差別的処遇を掲げながら同意を迫るなど、教員の士気をそぐような「決定」事項が目の前にぶら下げられている。記事の中で一楽教授が、「具体的に他大学から話があれば、出て行きたい教員ばかり」とはなしているのは、こうした士気阻喪状態の別の表現である。

これで、どうして優秀な教員があつまるのだろうか?教員組合が提示したさまざまの重要な問題点に応える姿勢は、いまのところないのである。教員組合と話し合いを始めた段階で、任期制への同意だけは求めるのである。差別をちらつかせる高圧的行政的なやり方である。やり方そのものを関心ある全大学人が見ているのである。

優秀な人材が集まらないでどうしていい大学となるのだろうか?

今いる教員が安心感と意欲を持って、前向きに努力できるようなシステム設計でないとき、どうしていい大学となるのだろうか?

 

『東京新聞』の記事の最後に総合理学研究科の一楽教授の発言として、「実際にリーダーシップを取ったのは誰であったのか。はっきりしない。誰も責任を取りそうにない」と書いている。たしかに、そうした面はあるが、これまでのところ、「あり方懇」(市長諮問委員会・市長任命の7人の委員)の路線(「国際教養大学」化路線、学部統合路線、3学部統合による予算削減路線、そして教授会自治・大学自治の限りなき削減・破壊、市長任命の経営陣による大学経営)が貫徹した、ということはいえるのではないか? 先日の4月以降の大学と法人の組織説明会においても、参加した教員から一番強く出た指摘、繰り返し出された疑問点は、大学の自治、学問の自由に関する諸論点であった。教員の権限、それに対応する責任の相互関係がまったく不明確なのである。経営サイドの答弁では、「権限と責任」の相互関係さえわかっていないものがあった。身分保障に戦々恐々とする教員、そうした教員がほとんど権限を持たないシステム(責任だけは負わされるシステム)、それでいい大学は作れるのか?

行政当局任命の経営陣と、それによる「経営」に「協力」する教員による大学運営。そこでは、大学教員集団の自主性・自立性・自律性は切り刻まれている。東京新聞の記事が問題とする今年度の「受験者数の半減」、レベル低下の予測などに関して言えば、問題が教授会などできちんと報告され提起されるということがなかった。たとえば、AO入試など、いったいどのような入試方針でやっているのか、どこでその入試選抜方針が議論されたのか、すくなくともわれわれふつうの教員にはまったく知らされていない。推薦入試はどうか? 「指定校」制度が今年度導入されたが、それも一度も教授会審議を経ていないと記憶する。「過去三年間の実績」なるものがいかなる基準であり、いかなる妥当性を持つのか、どのようなことを議論したのか、少なくともわれわれ一般教員は知らない。

トップダウンの決定が下された後、われわれはその実務だけに駆り出されるのである。

政策・制度の決定に参加する、決定において権限を持ち、したがって執行において責任を持つ、という自治・自律のシステムにはなっていない。一度も教授会で審議事項になったことがないのである。その教授会さえ、来年度はどうなるか? トップダウンが可能な構成になっている、と私は考える。18日の説明会における多くの疑問もその点に集中したと考える。

AO入試をやるということも、「あり方懇」答申や経営サイドからの決定、ではないか? 文書に当たって検証する必要があるが、少なくとも、教授会で審議し、決定した記憶はない。「新しい学部の入試であり、新しい学部の教授会は存在しない」ということで、やられてきたのが実態であろう。

今年度のような入試のやり方(教授会審議抜きのやり方)が来年度以降もつづけば、かつて大問題になったような(たとえば、昨日、40年勤務した本学出身のある職員の退職祝賀会で配布された資料によれば、60年安保ころの問題として、「大学民主化闘争、林学長代行問題、不正入試」とある)不明朗さが問題になるのではなかろうか? そうした危惧をすでに何人かの人から聞かされたが、その危険はあると考える。

 

------

3月23日(1) 総合理学研究科・佐藤真彦教授のHPに引用された二つの記事を、孫引きで、以下にコピーしておこう。

 

-----T.政治の論理対科学の論理—

問題は科学にあるのではなく、政府による科学の問題への干渉【Natureの論説】

 

★阿修羅♪ 戦争68  http://www.asyura2.com/0502/war68/index.html

http://www.asyura2.com/0502/war68/msg/642.html

 

・・・日本の政治家たちは、それがどれだけ不愉快であろうとも、

科学的不確定性を直視しなければならない。彼らは北朝鮮との

論争において外交的手段を用いるべきであり、科学的整合性

を犠牲にすべきではない。・・・

 

【参照記事】

(1)横田めぐみさん遺骨 帝京大担当医が科学誌「ネイチャー」に告白 05-2-26

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050226izu-nature.htm 

 

(2)科学誌「Nature」が横田めぐみさん「ニセ遺骨」に関する記事 火葬された遺骨は誘拐された少女の運命を証明できない?(2005.2.11)+谷内正太郎外務省事務次官の反応(2005.2.12 05-2-11

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/050211Nature-asyura.htm 

 

 

問題は科学にあるのではなく、政府による科学の問題への干渉【Natureの論説】
http://www.asyura2.com/0502/war68/msg/642.html
投稿者 木田貴常 日時 2005 年 3 月 22 日 09:33:50:
RlhpPT16qKgB2

(転載)

[AML 0861] ネイチャーの新しい論説
http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-March/000849.html
----------------------------------------------------------------------

 ネイチャー3月17日号が遺骨鑑定問題に関して再度論説(社説)
を発表しました。、そのタイトルは Politics versus reality(政治対真実)
 
 細田官房長官のネイチャーへのクレイムに憤慨したためでしょう、
今回は日本政府の非科学的対応を直接厳しく批判しています。
 私は専門家でないのでよくわかりませんが、政府が北朝鮮への
反論文書のなかで「遺骨を洗浄した水からはDNAが検出されなか
ったので、遺骨から検出したDNAは遺骨固有のものだ」と言っていた
ことも科学的根拠を欠くものであったようですね。

 政府は今回の論説に反論できるでしょうか。首藤議員なり他の議員
に再度、国会で政府を追及してもらいたいものです。
 またマスコミはこれでもなお沈黙を決め込むつもりでしょうか。
 以下に論説の全訳を掲載します。(原文は下記にありますが有料です)
http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v434/n7031/index.html

 重複お許しください。   野田

・・・・・・・・・・・・・・・・・以下 翻訳

政治対真実

 日本の政治家たちは、それがどれだけ不愉快であろうとも、
科学的不確定性を直視しなければならない。彼らは北朝鮮との
論争において外交的手段を用いるべきであり、科学的整合性
を犠牲にすべきではない。

 日本の内閣総理大臣 小泉純一郎氏は、日本のある大衆
週刊誌によれば、先月のネイチャーのニュース記事のため
フラストレーションで頭を抱え込んでいる。

 1977年に13歳で北朝鮮に拉致された横田めぐみさんが
まだ生きているかどうかが争われている。2002年、北朝鮮
は13人の日本人を拉致したこと、彼らの幾人かを海岸から連れ
さったことを認めた。それ以後、北朝鮮の拉致被害者に関する
情報提供の不熱心さが両国間の紛糾を招いている。(ネイチャー
433号、445号参照)

 横田さんを含む拉致被害者の殆どが死んだという主張は信じ
難い。北朝鮮は昨年日本に送った遺骨は彼女のものだと言って
いる。しかし日本の鑑定はDNAは誰か別人のものだということ
を示し、北朝鮮軍は彼女をまだスパイ育成のため使っている
のではないかという疑惑を生んでいる。

 日本が北朝鮮のすべての声明を疑うことは正しい。
しかしDNA鑑定の解釈は科学の政治干渉からの自由の限界
を踏み外している。鑑定を行った科学者へのネイチャーのインタ
ビューは、遺骨が汚染されていて、当該DNA鑑定を結論の
出せないものにしている可能性を提起したものである。

 この提言は北朝鮮が欺瞞の権化と映って欲しい日本の政治家
にとって快いものではなかった。

 日本政府はこの記事に対し鋭敏に反応した。伝えられるところ
によると、内閣官房長官細田博之氏は記者会見において、ネイ
チャーの記事は“不適当な表現”を含んでおり、科学者の発言を
誤って書いていると主張した。細田氏は記事のなかの意見は
“一般論”であって、当該ケースについて述べたものではないと
語り、このことは科学者にも確認していると付け加えた。
一方、その科学者自身は、見るところ、もはやインタビューにも
応じられない状況にある。

 遺骨は汚染されていたかもしれないということは避けようの
ない事実である。この悲惨な出来事中に、骨がどんな経路を
辿ったかを誰が知り得ようか。北朝鮮によれば、遺体は発掘前、
2年間埋められ、1200℃で火葬され、その後、小サンプルが
日本に送られる以前、女性の夫の家に保管されていた。北朝鮮
がうそをついている可能性は大いにありうる。しかし日本が期待
するDNA鑑定がこの問題を解決することはない。

 問題は科学にあるのではなく、政府が科学の問題に干渉している
ことにある。科学は、実験、およびそこから生じるすべての不確定
性が精査に開放されるべきだという前提の上に成り立つ。鑑定は
もっと大きなチームでなされるべきだという他の日本人科学者の
主張は説得力をもつ。日本はなぜ一科学者だけに鑑定を委ねたのか。
そして彼はもはや鑑定について語る自由さえ失っているかに見える。

 日本の政策は外交的失敗―より正確には、日米安保体制の失敗
―の穴埋めのための必死の努力のように見える。安保体制は日本
の安全及び極東における国際平和と安全の維持と引き換えに不人気
な基地を日本におく権利を合州国に与えるものである。

 日本はUSの支持のもと、北朝鮮に対して別のレバーをひくこと
ができたであろうか。答えは明確ではない。しかし別の問い方も
できる。もしもある全体主義国家がスパイに言葉を教えるために
25年間、US市民を海岸から拉致し、そして送り返してきたと
したら、ジョージ・ブッシュあるいは他のUS大統領はDNA鑑定結果
で言い争いつつ、遺灰の袋をもってそこにたたずんでいるであろうか。

 日本の政治的、外交的失敗のつけの一部が、科学者にまわ
されようとしている。実験から結論を導き、実験に関する合理的な
疑問を呈することを仕事とする科学者に。しかし、北朝鮮と日本
の間の紛糾はDNA鑑定では解決されないであろう。同様に、
DNA鑑定結果の解釈は両国どちらの政府によっても決着がつか
ないであろう。北朝鮮と交渉することは確かに面白くない、しかし
そのことは科学と政治の分離のルールを破ることを正当化する
ものではない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 翻訳 野田隆三郎

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§         Re:Nature記事に対する外務省のコメント 木田貴常 2005/3/22 10:01:19 (0)

Nature 434, 257 (17 March 2005)

Politics versus reality

Japan's politicians have to face scientific uncertainty, no matter how uncomfortable it may be. They should mobilize diplomatic means, and not sacrifice scientific integrity, in their fight with North Korea.

The cabinet of Japan's prime minister, Junichiro Koizumi, is "burying its head in its hands" in frustration, in the words of one popular Japanese weekly, over a news article that appeared in Nature last month.

At issue is whether Megumi Yokota, a Japanese woman kidnapped by North Korea in 1977 at the age of 13, is still alive. In 2002, North Korea admitted to abducting 13 Japanese nationals, several of them taken from beaches while on dates. Since then, North Korea's half-hearted efforts to account for the victims have caused turmoil in the relationship between the two countries (see Nature 433, 445; 2005).

Claims that most of the victims, including Yokota, have died are unconvincing. North Korea says the remains that it passed to Japan last year are hers. But Japan's tests show that the DNA is someone else's — raising the spectre that the North Korean military is still using her to train spies.

Japan is right to doubt North Korea's every statement. But its interpretation of the DNA tests has crossed the boundary of science's freedom from political interference. Nature's interview with the scientist who carried out the tests raised the possibility that the remains were merely contaminated, making the DNA tests inconclusive. This suggestion is uncomfortable for a Japanese government that wants to have North Korea seen as unambiguously fraudulent.

The government has responded sharply to the article. At a press conference, Japan's chief cabinet secretary, Hiroyuki Hosoda, reportedly alleged that Nature's article contained "inadequate expressions" and that it misrepresented the scientist's statements. The opinions expressed in the article were "general knowledge" but were not meant to apply to the case at hand, Hosoda said, adding that his statements were checked with the scientist. The scientist himself, meanwhile, is apparently no longer available for interviews.

The inescapable fact is that the bones may have been contaminated. Who knows what they have been through during this hellish episode? According to North Korea, the body was buried for two years before being dug up and cremated at 1,200 °C, and then kept at the woman's husband's home, before a small sample was passed to Japan. It is also entirely possible that North Korea is lying. But the DNA tests that Japan is counting on won't resolve the issue.

The problem is not in the science but in the fact that the government is meddling in scientific matters at all. Science runs on the premise that experiments, and all the uncertainty involved in them, should be open for scrutiny. Arguments made by other Japanese scientists that the tests should have been carried out by a larger team are convincing. Why did Japan entrust them to one scientist working alone — one who no longer seems to be free to talk about them?

Japan's policy seems a desperate effort to make up for what has been a diplomatic failure — or more precisely, a failure of the security alliance between Japan and the United States. The alliance gives the United States rights to place unpopular bases in Japan in exchange for its role in contributing "to the security of Japan and the maintenance of international peace and security in the Far East".

Could Japan, with US backing, have pulled other levers with North Korea? The answer is not clear, but the question can be put another way. If a totalitarian country had abducted US citizens from a beach and carried them back to teach language to potential spies for 25 years, would George Bush or any other US president be standing there with a bag of ashes haggling over DNA test results?

Part of the burden for Japan's political and diplomatic failure is being shifted to a scientist for doing his job — deriving conclusions from experiments and presenting reasonable doubts about them. But the friction between North Korea and Japan will not be decided by a DNA test. Likewise, the interpretation of DNA test results cannot be decided by the government of either country. Dealing with North Korea is no fun, but it doesn't justify breaking the rules of separation between science and politics.

 

-----U.大学「改革」の責任者は?「スポイチ編集長の主張」-------- 

擦り寄る方が処世の上ではよいとは言うけどさ

 

スポイチ編集長日誌 (2005.3.21

http://www3.diary.ne.jp/user/327670/

 

 

2005/03/21 (月) 擦り寄る方が処世の上ではよいとは言うけどさ1

福島正則とか加藤清正とか浅野幸長とか池田輝政らは豊臣恩顧の”有力”武将でありながら、関ヶ原では豊臣家を守るという理屈で家康についた人たちだ。だが、皆後に徳川から疎まれて終わりをよくしていない。
しょせん外様は外様であるということか。

八景キャンパスは「カネがなくってねー」の一言でなかば放置されてきたとはいえ、ここ20年程だけ見ても、医学部キャンパスが新設されたり、文理学部が国際文化と理学部に分れたり、大学院の設置とか学術情報センター計画とか環境ホルモン研究施設などを造ったのは、新しい時代へ対応しようとする市大独自の動きだったはずである。
ところが、今言われている”改革”では、”地域への貢献”とか”市が有する意義のある大学に生まれ変わる”だとかスローガンは盛んだけど、この人たちは具体的に何をどこまでやれば”市に貢献”したとか”意義”があると認めるのだろうか。また、そのためになぜ”教員任期制”というものが必要で、それならばなぜ職員は任期制にしないのか。
そもそも
”普通にやってれば再任される”んなら任期制にこだわる必要ないんじゃね?という当然の疑問に対するまともな説明を聞いたことがない。というよりポスト乗っ取りが目的だから説明できないし、”貢献”とか”意義”とか言ってもほんとは何も考えてないんだろ。
しかも彼らは、最初に書いたような市大内部での既存の「改革への動き」に対するまともな評価というものをやっていない。なにかと”総花的”とか批判する前に、そういう歴史的経緯について知っているのだろうか。
過去や現状への分析が適当なまま”少子化・全入時代の到来”みたいな未来予測図だけでもって”どう変えるか”というプランのこねくりにばっかり御執心なもんだから”改革”の方向性がメチャクチャなのも当然だ。
本来ならば、
少子化でまず慌てるのは、毎年定員割れ常連の底辺校が先であって、そういうところが率先して”偏差値にとらわれない””オンリーワン”だの”地域貢献”だのと言い出すところをなぜか市大が蛮勇を奮ってやってしまっている。げえ。本当であれば、”あり方懇”はそういう論議の場として機能すべきだった。

2005/03/21 (月) 擦り寄る方が処世の上ではよいとは言うけどさ2

ところがご存知の通り、実際の”あり懇”では、ちょっと市大を肯定的に評価したり、まともな意見が出そうになると、すかさずチャチャを入れて議論を誘導していた人物がいましたね、約二名。あれでは患者のどこが悪いのか、よく調べもせず適当にメスをざくざく入れるヤブ医者のようなもんである。で、「失敗しちゃったー」となれば患者血だらけのまま放置で逃走。こういうことするやつらの特徴として、”現状復帰の可能性を徹底的に排除する”という性向を持っていることが挙げられる。つまり、「これ失敗じゃん」と誰かが気づいても、絶対に元の状態に復元できないように組織や機構を完全に破壊して回るということだ。学部事務室を二度と復活できないように、予算がないと言いながらちゃっかり事務棟を改修したりしたのはその典型。
これってPCに例えるなら保証がまだ残ってるのに「俺のじゃないし〜」とか言って変なフリーウェアとかどかどか入れた挙句に復元ポイント全部破棄して、ついでにリカバリCDも叩き割って逃げちゃうようなもんでしょ。こんなことやる奴は最低野郎、狂気の沙汰である。
だがそういう狂気の沙汰を、市大は今まさにやられている最中なんである。

 

 

 

 

--------

3月22日 当局(最高経営責任者名)から簡易書留で送付されてきた同意書に関する記事を書いた18日からダウン状態となった。本日、研究室に来て回復しているのを確認した。回復してくださった関係者に感謝したい。

今後もこうした事態がありうるので、もし本日誌に興味のある方はアクセスした時ダウン状態となっていれば、このHPの緊急避難用HP(アドレスは、http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~keizaisi/)にもアクセスしてみていただきたい。かならずしも、つねに(あるいはすべてのファイルは)更新できていないが、最新日誌だけでも緊急避難用の更新作業をつづけたい。

 

それはともあれ、「全国国公私立大学の事件情報」(22日付)に、香川大学の吉田さんの最新の「更新雑記」が紹介されていた。吉田さんの日誌にもアクセスして、「事件情報」に紹介されていない部分も含め読んで見た。以下にコピーして、鋭い分析を今後の参考にしたい。吉田さんの分析に一言だけつけ加えるとすれば、市行政当局(大学改革推進本部)による現学長解任(4月1日以降の新学長の行政当局による任命)は、大学の正規の手続を経て選出された任期途中の学長の解任として、行政による大学自治破壊の厳然たる証拠として、今後長く問題となることではなかろうか、ということである。国立大学法人化においてはこんなことはけっして行われなかった。(国立大学法人化でその後起こっている事態は、大学の意向調査・選挙結果が無視される、という事態である。法人化後の大学自治破壊、といってもいいかもしれない。学内の選挙・意向調査でトップを得たものが学長に選ばれないという構造!)

