2012年度、第5回以降





2012年4月18日納品の『横浜市立大学論叢』
第62巻 人文科学系列 第3号
(形式的刊行年月は2011年3月)

ホロコーストとヨーロッパ統合(最終講義2011年2月2日)をもとに、
研究教育(
履歴・研究業績参照)にあたっての問題意識・課題意識を説明。

「予防歴史学」、「免疫形成の歴史学」 の見地

(Cf.ウィリアム・H・マクニール『疫病と世界史』中公文庫、上・下)
(Willism H. McNeill, Plagues and Peoples, Anchor Press/ Doubleday, 1976.)





シラバスに掲げたテーマ:第3回 
ナチズムの台頭権力掌握戦争政策


1914年(第一次世界大戦勃発)の100周年記念を目前にした段階で、

20世紀の「30年戦争」としての二つの世界大戦が
人類史のどのような段階のものか、
どのようなナショナリズムの発現形態が見られたか、
を考える。




第四回

新聞テレビで報じられている日米共同声明
アジアの軍事情勢・日米安保問題
中国の台頭(経済的・軍事的・そしてもちろん政治的)とアジアの平和
そして世界の平和

「現代世界問題研究会」のお知らせ
5月6日(日曜日)午後2時から、聴講自由

メインの報告:
矢吹 晋  先生  「チャイメリカ構造下の日米中三角関係と尖閣衝突」
小野塚知二 先生 「現代アジアの軍事情勢」
一楽 重雄 先生  「市大をめぐる現状」

その他参加研究者の近況報告



シラバス掲載の第4回テーマ:第4回 電撃戦・総力戦・世界大戦の展開とホロコースト

1.「よい時代」=「ヒトラー神話の形成期」(「完全雇用」と神話

2.「平和的」領土拡大経済の軍事化の危機  



前回ここまで、第4回の内容の以下の部分と第5回の内容をまとめて
シラバス掲載の第5回テーマ:
第5回 反帝国主義・反ファシズムの諸形態と植民地・被支配地域のナショナリズム




第5回


3
電撃戦による領土拡大政策と占領地拡大

4.対ソ奇襲攻撃・占領地拡大・治安体制確立・
現地物資調達=搾取とホロコースト


5.電撃戦挫折・総力戦化と全ヨーロッパからの抵抗

6.戦時下・臨時的ユダヤ人移送政策とその挫折
「冬の危機」

7.世界大戦(原爆開発への跳躍点)と大々的「疎開」(絶滅)政策への移行・ヴァンゼー会議
 
8.独ソ戦・世界大戦・総力戦の難問群・圧力群・
敗退とホロコーストの全面展開 





ーーーー第5回ーーーーー

トルコ・・・オスマン帝国の膨張とその支配下の諸民族
19世紀以降の独立・解放運動・・独立達成・・・ギリシャ
バルカン半島の独立運動
第一次世界大戦(ヨーロッパ大戦)

最新の研究成果を踏まえた新しい第一大戦通史
ジャン=ジャック・ベッケール/ゲルト・クルマイヒ著
剣持久木・西山暁義訳
『仏独共同通史 第一次世界大戦』上、下、岩波書店、2012年3月16日




   帝国主義とアジア(『歴史から今を知る』第9章

   地図(1912−1944の日本の大陸侵略、および大東亜共栄圏) 

  中国と日本の関係


  中国―内戦から中華人民共和国の成立へ

 インド
   インド  イギリスの植民地支配とインドの脱却(自立・独立)への過程  






第六回
シラバス掲示のタイトル:ナショナリズム論の諸形態―ディスカッション―



みんなが、ネイション(国民・国)を意識するときは?


オリンピックにおける国別対抗
さまざまの世界選手権


闘いの手段・方法は?

スポーツのルールに基づくフェアな競争・闘い


それと対比しての問題のあるナショナリズムの発現は?・・・・戦争・武力衝突


そこでの争い・奪い合いの対象は?







Nation(国民・民族)とは、何か?
Nation(国民・民族)は、どのようにして形成されたか?
Nation(国民・民族)という意識は、どのように形成されたか?


 
Nation 対 Nation
 国民 対 国民
   民族 対 民族
  




われわれが国民や民族というものを意識するのは、どういうときか?

競争
闘い


競争や闘いの目的・目標・焦点は?


領土?(国家による所有=領有・・・国・国家とは?)
土地
(人間とその労働を除けば、唯一の本源的な生産条件・・・過去にさかのぼるほど重要)
資源?
(人間社会の力・科学技術により次々と発見・発掘)
資本?

権利?
自由?
平等?
人間らしい生活?



世界の歴史と現在の世界で、なにが、
「競争」、「闘い」の目的・対象となっているか?


競争や闘いの手段・方法は?
スポーツの場合?
戦争の場合?


ナショナリズム(国民主義・民族主義etc)は,

どのようにして、どのような諸要因を基礎に発生し、

成長し(ないし強化され)たのであろうか?

ナショナリズムを意識するのはどんな時だろうか?

ナショナリズムとインターナショナリズム(国際主義)とは、
どのような関係にあるだろうか?


ヨーロッパでは?
日本では?

19世紀のヨーロッパは、封建制から近代資本主義社会への移行の中で、

ナショナリズムによる社会統合・国家統合が、支配的な社会現象となった。

小さな領域に分かれていたのでは、新しい経済発展に適応できない。

一定の広域的統合の必要が、社会の一定の成熟・発展段階で生まれ、
ネーション(国民・民族など)まとまることが、進歩的側面・社会の前進要素となった。

しかし、世界で国民国家が成長し、ある段階になるとぶつかり合いが激しくなった。
  
その結果が、19世紀後半からの植民地争奪戦争・世界分割と
再分割をめぐる世界各地での戦争、

そして、ニ度にわたる世界戦争であった。



第二次大戦後は?

二つの大きな世界的体制と世界各地の民族国家・国民国家形成。


第二次大戦後は、

米ソの二つの軸を中心とする二大陣営

「社会主義ナショナリズム」と

自由市場主義ナショナリズムの冷戦体制となった。

その冷戦体制が1989−1991年に崩壊して20年。



ナショナリズムは、この間に、そして、現在、

どのようなところで出現しているだろうか?

どのような問題で刺激を受け、激化するだろうか?







ヨーロッパ統合が示していることは何か?


19世紀から20世紀のナショナリズムの発展的克服の道は、

諸国民を大きく包む地域共同体の形成
であった。


そこにおいて、
ナショナリズムとインターナショナリズム、
ナショナリズムとトランスナショナリズム
発展的融合が目指された。

その基本原理は?

自由・民主主義・人権・平和


諸国民・諸民族・諸文化の発展的統合の道の最先端を行くのが、ヨーロッパである。


その社会の現状は?


たとえば、
下記のハルトムート・ケルブレ著『ヨーロッパ社会史 1945年から現在まで』
日本経済評論社、2010年3月25日刊
で確認できる。

このケルブレの本をじっくり読んで、みんなで検討し、
日本がアジアで行動する場合の参考とする思考素材を練り上げるのは、

後期:ヨーロッパ社会
の講義で。




(本書の出版においては、ゲーテ・インスティチュートGoethe-Institutより、翻訳助成を受けた2009/2リスト,2ページにKaelble, Sozialgeschichte Europas)
(そのほか、ベルリン大学SFB、横浜学術教育振興財団からも翻訳・出版助成を受けた)








第7回以降の報告(順序・テーマなど)