 

委任状を出した教員数に関しては、教員組合は正式な情報を公開していない。八景キャンパス(国際総合科学部)とそのほかのキャンパス(たとえば福浦の医学部キャンパス、舞岡の木原生物研究所キャンパス、鶴見の連携大学院など)の違いなども影響しているのか。だいぶ前に、すなわち差別的な恫喝文書が各教員に送りつけられるよりも相当前の時点で、「50%は越えたそうですよ」といううわさは聞いていた。最近は、別の組合員から「70%は超えたそうですよ」とも聞いた。各教員に差別的恫喝的な文書が書留で送りつけられた後、現在に至るまでの間にどの程度の教員が委任状を提出したのか、つまびらかにしない。

また、吉田さんの得ている情報のように、医学部などで「講座制」教授による下部の教員への「同意書」提示の圧力がかけれられているといううわさも耳にしている。それが事実なら、ひとりひとりがある程度「一国一城の主」である文科系の教員とちがって、医学部の場合(論文などいかに「共著」論文が多いか!研究や医療の共同性!)、たいへんな圧力が助手、講師、助教授などにかけられていることにもなろう。不当労働行為など、実際の個別事例に即して、おいおいに実態がわかってくれば、大問題にもなろう。

優れた医療、真実に即した可能なかぎり正確無比の医療を行うためには、単純な権威主義はだめであろう。しかるべき権利を助手や講師が持っていなくては、権力に服従する助手講師、ということになって、生き生きとした医療、正確な医療も行えないのではないか、と思われるからである。医学部には、「助手講師会」といった組織があると聞いている。各個人がみずから信じる真実・真理に基づいて行う自主的自律的判断の可能性とその判断の範囲内でのしかるべき責任をもちうるために、すなわち、最新の真実・真理に基づく生き生きとした医療を前進させるために、「助手講師会」が「任期制」のような「講座制」以上の不自由な制度に対して、毅然とした態度をとるように、がんばっていただきたい。(本来の姿から言えば、助手、講師、助教授なども八景キャンパスの教員のように教員組合に加入して、労使交渉の主体・主体集団の一員となることが求められるだろう)

 

なぜこんなことを書くか。患者取り違え事件が強烈な記憶としてあるからである。

患者取り違え事件のような事件は、じつは、権威主義が横行したことが重要な原因ではないか(あるいは、身分を左右する力、人事権を講座の「教授」が握っていることの結果ではないか、「講座」制度の問題が奥深い背景にあるのではないか?)。

一人一人の医師や看護師が自由に目の前の現実(患者の実態)をみて自由に発言できる雰囲気がつねにあれば、すなわち、一人一人の医療関係者が目の前の一人一人の患者と向き合って自律的自主的な判断の可能性と責任を持っていれば、あのような事件はおきなかったのではないか、と愚考している。

一人一人の医師・看護師が思考停止を余儀なくされるようなトップダウンの権威主義的精神風土では、「物言えば唇寒し」(何かあると責任だけは押し付けられる、黙るに限る、黙っていうことを聞いていれば次の職場、つぎの職階、次の任期も約束される)となってしまい、「上から言われたことだけ」に注意する人間類型が支配的になるのではないか、と。まさに、そのような思考停止(精神の自由の抑圧)を促進する制度が任期制ではないのか、と。(しかも、実際に医療事故などが起きるとその責任は直接の関係者に一番重く、そうした結果をもたらした制度や精神風土にはメスが入らない、ということではないか?)

再任拒否を恐れれば何も言わなくなる、いえなくなる、これがほとんどの人間であろう。

 

---香川大学・吉田誠氏HPより-----

更新雑記

 

---------

3月19日(2) 任期制に同意を求める本学法人予定者の文書(その差別的処遇に関する内容)は、東京都の就業規則に関する弁護団見解をみても、違法性のあるものと考えられる。以下に、コピーしておこう。

都立大の組合情報「手から手へ」http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/ikenn06.htm

 

 

 

 

就業規則案についての意見

 

 

 

 

 

 

 

2005 317

 

 

 

東京都立大学・短期大学教職員組合弁護団

 

 

 

 

弁護士 尾林 芳匡 
弁護士 松尾 文彦
弁護士 江森 民夫

 

 

 
  当局から示された就業規則案には多くの問題点がありますが、さしあたり3点について弁護団としての意見を述べます。

 1「旧制度教員給与規則」の問題点
  従来の給与は「職員の給与に関する条例」に定められる給料表にしたがって級及び号級を定めて支給され、「良好な成績」の場合には上位の級及び号給に昇給すると規定されてきました。
  「公立大学法人首都大学東京旧制度教員給与規則」は、従来定められていた「給与の額に基づき、旧制度教員給料表(別表一)の級及び号給を定め、支給する」(第3条1項)とした上で、この級及び号給は「旧制度教員として任用されている間、上位の級及び号給に変更しない」(同第2項)としています。

(1)規定上も運用実態に照らしても大きな不利益変更
  提案されている「旧制度教員給与規則」は、「上位の級及び号給に変更しない」と規定されていますので、従来は昇給の可能性があることが規定上明記されていたのと比較し、著しい不利益変更にあたることが、規定上も明白です。
  運用の実態としては、職員の90%を超える職員が毎年1回昇給する運用がなされてきました。この運用実態に照らすと、もし「上位の級及び号給に変更しない」こととなれば、給与総額は著しく減少しますので、実態としても大きな不利益変更であるといえます。

(2)合理性のない「旧制度教員給与規則」
  「上位の級及び号給に変更しない」との規定は、生計費が上昇しても、どれだけ良好な成績をあげても昇給しないとするものであり、給与規定としてまったく合理性のないものです。
  地方独立行政法人法59条により身分が地方独立行政法人に承継されるとしながら、給与規定をこのような不合理な規定に変更する必要性は、何ら説明がされていませんし、組合との誠実な協議も行われていません
  古くから、最高裁の判例も、就業規則を労働者に不利益に変更することは原則無効であり、例外的に、合理的な変更の場合にのみ有効になるとしてきました(秋北バス事件、最高裁大法廷昭和43年12月25日判決)。
  その後もこの例外がルーズに認められることのないように、厳格な解釈がされており、大曲市農協組合事件、最高裁第三小法廷昭和63年2月16日判決は、「特に、賃金・退職金などの労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずる」としています。
  このように、労働者の被る実質的な不利益と、それをあえてしなければならないほどの、企業の高度の必要性との比較衡量から、就業規則変更の合理性・相当性の有無を判断することが、確立された判例理論となっています。最近の判例も、みちのく銀行事件、最高裁第一小法廷平成12年9月7日判決は、この判例理論を再確認しています。
  あらゆる裁判例に照らし、このような不利益変更は違法であると言えます。

(3)地方独立行政法人法にすら違反
  地方独立行政法人法は、問題の多い法律ですが、その法律でさえ給与について次の通り規定しています。
(職員の給与)
第57条 一般地方独立行政法人の職員の給与は、その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない。
  2 一般地方独立行政法人は、その職員の退職手当以外の給与及び退職手当の支給の基準をそれぞれ定め、これを設立団体の長に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
  3 前項の退職手当以外の給与及び退職手当の支給の基準は、当該一般地方独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない。

 職員の勤務成績が考慮されず、かつ、業務の実績も考慮しないと明記する以上、規定それ自体が地方独立行政法人法にすら違反すると言うほかありません。

 2 文書配布等
(1)文書掲示等の許可制
  就業規則案は、「任命権者の許可なく文書を他に示し、又はその内容を告げる等の行為をしてはならない」としています(36条4項)。

(2)施設管理権をもってしても教職員の人権を侵せない
  法人に施設管理権がありますが、職場の円滑な運営上必要かつ合理的なものであることを要し、事業場の風紀秩序を乱すおそれがないと認められる行為については、施設管理権を根拠として禁圧することは許されません。また、施設管理権といえどもそこではたらく教職員の人格や基本的人権に対する行き過ぎた支配や拘束となるものは許されません。裁判例もこのような立場から企業その他の施設の施設管理権に一定の合理的な限定を付する解釈を確立しています。
  最高裁目黒電報電話局事件判決(昭和52年12月23日民集31巻7号974頁)は職場内のビラ配布等について「実質的に事業場内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情」があれば懲戒処分の対象とはならない旨を判示し、これを受けて昼休み時間中に工場食堂内でビラを平穏に配布した行為について「実質的に事業場内の秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情」があったとして就業規則違反とならない旨の判断をしています(明治乳業事件・最高裁昭和58年11月1日判時1100号151頁)。
  さらに、事業場において労使関係上の労働者の権利について組合がその主張をするために組合活動としてなされるビラ配布については、組合活動としても保護されています。たとえば企業の正門と歩道の間のビラ配布について「作業秩序や職場秩序を乱されるおそれのない場所であった」ことを理由としてこの配布行為に対する懲戒処分を無効と判断し(住友化学工業事件・最高裁昭和54年12月14日判例時報956号114頁)、私立学校の職員室におけるビラ配布について配布方法が平穏で生徒があまり入室しない時間帯になされていることから職場規律を乱すおそれのない特別の事情があるとして就業規則の懲戒自由にあたらないと判断しています(倉田学園事件・最高裁平成6年12月20日民集48巻8号1496頁)。

 3 懲戒手続規定の不備
(1)懲戒規定
  就業規則案は一般的な懲戒規定をおいています(45条、46条)。使用者には労働契約上の具体的な根拠があれば、一般に懲戒権がありますが、として無効に懲戒事由は具体的でなければならず、かつ、懲戒権は懲戒事由に応じて相当な内容のものでなければならず、「客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合」には権利濫用なります(ダイハツ工業事件・最高裁昭和58年9月16日労働判例415号16頁等)。
  また、懲戒規定はそれが設けられる以前の事実に対して遡及的に適用されてはなりません。したがって、2005年4月1日に制定される規定を発動して2005年3月31日以前の事実について懲戒権を行使することは許されません。

(2)適正手続の保障が必要
  懲戒処分の発動については、適正手続の保障が必要です。職場に労働組合がある場合には、労働組合との事前協議が必要ですし、本人に弁明の機会を与えることも当然必要です。こうした当然の適正手続を経ていない懲戒処分は、懲戒権の行使として無効となります(長野油機事件・大阪地決平成6年11月30日・労働判例670号36頁等)。
  まして教員の場合は、従来教育公務員特例法が転任、降任、免職その他の懲戒について評議会の審査等の厳格な手続が保障されてきました。これは、学問の自由と大学の自治を保障する(憲法23条)ために、教員の学問研究や発言の自由を特に保障しようとしたものです。地方独立行政法人法も、設立団体は「公立大学法人が設置する大学における教育研究の 特性に常に配慮しなければならない」と規定し(地独法69条)、学問の自由と大学の自治を最大限保障すべきことを定めています。
  したがって、就業規則には教特法と同様の慎重な懲戒手続を規定し、教職員の人権と学問の自由・大学の自治を保障すべきであり、懲戒手続規定の欠落した就業規則案には著しい不備があるものと言えます。
                                                                以 上

 

 

 

 

 

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3月19日(1) 「全国国公私立大学の事件情報」に、任期制に関する当局文書とそれに対するHP管理人・片山氏のコメントが掲載された。任期制に同意を迫るための「恫喝」、「差別措置の例示」に片山氏は驚き、非現実性・違法性も示唆している。以下にコピーしておこう。

           片山氏の指摘するように、いくつもの「恫喝」的差別措置を明示しながら、たとえば海外留学制度などは、実際には何も制度を提示していない。留学制度に関する具体的提案は何もないままで、「創設する」という言葉だけがある。そうしておいて、それには任期制の教員だけを適用する、などとしていることになる。現在はサバティカル制度もない。作るという言葉の上だけでの「餌」で、任期制への同意という実質だけは取ってしまおうという、「飴と鞭」のやり方である。すでに組合員の相当多数の人が委任状を出している、という噂は耳にしている。いずれ教員組合からその情報は正式には示されるのであろう。

 

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20050319

横浜市立大学、新たな差別を生み出す任期(有期雇用)契約への同意書

学問の自由と大学の自治の危機問題
 ●横浜市 大学改革推進本部 最高経営責任者 松浦敬紀:(1)「任期制運用の基本的な考え方について」(315日付)、(2)同「任期の定めのある雇用契約への同意について」(同日付)、(3)当該個人の平成17年度年俸額推計表(省略) 05-3-18

 2つの目標・側面から大学の社会的意義を訴え,それを達成する上で任期制が必要である旨説明する文章としては,見事なほど官僚的であり,無内容に感じる。教員は事前に説明を受けたとはいえ,これを読んで新たな有期雇用契約に同意することには,大変な抵抗感をもつだろうと想像する。
 民間会社をアナロジーにとれば,雇用期間の定めのない正社員全員を一旦契約社員に変え,そのなかで一定期間内に業績をあげた者を元の正社員の身分に戻すといった取り扱いである。これを「リストラ」と言わずして,何というのだろうか。そもそも営利企業でさえあり得ないこのような極端な人事政策が,大学の世界であたかも活力を生み出す手段であるかのように主張されるのには驚く。

 2つ目の文書である「任期制運用の基本的な考え方について」は,有期雇用契約に対する個別同意の有無がもたらす差別待遇が主張されている。ここでは,個々人にとって「メリット」とも「デメリット」とも受け取れるような内容が見られる。例えば,任期付き雇用者には,「専門業務型裁量労働制を導入され」,おまけに医師には「1か月変形労働時間制」が無条件に導入される。明示的ではないが,個別同意に応じなかった者は,裁量労働制は適用されない?実際の運用において,労働時間管理を任期のありなしで別の取り扱いができるのか大変疑問である)。これらの制度は基本的に残業規制の緩和を目的とする時間管理であり,有期雇用契約に同意する者にとっては,何らかの歯止めがない限り踏んだり蹴ったりの措置であろう(因みに,「専門業務型裁量労働制」を導入するためには,労働者の過半数を代表する者の書面協定が必要である。横浜市大ではそのような労使協定はあるのだろうか)。
 他方,任期契約に同意するか否かで,賃金増の機会拡大,管理職就任の可能性,海外出張や長期研修などの際の優先度,教育研究費の付加給付など,明確な待遇条件上の差別が主張されている。これらは任期契約同意への労働条件上の誘導というよりも,拒否者に対する恫喝に近い。(ホームページ管理人)

平成17315

教員各位
横浜市大学改革推進本部
最高経営責任者 松浦敬紀
任期の定めのある雇用契約への同意について

 新たな大学においては、市が有する意義ある大学として、市民が誇りうる、市民に貢献する大学となること、さらには、発展する国際都市・横浜とともに歩み、教育に重点を置き、幅広い教養と高い専門能力の育成を目指す実践的な国際教養大学となることを目標としております。
 この2つの目標を実現するため、「教育重視・学生中心・地域貢献」という基本方針のもと、大学を自主的・自立的に運営し、教育・診療・研究の活性化及びその水準の向上を図ることを目指しております。
 横浜市立大学の公立大学法人化は、単なる公立大学法人への衣替えではなく、併せて教育システムの大胆な改革を一体的に推進するなど、新しいしくみに対応する制度設計も同時に行い、教育面及ぴ運営面を一体として改革を推進し、大学自らが、時代の要請に、より迅速に応えることができる、活力ある大学にして行こうとしているものであります。
 新しい法人では、こうした新たな大学の目標を達成すぺく、総合的な教員評価制度のもと、年俸制や任期制という3つの制度を一体とする新たな人事制度の構築を進めております。
 この新たな人事制度の大きな柱の一つが任期制であると考えております。
 さて、公立大学法人横浜市立大学における勤務条件につきましては、これまで、就業規則()等をお示しするとともに、1月及び2月に開催したキャンパス別の説明会でお話ししてきたところですが、新たに導入する人事制度のうち、任期の定めのある雇用契約を締結するためには、教員の皆さん一人ひとりの同意が必要とされています。
 つきましては、別紙「任期制運用の基本的な考え方について」及び「平成17年度年俸推計額」をご覧の上、これまで私が、皆さんにご説明申し上げてきたことなども考慮していただき、別紙の同意書に自署または押印の上、次の期限までに、大学改革推進本部事務局(大学改革推進課)へ提出してください。

1 提出期限
平成17322()

2 提出先
大学改革推進本部事務局(大学改革推進課)
※病院に所属されている方については、病院管理部を経由して提出していただいても結構です。
(
代表問合先)
電話787-2412担当中山・倉本

3 その他
(1)
今回は、あくまでも任期制の適用に同意をいただけるかどうかを確認するものです。
(2)
したがって、期限までに回答がない場合は、任期の定めのある雇用契約に同意していただけなかったものとみなして扱います。
(3)
なお、移行初年度の扱いとして当面の間、年度途中でも任期の定めのある雇用契約への変更を受けることとします。この場合の任期の始期は、平成!74月とします。

平成17315

教員各位
横浜市大学改革推進本部
最高経営責任者 松浦敬紀
任期制運用の基本的な考え方について

 新しい法人では、教員評価制度のもと、年俸制、任期制という3つの制度を一体とする新たな人事制度の構築を進めております。
 説明会においてもお話したとおり、個々の教員ばかりではなく、大学全体として、教育・診療・研究の活性化及びその水準の向上という目標の達成に向けた、この新たな人事制度の大きな柱の一つが任期制となっております。
 法人との間において、一定の期問を定めて雇用契約を締結する、いわゆる「任期制」につきましては、優れた人材を確保するとともに、多様な知識や経験を有する教員等の交流の活性化を図るなど、大学全体としての教育・診療・研究を進展させることを期待しております。
 このため、教員の皆さん一人ひとりにつきましては、任期という一定の期間に目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただけるよう期待しております。
 私としても、皆さんが任期の期間において、目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただけるように、支援等を行っていきたいと考えております。そのことを十分に考慮していただいて、任期の定めのある雇用契約への同意をいただきたいと考えております。

<任期制運用の基本的な考え方>
 任期制は、教員評価制度をはじめ、年俸制と一体として運用することにより、教員一人ひとりの教育・診療・研究活動の水準を上げ、専門分野・キャリア開発の契機としていただくとともに、組織の様々な活動への参画、目標達成への努力等によって、大学における教育・診療・研究の地域社会への貢献等の水準の向上や質の向上に寄与できるものと期待しております。
 任期制は、その運用にあたり、一定の任期の中で、目標の達成をはじめ成果や業績をあげていただき、その評価を再任の手続きに反映していく仕組みでありますが、これまでも説明してきたとおり、「普通にやっていれば再任される」制度として運用していく考えであります。
 任期制は、任期の期間の雇用を約束するもので、教員のリストラを第一義の目的としたものではありません。

 新しい大学においては、勤務時間管理等、新たな人事制度のもと、適正な制度運用を図ってまいりますが、任期制に同意していただいた方に対しては、大学の目標・計画に沿づて一体となって活動いただく点や任期期間中に一定の成果・業績をあげることが求められることから、制度運用の中で、様々な形で支援してまいります。

例えば、

○任期付雇用の方は、教員自身の行動計画に併せた時間管理を行いやすくするため、労基法第38条の31項第1号に該当する業務を行う方を対象に専門業務型裁量労働制を導入します。なお,任期の有無に関わらず附属病院及び附属市民総合医療センターにおいて,医師として職務を行う方については,1か月変形労働時間制を導入します。

○任期付雇用の方は、任期の更新時に年俸額の給料相当分についても見直しが行われるので、給料相当分の増額の機会がひろがることが考えられます。

○裁量労働制や変形労働時間制の中で、時間管理が行いやすくなった結果として、兼業の機会もひろがることが考えられます。

○任期付雇用の方は、大学の管理職に就任し学内貢献をしていただく機会がひろがることが考えられます。

○任期付雇用の方は、いろいろな面で評価の機会がひろがりますので、自ずと評価結果に反映され,テニュア教授への就任も含めた昇任等の機会がひろがることが考えられます。
なお、昇任審査は本人の意向を確認の上、行いますが、現職が期間の定めのある契約か期間の定めのない契約かどうかに関わらず、昇任となった場合については、新たな職位において、新たな職位の任期の期間に基づく新たな労働契約を締結することになります。

○任期付雇用の方は、海外出張や長期研修などの際にも、優先度を上げて承認等をしていくことが考えられます。

○基本的な教育研究費の支給に差は設けませんが、上積みとしての付加給付の交付に当たっては、任期付雇用の方には、優先度を上げて交付していくことが考えられます。

 新しい組織に生まれ変わる横浜市立大学が、横浜市にとって必要な存在意義を有し、市民に理解され、横浜市とともに発展していくために、教員の皆さんも責任感と危機感を持ち、共通の目標に向けて教育・診療・研究に取り組んでいただきたいと思います。
 新しい法人では、同じ船に乗る者として、新しい人事制度の定着を図り、法人化後の基礎、土台をしっかりと構築し、予想される大学教育界の激しい変化を、ともに乗り切っていきたいと考えております。ご理解、ご協力を賜りたいと思います。

 

Posted by 管理人 : 掲載日時 20050319 00:10 | コメント (0) | トラックバック (0)
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3月18日(3) 下記(本日日誌(2)参照)の疑問に答えるかのように教員組合の週報が届いた。ありがたい。精神的に楽になる。以下にコピーしておきたい。教員組合の力の結集を願い、またそれを信頼し、交渉力を強めてもらうため、私は委任状を教員組合委員長・中西氏宛に提出した。

 

----横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.3.18------

もくじ
待ってください! 任期制に同意する必要はありません。
任期制についての素朴な疑問 QA(シリーズ第1弾)

待ってください!
 任期制に同意する必要はありません。

 15日、当局(横浜市大学改革推進本部)は、任期の定めのある雇用契約への
同意を取りつけるために、同意書用紙を、松浦最高経営責任者名による説明文
書など

----------------------------------------------------------------------------
[1]
を同封して、各教員に配布しました
----------------------------------------------------------------------------
[2]


 任期制導入を含む労働条件の変更については、当組合との交渉が始まったば
りであり、いまだじゅうぶんな交渉を経ないまま、当局が同意書用紙配布に
よって任期制導入の手続きに入ったことは、きわめて不当であり、誠実交渉を
行なっていないと言わざるをえません。当局に対してここに抗議します。
 また、このような文書が来たからといって、任期制に同意する必要はありま
せん。署名捺印するまえに、この新聞を読んで考えてみてください。
 [1] 横浜市大学改革推進本部最高経営責任者松浦敬紀「任期制運用の基本的
   な考え方について」(315日付)、同「任期の定めのある雇用契約へ
   の同意について」(同日付)、当該個人の平成17年度年俸額推計表。
   このような文書の配布に法的問題がないか検討中です。
 [2] 八景キャンパスでは各教員自宅まで簡易書留で郵送されました。福浦の
 医学部では、所属の教授を介して配布が行なわれ、看護短大では各教員の研
 究室に届けられました。医学部での配布方法についても、今後問題になるで
 しょう。

 
任期制に同意しなくてもよい

 あらためて確認しますが、任期制は本人の自由な判断にもとづく同意があった
場合にのみ導入できます。そのさい労働条件を不利益変更してはならないですか
ら、任期制に同意しなくても、雇用は継続され、給与も支払われるのです(当局
2005年度については、今年度の給与水準と変わらないとしています)。

 
あまりにも多い不備 いま同意する必要はない

 当組合が、要求書においても述べているように、現在当局が提示している任期
制の内容は、さまざまな問題点が解決されておらず、あらかじめ明らかにされな
ければならない事項も明らかになっていません。任期制を受け入れる用意のある
人にとっても、現在の案のまま同意するのは危険すぎます。

 制度内容の重要な点が明らかになっていない以上、少なくともじゅうぶんに制度
の内容が明らかになるまで、同意については保留する人が多いことは当然です。当
局もこのことを認めざるをえず、同意書提出の一応の期限を22日に設定しているも
のの、年度途中にも受け付けるとしています。今は同意しないでおいて、ゆっくり
様子を見てもなんの問題もありません。

 
差別待遇・不利益変更は許されない

 当局は同封の文書において、任期付雇用を選んだ教員に、いくつかの点で有利な
条件のあるとしています。しかし、これは任期制に同意しない教員を差別し、不利
益を与えることであり、法制度上も許されることではありません。また、なかには
そもそも法制度上、実施不可能な事項もあります。このような差別は、組合に結集
して闘うことによって阻むことができます。(詳細は次頁)

とにかく出さないでおくほうが

 このように、どう考えても、いま同意する必要はありません。同意してしまうと不
利ですし、同意しなくても不利にはなりません。
 同意は待ってください
 ここに挙げたようなことをよく検討したうえで、それでも同意したほうがよいと判
断された場合には問題ありませんが、少しでも悩んでいる場合には、諾、否いずれの
返事もする必要はありません。とにかく今は、同意書は出さないでおくほうがよいで
しょう。

組合は委任状を受け付け中

 いまは回答を保留したいのに、有力な職員・教員が圧力をかけてくるということも
考えられます。そのような不安のあるかたは、是非、組合執行委員長に、任期制への合
意に関する委任状を提出してください(説明は本紙32日号にあります)。回答をしな
いですますことができます。

(裏面のQ&Aもごらんください。)


任期制についての素朴な疑問 Q&A
                    <シリーズ第1弾>


 「同意書」は22日までにあわてて回答する必要はありません。教員がまとまって
行動すれば不備な条件を改善・撤廃させる力になります。ぜひ教員組合に委任状を出しま
しょう。

 Q
1「同意書」が郵送されてきましたが、もし任期に同意しない場合、雇用はどうな
るのでしょうか?

 法人化によって従来の身分はそのままで(有期雇用ではなしに)公立大学法人横浜
市立大学に移行することが法律によって認められています。当局も、本人の同意のない場
合には従来のままでの身分移行であることは認めています。ですから、任期への同意のな
い場合には、身分は自動的に移行されます。
 他方、任期に同意しますと有期雇用に変更されます。その場合には、自動的に再任
されるわけでなく、雇用主である法人によって再任が拒否される可能性が生じてきます。
つぎのQ2で触れますが、学会でも学問的力量が認められ、社会的にも嘱望されて「普
通」以上に仕事をしていた京都大学の井上先生が、任期に「同意」していたとして再任を拒
否される事件が起きています。

Q
2「普通にやっていれば再任する」と言っていますが、本当に大丈夫ですか?

 「普通にやっていれば再任する」と当局はさかんに言っていますが、この言葉はあ
る事件を思い起こさせます。「普通に、まともに仕事していれば、定年まで何度でも再任
される」と説明を受けて任期に「同意」させられ、このことを根拠に任期満了と言うこと
で再任を拒否された事件です。現在、裁判が続けられています。京都大学再生医学研究所
の井上一知教授は、日本再生医療学会の初代会長を務め、再生医療の研究業績で国際的に
高い評価を受ける研究者です。
 一流の専門家7人によってつくられた外部評価委員会で再任の審査が行われ、委員
全員の一致で再任が認められたのです。しかし、研究所は再任を不当に拒否したのです。
この事件は、その経過においてきわめて不明瞭・不当な性格のものですが、しかし、任期
制という制度の危険性を世間に知らしめてあまりあるものです。

Q
3 井上事件の時には、専門家の外部評価委員会が一致して可としたのにそれでも
再任拒否となってしまいました。提案されている審査制度で大丈夫でしょうか?

 「普通にやっていれば再任する仕組み」にすると当局はずっと言って来ました。で
すから、教員のそれぞれが任期に同意するかどうかを判断しようするときに、この「普
通」ということをどのように判断するかは大変に重要な意味を持つ訳です。
 しかし、任期規程には審査の「事項」は列挙されていても審査基準は明示されてい
ません。
 そうなると誰が何を「普通」と判断するのか
 身分に関わる判断が明確な基準の規程にではなく、「教員人事委員会」の判断に委
ねられてしまうという恣意的なものになってしまうのです。しかも、この「教員人事委員
会」の構成などについても任期規程にはまったく触れられていません。ですから、任期規
程においては本質的に重要な機能を担うべきこの委員会はまったく恣意的に構成され、そ
のうえ「普通」がさらに恣意的に判断される危険性をもっているのです。
 しかも、当局は「任期の再任審査について」という説明文書では「5段階の相対評
」を行うと言っています。となりますと、相対評価ですから、「普通」をクリアーでき
ない教員の存在が必ず想定されることになります。つまり、再任不可の教員層が一定数常
に想定されてしまうことになるのです。これは、当局の主張との整合性という点でも、き
わめて不合理な制度設計といわざるを得ません。

   シリーズ第2弾では、<再任不可の時、異議申し立てはどうなるのか?><同
意しないと不利になることはないのか?><任期途中での転職はできるのか?><任期付き
の場合、育児や介護休業はちゃんととれるのか?><任期制で昇任はどうなるのか?>・
・・
等々の疑問を考えてみます。
   任期問題、その他の雇用条件に関して具体的な疑問を沢山お持ちと思います。
どのようなことでもぜひ遠慮なく教員組合までお寄せください。

========================================================

発行 横浜市立大学教員組合執行委員会

236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号

Tel 045-787-2320  Fax 045-787-2320

mail to : kumiai@yokohama-cu.ac.jp

教員組合ホームページ http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm

=========================================================

 

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3月18日(2) 昨日、「教員各位」への任期制への同意を求める書留郵便(最高経営責任者名の文書とともに)が届いた(一昨日、配達のとき家族が不在で再配達となったので昨夜受取ったが、かなり多くの人は一昨日のうちに受取った可能性がある)。

 

この間、教員組合が提起した諸問題にどのように対応しようとしているのか、それがわかるような文書を期待したが、それはむなしかった

教員組合との交渉を誠実に続けて、若い人々も安心して(精神的自由を保障されて)研究教育に励めるような「限定的な」提案がなされることを期待したい。

 

今度初めて目にとまったのは、「任期制に同意しないと管理職につけない」という部分であった。これは、初めて明言された差別措置(任期制教員と非任期制教員との間の差別)ではないか?

任期制とはそのように管理職の任命にかかるものなのか?

管理職に任命したもの(その予定者)だけは、任期制を有無を言わさず飲み込ませようとするものか?

管理職がどの範囲まで含まれるのか知らないが、「管理職」予定者の全員から「任期制」への同意を取り付けているのか?

「管理職予定者」はそのことを覚悟して、「管理職予定者」になったのか?一種のだまし討ち、になっていないか? 

任期制は、研究教育の豊かな発展のためのものではないのか?

研究教育に励んだものが、客観的で公平・公正で透明な審査基準を踏まえて、しかるべき栄誉を与えられるような制度にこそすべきではないのか? 管理システム強化のための任期制という行政当局の姿勢がここに現れているのではないか? このような提案をする「管理職」は、自ら任期制になっているのか?(64歳とか65歳の人ならば、何の不利益もない、いや任期をつけてもらえば通常の定年を延長できることになろうが)

 

今回の文書(同意を迫る説明根拠)について、教員組合執行部はどのように検討されたのだろう。

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3月18日(1) 「首大」の就業規則の恐るべき内容が問題になっている。これが大学か、大学における学問や思想・言論の自由はどうなる、大学人の批判精神、これまでの研究を乗り越えようとする精神的自由(研究教育の自由を阻害する諸条件に対する自由な批判的精神、真理探究の自由を保障する憲法の精神)はどうなるのか、と思われる諸条項である。その点を指摘する岡本氏のコメントを以下にコピーしておきたい。

 

--都立の危機 --- やさしいFAQ-------

 

2005年3月17日:都立大学・短期大学教職員組合は,「手から手へ」(2335号,3/15)で, 3月11日夜に行われた管理本部との専門委員会交渉で示された新法人の就業規則案,給与規則案等に対してのコメントを発表。その骨子は:

1. 教員の特性をふまえない規則構成

2. 重大な不利益変更をあからさまに規定した給与規則

3. 言論・表現に不当な制限を加える服務規律(第29〜39条)

COMMENT:特に目についたのは, 「公立大学法人首都大学東京就業規則」(案)における以下の条文。

 

第36条 4 教職員は、任命権者の許可なく文書を他に示し、又はその内容を告げる等の行為をしてはならない。

第38条 教職員が法人の敷地又は施設内(以下「学内」という。)において文書又は図画を配布しようとするときは、あらかじめ任命権者に届け出、任命権者の許可を得なければならない。

2 教職員は学内で次のいずれかに該当する文書又は図画を配布してはならない。

 (1) 法人の業務の正常な運営を妨げるおそれのあるもの

 (2) 第30条各号に掲げる行為に該当するおそれのあるもの

 (3) 他人の名誉を毀損し、又は誹謗中傷等に該当するおそれのあるもの

 (4) 公序良俗に反するおそれのあるもの

 (5) その他、法人の業務に支障をきたすおそれのあるもの

3 教職員は、学内で、文書又は図画を、業務の正常な遂行を妨げる方法や態様で配布してはならない。

4 教職員が学内で文書又は図画を掲示する場合には、任命権者の許可を得た上で、あらかじめ指定された場所に掲示しなければならない。この場合であっても、第2項に該当する文書又は図画を掲示してはならない。

5 教職員は任命権者の許可なく、学内で業務外の集会、演説、放送又はこれらに類する行為を行ってはならない。

「全体に教職員の学内外での言論・表現について、不当に制限する規定が多く盛り込まれている点が重大な問題」とする組合の見解は,まったくその通り。もう後,半月で新法人とその元で運営される「首都大学東京」だが,徹底的に任命権者(=理事長)の許可制にすることで言論と表現の自由を封じ込める 作戦を強行できる規則を導入しようとしている。

なんでこんな就業規則になったかって?それは,(1) 大学の特性を理解していない都庁の役人が作った(学則と矛盾しています!),(2) 徹底的に理事長(@東京都庁)/都知事が管理できるシステムが欲しかった,(3) 教員と職員の区別をしていない,ということだろう。 残された時間はほとんどないが,このような前例をみない「大学の就業規則」を成立させてはならない。またまた全国の(公立)大学にご迷惑をかけてしまいます。

 

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3月17日(3) 大学改革を改めて考えるとき、ひとつの参考になるものとして、特に教養を考えるとき参考になるものとして、オークショットの「大学というものの観念」が邦訳された(本学非常勤講師の遠藤紀明氏から頂戴した)ので、リンクを張り、紹介しておきたい。

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3月17日(2) 学長の名誉教授推薦の否決に関する詳しい情報が入ったので、以下にコピーしておこう。

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横浜市立大学の未来を考える

『カメリア通信』第33

  2005317(不定期刊メールマガジン)

Camellia News No. 33, by the Committee for Concerned YCU Scholars

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  3月評議会私的報告

理学部 一楽重雄

しばらく、評議会の報告をしませんでしたが、これまでの評議会には審議事項はなく、いつも報告事項だけで、その他の事項として教員説明会の報告などがありましたが、それらもほとんど議論になることもなく、ほとんど意味ある内容はありませんでした。

昨日が、おそらくは横浜市大最後の評議会です。「学則の廃止」という審議事項がある旨前回の評議会で通告されていましたので、この件で少し議論しようかと思っていたのですが、実際には別なことで議論となりました。

それは、小川学長の名誉教授の称号の授与という審議事項です。これは、今月の総合理学研究科委員会で、研究科長から推薦の提案があったけれど、多くの教員の意見によって科長が提案を取り下げたと聞いていましたので予測していないことでした。今回は、各学部からそれぞれ名誉教授の推薦が出ていました。まず、それらが学長の議事のもとで「異議なし」ですべて認められました。そして、学長が退席しS副学長が議長となって学長への称号授与の審議が始まりました。推薦書として、いわゆる平評議員以外の管理職評議員(多分全員)の名前を連ねたものが出され、それを書いたS研究科長が内容の説明をしました。そして、質疑に入ったので私は2点質問しました。「通常なら教授会の推薦があるが、それがないのはどうしてか?」、「 推薦に名前を連ねている人たちには、肩書きが入っているが、教授会の決定ではないだろうと思うので、個人として推薦しているのか?」という2点です。これに対して筆頭の提案者でもあるS副学長が「総合理学研究科委員会では、研究者、教育者としては名誉教授としてまったく問題ないが、学長としての問題について主として議論がされてしまったので、研究科長が提案を取り下げたと聞いている。小川先生は学長としても難しいときに大変な努力をされ、研究者としては研究科委員会としても認めているように立派な方である、それらを総合的に判断して欲しい。名誉教授の称号付与に関する規程○条○号により推薦する。」というようなことが言われました。(記憶があいまいで、これらの内容の一部はもう少しあとの議論だったかもしれません。)O副学長からは「小川先生は、学者としても学長としても大変立派な方であるので、医学部の先生と話し合って推薦した」と立場のはっきりした言明がありました。

私は「規程○条○号」の意味内容がよく分からなかったので、そこを質問したところ、この規定は学長のみに適用されるもので、教授会の推薦の有無に関係なく評議会で決められるという規程である旨の説明がありました。その後、多分このあたりのタイミングであったと思うのですが、T評議員から「そうであるとすれば、この推薦書には学長としての部分が最後の数行しか書かれていない。これが、学部教授会の決定をくつがえすに足るものとは思えない」といった趣旨の発言がありました。S副学長からは、「研究者・教育者としては研究科委員会も認めている、学長としても立派であった」というようなことが繰り返され、学長としての立派さの内容に渡ってまで説明されました。私は、「そこまで議論するの?」と不規則発言をしたりしましたが、その後、学長としてであれば問題があるという趣旨を少し述べたように思います。しかし、さすがに、私自身も評議会の場で学長としての行動が許されないものであったということを侃々諤々に議論しようとは思っていなかったので「4月以降に名誉教授にすることはできないのですか」と質問しました。これは、結局は「学則などがまだ確定していないので、どうなるか分からない、したがって、今日やりたい」ということでした。このとき、評議会のメンバーではない事務局員から「なぜ今日できないのか、むしろ、先送りするというならその必要性をまず言うべきだ」という発言がありました。「部長から先送りする理由について質問があったので言いますが、小川学長は、ある時期から教員の代表として行動していないと一般教員は思っている、そのようなことを考えると、これには賛成できない」と私が言いました。これに対して、S副学長から「学長に対して失礼だ」などと発言があり、私は評議会の議論として発言しているのであり、そのような発言こそむしろ私に失礼だと反発したりしましたが、それはそれほど意味のあることではなかったでしょう。

このほか、授与に消極的な意見や質問が2,3あった後、O副学長から「私は反対する理由がわからない、先に進めてください」という発言があり、T評議員から「投票を提案します」ということで投票に移ることになった。

議長は、まず「挙手で採決したい」と言ったのでしたが「私は投票を提案した」とか「教授会では無記名投票だ」という発言(あるいは不規則発言)によって投票となりました。そして、投票用紙が配られましたが用紙は白紙ではなく、そこには小川学長の名誉教授称号授与投票用紙とかなんとかきちんと印刷されているものでした。大きな投票箱も用意されていました。投票に先立って、議長から「退席ということもあるかと思うが、退席される方は退席してください」という発言が何回かありましたが、誰も退席せず22名での投票となりました。そして、規定によって22名の3/4の賛成によって可決であること、すなわち17名の賛成が必要なことが議長からこの時点で宣言されました。

開票となったとき開票箱の鍵を用意していなかったことが判明し、事務局は非常に恐縮し、そこでしばしの時間が必要となりました。ご愛嬌でした。この間を利用して、O学生生活協議会議長から禁煙のポスターの話がされました。

開票の結果は、賛成15票、反対5票、白票2票という結果でした。議長は否決されたことを宣言したのですが「白票は、3/4の分母にいれないのではないか」とM学部長とメンバーではない事務局員から発言あり、「(分母に入れるのは)市会でしょ、ここではここで決めなければ」とか、かなり食い下がったのですが、議長はとりあわず、結局否決となりました。

私自身も否決されるとは思っていませんでしたが、3/4の壁は厚かったのでした。もともと、名誉教授の称号はほとんどの人が賛成する場合にしか授与しないということは十分理解できることで、妥当な結論となったと思います。教授会での推薦がないのに評議会で称号を授与するのは、外部から招いた学長の場合だけに限られてよいのだと思います。

 今回の最後の評議会は、少し波乱のあるものとなりました。このこと以外には、大きなことはありませんでした。学則の廃止は、本来なら教授会マターとは思いましたが、ここまで来て形式だけ踏むということですし、名誉教授の推薦の議題の後で少々疲れもしていたので、あえて議論を提起することはしませんでした。

 前後しますが、報告事項の報告が終わった最後に、私は「大学改革アンケートの情報開示請求、一部開示の決定、意義申し立て、全面開示ということがあったと思うが、報告して欲しい」と発言しました。これに対しては、学長も新聞で見て知っているとのことでした。予期していなかったようで事務局は誰が答弁するか少し顔を見合わせていましたが、総務部長が「それでは私が報告します」ということで、ごく簡単に流れを話しました。U課長も少し補足しましたが、事実経過のみでその持つ意味などについては何も言いませんでした。私は少しその点を議論したい気持ちもあったのですが、自分でしたことでもありますし、他の方からの発言もなかったのでそれ以上は何も言いませんでした。事務局は、この問題を重要なことだとは捉えていないように感じられました。今に始まったことではありませんが、民主主義の観点がやはり弱いのだと思います。

 

この一年間は、私にとっては初めての評議員、そして大学にとっては最後の評議会というめぐり合わせになりました。最初は意気込み、緊張したものでしたが、残念なことに意味のあることがほとんど議論できませんでした。

今回のことでも「ことをあらだてずに」、「まあ、名誉教授にはしてあげたら」、「名前を貸してくれと言われれば、ちょっと断れないな」というようなことで、多くの管理職は名前を連ねたのではないかと思います。これも人情としてわかります。

しかし、私は公の議論を「まあまあ」と抑えたり、派閥的な連絡網でいつのまにか合意を得たりして、会議の中で実質的な議論をしないことは大学にはふさわしくないことだと思っています。

4月以降は、一体どうなるのでしょう。大学の自治を基本的に否定した体制が進んでいるようです。私自身は「新しい」大学には授業以外のことは何も関係していないので、様子がまったくわかりません。しかし、人間の社会である以上、どんな枠組みであっても、民主的な運営ということを問題にできるのではないでしょうか。「新しい」大学に残る以上、少しでも民主的な運営がなされるように努力を続けたいと思っています。

受験生の半減という恐ろしい事態に、誰が責任を取るのでしょうか。誰もとりそうにありません。今回の改革は、誰が責任を持って行ったのか、実際にリーダーシップを取ったのは誰であったのか、それがはっきりしません。こんな状態を許してしまった小川学長が名誉教授の称号を授与されなかったのも、当然と言えば当然だったのだと思います。(以上)

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編集発行人: 矢吹晋(元教員)   連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp

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3月17日(1) 昨日は臨時教授会があった。学生処分問題が緊急議題だった。現行学則に基づけば、教授会できちんと審議し、その結果を大学の最高意思決定機関である評議会でさらに審議し、処分を決定するわけで、そうした学則に基づく正規の手続きをとったわけである。当然のことである。学校教育法による教授会の重要審議事項(学則規程)を遵守したに過ぎない。

しかし、来年度(4月以降)どうなるかは、これまでの「改革」のすすめ方からして、わからない。公明な教授会での議論ではなく、事務局の意向が入るようなシステムで(事務局は最高経営責任者をはじめ行政から送り込まれるわけだから)処分問題なども議論されることになるのではなかろうか。それで「学問の自由」や「大学の自治」が蝕まれていくのではないか。

その危惧はさておき、匿名情報(したがって非公式情報)によれば、昨日の評議会では部局長連名とかで学長の名誉教授推薦が行われ(それが学則規程にある正規の手続きかどうかは確認していない)、審議され、否決されたということである。普通は、採決など行わないで、特に異論が出ないで暗黙のうちに全員一致の形をとって名誉教授推薦が承認される(と記憶する)。

すでに入っていた情報によれば、本来、名誉教授推薦の基礎単位となるべき総合理学研究科で、「否決されたら困るので」という理由で、科長からは、学長の名誉教授推薦が提案されなかったということである。

そこで部局長たち(誰なのかは情報がない)は、直接評議会に部局長連名とかで提案した模様である(基礎単位で提案できないことを評議会で部局長が行う、ということ自体、大学の全体の意思決定機構の問題性が示されているように感じられる、基礎単位の意向など無視できるトップダウンのシステムではそれが横行することになる)。しかし、名誉教授規程(出席評議員の4分の3の賛成)による必要な賛成票数を得られなかったという。賛否を取ったというから正確な票数もあきらかになるだろう(どの程度の賛成があったのか、どの程度の反対があったのかは学長の名誉にとっても大学の名誉にとっても重要である)。本当かどうか、正確な詳しいことは、いずれ評議会議事録で判明するであろう。

したがって、議事録に基づく正確な事実確認ができるまで、以上のことはあくまで非公式情報、噂、ということである。事実でなければ、以上に書いたことは取り消すことになる。しかし、もしかりに噂だとして、そうした噂が出ること自体、「火のないところに煙は出ない」、現学長に対する不信の念が蔓延している、という推測がなりたつのではないか。今回の「改革」における学長の責任が大学内部から厳しく問われている、ということではないか。

しかし、この名誉教授規程に関しても、来年度以降はどうなるだろうか。人事委員会がすべてにぎることになるのだろうか?少なくとも言えることは、部局長(行政機関=大学改革推進本部による任命)の提案で、部局長等の少人数の秘密会議で決定されることになる危険性がある。そのような危惧を持つ。

一般社会では(本日の朝日新聞では大阪市などでも)、「役人の天下り」と利権との関係が問題となっている。公立大学法人・横浜市立大学が「役人の天下り」先となることは、先日の「市大スポイチ」とかいうサイトの主張するように、十分予想される。

「大学の自治」、「学問の自由」はまさにあらゆる方向からの嵐で、風前の灯どころではない、というところか。

 

関連して、「全国国公私立大学の事件情報」で、ハーバード大学の学長不信任の可決を知った。コピーしておこう。ここで、理事会が罷免権をもつため、大学内部の意思(不信任可決)には罷免という「効力」はないという。しかし、道義的な面で、大学のトップにたちうるのだろうか?トップダウンの問題性がここにも露呈している。

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ハーバード大教授会、学長の不信任案可決 差別発言で

CNN.co.jp3/16

マサチューセッツ州ケンブリッジ──米国の名門ハーバード大学の教授会は15日、女性差別発言をしたとされるローレンス・サマーズ学長の不信任案を、賛成218、反対185、棄権18の賛成多数で可決した。教授会に総長罷免の権限はなく、不信任案に効力はないが、教授陣が総長の指導力に疑問を投げ掛けた結果となった。

約370年の歴史を持つハーバード大学で、教授会が総長の不信任案を可決したのは、初めて。1969年に、当時の学生が行動を起こし、ネイサン・マーシュ・ピュージー総長の不信任を可決したことがある。

不信任議案を提出したJ・ローランド・マトリー教授は、不信任案に賛成する教授は、全体の30%程度だと事前予想しており、賛成多数の結果に驚いている。

一方、総長の罷免権限を持つ理事会は、サマーズ総長を支持。また、総長自身も、辞任するつもりはないと明言している。

サマーズ総長は、クリントン政権下で財務長官を務めた経済学者。今年1月、「科学分野で活躍する女性が数少ないのは、生まれつきの男女差があるから」などと発言し、内外から批判を受けた。


[同ニュース]
ハーバード大学:女性差別の学長、教授会が不信任決議(毎日新聞3/16

 

 

 

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3月16日(2) 「池子の森」も、沖縄の「辺野古」も大変なようである。一方では、「アジアの公共性」をどのようにして平和的に構築していくかの検討が進められているとすれば(千葉大COE[公共哲学]シンポジウムなど)、他方では、軍事基地強化の動き、そのための自然破壊という動きが進展している(同じ公共哲学関係のメールの情報)。一人一人の日本人はどう考えるのか。

 

-----「池子の森」---

皆様:
関東学院大学の安田です。池子の森の横浜市金沢区地域に米軍住宅を建設する計画が
日米両政府から発表され、それに横浜市も合意し、10年前の逗子での3者合意が破ら
れ、またもや、「池子の森」に危機が迫っております。『池子の森を守る会』を結成
し、様々な取り組みを行ってほぼ1年が経過しました。ますます世論を広げていくこ
とが必要と考え、3月21日に、懇談会および「池子の森を守る会」の総会を行うこ
とにしました。首都圏に残された貴重な池子の森を残すため、成功させたいと思いま
す。是非ご参加ください。
個人の方にはBCCでお送りします。
以上、よろしくお願いします。
*******************************
安田 八十五 Dr. Yasoi YASUDA
環境政策学者(工学博士)
2368501横浜市金沢区六浦東1-50-1
関東学院大学経済学部教授
研究室直通:TEL&FAX:045-786-9802
事務室TEL: 045-786-7056  FAX(5枚以上): 045-786-1233
電子メイル: yasuda85@kanto-gakuin.ac.jp
大学ホームページ: http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~yasuda85/
個人ホームページ: http://www5d.biglobe.ne.jp/~yasuda85/
自宅専用FAX(緊急時のみ): 045-774-0687 
**************************************

住民の8割は米軍住宅建設に反対です。
池子の森・金沢区域を考えましょう。
懇談会および総会のご案内とお誘い
昨年3月7日「池子の森を守る会」をスタートさせてから、自然観察会やシンポジウ
ム、セミナー、住民アンケートなど行ってきました。昨年9月に池子周辺住民を対象
にしたアンケート調査では8割が米軍住宅追加建設に反対でした。貴重な森を壊すば
かりでなく、米軍がいることの危険や交通の問題、横須賀への原子力空母との関係な
どの不安がアンケートや報告会に出されました。

様々な取り組みを行ってほぼ1年経過し、ますます世論を広げていくことが必要と考
え、3月21日に、懇談会および「池子の森を守る会」の総会を行うことにしまし
た。首都圏に残された貴重な池子の森を残すため、成功させたいと思います。是非ご
参加ください。

日時 2005年3月21日(月・振り替え休日)午後1時開場 1時30分〜4時30

会場 横浜市六浦地区センター(京急六浦駅下車徒歩4分)
内容 午後1時30分〜4時 懇談会
         
4時〜4時30分 総会
お話 沢光代さん(元逗子市長)
    呉東正彦さん(弁護士)
主催:米軍住宅増設をやめさせ、基地返還と池子の森を守る会
代表 安田八十五(関東学院大学教授)

 
(お問い合わせ・連絡先)
事務局電話045−241−0005 または045−786−9802(安田教授
研究室)
FAX045−241−4987

2368501横浜市金沢区六浦東1-50-1

関東学院大学経済学部教授

安田八十五研究室

研究室直通:TEL:045-786-9802

事務室TEL: 045-786-7056  FAX: 045-786-1233

電子メイル: yasuda85@kanto-gakuin.ac.jp 

安田研究室ホームページ: http://www5d.biglobe.ne.jp/~yasuda85/ 


<お知らせ2>
住民の意向に沿い、米軍住宅増設をやめさせ   自然と緑の宝庫・池子の森を守りま
しょう!
『春の池子の森自然観察会のお誘い』

池子の森は自然の博物館です。高等植物は736種もいます。オオタカ・ハヤブサ・
フクロウ など100種を超える鳥たちがすんでいます。横浜の桜の開花宣言は41
日とか・・・。池子はヤマザクラ、オオシマザクラ、ソメイヨシノ、イヌザクラ、カ
スミザクラなど見ることができます。春の池子の森を観察しましょう。
日 時 4月2日(土)9時30分〜12時
集 合 京急六浦駅西口
         (
千光寺には9時45分集合です)

 
コース 六浦駅西口(9時30分)〜千光寺(9時45分)〜果樹園
    その後、鎌倉散策ができます。
    弁当・飲み物は各自ご持参ください。

<お知らせ3>
池子米軍住宅の小学校建設に伴う環境影響予測評価書案(アセス)の説明会に参加
し、住民の意見を!

横浜防衛施設局は、池子基地内に小学校の建設を計画しています。児童800人40
クラス(20人学級)の小学校で2.46haの広さです。そこには絶滅危惧種のオオ
タカや希少種のフクロウ、ゲンジボタルやヘイケボタル、絶滅危惧種の植物ーダンダ
ンゴケ・ヌマダイコン、植生自然度10のケイワタバコが生息しています。生態系、
騒音、文化財、安全など様々な問題を説明会で明らかにさせ住民の意見を言いましょ
う。逗子市は国・県・市三者が「追加建設はない」と合意したいわゆる『3者合意』
の約束に違反するとして反対しています。金沢区域への米軍住宅追加建設と同様、建
設をやめさせましょう。

日 時 3月26日(土)14時〜15時30分
会 場 大道小学校(体育館)
    (京急六浦駅下車6分または
      大道小学校バス停下車3)

 

-----辺野古---- 

辺野古から、以下の緊急メッセージが発信されています。重複
して受け取られた方は、失礼をお許しください。
その他、現地の状況は、以下のサイトにアクセスしてください。
http://diary5.cgiboy.com/2/henokonikki/
何が出来るか。少なくとも大変な事態だと考える方は、知り合いにメールを転送して
ください。
・・・
-----Original Message-----
From: aml-bounces+kenkawauchi=nifty.com@list.jca.apc.org
Subject: [AML 0799]
辺野古から緊急連絡
辺野古発の緊急連絡を転送します。

以下転送歓迎
----------------
今日未明、那覇防衛施設局が作業を強硬突入。七時にはすでに
スパット台船が沖合いに浮かんでいる状態。タグボートを引き
寄せるなど暴力行為。さらに台船一台を投入するとの予定。現
在の所、海保の船三隻(ゴムボート六隻)、作業船七隻、大型
作業船七隻。阻止側は七隻で応戦中。・・・

 

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3月16日(1) 「全国国公私立大学の事件情報」に広島大学の学長候補者・佐藤清隆氏の考え方が掲載されていた。選挙結果は、現学長の再選ということで、新聞報道で知っていたが、佐藤氏の考え方はここはじめて知った。その考え方のほとんどに共鳴するので、以下にコピーしておこう。

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2005年03月16日

広島大学学長選挙における教職員組合アンケートへの佐藤清隆候補の回答

Academia e-Network(3/15)より

 

 

問1. 広島大学への入学志願者を増やすために、どのような方策をお考えでしょうか。とりわけ、授業料や教育環境の整備に言及してお答えください。

 

まず、教員が個性豊かで優れた研究を行える環境を整備し、それを通じて学生が広島大学を選ぶ魅力を高めることです。また、単なる知識の提供でなく、学生一人ひとりの個性と主体性を伸ばす教育を重視し、学生が広島大学の主人公であることを明確にします。現在提案されている「教育プログラム制」では、学生の個性を伸ばすことが難しいので見直します。学生が自主的な活動のできるスペースを、全学、各部局に創ります。また、一定の範囲で、学生の創意による諸活動を緊急に支援できる財政的用意を行います。その上で、本学の教育研究上の魅力と目標をわかりやすく社会へ発信します。

 

問2 財政支出の透明性を実現するために、どのような方策をお考えでしょうか。

 

現在、予算策定の不透明性が顕著ですので、抜本的な改革が必要です。まず、予算分配のルールが十分に議論されて決められたものになっていません。たとえば部局長裁量経費(教育)が博士課程後期の志願者数や入学者数で決められていることを知っている人がどのくらいいるでしょう。また、各副学長と、その下に置かれた「室」にどの程度の予算が配分されているのかも、予算書からではよくわかりません。それゆえ、予算書を支出権限に応じて記載する形式に改め、また、予算案を審議する役員会は詳細な議事録を残し、基本的にこれを公開することとします。予算案に対しては、学内公聴会を開いて広く意見を述べていただけるようにします。決算についても、責任の所在を明確にしたうえで、構成員による事後評価を行う制度を作ります。

 

3 法人化の中で、学問の自由や大学の自治をいかなる形で実現されるおつもりなのか、お考えをお聞かせください。

 

法人化後の広島大学は、「カネ集め」を至上の美徳とする「アカデミックビジネス体」への道を歩み始めています。しかし、大学が大学であるためには、真理探究が最高の理念とされねばなりません時流や経済的要請に流されることなく、真理にのみ仕え、教員が各自の信念に従って真理を探究し、学生が真理を見極める目を養う共同体が大学であり、そのための環境を用意することが、学長の最大の任務です。

 

真理を最優先するために人類が到達した理念が「学問の自由」であり、それを守る制度的な保障が「大学の自治」です。この「大学の自治」は、単なる「教授会の自治」ではなく、大学を構成する全員による自治であり、あらゆる場面で教員のみならず、職員や学生の意見を聞き、参加を促すことを通じて実現されます。教授会はもちろん「大学の自治」の重要な担い手であり、教育研究に関わるあらゆる事柄は教授会の発案によるか、教授会の承認を得て遂行すべきものと考えます。しかし、「大学の自治」はそれにとどまるべきではないと考えますので、教員以外の職員や学生による自治的組織に対しても、当然に大学運営への参加を促します。

 

学長は、「全構成員自治」の結節点として、学内各層の意見を集約した形で大学としての意思決定を行い、学問の自由を全力で守るべき地位にあると思います。

 

4 学長のリーダーシップをいかなる形で発揮したいとお考えでしょうか。その際、いわゆる「ボトム・アップ」をどのような形で実現したいとお考えですか。

 

広島大学長に求められるリーダーシップは、広島大学がおかれた状況を前提にして、独自の明確なビジョンを構成員に与え、それを達成するための具体的な道筋を提示することです。抽象的な夢物語や、思いつきの個別策だけでは、リーダーへの信頼は生まれません。

 

広島大学は、研究ポテンシャルの高い教員を多く持ち、潜在的可能性を秘めた個性ある優れた学生を惹きつけています。したがって、広島大学は、「基礎研究力の高い、人を育てる大学」というビジョンを掲げるべきです。しかし、実際にこの理念を実行するのは各部局です。その中で学長は、大局を見失わない視野の広さを持ち、的確な状況判断によって各部局、各個人の活動を調整し、必要な場合には自らの責任を明確にしたうえで決断し、それを実行するべきでしょう。これが学長に求められるリーダーシップであると思います。

 

一方で、学長のリーダーシップを独善に導いてはなりません。そうしない保障は、「大学の主人公は、学生と教職員である」ことと、「教育と研究の現場である部局等を重視する」ことを、大学運営の基本精神に据えることです。そして、学長の「決断」は、常にこの基本精神に照らして批判されるようにしておくことと、決定者に説明責任を課すことです。これがボトムアップの本質であると思います。

 

5 理事会の役割、理事会と副学長の関係をどのようにお考えでしょうか。さらに副学長の数はどの程度がのぞましいとお考えですか。また、副学長の権限との関係で、事務局長の役割をどのようにお考えですか。

 

法人化後の本学では、理事を兼ねた副学長が学長を取り巻くことによって、学長が大学全体を見渡せなくなったのではないかと思います。理事が学長の直属の部下であれば、そこから大学経営に関する建設的な意見が出てくることは期待できません。副学長が理事を兼ねるということは、したがって役員会が建設的な場になりえないということを意味します。それゆえ、理事は副学長として執行権限を委嘱されるべきでなく、最終的な責任を負うのは学長であるにせよ、学長と対等な立場で経営にフルタイムで専念すべきものと考えます。また、理事の任命に当たっては、ブロック別意向投票等、学内の意向を反映した方法での任命が必要であると思います。

 

これに対し、副学長は学長のブレーンとして、現在の半数以下の人員で十分機能すると思います。現在は、各副学長に直結する執行組織が、教員や事務職員を含めた縦割り型の行政機関となり、それぞれの機関が横の意思疎通を欠いたまま、各部局事務に重複した命令や不要不急の仕事を押し付ける形になっています。各副学長も、何かしなければ責任を問われるので、無理やり仕事を作っている、これが多くの教職員の印象です。

 

事務部門については、法人化以前にもどし、事務部門の一体化を回復します。また、事務部門の長には、広島大学の事務組織を熟知した職員を就けます。

 

6 部局長支援グループ・教育研究活動支援グループ・学生支援グループなどの括り方について、望ましいとお考えですか、あるいは望ましくないとお考えですか。

 

このグルーピングは、部局長のリーダーシップを発揮させるために導入されたのでしょう。しかし、実際にはわずかな部局長裁量経費の下で、部局レベルの事務機構を細分化しただけに終わり、結果としてどの業務をどのグループが担当するのか、現場はおろか本部事務局ですら混乱したと聞いています。現場を無視した事務機構再編の典型例の一つと思いますので、部局長支援グループと教育研究活動支援グループを統括するなど、事務機構全体の整合性に対応した、現場が働きやすい、そして聞けば誰でもその機能がわかる名称を持った組織に変更すべきであると思います。

 

7 全教職員の3 割以上を非常勤職員が占め、雇用不安にさらされ、待遇面で劣悪な状態におかれていますが、事務機構の中で非常勤職員が果たす役割について、どのようにお考えですか。また、非常勤職員の経験年数やキャリアップをどのように待遇に反映させようとお考えでしょうか。

 

非常勤職員は、事務分野では全体の4割を占めるに至っており、全産業平均(約2割)と比較しても、非常勤職員なしには本学の運営は成り立たない水準に達しています。それほど重要な役割を果たしているにもかかわらず、一人ひとりの非常勤職員の方々は、毎年の雇用が更新されるか否かという不安を抱えておられます。近年ではいわゆる「日々雇用」の新規採用がなくなり、「時間雇用」の方々(パート職員)が増加しています。「時間雇用」の方々は、時間外労働・休日労働の対象にすらなっておらず、「不払い労働」の深刻な犠牲者になっておられるケースもしばしば見られます。

 

非常勤職員の方々の多くは、異動がないため、仕事を熟知した、かけがえのない職員です。広島大学の構成員全てが非常勤職員の方々に対して公正に接しなければなりません。また、常勤、非常勤を問わず、「同一価値労働・同一賃金」の原則に立った処遇を行い、経験年数の給与への反映、さらには希望者には常勤化への道を広く開く必要があります

 

8 教員研究費の配分方式について率直なご意見をお聞かせください。

 

多様な分野を包含する本学の文系・理系の基礎科学分野の高い実績とポテンシャルを洞察した、広島大学独自の主体的な研究領域を推進することは、次代の新しい重点研究分野を用意するために不可欠な研究戦略です。それを実現するための最善の施策は、個人レベルの基盤的研究費の充実です。現行の教員の基盤的研究費はあまりにも少額すぎるために、分野ごとの均衡の取れた形での研究水準の向上や、優秀な人材の確保に齟齬をきたし始めています。同時に、過度に大学院生数に依拠する教育費配分制度では、院生を確保するための教員間の競争やそれに伴うハラスメント、院生の集め過ぎによる研究指導の不足や不十分な就職保証などのマイナス面が生じています。学長がヒモ付きでない研究費を確保し、十分な基盤的研究費を保障するべきであると考えます。

 

そのためには、学術全体の水準向上を図るための財政基盤の確立を政府に求めると同時に、外部資金の獲得のために、本学の研究者・グループ等が、その特長を生かして主体性をもって獲得できる体制を整備します。ただし、外部資金への過度の依存には注意が必要です。なぜなら、外部資金は文字通り広島大学の外部の判断によって与えられる資金であり、そこには広島大学による研究の評価(ピア・レビュー)の余地がないために、場合によっては、「学問の自由」に対する介入を制度的に許容する一穴としてすら機能する危険があります。

 

9 給与水準や給与体系についてどのようにお考えでしょうか。また、いわゆる「成果主義賃金」の導入についてはどのようにお考えでしょうか。

 

国立大学法人の教職員の給与は、私立大学と比べても高い水準にはありません。また、近々予定される公務員給与の5%低下に連動して、国立大学法人の職員の賃金にも引き下げ圧力がかかるでしょう。

 

その中で平成18 年度からの導入が予定されている「成果主義賃金」とは、教育活動や事務の職務遂行に対する評価結果を給与に反映するシステムですが、その導入には以下の理由で反対します。

 

第1に、優れた学生を育てるために多くの教員による協力と相互援助でなし得る高等教育を、根底から崩壊させる危険があります。第2に、公平性を期するために行う評価者の膨大な作業実務と、それに伴う精神的苦痛は、数値で表すことは出来ません。同僚による評価は、それが学問のレベルにとどまらないならば、無用な混乱と軋轢を生じさせ、かつ公正を期すためには多大の労力・時間を要するのではないでしょうか。第3に、上からの一方向評価では、評価されるものが同僚や下部組織とは協力せずに、上司に気に入られるため点数を上げることに専念する事態が懸念されます。第4に、限られた財源で、昇給と賞与で厚遇する人を作るためには、多くの冷遇者が必要となり(ゼロサム・ルール)、全体として士気が低下するに違いありません。第5に、教員以外の職員については、サービス残業の根絶が達成されておらず、このような状況で成果主義賃金を導入すると、無限のサービス残業競争に陥ってしまう危険性があります。

 

教職員の業績の反映は、基本的にはサバテイカル待遇や研究教育費の上積み、業務効率改善のための研修者の選定などの範囲にとどめるべきですまた、誰の目にも明らかな優秀者には、昇進で応えるべきで、現行の、地元採用職員の昇進に事実上の限界があるような慣行こそ、直ちに止めるべきです。

 

10 いわゆる「サービス残業」について、それを生む原因とそれへの対策を、どのようにお考えですか。

 

法人化後の混乱時期が終わっても、多くの職場で長時間残業が続いていますが、「手当てを丸ごと要求すると、大学がパンクする」という気兼ねから、ほとんどの職員がやむなくサービス残業を受け入れている実態が解消されていません。私は本学の教職員組合執行委員長として、この問題に真剣に取り組んできましたが、ここでは、改めて以下の3原則を表明いたします。

 

(1) 残業なしでもこなせる仕事と、生活できる給与を保障することが経営の基本である。この観点から、仕事の無原則な創出は慎まれねばならない。仕事を創出する場合、実際に現行の人員でこなせるかどうか、十分な検討を行う。

 

(2) 残業を含む労働には必ず対価が支払われるべきこと。財源のあてのない残業は行わせない。仕事は労働時間管理者が基本的に把握し、各職員に命じるという形態をとる。職員に仕事を「請け負わせる」ような形は早急に解消する。

 

(3) 残業を認める前に、残業をなくす、あるいは減らすために必要な人員配置を速やかに行うこと

 

現行では、あふれかえる仕事をどうにか「こなす」ことに職員は「働きがい」を求めざるを得ない、いわゆる「ワーカホリック」状態になっています。そうではなく、上司による仕事の全体としての把握、その各職員への伝達を通じ、広島大学を自分がどのように機能させているか、どうすればもっと機能させられるか、が考えられる、もっと高い水準の「働きがい」を一人ひとりの職員がもつことができるように、そのために、メリハリのついた労働と勤務時間管理が行われるべきであると考えます。

 

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3月15日 都立大学総長の談話とこれに対する岡本氏の鋭い批判的コメントがでた。以下にコピーし、熟読検討したい。一連の総長声明などで、わが大学との違いに感銘を受けていただけに、複雑な気持ちにさせられる。「根本的なところで「首都大学東京」の構想を改革しなければ,」という岡本氏のコメントは、本学の現状と照らし合わせて、説得的に感じられる。真の意味での大学の自治の豊かな発展なくして、魅力ある大学にはならないだろう。トップダウンで、行政当局の顔色をうかがう人間ばかりの大学が、魅力ある創造的な学問研究と教育を行えるはずがないと信じる。研究教育の素人が権限だけを握り締めたら、大学は大学でなくなる。

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2005年3月14日:(少し遅れましたが)毎日新聞(3月12日)「キャンパる:教授退官、その前に 君たちに伝えておきたいことがある」に都立大 茂木俊彦総長が登場。

 

◇「大学に希望ある」。なお研究に意欲−−東京都立大、茂木俊彦総長(62)

          茂木総長は、同大での24年間を「自由な雰囲気の大学だった」と振り返る。飲み屋で学生と激論したり、ケーキバイキングに一緒に行ったりと、学生と近い教員生活だったという。

 「実は総長にはなりたくなかった」。専門の障害児心理学の研究時間が減ってしまうからだ。総長に選ばれたのは、定年までの2年間を頑張ろうと思っている時だった。総長になって最も不自由さを感じたのは、障害児の保育や教育現場に行けなくなったことだ。

          その上、任期中は都立大など4大学を「首都大学」に統合する問題で大学が揺れた。都と教職員の話し合いは十分だったとは言い切れないが、希望はあるという。

          「教員流出が話題になったが、これまでの蓄積を生かして努力すれば優秀な人材が戻ってくるはず。大学に希望はある」

          4月からは都内の私立大へ移る。「1年目は総長の間に鈍ってしまった『現場のカン』を取り戻さなくては」。あくまで紳士な風ぼうの一方、今でも色あせない研究への意欲を感じさせた。

          最終講義は26日、「共感関係の深化と発達の保障をめざして」をテーマに行う。

COMMENT: 「都と教職員の話し合いは十分だったとは言い切れないが、希望はあるという。」 という言葉には,あまりにも現実からかけ離れた印象を受ける。「話し合いは十分だったとは言いきれない」というのは,「かなり深いところまで話し合った」という意味になる。皮肉であるなら,それが分かるように発言しなければならないし,皮肉でない率直な現状認識だとしたら,御自身のこれまでの声明(03年9月22日, 03年10月7日, 04年5月13日, 04年9月4日, 05年1月25日)の内容がどれだけ実現されたのかを再検討して頂きたい。合わせて,評議会声明( 04年1月27日,04年3月9日 )の内容と 04年3月9日の山口一久大学管理本部長と西澤潤一学長予定者連名恫喝文書 の検討もお忘れなく。まさか「話し合いはしたけれども,協議はしなかった」なんて言いませんよね?

「教員流出が話題になったが、これまでの蓄積を生かして努力すれば優秀な人材が戻ってくるはず。大学に希望はある」 とのコメントにも耳を疑ってしまう。「これまでの蓄積を生かして努力」しても,「首都大学東京」の基本構想が変わるはずがない。根本的なところで「首都大学東京」の構想を改革しなければ,優秀な人材は戻ってこないだろう。

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3月14日(3) 都立大学独文科の解体にかんする「中間報告」が出たことを知った(「都立大の危機--やさしいFAQ」)。以下にコピーし、熟読玩味したい。

日本のような高度に発達した豊かな国では、かつてとは違った意味合いで、ヨーロッパ諸国の言語・文化も広く深く教育できることが求められるのではないか? とりわけ、国公立大学はそうしたヨーロッパ諸国の主要言語を学生諸君に教育できるような体制を整えるべきではないのか。国公立大学までも、英語・米語の教育だけになだれを打って集中してしまうのは、日本の今後の豊かな発展のために打撃となるのではないか?

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「東京都立大学独文学専攻解体に際して---中間報告」

独文学会誌「ドイツ文学」117号, <マルジナリア>P. 126-130. 2005年3月10日)

 

 

東京都立大学独文学専攻解体に際して --- 中間報告

 

初見 基/岡本順治/保阪靖人

 

2003年8月1日,石原慎太郎東京都知事は定例記者会見の場で,数年がかりで進められてきた都立4大学の統合計画に関して,それまで都庁と大学との間で協議機関を設け検討されてきたものとはまったく違う構想を発表しました。都立大総長すら会見直前に通告されたというこの新構想は,学部構成,キャンパス配置といった基本的な点からしてそれまで検討されてきた案を大幅に覆す内容でした。

 

その後,計画を推進する都庁の担当部局である東京都大学管理本部の一方的で強引な手法を前に,大学側は防戦を強いられながら数々の局面を越えてきましたが,ついに2004年9月21日,大学設置・学校法人審議会はこの新大学の翌年4月開設を認可するよう文部科学大臣に答申,同月30日に正式認可がくだされました。これによって都立大学独文学専攻の消滅も確定したことになります。

 

この問題をめぐっては,日本独文学会理事会からは2004年12月15日付で「都立四大学の統廃合問題を巡って」という声明を出していただいた他,個々の会員の皆様からも数々の有形無形のご支援を賜わってきました。この場をお借りしてそれらに対して心よりお礼を申し上げるとともに,ひとつの〈中間報告〉をさせていただきます。

 

本報告執筆者(岡本,初見,保阪)は,新大学構想発表以降一貫して東京都の方針を批判し,それに抵抗を試みてきた者に属します。すでにさまざまなかたちで私たちの主張は公表されていますが,何故この新大学構想を問題ありと見なしてきたか,改めて要点を述べます。

 

第一に手続き上の問題として,《設置者権限》を振りかざし,新構想を一方的かつ強圧的に推進してきている大学管理本部側の非民主主義的な姿勢が挙げられます。管理本部は,現存する大学と新大学とは断続(絶?)したものであり前者構成員には後者に対して意見を述べる権限はないという論拠に基づき,現場の教員,学生たちの声をことごとく封殺し,侵害される恐れのある学生の教育保障や新構想の具体的内容をめぐる質問状などに答えることすら拒否してきました。

 

しかしその一方で,大学における教育・研究体制に無知・無関心な管理本部には,石原都知事が思いつきだけをぶち挙げてみせた新構想を具体化できるだけの能力を持ちあわせず,受験産業の河合塾に新学部構想の肉付けを依頼するというような失態を演じもすれば,またことある毎に恫喝と懐柔によって抵抗する教員たちを新大学準備体制のなかに動員しようと試みてもきました。開学まで半年も残されていない2004年10月現在ですら未確定事項は山積されており,カリキュラム,入学試験,学則の細部などについては,新大学へ就任する教員たちへの依存度が高まっているのは事実です。

 

とはいえ,新大学発足と同時になされる独立法人化に際して,法人のもとに置かれる現行及び新設大学の教授会組織が人事権等の〈自治〉を確保できるのか,また任期制・年俸制を強要しようとしている雇用形態が最終的にどのように落ち着くことになるか,法人定款,そして法人のもとでの大学学則をめぐる厳しい綱引き状態は当面続くことになります。

 

私たちが新大学構想を批判しているのは第二に,手続きの乱暴さにもましてその内容が粗末かつ無思慮であるからです。新大学の根幹的な《使命》には《大都市における人間社会の理想像の追求》が掲げられ,《都市環境》《産業構造》《長寿社会》の3点が《キーワード》とされ,学問の〈真理〉追求や〈普遍性〉への視線がまったく欠如している点は指摘するにとどめます。ここでは,このような理念に則った教育体制案の一部を紹介します。

 

まず学部構成は,現行都立大学(人文,法,経済,理,工)5学部のうち工学部の一部を除いたほとんどが《都市教養学部》なる一学部に統合され,いわば〈都市〉に特化した教育が要求されています。数学や物理学に〈都市〉なる限定が意味あるのか,という当然の疑問以前に,現在都立大に置かれている〈都市〉研究機関である都市科学研究科は新大学において中心的な役割を担う訳でもなく20ばかり立てられる《コース》(〈専攻〉の相応する)のひとつでしかない,そのことひとつを取っても,体系的な〈研究〉組織など端から念頭にない計画の杜撰さは見て取れるでしょう。

 

人文学部について言うならば,139名あった定員のうち《都市教養学部》のなかに認められているのは半分以下の64名,それに伴い〈実学重視〉を盾に文学科5専攻(国文,中文,英文,独文,仏文)は消滅,独文学専攻に現在在籍し新大学への就任を肯った教員は,哲学,史学及び国文を除いた文学科教員より成る《国際文化コース》,英文,独文教員より成る《表象文化コース》,社会人教育機関《オープンユニヴァーシティ》のいずれかへ配属されます。しかしこれまで学部・大学院の専門授業とともに全学のドイツ語を含む一般教育科目も担当していた独文学教員のうち《定員》として確保できているのは,2003年8月時点で18名あったうちの,そして新大学への就任を承諾した9名のうちの3名に過ぎず,それも第一期中期計画の間だけのことになります。

 

文学専攻をはじめとする人文系分野では現在の専門教育体制がこうして崩壊させられるとともに,外国語教育にあっても,必修英語8単位のうち6単位をネイティヴスピーカによる語学学校授業に委託,英語以外の未習外国語の履修はすべて必修をはずされます。

 

さらに,新大学の新機軸とされている《単位バンク制》について触れるなら,この制度はまずは,単位互換の協定を結んでいない他大学で取得した単位だけでなく,専門学校での受講や諸資格,ボランティアや海外滞在体験をも卒業単位として認定するもので,人員削減により貧困化したカリキュラムを〈外部委託〉でまかなう制度であると考えられます。実践英語授業を語学学校に委託する方針などと相俟って,体系的な教育体制を否定し,卒業資格認定をくだす大学として責任を放棄する顕著な現われであり,《入りやすく出にくい大学》を目指すという石原都知事の主張とも真っ向から反しています。ただ問題はそこに尽きず,《単位バンク登録科目》としての認可は企業経営者などの《外部有識者》をも加えた《科目登録委員会》に委ね,さらに新大学では単位バンク未登録の授業科目は開講しない,との方針も明らかにされています。端的に述べるなら,科目登録委員会の判断で学内でのすべての授業科目の存廃が決定される,という事実上の検定制度として機能することが危惧されています。そして開講科目を持てなくなった教員の処遇が整理解雇等のきわめて厳しいものとなる可能性も絶たれていません。

 

以上,新大学構想の抱えた数ある難点の一端を挙げてみました。

 

こうしてかいつまんで見た限りでは,1991年の大学設置基準大綱化から2004年の国立大学独立法人化に到る厳しい状況をくぐり抜けられてきた全国の学会員の皆様からするなら,東京都による都立大解体・文学専攻抹殺の措置は生温くすら感じられるやも知れません。〈市場原理〉に基づく〈自由競争〉,〈産官学連携〉〈実学重視〉といった大学をも取り巻く風潮に,ドイツ語教育や文学・言語学研究が後退に後退を強いられている現状は,都立大学に限られたものでないことは言うまでもありません。

 

ただ,違法,脱法を恐れず,《トップダウン》の名のもとに〈ボトムアップ〉に向けた議論を拒否し,論拠・根拠を示さないまま暴力的に追従を求め反対意見を押さえ込む大学管理本部の手口の野蛮さにかけては,やはりまだ類例がないかと思われます。彼らの大学破壊の徹底性については工学系教員内にも根強い反撥があり,〈実学重視〉ですらない闇雲な〈大学敵視〉であり,〈産業の僕〉への大学の改変であることは断わっておかなくてはなりません。そうしたなか,頑強に批判的志操を貫く教員を抱えた独文学,仏文学専攻に対しては,石原都知事は虚偽の論拠すら持ち出しながらの中傷を公的発言のなかで繰り返しており,今後なされる攻撃についても予断を許しません。

 

教育現場への異常なまでの介入を続ける東京都教育委員会の教育政策の延長上に今回の都立大解体も位置し,さらに強権管理のもとで恣意的に限定された一方向のみを容認するような教育行政が《東京から日本を変える》という石原知事の好む合言葉通り全国に拡がってゆくのではという予想も,杞憂だとはとても断言できない以上,私たちも〈抵抗〉を諦める訳にはゆかないできました。

 

いま,私たちの〈闘い〉が〈負け〉であることは動かしようのない事実です。ただ,これですべてが終わった訳ではありません。まずなによりも,現行都立大学に在学している学生・大学院生の教育保障がまったく覚束ない以上,学生たちの被害を最小限にとどめるべく努めることは私たち教員の責務です。また,法人の定款,新大学学則が〈大学の自治〉〈学問の自由〉を否定することにかけて悪しき先例となり,他大学にまで波及するような事態となることも阻まなくてはなりません。そうすることが自らの立場をも護ることになるのはもちろんです。さらに,いとも簡単に都立大学,そして独文学専攻が破壊・解体されていったこの忌まわしくも情けない経験を,これまでの自分たちの教育・研究体制への根底的な反省と結びつけ,現今の日本社会にあって大学でドイツ文学を研究すること,そしてドイツ語教育を実施することの積極的意味を真摯に再規定すべく努めることも必須です。その過程では,この間に露呈された多数の大学教員なるものの怯懦,矮小さ,狡猾さをも包み隠さず後代に伝えてゆくことになるのは,〈言葉〉の専門家である私たちに避けて通ることのできない使命であると考えます。

 

Unser Kampf geht weiter!

 

 

 

 

 

 

 

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3月14日(2)  「全国国公私立大学の事件情報」によれば、埼玉大学などに関する最近の情報でもそうだが、私立大学でも、大変な事態が進行し始めめている。大学の評議会や教授会の権限剥奪(大学の自治の担い手を非常に狭くする方向)という点で、それらには一貫した傾向があるようである。

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日本私大教連、改正私立学校法の施行にともなう寄附行為変更をめぐって文科省へ要請

日本私大教連
 ●改正私立学校法の施行にともなう寄附行為変更をめぐって文科省へ要請

改正私立学校法の施行にともなう寄附行為変更をめぐって文科省へ要請

 改正私立学校法施行にともない、各学園において寄附行為変更が本格化しつつありますが、いくつかの学校法人では私立学校法改正の趣旨を誤解あるいは曲解して、寄附行為の改悪ともいえる変更を強行する動きが現れています。
 日本私大教連はこうした状況も踏まえ、3月10日、寄附行為変更をめぐって私立学校法改正の趣旨をあらためて周知徹底することなどを文科省に対して要請しました。
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(要請書全文)

文部科学大臣
中山 成彬 様

日本私大教連
(
日本私立大学教職員組合連合)
中央執行委員長 今井 証三

寄附行為変更に係わる文部科学省の対応に関する要請

 私たちは去る117日、学校法人が寄附行為を変更する際に、私学法改正の趣旨を尊重するよう徹底する旨、貴省に申し入れを行いました。
 その際、私学法改正にともなう寄附行為変更の審査においては、形式的に法令に適合しているかどうかのみをチェックし、法改正の趣旨に照らして望ましくない点があってもこれを容認するとの説明がなされました。しかし、この貴省方針は到底首肯できるものではありません。
 私学法の一部を改正する法律案の国会審議では、その趣旨である「私立学校の公共性をより高める」「学校法人の管理運営制度の改善を図る」観点から、全会派の議員より法案の不十分な点が指摘され、真剣な審議が行われました。その中で文科省は、「改正の趣旨の徹底をはかってまいりたい」「何より運用こそが大事」と繰り返し答弁し、衆参両院の附帯決議でも「本法の趣旨・制度の内容等について十分周知し、その理解と努力を促していくとともに、改善の状況についての検証を行うこと」と謳われています。
 私たちは、今次改正が真に私立学校の公共性を高めることに資するものとなるよう、大学法人・短大法人の寄附行為変更に際して、貴省が学校法人に対し、あらためて改正の趣旨を徹底し、望ましくない点についてはこれを是正させるよう努めるべきであると考えます。またそうした立場から、下記の点について強く要望するものです。

1.理事会の位置づけについて
 改正によって理事会が最高の意思決定機関となったと誤解あるいは曲解する学校法人が散見されます。あろうことか、日本私立学校振興・共済事業団発行の『月報私学』(第85号「新春座談会・スクールガバナンスの新時代」)に、理事会が最高の意思決定機関と法律上明確に定められたとする記事が掲載されていることをとってみても、このことは放置できない重大な問題です。
 今次改正が、理事会に特別の権限を付与するものではないことを周知徹底し、誤解・曲解があればそれを正すよう要望します。
2.理事長の解任規定について
 今回の寄附行為改正において、理事長を特定の寺院の住職と定める(以下「充て職理事長」という)文部科学省所轄の学校法人があります。私たちはこの件について、是正するよう指導することを文部科学省の担当部局である高等教育局私学部私学行政課企画係に申し入れをしましたが、この件に関する担当部局の見解は、以下のようなものでした。
(1)改正された私立学校法第30条第1項第5号の解任に関する規程は、役員(理事と監事)の解任について求めたものであり、法令違反とまでは言えない。
(2)しかし、私立学校法改正の趣旨に照らし、好ましいとは言えない。
(3)「学校法人運営調査」では指導するが、今回の寄附行為改正の審査では、一切問題にしない。
 学校法人寄附行為作成例(2004年7月13日大学設置・学校法人審議会学校法人分科会決定)では、理事長の選任・解任について「理事のうち1名を理事長とし、理事総数の過半数の議決により選任する。理事長の職を解任するときも、同様とする」(第6条第2項)と定めています。私たちは、当該法人の理事会、評議員会がまったく関与できない「充て職理事長」の規定は、私立学校の公共性を高めるという今回の私立学校法改正の趣旨に反するものと考えます。
 私たちは、こうしたケースについては、法令違反ではないとしても、寄附行為改正の審査段階で明確に指摘し、改善を要請するよう強く求めます。また、理事長の選任・解任規定を定めるよう徹底することを要望します。
3.寄附行為変更の期限について
 いくつかの学校法人は、法令等により寄附行為は今年度中に改正しなければならないなどと主張し、学内諸機関での検討や、教職員の意向の反映を保障せずに、短期間のうちに寄附行為の変更を強行しようとしています。
 そうした法人の中には、先に上げたように私学法改正に乗じ、法の趣旨・目的を故意に歪めてとらえ、理事会権限の強化などを目論むものもありますが、一方で、改正された私学法附則に対する不理解や誤解から寄附行為変更の期限について混乱を生じている場合も散見されます。
 各学校法人において寄附行為の変更が本格化するにあたり、あらためてその期限を周知するよう要望します。
以 上

 

 

Posted by 管理人 : 掲載日時 20050314 00:29 | コメント (0) | トラックバック (0)
URL : http://university.main.jp/blog2/archives/2005/03/post_764.html

日本私大教連、『月報私学』掲載記事をめぐり、日本私立学校振興・共済事業団へ抗議・要請

日本私大教連
 ●『月報私学』掲載記事をめぐり、日本私立学校振興・共済事業団へ抗議・要請

『月報私学』掲載記事をめぐり、日本私立学校振興・共済事業団へ抗議・要請

 『月報私学』2005年1月1日号に掲載された「新春座談会・スクールガバナンスの新時代」において、同事業団理事長の鳥居泰彦氏が、私立学校法の改正内容や改正趣旨について事実に反することを述べていることに対して、日本私大教連は理事長宛の「抗議並びに公開質問」(下に全文掲載)を発表するとともに、3月9日、事業団に対して抗議・要請を行いました。これに対して事業団は、検討することを約しました。
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日本私立学校振興・共済事業団
理事長  鳥 居 泰 彦 

日本私立大学教職員組合連合
中央執行委員長 今井 証三

抗議並びに公開質問

 貴殿は、日本私立学校振興・共済事業団という私学行政に関わる公的機関の理事長という要職にありながら、貴事業団発行による平成1711日付『月報私学』第85号「新春座談会 スクールガバナンスの新時代 〜私立学校法の改正と私学経営課題〜」の記事中、見過ごすことのできない誤った主張を繰り返され、私立学校法の改正趣旨を誤って読者に伝えています。

 その点を以下に指摘いたしますとともに、質問と要求をいたしますので、当連合へ可及的速やかにご回答いただきたいと存じます。なお、いただいた回答は、当連合機関紙等に掲載するなど適切な方法で、組合員はじめ教職員に公開いたしますので、あらかじめご承知おきください。

1、「理事会が最高の意思決定機関となった」との誤った発言の繰り返し
 貴殿は、今次改正によって「理事会が最高の意思決定機関」となったかのごとく、誤った発言を繰り返されています。
 第85号の記事中、どこに書かれているかはいちいち指摘いたしませんが、同5ページの「意思決定の中心は誰か」との小見出しのある部分で、「理事会が最高の意思決定機関であることが、法律上、明確に定められた」と述べ、数ヶ所繰り返し「最高の意思決定機関」と発言されています。その発言を受けて、次の見出しがわざわざ「理事会が最高の意思決定機関に」(同6ページ)とあり、ミスリードされています。
 今次改正は、一部の学校法人理事会の専断的大学運営による不祥事の続くなか、私学の公共性を高めるために、責任の所在が理事会・理事長にあることを明確にしたものであって、理事会に特別な権限を付与するためになされたものではありません。理事会を「最終的な」意思決定機関ではなく、「最高の」意思決定機関であるとみなすのは、法改正の内容・趣旨に反した完全な誤りです。
 この点は、国会審議のなかで政府から明確に述べられ、また両院の附帯決議にもその趣旨は明らかとなっています。具体的に政府は、「(理事会と)教学サイド、例えば教授会との関係、評議員会等との関係が問題になるわけでございますけれども、今回の改正では、こういった両者との関係で、理事会に対し、特別の権限を与えるようなことは内容としてございません。従来の制度、現行制度が維持されてございまして、教学サイドの意見が改正によって反映されなくなるおそれはないものと考えておるところでございます」(「第159回国会衆議院文部科学委員会議録」より、文部科学委員会04年4月7日)と、明確に答弁しています。この点は、改正後におこなわれた
 日本私大教連と文科省との折衝においても再確認されております。
 以上、貴殿の発言は明らかに誤りであると断じることができます。

2、以下の2点につき可及的すみやかにご回答されたい
@ 貴殿はいかなる意図を持って、このような発言を繰り返されたのか明らかにされたい。国会審議や改正趣旨について、承知されていなかったとするならその旨、ご回答いただきたい。
A 誤った記事を掲載されたわけですから、『月報私学』の直近発行号で訂正記事の掲載を要求いたします。

以 上


問題の『月報私学』2005年1月1日号はこちら≫

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3月14日(1) 「全国国公私立大学の事件情報」に本学に関する鋭い「裏情報」が掲載された。大学自治の問題からすれば、根本的な問題をはらんでいる「裏情報」である。事実に即し、検証がなされなければならない。現在のように、4月からの「法人」と「大学」の主要部署(少なくとも、「法人」の理事長、最高経営責任者、そして大学の「学長」、学部長がすべて行政当局による直接的な任命という異常事態が、大学自治の原則からして根本的に問題であることはあきらかであろう。法人と大学の予算を握るものが、すなわち行政当局が人事も握れば、これは、憲法の保障する大学の自治、学問の自由の真っ向からの否定以外のなにものでもない、ということになろう。

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横浜市大最強スポーツ紙の裏日誌

■スポイチ編集長日誌より

 

2005/03/09 (水) 何よあの言い方ふざけてるの?

 

大々的にブチ上げた”教員だけ全員例外なく任期制”案への反発が大きすぎたせいか、今度は任期制に同意しなきゃ昇任なしとか言い出してみたり、次は人権擁護法案的迂回戦術ですか。かといって悠長にやって手みやげ無しで関内に帰ってもロクな椅子がもらえないのでね。では独法化までに教員の”全員任期制”がコケたら、官僚がそれを挽回できる程の功績をあげる手は果たしてあるのか?ふふふあるともさ。

 

学生の意見を聞こうとしたが意見が出なかったとか学生が集まらなかったとか、廃ゼミは昔からあったとか、なによその言い方ふざけてるの?……

 

2005/03/08 (火) なんだいあれくらい論破できないのかい?歯がゆいね。

 

”改革”によって事実上のコミュニティカレッジ化を意味するC.C.市大が目指すとされる「プ(略)カレッジ路線」。こいつの”中途半端””目的不明”ぶりが早くも指摘され始めている。だが、既に触れたように、地方官僚から転身または兼任する教員が大学内で多数を占めてもボロの出にくい方針という意味で、実はこの路線は他にない必然の選択だったというわけだ。

それを隠すため、これまで政治的意図を隠し持つ一貫性を欠いた主張が”改革”批判に対する反批判としてあちこちで繰り返された。……

 

2005/03/07 (月) 一本釣りとか各個撃破って楽しいですかー?(謎)

 

”公立大学改革”論の中で、新たに大学の管理運営の担い手として登場してきた事務官僚が、さらに”任期制”の教員に転身したり兼業したりすることは果たして旨味のあることなのか?という当然の疑問がある。あるんだけど、だって教員の再任決めるの事務屋だしい。うはマッチポンプ。

それに、元市大職員の某ヤメ官コンサルさんだって、某新設大の教員という肩書きをお持ちじゃあないか。やはり現実問題として、どっかで”改革”講演やったり本出したりマスコミにコメントする時には、ただの「元市職員」よりも「現在は大学教員」のほうが何かと箔がつくものさね。

そういう彼らの”公立大改革”プランでは、「大学」をグローバルな規模の研究機関と、地域密着の教育重視型とに二分し、公立大学は他の国立・私立大学との差別化から”第三の道”として教育重視・特に自治体と関連した地域貢献を目指すべきだと主張する。……

 

2005/03/06 (日) 「次はオレでいいっすよね?」(力皇調)

 

……ところがだ、全国すべての大学が既に任期制導入を決めているってのであればともかく、市大だけ”教員のみ”任期制などと突出したことを言い出すもんだから、教員は他所へ逃げ出そうとするし、新しく好き好んで市大に来る教員もいなくなる。数年を経ずにカリキュラムは維持できなくなり破綻してしまうだろう。

ところがよくできたもので、官製”公立大改革論”では、地域貢献や地域政策への寄与という名目によって、大学に派遣された事務幹部職員や現役地方官僚が大学教員へと転身する、あるいは兼任することを制度として正当化する狙いもあったというわけだ。

 

2005/03/02 (水) 昇任認めないでポストガラ空きよりどりみどり…

 

公立大学の事務官僚が、これまでは主に教員らによる「大学自治」の領域であるとされてきた大学の”管理・運営”に乗り出すことを理論化・正当化する”公立大改革”論。その実質的なイデオローグとなっている人々のトレンドとも言うべき動きがあるということについて、2003年9月の時点でちょこっと触れたことがある(http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=327670&log=20030912)。そこで予知しておいた、「大学自治は素人によるもの。これからはプロの職員に任せるべき」という主張がその後実際に登場し始めている。そのままとはな。……

 

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3月11日 都立大学(首大)でも、大学自治の担い手、主体としての、組合の意義と重要性は大きなものとなるようである。かつての「教授会」では発揮できなかった力が、教員組合にはあるだろう。もちろん、学校教育法に基づき、全国の大学で基準となっている教授会の機能は、きちんと復活させる必要がある。研究教育の担い手(責任と権限)としての教授集団の役割を復活しなければ、憲法が保障する大学の自治と学問の自由を、大学人自体が放棄してしまうことになろう。

 

----「全国国公私立大学の事件情報」より---

20050311

都立大・短大教職員組合臨時大会、「大学の自治を回復し、民主的で働きやすい職場づくりのため、組合の拡大強化等を訴える」

都立大学・短期大学教職員組合
 ●「手から手へ」第2333号(39日)

 組合の臨時大会が、35日(土)午後、開催されました。
 大会では、議長に文系事務支部の源川さんと矢後さんを選出し、会が進められました。
浜津委員長は挨拶で、憲法・教育基本法をめぐる危険な情勢などに触れた後、「私は、新大学が、大学の自治と自立性を回復して、大学本来の教育・研究を取り戻すたたかいと憲法・教育基本法を守り発展させるたたかいを結合させて、運動を進めることが必要であると考えています。私たちの職場は、4月から法人化により大きく変化します。教員は非公務員となり、職員は都派遣職員、有期雇用の固有職員、人材派遣職員と多様化します。私たちの組合は、法人化により、団結権、団体交渉権、争議権の労働3権を持つ労働組合となります。私たちの雇用や労働条件は、当事者能力をもつ労働組合として、理事者側と直接交渉して決めていくことになります。交渉では多くの組合員の団結が力となります。私たちは、大学の教育と研究を真に発展させ、職場環境を改善し働きやすい大学の職場とするために、できるだけ多くの教職員が組合に加入してくださることを強く訴えます。」と、組合の拡大強化等を訴えました。

 ついで、来賓として顧問弁護団の八王子合同法律事務所・松尾弁護士が、次のように挨拶されました。
 「200381日の石原知事の新大学構想は、一言で言うと民間で行われている分社化リストラ−新会社設立を口実としてリストラをする、大学の近くでは京王電鉄の例がある−の地方自治体版です。これに、石原都知事流の強権的手法が加わって従前、大学のあり方について学内で検討されていた体制とか内容を一切無視した問答無用の形で新しい大学づくりが進められてきました。これらのねらいがそのとおりに成功していたならば、従前の大学構成員の皆さんが、ましてや新大学構想に批判的な立場をもっている大学構成員の皆さんが、今日なお大学にとどまって、組合としての確固とした立場をもって、大学のあり方や教育研究条件、勤務条件などについて実のある討議をするということなどはあり得なかったはずです。この臨時大会が、先程から述べられている課題で開かれていること自体が大きな前進であり、成果である点を皆さんとともに確認しあいたい。では、なぜこのような前進、成果がかちとられてきたかということですが、第1には新大学構想、そのもとで示された個々の方針に大義と道理がない、ひと言で言えば無理である、ということです。大学にはそれぞれ歴史と伝統があって、それに対して寄せられる市民の期待があります。特に公立大学には、そのような住民の期待に応えるという性格が強い。それを現場で担ってきた教職員の意見を無視して、新しい大学をつくろうとしたこと自体に無理があった、ということです。また、公立大学に先行して、独立行政法人化された国立大学では、現在、学費の値上げが社会問題化しています。同じ独立行政法人として経済効率を重視するという立場に立つ以上、経済的な面でも都民の期待に応えるには無理がある、ということです。また、地方独立行政法人法によると、教職員の皆さんは非公務員となり、労働組合法上の組合に結集するということになります。そこでの勤務条件は、労働組合との協議抜きではできない、というのは当初から明らかです。この点からも大学人の意向を無視して、新大学づくりを進めるというのは無理があるということです。現在、裁量労働制については、当局がやっきになって組合の同意を得ようとしているようですが、ことここにいたって、当局の無理のツケが回ってきた、ということだと思います。当局は任期制・年俸制を押しつけるために、新制度と旧制度の二者択一を迫ってきました。しかし、当局がいうところの「旧制度」、つまり、昇給も昇任もない制度を、就業規則に明記するなどということは、常識的に考えて、およそ困難です。ですから、このような二者択一を押しつけることも、大きな無理です。それ故に、当局は就業規則や労使協定案をつくるために本来しなくてもよい苦労をしている、というのが現状だと思います。このように、新しい大学づくりの構想は、ここに来て無理が一層明らかになっています。泥沼に入りこんでいます。ここから抜け出るためには、裁量労働制、任期制・年俸制の押しつけ、そのための新制度・旧制度の二者択一への固執をやめるのが、もっとも賢明な選択だということを、この場で申し上げておきたいと思います。
 2に今日の事態は、単なる当局の敵失ではないということです。石原知事の強権的手法は、無理を押し通すためにあるのであって、大学人の皆さんが組合に結集して立ち向かっていったからこそ、今日があるのだということです。
 当局にあった内在的な問題点を顕在化させたのは、組合に結集して取り組んできた皆さんの力です。ですから、さらに多くの人を組合に結集して、その力を大きくしていくことが今の局面で非常に重要になっているということです。就業規則や労使協定の制定締結に当たって、当局がいろいろな策を講じてくることが考えられます。しかし、これまでと同じように、多くの皆さんが組合に結集して取り組んでいくならば、今までの同意書問題や就任承諾書問題と同じように前進的な解決が図られるものと思われます。
 年度末で労使交渉も重要な局面を迎えています。弁護団としては組合の皆さんと連絡を密にし、さまざまな事態に対処できるよう

 

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3月10日 今回の「改革」が大鉈を振るって予算削減をまずは実現した、という側面だけははっきりしてきたようだ。「赤字」問題を提起した「あり方懇」(市長諮問委員会)の主張(本日誌3月3日にコピーしておいた「市長語録」を参照されたい)が、実行されているということだ。大学の「商品」である教員はどんどん減りつづけてもお構いなし、数字あわせだけがうまくいけば、目先の実績にはなる、ということか? 10年後、20年後、その付けが出てくるはずだが、そんな先のことは考えない、「わが亡き後に洪水は来たれ」と。

しかし、大学教育は、10年後、20年後、いやそれ以上の射程を持つものではないのか?

そうした大学の根本的使命に対する見識がないとすれば、そうした人々に大学の命運を任せてもいいのか?

「鬼に金棒」?  

「実利的でない基礎研究や文学などの分野」の切り捨ての危惧について、「心配なのは貧すれば鈍することだ。小さな国立大の中から、背に腹は代えられないと、切るところが出るかもしれない」という東大次期総長の発言は、市大(=小さな国立大と同じか?)ではすでに行われているということではないか。

 

下記の記事がいう「改革担当の職員」の唖然とする発言は、先日の朝日新聞記事の中にも見られた。予算削減などは議会が決めることなので、という文脈で、自分たちには責任がないと正当化していた。それは、大学人(大学内部の人)のスタンスではないことは確かだ。少なくとも私はそれを感じられなかった。学生の要望や希望を踏まえて大学を発展させようと精神が感じられない冷たいものという意味で。

行政当局の「改革担当」がまさにそのような精神だということが「公立大学という病」の根底にあるのだろう。そしてその病をますます昂じさせようとするのが、{定款}(=諦観)の運用の仕方であろう。「全国国公私立大学の事件情報」(3月10日)における次期東大総長・小宮山氏の発言と佐和隆光京都大学教授の発言をみればわかるが、国立大学法人の場合も同様の問題があるようである。これも引用しておこう。

 

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「公立大学という病」 更新雑記 (2005.3.9)

http://myoshida64.hp.infoseek.co.jp/ycu/ycu2004.html

05/3/8 国際文化学部の川浦先生のblogが更新されていた。学生の記事に異を唱える短文からは、先生の無念さが痛いほど感じられる。それにしても同記事で「ゼミの改廃は改革の前からあった」と平然と語っている改革担当の職員にはア然とするばかりだ。流出する教員数の問題をすっぽりと抜かして回答している。官僚的開き直り答弁の典型だ。学生の記事もそこを突っ込む必要があったのではないか(全体としてはよく書けているとは思うが)。市大からどれほどの教員が流出しているかを御存知ない方は、是非佐藤先生の検証で確認いただきたい。

          さて、数ということで思い出した。あまり話題になっていないようだが、市からの運営交付金は7億円の削減になるとも聞いている。教職員の人件費に換算すれば70〜80人規模の削減にあたる。独法化で高額な報酬が予想される理事長や理事を抱えることになることもあわせて考えると、いったいどこにそのしわ寄せがいくのであろうか。かつて総務部長の放言録には市大病院は「安全が優先しすぎて、経営にたいする感覚が薄らいでいる」というトンデモ発言があったが、大学病院予算から7億の金を引きあげるというのではなさそうである。他人ごとながら気にかかる。

ある方より市大のホームページに予算が掲載されているとの連絡をいただいた。やはり、大学だけ(病院を除く)で約7億円強(8.5%)の削減となっている。また今後5年間で約6億円強を減額するともしている。法人化された国立は1%の効率化係数による削減だけでもヒイヒイ音をあげているのだが、そんなことは我関せずの削減の仕方だ。おそらく市長の再選を見据えた実績作りだろうが、まさに無謀といえる予算カットで確実に大学の研究・教育の劣化は免れえない。その被害を被るのはいったい誰なのだろうか。

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国立大法人化1年 小宮山宏氏VS佐和隆光氏

東京読売新聞(3/08

 国立大学が法人化されて4月で1年になる。規制が緩和され、大学の裁量が生かされるはずだが、その効果は表れているのだろうか。授業料のほぼ一斉値上げなど、相変わらずの横並びにも見える。現状と課題を聞いた。(聞き手・解説部 知野恵子)
 
 ◇小宮山宏氏
 ◆「自由裁量」まだ不十分
 ――この1年を振り返っての感想は。
 小宮山 これまで国立大学は、画一的で金太郎アメのようになっていた。文部科学省が制度を定めており、大学は一々お伺いを立てねばならなかったからだ。その規制が取り払われ、国立大学法人として自由裁量を持つようになったことは良い。だが、百年に一度の大改革にもかかわらず、法人化は非常に唐突で、これほど早く実施に移されるとは我々も思っていなかった。法人の形を整えるのに精いっぱいで、自由裁量とは何かの検討が不十分なまま走り出した。この1年で、いかに多くのことが自由にならないかがわかった。
 ――どういうことか。
 小宮山 規制や制限が残っており、自由裁量が制限されている。特に財務面が不自由だ。国立大学の物品は、政府調達手続きをする規則がある。法人化後も国から運営費交付金が配分されており、この規則は生きている。例えば、1500万円以上の物品を購入する際は国際入札にかけねばならない。東大のように規模が大きいと、すぐその額を超える。時間と手間がかかるが、海外企業の応札は何年もない。死文化した規則に縛られている。
 ――効率化が難しい。
 小宮山 民間企業は、まとめ買いなどで、財務の効率化をはかるが、国立大学法人はそれができない。ほかにもこうしたたぐいの規制が残っている。両手両足を縛られたまま、海に放り込まれ、自由に泳げと言われているようなものだ
 ――法人化の効用は。
 小宮山 人事制度は比較的自由になった。特任教員制度を作り、企業の寄付などの外部資金で雇えるようにした。運営費交付金を使わず、幅広い人材を登用できる。教員の年齢制限も取り払われたので、小柴昌俊・東大名誉教授など世界の頂点に立つ学者による講義も始める。また、これまでは学部ごとに教員を採用していたが、大学本部でも採用できるようにした。学問が細分化し全体像をつかみにくくなっており、それを統合するためだ。こうしたことで教育や研究の質向上につながるはずだ。
 ――国立大学の授業料が春から値上げされる。学生へのサービスという点ではマイナスではないか。
 小宮山 国が授業料の値上げを前提として、その分の運営費交付金減額を打ち出した。まだ1年目の決算が終わっていないのに、我々もショックだ。人材育成への影響も大きい。東大は学部の授業料は値上げするが、大学院博士課程は値上げをしない。1億円の減収だが、人材育成という筋を通したつもりだ。入るを量りて出ずるを制する一方、国に日本の高等教育の現状を訴えたい。
 ――現状とは。
 小宮山 経済協力開発機構(OECD)諸国の高等教育支出を見ると、国内総生産(GDP)比で1%だが、日本は0・5〜0・6%だ。欧州の授業料は日本の半分以下だろう。米国の授業料は高いが、多くの減免策がなされている。そうした実情を政策決定の場にいる人は見ようとしない。人件費が高いのではという意見もあるが、国際比較してほしい。むしろ低い。東大の教職員7500人のうち教員は4000人で、給与も私立大学より低い。教員は大学の“商品”だ。それを削減して何の意味があるのか。
 ――産学連携などで収入を得ようとする傾向が一層強まった。実利的でない基礎研究や文学などの分野は冷遇されないか。
 小宮山 そんなことはない。大学人は学術に対する見識がある。心配なのは貧すれば鈍することだ。小さな国立大の中から、背に腹は代えられないと、切るところが出るかもしれない。
      ◇
 ◇こみやま・ひろし 東大副学長。4月からは東大学長。専門は化学システム工学、地球環境工学。60歳。
  
 ◇佐和隆光氏
 ◆事務部門の見直し急務
 ――かねてから、法人化の問題点を指摘してきた。
 佐和 法人化とはそもそもはお金の話で、国立大学特別会計の歳出を削減することが狙いだ。これまでの国立大学は、定員に応じて人件費などが配分され、予算が硬直化していた。人件費と物件費をひとまとめにして運営費交付金として大学法人に渡し、どう使うかを任せた。そうすることにより効率化が可能だとして、2005年度から大学への運営費交付金が毎年1%弱ずつ減らされていく。他方、大学法人は6年間の中期目標と中期計画を文部科学省に提出し、達成度の評価が評価委員会に委ねられる。結果は運営費交付金の額に反映される。達成度の高い大学は増額されるが、低いと減額される。
 ――予算的に厳しい?
 佐和 企業が効率化をはかる場合、間接部門の職員を減らす。例えば、総務部門から、営業、製造、宣伝などのライン部門へ人を回す。しかし大学は企業にはない難問を抱えている。ライン部門にいるのは教員であり、間接部門にあたる膨大な数の事務職員を抱えている点だ。京大の場合、教員約3000人に対し、職員約1500人だ。米国の大学では考えられない構成だ。しかも事務職員の役割が日米の大学では異なる。
 ――どういう意味か。
 佐和 米国の大学の事務職員は、教育や研究を支援することに徹している。例えば、応募・審査を経て国や財団から研究費を獲得する競争的研究資金があるが、事務職員が申請書の書き方の指南役を務める。しかし、日本では国家公務員時代のなごりで、事務職員は教員を管理することを本務としている雰囲気だ。事務職員の役割を見直し、その配置を適正化することが、大学法人の経営効率化に資する最優先の課題だ。
 ――大学は変わったか。
 佐和 運営費交付金の配分の在り方を抜本的に改めようとしている大学もあれば、旧態依然のところもある。国家公務員でなくなったのに、国家公務員法や教育公務員特例法に由来する規制を温存しているところもある。教職員の定員の枠が取り払われたのに、生かせないところもある。自由化・効率化の進展はまちまちだ。そうした中、大学間の格差が目立ち始めた。
 ――格差とは。
 佐和 産業界でも独り勝ち傾向が強まっているが、大学も同じだ。制度改革などが大学の創意工夫に任された結果、群雄割拠の競争ではなく、強いものがますます強くなる。毎年度、各大学法人が応募できる「特別教育研究費」という枠がある。運営費交付金に追加されるボーナスのようなものだが、2005年度の配分額を見ると、東大の獲得金額が圧倒的に多い。
 ――格差はお金だけか。
 佐和 もともと国立大学には暗黙の序列がある。序列の高い大学へ優秀な研究者が流れる傾向が加速された。私立大学も、優秀な人材が引き抜かれるから安心できない。お金も人材も一極集中の傾向があり、このまま数年たてば東大の独り勝ちになりそうだ。
 ――産業創出などの役割も課されている。
 佐和 昭和35年の池田内閣の「所得倍増計画」で、学術・科学は経済のしもべであるべしという考えが打ち出された。以来、学問の価値を有用性ではかる風潮が根付き、法人化で一層加速された。だが、授業料以外の金を稼ぐのは容易ではない。だからといって、すぐに役に立たない研究を冷遇してはならない。予想外の応用の場が生まれる可能性がある。例えば京大の数理解析研究所の伊藤清先生の独創的な研究は、数十年後に金融工学に生かされ、米ウォール街でもその名が知られている。無用の学を大切にすることが必要だ。
       ◇
 ◇さわ・たかみつ 京大経済研究所所長。専門は計量経済学、エネルギー・環境経済学。62歳。
 
 《寸言》
 ◆知の創出 長期的視点で
 国立大学の法人化は、一気に進んだこともあって、多くの大学が戸惑っている。様々な規制が残っていることも混乱に拍車をかける。小宮山氏は「両手両足を縛られたまま、自由に泳げと言われているようなもの」と言う。予算面の厳しさも増しており、佐和氏は「国家公務員時代のなごりの事務職員の役割の見直しや、配置の適正化が、最優先課題」と語る。
 大学は、人材育成や知の創出を腰を据えて行う場のはずだ。効率化や目先の利益にとらわれ、視野の狭い研究や人材の育成になっては困る。両氏の大学は、様々な点で恵まれているが、規模の小さい大学では一層問題が深刻だ。政府も大学もより良い姿を引き続き模索すべきだ。

 

 

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3月9日 昨日付けの教員組合ウィークーを頂戴した。当局に出した詳細な要求案(ワード文書、同文書のhtm版)である。教員組合が縷縷指摘している諸論点は、大学の自治の歴史、大学教員の研究教育の歴史と実績を踏まえたものであり、共鳴・共感する。これだけ緻密な論点を整理してくださった執行部・関係委員会等の諸先生の尽力を本当にありがたいことと思う。任期制や年俸制の導入が問題となっている全国の大学人に対しても、多くの貴重な示唆を与えるものであり、全国的にも重要な文書だと考える。

労使関係・労使紛争の長い歴史のなかから確立してきた諸原則、そのひとつとしての誠実交渉義務の原則を当局者がしっかりと踏まえ、憲法以下の諸法律体系、憲法に反映された学問の自由の理念などを熟慮し、独立行政法人法、その特別付帯決議など諸法律の立法の趣旨をきちんと理解して (そうしたものをきちんと踏まえた論点整理が今回の教員組合の文書だと考える) 、大学の合理的な発展のために、適切な回答を出すように期待したい。

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もくじ
要求書を当局に提出(1面)
要求書「2月15日当局提示就業規則案及び関連規程類にた
 いする見解と要求」(213面)
関係資料 有期労働契約(任期制)には同意が必要 合意し
 ない者の不利益取扱は不可(14面)

 

 

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3月8日 教員組の週報を頂戴した。教員組合執行部が努力し、都立大学の教職員組合と連帯して、全大教とともにそう無償に出向いて独立行政法人化に伴う国会付帯決議などの遵守について地方自治体を指導するよう求めるものである。市大と都立大の事例は、全国注視の移行事例であり、そこで大学自治(その土台としての教員の身分保障など)が根底から破壊されるか同化のきわめて重大な問題をはらんでおり、全国的意味のある問題である。市大と都立大の組合と全大教の行動に感謝し、適切な指導がそう無償からも行われることを期待したい。

---教員組合ウィークリ(3月7日)ー---

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (2005.3.7)

 

もくじ

●全大教、総務省と会見

●市大の学生のあいだに不安

  市大「改革」に疑問を投げかける記事

 

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全大教、総務省と会見

 

横浜市大・都立4大学の問題について

  市・都への指導を要請

 

総務省、「労使の意思疎通は重要」

 

 

 先月25日、当組合の加盟する全大教(全国大学高専教職員組合)

は、総務省と会見し、横浜市大と都立4大学の問題について申し入

れを行いました。当組合からは中西執行委員長が参加しました。

 横浜市大と都立四大学では、今年4月の独立法人化にさいして、

横浜市と東京都が、ともに任期制・年俸制など重大な問題をはらん

だ諸制度を導入しようとしています。

 それぞれの制度の内容と、それら制度の導入過程は、いずれも地

方独立法人法や同法案についての国会附帯決議など、関連諸法とル

ールに違反したものです。

 このことに関して、全大教は、当組合と東京都立大学・短期大学

教職員組合の要請を受け、横浜市、および東京都に対し、是正指

導をするよう申し入れました。

 これに対し総務省側は、「国会の附帯決議や総務大臣の答弁にも

あるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重要なこ

とである」とし、「要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しまし

た。

 現在、市大では、当局が当組合との交渉を経ないまま、不当にも

任期制・年俸制等を導入しようとしています。当組合は、このよう

な不正常で法の趣旨に反したやりかたを許さず、誠実な交渉を行う

よう要求しています。

 総務省の回答は、当然のルールの確認であるとはいえ、あらため

て当組合の要求の正しさを証左するものとなりました。

(次頁に、全大教書記長による報告)

 

 

 

 

            2005年3月4日

各単組委員長殿

         全国大学高専教職員組合

            書記長 森田和哉

 

東京都立四大学と横浜市立大学の法人化に伴う総務省会見報告

 

 全大教は、東京都立大学・短期大学教職員組合と横浜市立大学教員

組合の要請を受け、2月25日、要望書(別紙参照)に基づき総務省

会見を行いました。

これは、4月に迫った東京都立四大学と横浜市立大学の法人移行に際

して東京都と横浜市が行おうとしている教員雇用制度が地方独立行政

法人法及びその成立時の附帯決議の趣旨を大きく踏み外した乱暴なも

のであることを訴え、公立大学の法人化に責任を負う官庁として適切

で迅速な指導を要請し、また見解を質しました。

この会見には全大教森田書記長、藤田書記次長、東京都立大学・短期

大学教職員組合から浜津委員長、田代副委員長、横浜市大から中西委

員長が参加し、約1時間にわたって行われました。総務省側は自治行

政局公務員部公務員課の溝口洋理事官等が対応しました。

 

まず全大教森田書記長が、現在の東京都と横浜市が強行しようとして

いる法人化に伴う教員雇用制度の変更は、地方独立行政法人法の国会

審議の際になされた衆参両院での附帯決議を大きく逸脱していること

を深く認識してほしい旨の表明が行われ、次いで両組合から各々の要

請書に基づき説明と要請がなされました。

 都立大学・短期大学教職員組合は、当局の発した文書、組合の要求

への回答などを資料として、基準も示されないまま任期と年俸制をセ

ットにした「新制度」と、永久に昇任・昇給のない「旧制度」とい

う、どちらを選んでも不利益な変更である雇用制度の不当性を訴えま

した。さらにこの両制度が二者択一で提示されたが、教員の過半数が

どちらの選択も拒否しており、このままでは労使が対立したまま4月

を迎えることになる現状を説明しました。

 横浜市立大学教員組合は、市当局によって「大学教員任期法」では

なく労基法14条に基づく全教員の任期制と東京都同様算定基準も明

らかにされない年俸制とが押しつけられようとしている状況を訴えま

した。現在の給与制度からの明らかな不利益変更であるこれらの雇用

制度は、制度としての公正性、透明性が保障されておらず、また、ほ

とんど組合との交渉もなしに強行されようとしていることに対して、

総務省としての是正指導を要請しました。

 東京都立四大学、横浜市立大学とも、職務や業績評価の基準も再任

基準も明示されずに「とにかく教員に任期を付け、年俸制にする」と

いうことのみできわめて酷似した「制度」です。

 これらの訴えに対して、総務省は、「国会の附帯決議や総務大臣の

答弁にもあるように、法人移行に当たっての労使の意思疎通は当然重

要なことである、要請の趣旨は両自治体に伝える」と表明しました。

しかし、同時に「大学のことは熟知しておらず、法人下での勤務条件

の中身は労使で決めることで、個々の事象について総務省として口を

出すのは難しい。」とも述べました。それに対して組合側から、総務

省が唱えた地方独立行政法人法によって公立大学を法人化する上での

趣旨を達成するためには、東京都立四大学でも横浜市立大学でも総務

省からの積極的な指導が必要な状況であることが重ねて要請され、総

務省は「頂いた文書等をよく勉強します」と答えました。

 最後に、全大教として、第1に、東京と横浜で起こっている事態

は、一般的な指導、援助では済まず、国会附帯決議をふまえた十分な

指導が必要であること、第2に、そうした事態が全国の公立大学に波

及する可能性があり、現場での良好な労使関係を進めるためにも、全

大教と適宜会見を行うこと、を要求しました。

これに対して、総務省は基本的に了承するとして、今回の会見は終了

しました。

 

(次頁に全大教、総務省宛要請文)

 

 

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2005年2月25日

総務大臣

麻生太郎殿

          全国大学高専教職員組合

          中央執行委員長

  関本英太郎

 

東京都立四大学並びに横浜市立大学の独立行政法人化に伴う教員の雇

用制度等に関する要望書

 

 公立大学振興のための日頃からのご尽力に敬意を表します。

 地方独立行政法人法の下で、東京都と横浜市はそれぞれが設置する

大学について、本年4月よりの独立行政法人への移行・改組を進めて

おります。その際、法人への移行に当たって、東京都および横浜市

は、それぞれの大学に勤務する教員に対して、これまでの任用条件か

らの大幅な変更を伴う雇用条件を提示しています。

 東京都は現在都立四大学に勤務し本年4月以降も首都大学東京並び

に現四大学に引き続き勤務する予定の教員に対して、法人への移行に

当たって任期制・年俸制に基づく「新制度」または任期の定めがなく

昇給・昇任のない「旧制度」のいずれかを選択するよう求めていま

す。また横浜市は現在横浜市立大学に勤務し4月以降も勤務を続ける

予定の教員全員に対して、法人への移行に当たって任期制・年俸制の

雇用制度に切り替えることを提示しています。

 それぞれの教員はこれまで、「教員任期法」に基づく任期制が適用

されていた一部の助手を除き、任期の定めのない条件で任用され、い

わゆる「定期昇給」の制度が適用され、個人の業績や所属する学部・

学科等の事情により異なるとはいえ昇任の機会も与えられていまし

た。これに対して、東京都並びに横浜市が今回提示している法人への

移行に当たっての雇用条件は、これまでの任用条件からの重大な変更

であるとともに、明らかな不利益変更です。

 地方独立行政法人法では「移行型一般地方独立行政法人の成立の

際、現に設立団体の内部組織で当該移行型一般地方独立行政法人の業

務に相当する業務を行うもののうち当該設立団体の条例で定めるもの

の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該移行型一般地

方独立行政法人の成立の日において、当該移行型一般地方独立行政法

人の職員となるものとする」(地方独立行政法人法59条2項)と規

定しています。

 森清・総務省自治行政局公務部長(当時)は、この法律が審議され

た国会答弁において、「これは、設立団体の業務と同一の業務に従事

する者につきましては、当該地方独立行政法人の職員として引き続い

て身分を自動的に保有しつづけることができるという形を法律上措置

したものでございます」(参議院総務委員会2003年7月1日)と

した上で、後述する附帯決議等において、身分の承継にあたり、移行

にあたっては関係者の充分な話し合いと意思疎通が求められることも

明確にされています。

 条文上「別に辞令を発せられない限り」というのはその意義が限定

されており、「@(独立行政法人に承継せず)〇〇省内で他の部局・

機関へ移動させるという〇〇省の辞令、A独立行政法人には承継され

るが、「相当の職員」にはならない場合の独立行政法人の辞令」(独

立行政法人制度の解説・独立行政法人制度研究会編 松尾剛彦内閣中

央省庁等改革推進本部事務局参事官補佐)の二種とされており、雇用

・身分の承継については揺るぎのないところであるといえます。

 このような法の趣旨に照らした場合、雇用条件も基本的には継承さ

れるのが当然です。

 労使の充分な交渉・協議を欠いたまま東京都や横浜市が提示してい

るような重大な不利益変更を伴う雇用条件変更を行うことは許されま

せん。事実、この間独立行政法人に移行した各機関や昨年4月に法人

への移行を果たした国立大学は、それ以前の雇用条件を基本的に継承

しています。

 以上のことから、現在東京都並びに横浜市が進めていることは、地

方独立行政法人法の趣旨からの重大な逸脱であるといえます。

 地方独立行政法人法成立時の参議院総務委員会における附帯決議に

おいても、政府に対し、「地方独立行政法人への移行等に際しては、

雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合

と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。」を決

議しています。

地方独立行政法人を指導・助言する立場にある貴省として、これらの

事柄についての見解を求めるとともに、必要な指導・助言にあたられ

ることを求めるものです。

 

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市大の学生のあいだに不安

 市大「改革」に疑問を投げかける記事

       朝日新聞より

 

 5日付けの『朝日新聞』神奈川版で、本学学生執筆の記事が、市大

の問題を伝えています。

 それによれば、市大の改革にともなってさまざまな問題が起きてお

り、この間、「改革」についてじゅうぶんに知らされていない学生の

あいだには、不安が広がっているといいます。

 特に、授業料値上げの不安や、おそらくは任期制導入等の雇用条件

の変更のうごきと関連のある教員の流出と、それによるゼミの消滅、

図書館の雑誌削減などの問題が取り上げられています。

 また、学生のあいだで、改革に学生の意見を反映させることをめざ

す動きもあることが報じられています。

 教員・学生・一般職員の現場の声を無視した現在の改革のありかた

に対して、重要な問題提起をする記事といえるでしょう。

 

 

 

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発行

 横浜市立大学教員組合執行委員会

236-0027

横浜市金沢区瀬戸22番2号 

Tel 045-787-2320  

Fax 045-787-2320

mail to : kumiai@yokohama-cu.ac.jp 

教員組合ホームページ

http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm

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3月3日 今日は、商学部の定例教授会としては最後の教授会となった。残すは一回の臨時教授会が17日にあるだけである。種々の卒業や学位判定に関わる教授会審議事項を処理した。

最後の定例教授会とあって、ある教員が特に発言を求めた。市長が、最初のころ、『神奈川新聞』に、横浜市大の「漫然たる経営」なるものを批判したとき、「がんばれ」という気持ちになったという人である。

ところが、夏に市長諮問委員会の「あり方懇」を立ち上げ、その答申結果について、市長は、「私は、本答申骨子について、賛同いたします」と発言。あり方懇の答申によって、横浜市大の「負債」なるものが全国に知れ渡った。

「さすが市長。問題を決して見逃さない。この答申に市長が賛同したのだから、周りのものが賛同しないはずはない」と、その教員は考えた。

しかし、2ヶ月ほどたつと、市大改革に関する市長メッセージが出て、「まず決めるのは大学自身です」と。

「急転直下の方向転換」。この発言は、後日になって、「これは先生方が決めたこと」といえるための「工作だと一目瞭然。これを理解することは、どうも市大の学長には難しかったようだ」と。学長は、「自ら進んで先頭に立った」。

2004年2月19日に記者会見で、「市大の財政的な理由が、改革のひとつの理由であることは確かか」との質問に対して、市長は、「負債というバランスシート上の話は持ち出したことは、私は一度もない」と。

「あれれ、また急転直下の方向転換。これじゃ、180度の方向転換じゃないか。・・・」

最後の定例教授会という独特の雰囲気と重なり、無念の思いがにじみ出る話であった。 実に詳細に記録を残しているようなので、いつの日か、長大な論文なり書物が公にされるのではなかろうか。以上は私の解釈が混じっているので、オリジナルの文章を以下に掲げておこう。

 

-----市長語録-----

 

200xxx

市長発言:横浜市立大学の最大な問題は「漫然たる経営」。

ソース:『神奈川新聞』(日付は検索中)

コメント:頑張れ!若き市長。横浜市大、いや横浜市の運命を任せたよ。

 

2003227

あり方懇談会最終答申についての市長の発言:

「答申の中で、横浜市が公立大学を有する意義が明らかにされ、市立大学の今後のあり方も見えてきたと思います。」「私は、本答申の骨子について、賛同いたします。

ソース:http://www.yokohama-cu.ac.jp/arikata/toushin.html

コメント:あり方懇談会の答申によって横浜市大の「負債」は全国に知れ渡った。さすが市長。問題を決して見逃さない。この答申に市長が賛同したのだから、周りの者があえて賛同しないはずはない。

 

200357

市立大学改革について大学への市長メッセージ:「まず決めるのは大学自身です。

ソース:

http://www.yokohama-cu.ac.jp/daigakukaikaku/daigaku/daigaku_kaikaku/dk01.html

コメント:あれ、どうした市長、急転直下の方向転換じゃないか。このリクエストは、後日になって「これは先生方が決めたことです」と言えるための工作だと一目瞭然。これを理解することは、どうも市大の学長には難しかったようだ。そして自ら進んで「先頭」に立った。

 

2004219

記者会見で「市大の財政的な理由が、改革の一つの理由であることは確かか。」

という質問に対して市長の回答。

負債というバランスシート上の話を持ち出したことは、私は一度もない

ソース:http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2004/040219.html

コメント:あれれ、また急転直下の方向転換。これじゃ、合計180度の方向転換じゃないか。確かに見事な答え方だ。「持ち出した」のはあの有名なあり方懇談会であり、市長ではない。そう、「持ち出す」と「賛同」は違うのだ。となりから歓声が聞こえてきた、「最初はどうなるかと思ったが、これで本当にほっとした」。

 

 

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3月2日 教員組合から本日付の週報が届いた。多くの教員に、現状では任期制への同意をしないことを勧めるものであり、不当な圧力に屈しないためには、教員組合に委任状を出すことを提案し、呼びかけている。

2月28日の教員説明会で、ある教員が外国の過去の事情などもあげながら、「大学の教員は強そうに言っていても、非常に弱くもろい」といっていた。まさにそうだと思われる。たくさんのひどい労働問題・労使関係を知っている吉田さん(香川大学)は、まさに「脱出」したではないか。精神的に奴隷化されることの危険性に敏感な吉田さんのHPをよく読んでみる必要があろう。

研究教育に没頭することだけを希望してこの道を選んだものが圧倒的多数のこの世界において、当局(さまざまな意味での財力・権力などをもつもの)に対して、きちんと対峙できるような百戦錬磨の闘士がいるわけがない。

いや、憲法の保障する「学問の自由」、「大学の自治」は、まさに真理探究を主眼としている大学教員が行政的(本学の場合で言えば市当局)な圧力におびえなくてもいいように保障しているものであろう。それは、個々の教員が弱いことを踏まえた上で、そうした弱みに「力」を持つものがつけけ込んではならないことを求めているものであろう。以下、委任状に関するニュースを掲げておきたい。

そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身ではありません。」とあるが、まさに、現在、大学自治の根幹に関わる部分で、それが破壊される危険性がある。人事の問題、教員評価の問題は、一体誰が行うのか? すくなくとも、この間、新規採用の人事においては、教授会審議は行われていない。新しい法人の人事であり、現在の教授会は関係ないからだ、といった論理で押し通している。

はたしてそれは、妥当か?深刻な問題を抱えているのではないかと考える。新規採用と同じことが、昇任等で行われるとどういうことになるか? 学問の教育研究に素人の人間が決定権を握るようになる可能性がある。そうしたシステムとなっているのではないか?

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横浜市立大学教員組合週報/組合ウィ−クリー(2005.3.2

もくじ
有期雇用契約(任期制)に同意する必要はありません! 組合に委任状提出を!
委任状について
当局第2回教員説明会
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有期雇用契約(任期制)に
 同意する必要はありません!
 組合に委任状提出を!

任期制教員となって、もしも再任されない場合、裁判で勝てるか?
 「普通にやっていれば再任される」と当局は言っていますが、「普通かそれ以上」
でも再任されないことがあります。任期制とは、例えば任期5年の場合、法的には
「5年間は雇います。その後はそのときまた考えましょう」というものです。任期制
は基本的に、任期の終了時、使用者は自由に労働者を解雇(=再任拒否)することが
できるのです。
 そもそも「普通にやっている」かどうかを決めるのは、教員(=労働者)自身では
ありません。また、「普通にやっている」と判断されたとしても、次の中期計画など
で、その分野やコースあるいは担当科目が大学として不要だということにされてしま
うと、再任されない可能性が大いにあります。教員が任期中にノーベル賞をとったと
しても、このような事情で再任されない恐れもあります。
 再任されなかった場合に、労働者側が裁判で勝てるという保障はないのです。

 
任期制に同意しないことこそ、「普通にやっていればクビにならない」ための条件
 任期制に同意しなければ、自動的に「期間の定めのない雇用」となります。この場
合に使用者が労働者を解雇することについては、労働法制上極めて厳しい条件が付い
ていますので、こちらの方こそが「普通にやっていればクビにならない」労働契約で
す。
 任期付教員にならない教員、つまり「期間の定めのない雇用」の教員は、「任期に
同意した教員」と比べて不利益な扱いを受けるのではないか、と心配する人もいるか
もしれません。しかし、両者の間で労働条件に差をつけると法律に触れるので、そう
いったことはできません。今回の説明会で、同意しない人とした人とを勤務条件(労
働条件)で差別できないことは、当局も認めています(3〜4面に関連記事)。
 何より重要なことは、任期付の契約に同意しないことです。つまり任期制教員にな
ることを拒否し続けることです。任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、
われわれ教員は有利になります。
 また、任期制に同意しないで期限の定めのない雇用になったからといって、昇給が
ないということにはなりません。法人化以降、すなわち4月1日以降、われわれ横浜
市立大学の教員は公務員ではなくなります。公務員の場合、労働条件は市の条例で定
められますが、法人化以降は、労使間の交渉によって決まります。民間企業の組合が
ストを構えて春闘を行うのと同じです。
 任期付契約に同意しない教員が多ければ多いほど、そして教員組合の組合員数が多
ければ多いほど、まともな労働条件で働くことができるのです。

 組合に委任状提出を!
 「普通にやっていれば再任されるのだから、任期付契約に同意して下さい」とか、
「任期付教員にならないと、研究費の面で不利益になりますよ」などと圧力をかけら
れるおそれがあります。
 このような不当・違法な圧力をはね返すために一番良いのは、教員組合に委任状を
あずけることです。当局や「上司」に対して、「この件については、組合委員長に委
任してありますから、回答できなせん」と言うのです。ぜひ、委任状を提出して下さ
い(下記参照)。


委任状について

 労働条件、特に任期制に関する合意について組合に委任しましょう
 組合は、本学のすべての教員に、労働条件、特に任期制に関する合意について、執
行委員長、中西氏に委任することを呼びかけます。委任状を提出しましょう。

非組合員の教員についても、委任状を受け付けます
 組合員各位には、非組合員の教員への呼びかけもされるようお願いします。

提出方法
 委任申込用紙とご案内は、すでに各組合員のもとに届いているはずです。
 委任状の提出は下記の方法のいずれかで行なってください。
  1 組合事務室に持参する
  2 組合事務室に、郵便、宅急便もしくは庁内便にて送付する
  3 最寄りの執行委員に預ける
 ご提出後、1週間程度で、委任状のお預かり証をお届けします。
 執行委員長と執行委員会は、責任をもって委任状を受けます。誰が委任したかにつ
いては秘密を厳守します。
 お問い合わせは、本号4面の連絡先までお願いいたします。


当局第2回教員説明会

 先月24日、25日、28日、福浦、浦船、金沢八景の各キャンパスにおいて、当局によ
って、労働条件に関する第2回の教員説明会が催されました。おもに松浦大学改革推
進本部最高経営責任者(副理事長予定者)と福島大学改革推進担部長から説明がありま
した。
 当局の説明とそれに直接関連する質疑応答において明らかにされたのは、おもに以
下の点です。組合のコメントを括弧で示します。
 当局案全体についての論評と要求は、あらためて別に発表します。

当局のスケジュール
・4月1日より、任期制・年俸制・教員評価制度を導入する。
当組合との交渉も本格的に行なわないで導入を一方的に決めるのは、不当であり、
脱法行為です。
・新法人に移行したくない者はなるべく3月4日までに、退職を申し出てほしい。
(同上。)

任期制
・任期制については個人の同意が必要であり、3月4日以降ないし3月中旬に手続き
に入る。
(同上。)
・任期制を拒否する教員についても、雇用を継続し、期間の定めのない雇用とする。
労働条件の不利益変更は行なわない。
(当然です。そうでなければ違法です。)
・ただし、任期制を受け入れない教員については以下のような格差を設ける。
  1 裁量労働制を導入しない
  2 昇任がない(28日にはじめて言い出しました2425日には触れていませ
ん。)
きわめて重大な不利益変更であり、不当、違法であるとともに、当局の上の言明と
矛盾します。

教員評価制度
・教員評価制度を年俸制、再任審査に連動させる。得点は5段階の相対評価により決
める。
全員頑張ると「普通に」、あるいは一生懸命に働いていて高い成果を得ても最低の
評価になりえます。)

年俸制
・給料相当分(全体の6割程度)を任期期間中固定とする。再任時に見直す。ベース
アップ、経済状況にみあった変化はありうる。
昇級の保障はなく、減給になる可能性もあります。)
・職務給・職務業績給(4割程度)を評価に基づいて変動させる。変動幅は10%、す
なわち全年俸の4%程度。
(同上)
17年度分の年俸は、16年度のものに、定期昇給分を加味したものとする。

兼業制度
・兼業に従事する時間は、「法人の利益に資するものとして」特に理事長が認めた場
合を除いては、賃金を減額、または報酬を法人に納付させる。
(何が「法人の利益に資するもの」なのかの客観的基準の有無、それを決定する権限
が理事長にあってよいのかが問題です。)

過半数代表
・就業規則決定のために、労働者側からの過半数代表の選出が必要である。
 (当組合も準備を進めます。)

 その他、勤務時間制度、退職手当などについて説明と質疑応答がありましたが、こ
こでは割愛します。

当局の姿勢、改革失敗の責任追求
 さらに質疑応答では、改革において教員のみが痛みを負い、当局側が痛みを分かち
合おうとしない姿勢、一方で教員に責任を負わせ、他方で教員管理を強化することの不
当性が糾されました。
 当局の応答は、論点を回避するものでした。
 また、今回の改革全体について、入試志願倍率のいちじるしい低下をみても、客観
的に失敗であるとの判定が下ったのであって、改革担当責任者の事務職員・教員は、責
任を取るべきであるという、正当な主張と追求が教員の側からなされました。
 当局側は、個々に今後の業績いかんでは責任を取るという明言する者はいたもの
の、入試制度の不備を挙げるなど、論点をすりかえ、現時点で責任を取るとは述べません
でした。
 あらためて、教員・学生・一般職員の声と合意形成を無視した、上意下達型の一方
的改革の無責任体制ぶりが明らかになったと言えるでしょう。

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発行 横浜市立大学教員組合執行委員会

236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号
Tel 045-787-2320   Fax 045-787-2320
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3月1日 昨日(28日夕方6時から9時20分ころまで)、第二回教員説明会があった。最高経営責任者(予定者)及び大学改革推進本部労務担当部長の説明は、1時間近く行われ、その後2時間余にわたって会場参加者からの意見表明・質問とそれに対する回答があった。一番重要な任期制問題では、すでに行われた医学部の説明会での答弁と28日の八景キャンパスでの答弁とが違うことをはじめ、制度設計の全般にわたって重大な問題点がつぎつぎと指摘され、満足な回答は得られなかった。

しかも、そのように重大な身分上の変更に関わる提案(説明)を、2月15日になって行い、十分な規定等の整備抜きで、今回の説明会において、「任期制」への同意だけを迫る態度を示したこと(会場発言の言葉を使えば、「卑怯なやり方」)は、労使関係の根本的なあり方としても、重大な問題をはらんでいることが、教員組合委員長をはじめとする参加者から繰り返し出された。

いずれ教員組合も、昨日の重大な論点については整理し、文章化して法律問題、誠実な交渉義務の問題、就業規則提示の時期の問題、就業規則実施に伴う諸制度・そ規定の不備(欠如)の問題などを指摘することになろう。すくなくとも、現段階で任期制に同意をもとめられても、その判断材料が適正かつ公明な形で提示されていない以上、明確になるのは不利益がほとんどという状況では、問題外というのが多くの人の気持ちだったのではなかろうか。

           昨日の最高経営責任者・労務担当部長の発言で一番の問題は、任期制に同意しない者は昇任対象としないという部分であろう。すなわち、任期制と昇任とを結合させ、現在の公務員としての「期限の定めなき雇用」形態から、有期雇用の形態に何が何でも押し込んでしまおうとする態度をしめしたことだろう。これは、明らかな不利益措置であり、関係諸法律に違反するものといわなければならないだろう。

そもそも昇任(助手から准教授へ、准教授から教授へ)とは何を基準にするのか、その根本が問題になる。昇任とは研究教育業績を積み、大学の使命(学則に示される真理探究など)の実現度・その実績に応じたものではないのか? 任期に同意するかどうかを昇任の基準とし、差別基準とするのは、これは根本的に(憲法的な意味で)重大な問題をはらんでいるのではないか?そうした任期制の制度設計は、大学の研究教育の活性化とどのように関係するのか、まさにその説明責任こそが問題となる。すべては教員組合がすでに繰り返し指摘してきた論点であろう。昨日の説明会の態度は、それにまともに答えない態度だということである。

こうした昨日の説明会の問題点については、教員組合執行部がしっかり法律論をはじめとして、論点をまとめ、提起してくださるであろう。

「大学教員任期法」の精神にも、労働基準法の有期契約の精神(労使双方の良好な関係・労使双方に有利な契約という精神)にも違反しているような制度をこの時点になって最高経営責任者と労務担当者から聞こうとはと、愕然とする。いったいこれで、どれだけの人が「よしこれならやろう」という意欲をもてたのか(ほとんどの人は不利益・不安しか感じなかったのではないか、特に若い人々、助手、講師、助教授の人々はそうではないか)、これが昨日の総括的印象である。

           もうひとつ、繰り返し提起された問題は、新しい学部の応募者・受験生の「激減」の責任を誰がどのように取るのかという問題であった。来年もこのようであれば、「私が責任を取ります」というのが最高経営責任者の言葉であった。大学改革推進本部が学長以下の入試管理委員会の組織を使って行っている入試であり、昨年までの入試とは違って教授会による審議(入学者判定教授会)は行われていない。ポイントはこの教授会審議の欠如という点である。学校教育法にもとづく重要審議事項として教授会が持ってきた責任と権限をどのように実行するのか、まさにこの点が最も重要な問題であろう。従って、今回の入試システム自体の持つ根本的問題(少なくとも学則による教授会審議事項の無視)も、その責任の所在を明らかにする上では重要な論点となろう。